景気動向指数に見る景気の現状やいかに?
本日、内閣府から6月の景気動向指数が発表されました。CI一致指数が前月から▲2.0ポイント低下して93.8、先行指数も▲2.6ポイント低下して92.6と、いずれも大きく低下しました。統計作成官庁の内閣府は基調判断を「足踏みを示している」としています。まず、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
6月の景気一致指数、3カ月連続低下
自動車生産の減少で
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2005年=100)速報値によると、景気の現状を示す一致指数は前月比2.0ポイント低下の93.8だった。低下は3カ月連続。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善」から「足踏み」へ東日本大震災が発生した昨年3月以来、1年3カ月ぶりに下方修正した。
景気の回復傾向に水を差したのは自動車だった。エコカー補助金で支えられてきたが、世界経済の減速懸念を背景に海外向けを中心に出荷が停滞。国内生産の一服につながった。
生産活動が鈍ったことを受けて、大口電気使用量や所定外労働時間が減るなど自動車生産の減少は日本経済に波及しつつある。内閣府はエコカー補助金の早期終了が見込まれるなかで自動車の生産減の影響について「かなり注視してみなければいけない」と警戒感を強調した。
数カ月後の先行きを示す先行指数は2.6ポイント低下の92.6と3カ月連続で低下した。化学工業や鉄鋼など生産財は、出荷の減少を受けて在庫が積み上がった。新設住宅着工床面積が減少に転じたほか、原油価格など商品相場の下落も影響した。
景気に数カ月遅れる遅行指数は0.4ポイント上昇の86.9と2カ月連続で上昇。完全失業率の低下や法人税収の増加が支えた。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が20.0%、先行指数が33.3%だった。
次に、いつものグラフは以下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分はいずれも景気後退期です。
CI一致指数に対する寄与度を見ると、有効求人倍率がプラスを示したものの、耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数、卸売と小売の商業販売額、大口電力使用量などが軒並みマイナスとなり、3か月後方移動平均の符号がプラスからマイナスに変化しましたので、基調判断は自動的に「改善」から「足踏み」に変更されました。このまま7か月後方移動平均がマイナスに転じると「局面変化」へさらに下方修正される可能性があります。
すでに、このブログの先週月曜日7月30日付けのエントリー「鉱工業生産の動きは一時的な要因か、基調として景気転換点に近づいているのか?」において、在庫循環図を示して「一時的な下振れなのか、基調的に景気転換点に向かう動きなのか、判断が難しい」と指摘したところであり、同じことの繰返しになりますが、景気の腰折れを懸念する段階ではないと考えている一方で、もちろん、景気の現状を手放しで楽観できる情勢でないことも確かであり、景気の現局面は決して回復初期の「若い局面」ではあり得ません。
景気動向指数はオートマチックに基調判断が決められますが、私としてはもう少し経済指標の推移を見守りたいところです。年末くらいまで景気を注意深くウォッチする必要があると感じています。
| 固定リンク
コメント