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2012年6月13日 (水)

機械受注に見る設備投資の先行きやいかに?

本日、内閣府から4月の機械受注統計が発表されました。統計のヘッドラインであり、GDPベースの設備投資の先行指標となる船舶と電力を除く民需は季節調整済みの系列で見て、前月比+5.7%増の7886億円とジャンプアップしました。まず、いつもの日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、2カ月ぶり増加 卸売・小売業がけん引
4月5.7%増

内閣府が13日発表した4月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は前月比5.7%増の7886億円となり、2カ月ぶりに増えた。伸び率は事前の予想(1.8%増)を上回り、金額は2008年10月以来の高水準だった。新規出店を見込む卸売業・小売業から運搬機械の受注が増えた。民間の設備投資は当面堅調に推移しそうだ。
内閣府は基調判断を「緩やかな増加傾向がみられる」と前月から据え置いた。専門家の間では「当面は復興需要に下支えされ、受注は緩やかな回復が続く」(第一生命経済研究所の新家義貴氏)との声が多い。
伸びが大きかったのは非製造業で25.2%増えた。特にコンビニやスーパーの新規出店を計画している卸売業・小売業からの受注は物流システムを含む運搬機械を中心に41.1%増えた。伸び率は09年12月以来の高水準だった。
製造業は3.4%増。化学機械の大型案件があり、化学工業が37.6%増えた。スマートフォン(高機能携帯電話)を含む情報通信機械メーカーからの受注も19.4%増と高い伸びだった。一方、自動車は20.0%減。前月までの反動減との見方があるほか、「夏ごろにエコカー補助金が打ち切られると見込んで投資を減らした」(大和総研)との見方もある。

次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需のいわゆるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

機械受注統計の推移

引用した記事にもある通り、市場の事前コンセンサスは前月比+2%ほどでしたから、かなり大きく上回ったと受け止めています。この先のGDPベースの設備投資もそれなりのテンポで増加を続けると期待してよさそうです。ただし、私が懸念するのは2点あり、第1に外需です。外需はコア機械受注の先行指標なんですが、グラフを見ても明らかな通り、直近では1月をピークにして2-3月にドンと落ちた後、4月統計でも回復が鈍くなっています。欧州のソブリン危機の影響を受けていることは明らかで、今後の欧州情勢とともに気がかりな点です。第2に自動車です。引用した記事にもある通り、エコカー補助金が来月にも予算が尽きるとの予想があり、大きな反動減が待ち受けている可能性が否定できません。裾野の広い産業だけに、マイナスの波及効果も心配です。何度もこのブログで主張しましたが、マクロの雇用や賃金への刺激策でなく、個別の財に対して期間を限定して補助金を出すんですから、景気変動を拡大する可能性が高いと覚悟すべきです。

当面、年内くらいは、機械受注、というか、GDPベースの設備投資は緩やかなテンポながら、底堅く拡大を続けると考えられます。先行きのリスクは欧州ソブリン危機のゆくえと為替ではなかろうかと考えています。

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