三浦しをんの最近の小説とエッセイを読む
私の大好きな作家であり、昨年のベストセラー小説『舟を編む』の著者である三浦しをんの本を何冊か読みました。まず、小説は神去シリーズの2冊、『神去なあなあ日常』とそのスピンオフ版である『神去なあなあ夜話』です。両者の関係は、三浦しをんが直木賞を受賞した『まほろ駅前多田便利軒』と『まほろ駅前番外地』のような関係です。ちなみに、私はどちらも読んでいます。おそらく、著者の祖母の住む三重県の林業地域をひとつのモチーフにした作品で、高校を卒業して三重県の林業会社に無理やりに就職させられた若者の視点から、林業地域のゆったりした生活が描かれます。クライマックスは祭りだったり、遭難だったりします。どちらも、とてもいい小説でオススメです。
上の画像は同じ三浦しをんの最近のエッセイです。左の『お友だちからお願いします』は従来からと同じシリーズのエッセイなんですが、右の『本屋さんで待ちあわせ』は書評集となっています。私は知らなかったんですが、三浦しをんは我が家と同じように一家そろって阪神ファンにもかかわらず、何と、読売新聞の読書委員をしているそうです。私は、新潮文庫に収録されている三浦しをんのエッセイ、すなわち、『夢のような幸福』以下、表紙の女の子が増えて行くシリーズは、たぶん、すべて読んだと思います。それらに比べて、著者自身が強く主張していますが、『お友だちからお願いします』は上品度が大幅にアップしています。それでも、『本屋さんで待ちあわせ』の最後の方に取り上げられている酒井順子の『紫式部の欲望』なんかのエッセイに比べて、非常に日常的な話題を取り上げていて、大衆度や日常度は高いと思います。大学のリポートみたいな酒井順子のエッセイのようにペダンティックな要素を求めるのではなく、人間観察や比喩の描写の鋭さで評価すべきです。それにしても、『本屋さんで待ちあわせ』で取り上げられていて書評の対象になっている本のうち、角田光代『八日目の蝉』くらいしか私は読んだことがなく、同時に、酒井順子『紫式部の欲望』くらいしか読みたいと感じた本もなく、ずいぶんと私とは読書の傾向が異なるのだと感じざるを得ませんでした。
三浦しをんの最近のエッセイのうち、岡元麻理恵との共著で、ワインを楽しむために先生に入門した講座の模様を取り上げた『黄金の丘で君と転げまわりたいのだ 進めマイワイン道!』(ポプラ社) も図書館から借りたんですが、私はお酒を飲まないので借りている期間中に読み切ることが出来ずに諦めました。何かの機会にもう一度挑戦したいと思います。
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