三谷幸喜『清須会議』(幻冬舎) を読む
三谷幸喜『清須会議』(幻冬舎) を読みました。日本史では「清洲会議」と表記されることも多いと思いますが、固有名詞である書籍の名称としては、今夜のエントリーのタイトルの漢字です。まず、電子書籍版の本書を紹介する出版社のサイトからあらすじを引用すれば以下の通りです。
清須会議
信長亡きあと、清須城を舞台に、歴史を動かす心理戦が始まった。
猪突猛進な柴田勝家、用意周到な羽紫秀吉。
「情」と「利」の間で、どちらに付くか迷う、丹羽長秀、池田恒興ら武将たち。
愛憎を抱えながら、陰でじっと見守る、お市、寧、松姫ら女たち。
キャスティング・ボートを握るのは、誰なのか?
歴史の裏の思惑が、今、明かされる。
清須会議とは、本能寺の変の後で明智光秀も滅ぼされ、織田家の棟梁を決め、かつ、所領の分配を決めた会議です。その名の通り、清須城で開かれています。日本史にも出て来るような、柴田勝家、羽柴秀吉、丹羽長秀、滝川一益、明智光秀、池田恒興、前田利家、黒田官兵衛といった安土桃山時代の武将に加えて、お市の方、寧、松姫らの女性が、本書ではモノローグで本音を語っていたりします。なかなかのエンタメ度でした。昨年のNHK大河ドラマ「江」に登場人物が重なるので理解しやすかった面もあります。
この作品は、当然のように、作者ご本人の監督で映画化されることとなります。来秋公開の予定だそうです。どういったキャスティングになるんでしょうか。とっても興味があります。この作品と映画の関係だけは、トールキンとローリングの法則を打ち破りそうな気もします。なお、トールキンとローリングの法則とは、その世界のゴドウィンの法則ほど有名ではありませんが、「どんなに原作に忠実に作られた映画でも、元の本ほど面白い作品に仕上がることはない」というものです。この法則にかかわらず、『清須会議』を原作にした映画は面白くなりそうな予感です。
本書にはなかったんですが、あの世から清須会議を見ている信長のモノローグがあれば、さらに面白かったんではないか、という気がしています。映画にそういうシーンが入らないものでしょうか。
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