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2012年6月 1日 (金)

法人企業統計から来週金曜日発表の2次QEを占う!

本日、財務省から今年1-3月期の法人企業統計の結果が発表されました。季節調整済みの系列で見て、売上げや利益が順調に増加した一方で、設備投資は減少しました。まず、いつもの日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。


財務省が1日発表した2012年1-3月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比3.3%増の11兆8545億円となり、2四半期連続で増えた。全産業の売上高と経常利益は4四半期ぶりに増加した。設備投資、企業業績ともに昨年末に復活したエコカー補助金を追い風に好調な自動車産業がけん引している。
財務省は基調判断を「企業部門は持ち直しの動き」と上方修正した。前回は企業業績が「足踏み」、設備投資は「明るい兆し」としていた。
産業別に投資動向をみると、製造業では鉱山用油圧ショベルなどの生産用機械が67.9%増えたほか、新型車の製造ライン整備などで輸送用機械も17.3%増えた。東日本大震災からの復旧が続く建設業の設備投資も増えた。
ただ市場関係者の間では「設備投資の水準は低い。海外経済の停滞や電力不足を警戒し、企業は慎重な姿勢だ」(みずほ証券の上野泰也氏)との見方もある。
全産業の売上高は346兆9980億円で0.6%増、経常利益は13兆7049億円で9.3%増だった。自動車のほか、円高を受けて海外旅行が好調だったサービス業や、スマートフォンの普及でデータ通信収入が増えた情報通信業が増収増益となった。
法人企業統計は資本金1000万円以上の企業の仮決算をまとめた。設備投資はほぼすべて国内向けで海外投資は含まない。設備投資(ソフトウエアを除く)の季節調整値は前期比1.7%減った。今回の結果は内閣府が8日に発表する1-3月期の国内総生産(GDP)改定値に反映する。

下のグラフは法人企業統計のヘッドラインとなる売上げと経常利益と設備投資をプロットしています。季節調整済みの系列ですので、上に引用した記事と少し印象が異なる部分があります。上のパネルが売り上げと経常利益、下が設備投資であり、いずれも影を付けた部分は景気後退期です。

法人企業統計の推移

基調判断については、引用した報道にもある通り、「企業部門は持直しの動き」と上方修正されています。ただし、上のグラフを見ても明らかな通り、昨年3月の震災で売上げや利益が減少した後、現在でも震災前の水準に戻ったとは言い難く、その結果、例えば、夏季ボーナスなどが振るわない遠因になっています。なお、設備投資が減少に転じたことについては、むしろ、前期昨年10-12月期の統計の方に違和感を覚えていましたので、逆に正常化した可能性すらあり、エコノミストの中では織込み済みの感もあります。先行きに関しても、私は楽観視しておらず、現在の円高が企業活動にネガティブな影響を与える可能性が強いと受け止めています。

労働分配率と損益分岐点の推移

他方、震災からほぼ1年を経て、法人企業統計からインプリシットに計算される労働分配率や損益分岐点は景気回復期らしい動きに戻りつつあると考えています。上のグラフの通りです。季節調整済みの係数が発表されないので、原系列の統計を基に算出していますが、後方4四半期移動平均でトレンドを取ると、一時、震災で反転したものの、労働分配率と損益分岐点は景気回復ないし拡大期にふさわしい方向に戻っています。基本的には、健全な企業活動に回帰しつつあると考えるべきです。

今日の法人企業統計を受けて、2次QEの設備投資がどちらに動くかは微妙なところだと受け止めています。1次QEでは設備投資は季節調整済みの前期比で▲3.9%のマイナスだったんですが、このマイナス幅がやや縮小するんではないかと見込んでいます。

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