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2013年1月31日 (木)

鉱工業生産指数と毎月勤労統計から景気の動向を探る!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ発表されています。いずれも12月の統計です。毎月勤労統計の賃金こそ前年同月を下回り、現金給与総額は▲1.4%減を記録しましたが、鉱工業生産は市場の事前コンセンサスほどではないものの+2.5%の増産を記録し、所定外労働時間も季節調整値の前月比で+0.8%増と2か月連続で上向いています。まず、長くなってしまいますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の鉱工業生産指数2.5%上昇 基調判断を上方修正
経済産業省が31日発表した2012年12月の鉱工業生産指数(05年=100、季節調整値)は88.9となり、前月比2.5%上昇した。前月を上回るのは2カ月ぶり。北米向け自動車など輸送機械の増産が全体を押し上げ、11年6月(3.8%)以来の上昇幅となった。経産省は基調判断を「下げ止まりの兆しが見られる」と上方修正した。円高修正や海外経済の持ち直しを受けて企業は先行き13年1月、2月も増産と見込んでいる。
生産指数は全16業種のうち12業種で前月を上回った。基調判断を前月までの「生産は低下傾向にある」から引き上げた。基調判断の上方修正は11カ月ぶり。
自動車など輸送機械工業の増産効果が最も大きく、伸び率は6.9%。北米向けに輸出する普通乗用車のほか、アフリカ・中南米向けトラックなどが好調だった。一般機械工業は8.7%増。米国・台湾向け半導体製造装置で大型案件があったほか、国内火力発電所の再稼働に伴うボイラー部品などが伸びた。電気機械工業は7.3%増で、気温低下でエアコンの需要が伸びた。
一方、電子部品・デバイス工業は5.3%減少と4カ月ぶりの低下となった。中国などアジアで生産するスマートフォン(スマホ)の需要が減り、半導体集積回路などスマホ向けの部品生産が計画を下回ったのが主因だ。これが響き、12月の生産指数は市場予想(4.0%増)や、経産省が先月発表した製造工業生産予測調査(6.7%増)を下回った。
同時に発表した製造工業生産予測調査は1月が2.6%増、2月が2.3%増を見込む。輸送機械工業や鉄鋼業などが好調で、3カ月連続の増加が実現すれば11年4-8月の5カ月連続プラス以来となる。
10-12月期の生産指数は87.8と前期比1.9%減と3四半期連続のマイナスを見込む。12年通年の生産指数は91.9と前年比0.3ポイント減となった。マイナスは2年連続。欧州債務危機に端を発する海外経済の低迷で輸出が落ち込んだことが主因だ。
12年の現金給与総額、過去最低 ボーナス減で2年連続マイナス
厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、2012年の従業員1人当たり月平均の現金給与総額は前年比0.6%減の31万4236円だった。前年を下回るのは2年連続で、比較可能な1990年以降の最低を更新した。東日本大震災や円高の影響による前期業績の低迷でボーナスが減少したことが響いた。パートタイム労働者が増加傾向にあることも減少要因になった。
ボーナスなどの特別に支払われた給与は3.1%減と3年ぶりにマイナスへ転じた。基本給や家族手当などを含んだ所定内給与は0.1%減と7年連続のマイナスだった。
一方、毎月の平均総労働時間は0.5%増の147.1時間。製造業の残業時間などの所定外労働時間は1.6%増の14.6時間だった。震災で寸断されたサプライチェーン(供給網)の復旧により、年前半に自動車などの生産が回復したことを反映した。
併せて発表した12年12月の現金給与総額は、前年同月比1.4%減の54万2075円と4カ月連続のマイナスだった。冬のボーナスなどの特別に支払われた給与が2.5%減ったことが響いた。製造業の所定外労働時間は前年の高い伸びの反動で8.1%減と5カ月連続のマイナス。ただ、季節調整して前月と比べると1.0%増と、6カ月ぶりにプラスへ転じた。足元で自動車などの生産が回復していることが背景にあるとみられる。

長いながらも、よくまとまった記事でした。続いて、いつもの鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。この点については、以下の毎月勤労統計のグラフでも同じです。

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生産については、先月の統計発表時点での製造工業生産予測指数では、12月が前月比+6.7%増、1月も+2.4%増と増産が見込まれていて、直近の市場の事前コンセンサスでも+4%くらいと予想されていました。これらの事前予想は下回りましたが、まずまずの内容と私は受け止めています。引用にもある通り、予測指数は引き続き堅調であり、1月+2.6%、2月+2.3%の増産を見込んでいて、実績は予測指数よりやや下振れする傾向があるとはいえ、基調判断が「下げ止まり」に上方修正されたのも当然です。生産に強い影響を及ぼす輸出も海外経済の持ち直しなどから昨年10-12月期を底に回復に向かう可能性が高いと私は見ており、極めて大胆にも、昨年2012年11月を景気の谷としてミニ景気後退はすでに終了した可能性があると受け止めています。なお、米国経済は先日発表された10-12月のGDPが3年半振りのマイナス成長を記録しましたが、主な要因は政府支出と在庫と輸出でしたので、民間需要は堅調と私は考えています。

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景気局面に関連して、在庫循環図は上の通りです。四半期統計の出荷の前年同期比を縦軸に、在庫率を横軸にプロットしています。景気局面に応じて右回りし、赤の破線の45度線が景気転換点になります。2005年1-3月期が緑色の矢印の点から始まり、2012年10-12月期の黄色の矢印まで、リーマン・ショックの際の景気後退期が大きく循環して、足元の2012年10-12月期は景気の山を超えて第2象限に位置しています。どうしても、第1象限の45度線を越えたあたりがグチャグチャに描けてしまうんですが、この在庫循環図から見ると在庫が積み上がって出荷が減少していますので、現在の景気はまだ在庫調整局面にあると見なされます。もう少し美しく循環するかと思いましたが、誠に残念ながらうまくいきませんでした。

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上のグラフは毎月勤労統計から、上のパネルは所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。季節調整済みの系列で見て、景気に敏感な上のパネルの所定外労働時間は底入れの兆しが見えます。賃金は昨年年末のボーナスが大きく下げ、現金給与総額は前年同月比で大きなマイナスを記録しましたが、恒常所得仮説に基づいて考えると、消費に対する影響の大きい所定内給与の下げ幅は小さく堅調な消費を下支えしています。今後、生産が増産を続けて残業が増加し賃金が上向けば消費の動きも期待できると私は受け止めています。

昨年10月30日付けのエントリーで鉱工業生産を取り上げ、10月31日付けのエントリーで毎月勤労統計を取り上げた際に、2012年3月くらいが景気の谷としても下降期間が12か月に達するかどうかで「景気の踊り場」か「景気後退」かを判断するひとつの目安になると書きましたが、もしも、私の勝手な判断で2012年3月が山で11月が谷とすれば、「景気後退」か「踊り場」かは極めて微妙なところです。一応、グラフに影はつけましたが、私の判断では「踊り場」で済ませていいような気もします。もっとも、政権交代の時期と重なりますので、何らかの別の観点が入る可能性もあります。

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