今年の新成人の未来は明るいか?
昨日は東京ではあいにくの雪ながら成人の日でした。式典に参加した新成人も多かったことと思います。ということで、この季節の定番となった新成人に対するアンケート調査結果がいくつか発表されています。セイコー・ホールディングスによる「2013年新成人の人生観についての調査」の結果もいくつかのメディアで取り上げられていましたが、今夜のブログでは、そのうちのひとつとして、1月8日に発表されたネットリサーチ大手のマクロミルの「新成人に関する調査」結果について簡単に紹介したいと思います。まず、マクロミルのサイトから調査結果のトピックスについて引用すると以下の4点が取りまとめられています。
トピックス
・これからの日本の政治に「期待できる」24%、「期待できない」76%
・"自分の未来"は「明るい」と思う51%、昨年より14ポイント減
・将来希望する職業、1位「公務員」、2位「技術系の会社員」
・新成人の交友実態 友達の人数「10-20人未満」が21%で最多、
一方で「友達がいない」人も12%
以下は、マクロミルのリポートから図表を引用しています。やや手抜きかもしれませんが、図表をいっぱい引用しますので、包括的に最初に引用元を示しておきたいと思います。
まず、リポート p.2 【図1】日本の未来についてを引用すると上の通りです。昨年の新成人の結果と比べて、「どちらかといえば」を含めれば、「明るい」が増加して「暗い」が減少しています。ただし、圧倒的多数の60%を超える新成人は「どちらかといえば、暗いと思う」と回答しています。リポート p.3 の「暗いと思う理由」の最初の2人は、「不景気も終わりそうもなく、人々の物事に対するモラルなども変わっていってしまっている。」など、不景気を理由に上げています。
次に、リポート p.4 【図2】自分たちの世代が日本を変えていきたいと思うかを引用すると上の通りです。この設問については、「やや」や「あまり」を含めて、昨年よりも「そう思う」が減少しています。でも、「ややそう思う」が過半を占めています。リポート p.4 「日本はどうあるべきか」の自由回答では、「支え合う社会」という言葉が私には印象に残りました。
続いて、リポート p.5 【図3】これからの「日本の政治」についてを引用すると上の通りです。圧倒的に「期待できない」が多数を占めています。男女別では特に女性の期待感が低くなっていることが明白に読み取れます。リポート p.6 の自由回答欄の最初の女性の回答は「老人ばかりがうだうだ会議しているようにしか見えない。若い人も選挙以外の方法で口出しできるようにして欲しい。」というもので、私がこのブログでしばしば主張しているように、選挙を通じて引退世代の意見ばかりが政治に反映されるという意味でのシルバー・デモクラシーを直感的に表現しているのだろうと受け止めています。
大上段に振りかぶった質問から自分自身に目を向ける質問に転じて、図表は引用しませんが、将来の夢については男女とも過半が将来の夢があると回答しています。ちなみに、セイコー・ホールディングスによる「2013年新成人の人生観についての調査」でも、ほぼ7割の新成人が夢があると答えています。続いて、今日のエントリーのタイトルにしたように、未来が明るいか暗いかについて、リポート p.8 【図5】自分の未来についてを引用すると上の通りです。最初に引用した【図1】日本の未来についてと違って、昨年よりも「どちらかといえば」を含めて「暗い」が増加して、「明るい」が減少しています。そして、「明るい」と「暗い」が男女ともほぼ拮抗しています。日本全体の方向性と自分の位置付けが若い層の間で少しズレ始めている可能性があります。同じページの自由回答から「暗いと思う理由」の最初の回答は「将来自分に合った仕事につけるかと思うと不安だから。」と就職を不安材料に上げています。
ということで、続けて、リポート p.10 【図7】将来、どのような仕事に就きたいかを引用すると上の通りです。「公務員」がもっとも比率が高いんですが、実は、「わからない」が3人に1人ということになっています。漠たる不安とともに狭き門の公務員にもなれる可能性が低い、ということなのかもしれません。
続いて、同じリポート p.10 から、そのものズバリの【図8】就職の不安についてを引用すると上の通りです。男女とも80%近い新成人が就職に対して不安を感じています。同じページで、「先輩たちの苦戦を見ているから」、「就職率が低いから」、「自分に自信がないから」といったコメントが多々見受けられると指摘されています。私なんぞの世代では、就職してから仕事がうまくいくかどうか、あるいは、職場での人間関係などが不安だったんですが、現在の新成人の間では、そもそも希望の就職ができるかどうかに不安が集中しているような気がしないでもありません。
最後の図表で、同じリポート p.11 から【図9】政治、選挙に対する関心を引用すると上の通りです。酒たばこはともかく、成人になってもっとも大きな権利行使は選挙です。その意味で、「やや」を含めて、政治、選挙、経済に関心がある割合が過半に達しているのは心強い限りですが、男性とともに特に女性にはもう少し関心を高めていただきたい気がしないでもありません。以下、年金や海外や交友関係などに関するリポートが続きますが、長くなるので割愛します。ご興味ある向きは最初のリンク先などから pdf のリポートをご覧ください。
図表の引用はしませんが、p.13 【図11】これからの日本が取り組むべきと思うことのトップは「景気対策」、2番めは「雇用対策」となっています。官庁エコノミストとして肝に銘じておきたいと受け止めています。
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