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2013年1月24日 (木)

国際通貨基金 (IMF) の「世界経済見通し改定見通し」やいかに?

昨日、国際通貨基金 (IMF) から「世界経済見通し改訂見通し」 World Economic Outlook Update が公表されています。副題は Gradual Upturn in Global Growth During 2013 とされており、緩やかなペースながら今年は世界経済が上向く年になると見込んでいます。ただし、新興国・途上国は別にして、先進国の中で今年は欧州が、来年は日本が成長率見通しの下方修正の対象となっており、成長率は一段の減速を見せると見込まれています。まず、少し長くなりますが、リポートからサマリーを引用すると以下の通りです。我が国に関する部分は青字にしてあります。

Gradual Upturn in Global Growth During 2013
Global growth is projected to increase during 2013, as the factors underlying soft global activity are expected to subside. However, this upturn is projected to be more gradual than in the October 2012 World Economic Outlook (WEO) projections. Policy actions have lowered acute crisis risks in the euro area and the United States. But in the euro area, the return to recovery after a protracted contraction is delayed. While Japan has slid into recession, stimulus is expected to boost growth in the near term. At the same time, policies have supported a modest growth pickup in some emerging market economies, although others continue to struggle with weak external demand and domestic bottlenecks. If crisis risks do not materialize and financial conditions continue to improve, global growth could be stronger than projected. However, downside risks remain significant, including renewed setbacks in the euro area and risks of excessive near-term fiscal consolidation in the United States. Policy action must urgently address these risks.

次に、見通しのヘッドラインとなる成長率の総括表を IMF のサイトから引用すると以下の通りです。なお、画像をクリックすると、さらに詳細な情報を含むリポート p.2 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを抽出したpdfファイルが別タブで開きます。

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日本経済については、「景気後退は短期に終了する」 "The recession is expected to be short-lived" と見込まれており、上の表にある通り、今年は+1.2%のほぼ潜在成長率近傍の成長を達成し、来年は消費税率引上げの影響などから成長は鈍化するものの+0.7%と見込まれています。成長と物価の引上げのために、「より野心的な金融緩和」 "more ambitious monetary policy easing"、「信頼を得られる中期的な財政再建策」 "a credible medium-term fiscal consolidation plan"、「構造改革を通じた潜在成長率の引上げ」 "raise potential growth through structural reforms"、にプライオリティを置くべきと指摘しています。いうまでもありませんが、これらはそのまま安倍内閣のいわゆる「3本の矢」に当たります。IMF は安倍内閣の経済政策を追認したといえます。しかし、リスクも指摘されており、世界経済全体では欧州の経済停滞の深刻化と米国財政の過度の調整が下方リスクと捉えられています。また、我が国においては、「強力な中期的財政戦略を欠いては財政浮揚策は深刻なリスクをもたらす。特に、財政浮揚策にけん引された回復が短期で終了し、債務見通しが大きく悪化する可能性がある。」 "Absent a strong medium-term fiscal strategy, the stimulus package carries important risks. Specifically, the stimulus-induced recovery could prove short lived, and the debt outlook significantly worse." と指摘されています。極めて婉曲な表現ながら、景気拡大のために財政政策よりも金融政策のプライオリティを高め、来年2014年4月からの消費税率引上げを確実に実施することを求めているものと理解すべきです。さらに、明示的に主張されていないことも重要なんですが、3ページほどのリポートを読む限り、自国通貨の減価による輸出増を問題視するような論調は見られないと受け止めています。

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IMF の「経済見通し改定見通し」を離れて、本日、財務省から12月の貿易統計が発表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出が5兆3003億円、輸入が5兆9418億円、差引き貿易赤字が▲6415億円となりました。おそらく、メディアでは2012年通年の貿易赤字が過去最大の▲6兆9273億円となったことを大々的に報じそうな気がしますが、私は上のグラフの下のパネルの季節調整済みの輸出が昨年10月を底に上向いていることを重視しています。もっとも、四半期で見てGDPベースの外需は10-12月期は▲0.2-▲0.3%くらいのマイナス寄与になるものと見込まれます。

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