「坂道のアポロン」サウンドトラックを聞く
「坂道のアポロン」サウンドトラックを聞きました。一部のジャズファンに話題になっていたアルバムです。漫画の原作がアニメ化され、今年の4-6月にフジテレビの深夜に放送されていたらしいんですが、そのサウンドトラックです。アニメでは、いずれも高校生のピアノの西見薫とドラムスの川渕千太郎のデュオを中心として「アポロン」と名付けられたコンボがジャズを演奏します。ピアノとドラムスのデュオだけでなく、もちろん、ベースが加わったトリオ、さらにトランペットが加わったカルテットの演奏も収録されています。ということで、このアルバムに収録されているのは以下の曲です。サントラですから大量の曲が入っています。
- KIDS ON THE SLOPE
- Chick's Diner
- Moanin'
- Bag's Groove
- Blowin' The Blues Away
- Satin Doll
- YURIKA
- Rosario
- Curandelo
- Transparent
- Run
- But not for me
- My Favorite Things
- Equinox
- A Piece Of Blue
- Lullaby Of Birdland
- Jazz For Button
- Four
- Easy Waltz
- float
- Milestones
- Apollon Blue
- Kaoru & Sentaro Duo in BUNKASAI (Medley: My Favorite Things/Someday My Prince Will Come/Moanin')
- Someday My Prince Will Come
薫のピアノは松永貴志です。文句なく一流のジャズ・ピアニストといえます。千太郎のドラムスは石若駿なんですが、私はこのドラマーは知りませんでした。でも、プレイは松永貴志のピアノに負けていません。十分な力量といえます。上の曲目リストの中にフォントを大きくした曲があるのが一目瞭然なんですが、私のオススメです。基本的にアポロンが演奏しています。小さいフォントは、いわば、高校生活のシーンでBGMとして流されたものが中心です。ただし、手嶌葵の歌う16曲目の「バードランドの子守唄」はなかなかのものです。コルトレーンがジャズの世界に導入した My Favorite Things は13曲めと23曲めに2度現れますが、歌があるのとないのの違いもありますが、およそ同じ曲には聞こえません。ピアノのレベルが違い過ぎます。ということで、ピアノが松永貴志なのか、BGM担当の菅野よう子なのかで、まったくジャズとしてのレベルが違います。誠に残念な限りですが、曲のカップリングに失敗したアルバムといわざるを得ません。私はアニメを見ていないので、どのくらいの曲数があるのか、何ともいえませんが、せめて2枚組にして、松永貴志のピアノとそれ以外に分けられなかったものでしょうか。特に、7-11曲めがCDで音楽として聞く分にはレベルがかなり低いといわざるを得ません。要するに、アポロンのコンボが高校の文化祭などの場でギンギンにジャズを演奏している音楽と、高校生活のヒトコマのBGMで流れる音楽をいっしょくたに聞かされるのは困りものだということです。音楽に込められた緊張感というものがまるで違います。
最後に、YuoTube にアップされているアニメ第7話の演奏シーンです。聞けば分かりますが、ピアノとドラムスのデュオで、My Favorite Things/Someday My Prince Will Come/Moanin' をメドレーしています。横断幕に「学園祭」の文字も見え、すなわち、アルバムに収録されている23曲目であろうと思います。BGMで流すんではなく、気合を入れて正面から聞くことに専念すべきジャズです。
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