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2012年12月13日 (木)

12月調査の日銀短観予想やいかに?

明日12月14日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIなどを取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は2012年度、すなわち、今年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。先行きに関する見通しを可能な範囲で取っています。もともと先行き判断を含む調査ですから、各機関とも何らかの先行きに関する言及がありました。ただし、長くなりそうな場合はこの統計のヘッドラインとなる大企業製造業だけにした場合もあります。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査▲3
+8
<+6.4>
n.a.
日本総研▲15
+3
<+4.1>
先行き(2013年3月)は、大企業・製造業で▲13%ポイントとやや改善すると予想。米中景気の回復により輸出が持ち直すことが背景。大企業・非製造業では、+3%ポイントと横ばいを予想。内需低迷により全般的に厳しさが残るものの、自動車販売の回復などを背景に小売が下支えし、全体では横ばいとなる見通し。
大和総研▲13
+5
<+5.4>
先行きに関しては、製造業ではわずかながら改善するとみている。業種別に見ると、国内の新車販売台数が下げ止まり、生産計画も増加を見込む「自動車」は改善を見込む。「電気機械」については、情報通信機械関連で収益の悪化が続くものの、電子部品・デバイスでは需要回復の兆しが見られることなどから、横ばいの見通しとなるだろう。その他の業種では、先行きは不透明であるものの、年明け以降海外経済の回復による需要の増加が見込まれることから、横ばいから小幅の改善見通しとなる見込み。
みずほ総研▲8
+6
<+4.9>
(大企業製造業)先行き判断DIは、自動車販売・生産の回復、輸出持ち直しへの期待などから改善するだろう。
(大企業非製造業)先行き判断DIは改善を見込むが、当面は内需の力強い回復が期待できないことから、小幅改善にとどまるとみられる。
ニッセイ基礎研▲11
+6
<+4.5>
足元の日本の生産は大きく落ち込んでおり、景気後退色が濃厚だ。一方、欧州危機の一服と安倍自民党総裁発言などを受けた円安は支援材料となるが、ともに持続性の不透明さがあり、景況感を多少下支えする程度の効果に留まるだろう。従って、今回の大企業景況感は悪化が避けられず、とりわけ海外の影響を受けやすい製造業の悪化が顕著になるだろう。
伊藤忠商事経済研▲9
+4
<+4.5>
大企業製造業の現状判断DIが、9月調査の▲3から12月調査では▲9へ大幅に低下し、東日本大震災直後の水準に並ぶと予想する。先行き判断DIも▲8と、米国の「財政の崖」や中国での販売状況を巡る不透明感から、慎重な見方が維持される見込みである。
第一生命経済研▲12
+6
<+4.7>
短観12月調査は、大企業・製造業の業況DIが前回比▲9ポイントの悪化になると予想する。欧州・中国向け輸出減が響き、すでに景気後退である可能性が濃厚だ。一方、前向きな材料として、電子部品デバイスの生産予測指数が上向きになったり、自動車販売に下げ止まりの兆しもある。米「財政の崖」要因を別にして、現時点で景気後退の深さを窺い、12月20日の追加緩和を占う格好の材料になると予想される。
三菱総研▲12
+5
<n.a.>
先行きについては、13年入り後の海外情勢の持ち直しを背景に、来春以降の緩やかな景気回復を見込むが、日中問題の経済活動への影響など見極めが難しい材料も多い。先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が+2%ポイント、非製造業が+1%ポイントの小幅改善を予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲10
+4
<+4.8>
大企業製造業の業況判断DIは前回調査から7ポイント低下の-10に悪化すると予測する。海外経済の減速を受けて、輸出の低迷が続いている上、個人消費などの内需の動きも弱く、生産は減少傾向が続いている。先行きは、年明け頃には生産が底打ちすると期待されることから、素材業種、加工業種とも景況感は改善すると見込まれる。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング▲12
+5
<+5.0>
海外経済の減速に歯止めが掛かってきており、国内自動車販売の減少も一巡したとみられるなかで、大企業の「先行き」については改善を示すと想定した。なお、中小企業については先行き慎重な判断が示されやすいという傾向を考慮している。

ということで、12月調査の足元の業況判断DIについては9月調査から大幅に悪化を見込んでいます。ほぼこれに見合った形で2012年度の設備投資計画も下方修正が予想されています。しかし、設備投資はまだ前年比でプラスを維持しています。他方、先行きについては、中国との国境問題、米国の「財政の崖」、欧州のソブリン危機などの世界経済に不安が残り、さらに国内経済ではそもそも総選挙のゆくえと次期の政権も未確定となっており、極めて不透明感が高い中ながら、やや改善の方向に向かうとのコンセンサスが読み取れます。年明け以降はプラス成長に復帰するとの経済見通しと整合的だと受け止めています。ということで、一例として、下のグラフは第一生命経済研のリポートから大企業製造業の業況判断DIの推移を引用しています。

業況判断DIと景気後退局面

後から見れば、おそらく、足元の現時点の年末が短期的には景気の底だった可能性があります。シンクタンクなどの経済見通しとともに、日銀短観でもこの点が確認されるものと私は予想しています。それにしても、総選挙の結果も大いに関係して、日銀に対してリフレ政策を求める圧力はますます強まるものと予想しています。

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