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2013年2月28日 (木)

鉱工業生産は下げ止まりから増産へ

本日、経済産業省から1月の鉱工業生産統計が発表されました。ヘッドラインとなる鉱工業生産は季節調整済みの前月比で+1.0%の増産となりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産、2カ月連続増産 経産省「一部に持ち直し」
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整済み)速報値は89.7と前月から1.0%上昇した。プラスは2カ月連続。海外景気の改善を背景として輸出が下げ止まり、自動車を中心に増産の動きが広がった。QUICKが27日時点でまとめた市場予測の中央値(1.5%上昇)は下回った。
経産省は生産の基調判断を「下げ止まり」と評価。そのうえで「一部に持ち直しの動きがみられる」として2カ月連続で上方修正した。2カ月続けて判断を引き上げるのは1995年11月から12月以来、約17年ぶり。
業種別にみると、全16業種中9業種で上昇。増産をけん引したのは6.8%増えた輸送機械工業だ。国内や欧州、アジア向けの普通自動車の生産が伸びたほか、自動車部品も増えた。鉄鋼業は6.6%増と国内の建材やインド、マレーシア向けに増産された。経産省は「主要業種を中心に低下基調を脱している」とみている。
一方で、一般機械工業は4.1%減少と半導体製造装置などで前月に大型案件が重なった反動が出た。電子部品・デバイス工業は0.1%減。中国などアジア向けのスマートフォン(スマホ)関連の生産は一部品目で大きく伸びたものの、ばらつきが目立ち、業種としては減産となった。
出荷指数は90.4と0.1%上昇。輸送機械工業で欧米や国内向けの小型自動車の出荷が増えたほか、医薬品を除く化学工業では春夏向け製品の出荷が伸びた。国内住宅やメガソーラーに利用する太陽電池関連部品の需要の伸びを受けて、在庫指数は104.6と0.5%低下。在庫率指数は3.7%低下の121.8だった。
主な業種の生産計画をまとめた製造工業予測調査では2月が5.3%上昇。調査対象の全業種で増産計画となるなど、企業の間には強気の予測が広がっている。3月は0.3%上昇と4カ月連続の増産を見込む。輸送機械工業では低下を予測する一方で、一般機械工業や化学工業が下支えする見通しだ。

いつもの通り、よくまとまった記事でした。続いて、鉱工業生産指数のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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引用した記事の最後のパラにあるように、先行きを見ると製造工業生産予測調査は2月が+5.3%増、3月が+0.3%増を見込んでおり、単純に考えると4か月連続の増産となりそうです。1月生産は市場の事前コンセンサスをやや下回りましたが、昨年末にミニ景気後退を終了し、生産は下げ止まりから増産の段階に移行しつつあります。現段階までの特徴は輸出が決して強くなく、上のグラフのうちの耐久消費財に見られる通り、また、昨日発表された商業販売統計を見ても消費は底堅く推移しており、内需に支えられた景気回復となりつつある点です。もちろん、昨年の衆議院解散から始まった円高修正の動きを受けて、Jカーブ効果の終わった時点から何らかの輸出拡大効果が見られると私は想像していますし、今しばらく財政からの需要拡大効果も見込めますので、内需も外需も、民需も官需も経済を支える全員参加型の景気拡大に向かう可能性も十分あります。特に、生産は輸出との連動性が高く、円高修正と欧州経済の落ち着きが輸出を通じて生産を拡大する方向に作用すれば、さらに雇用の安定や賃金の上昇などから消費を増加させる好循環が望めます。春先以降、日本経済は順調に拡大経路に乗る可能性が高いと私は楽観しています。

明日は総務省統計局などから雇用統計と消費者物価が発表されます。インフレ目標+2%に向かって、また、賃金の上昇と雇用の拡大を目指して、どのような統計が発表されるのでしょうか。

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2013年2月27日 (水)

商業販売統計により消費の底堅さと景気局面の変化を確認する!

本日、経済産業省から1月の商業販売統計が発表されました。統計のヘッドラインとなる小売業販売額の前年同月比は▲1.1%減となりましたが、季節調整済みの指数は前月比+2.3%の増加を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月小売販売額、3カ月ぶりマイナス エコカー補助金の反動で
経済産業省が27日発表した1月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆2070億円で前年同月に比べ1.1%減少した。マイナスは3カ月ぶり。前年にエコカー補助金の効果で自動車販売が大きく伸びた反動が出たうえ、大雪などで商業施設への客足が鈍ったことが影響した。
自動車小売業は10.8%減で、5カ月連続の減少だった。機械器具小売業はテレビや録画再生機の販売不振や価格下落で、6.0%減と18カ月連続のマイナスだった。織物・衣服・身の回り品小売業は0.3%減。昨年末に気温が低く推移し、冬物衣料販売が前倒しになったことが響いた。
一方、燃料小売業はガソリンなど石油製品価格の上昇で4.7%増。医薬品・化粧品小売業は乾燥対策商品が伸び、1.9%増だった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は2.9%減の1兆6878億円、既存店ベースは3.5%減で、共に3カ月ぶりのマイナスだった。このうち百貨店は高級時計や宝飾品など高額商品の販売が寄与し既存店ベースで0.3%増だったが、スーパーは5.5%減だった。衣料品販売の不振に加え、天候不順や昨年に比べて日曜日が1日少なかったことも影響した。
コンビニエンスストアは4.2%増の7542億円。ファストフードの販売が伸びた。ただ、既存店ベースは来店客数の減少や、たばこ販売の不振で1.1%減と8カ月連続マイナスだった。

次に、いつもの商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の販売額の前年同月比、下は季節調整指数をそれぞれプロットしています。なお、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと仮置きして、影をつけた部分である景気後退期を示しています。

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従来からこのブログで主張している通り、消費は底堅いと私は評価していますが、供給サイドから消費を計測できる商業販売統計により、消費の底堅さが裏付けられたと受け止めています。上に引用した記事は、昨年のこの時期にエコカー補助金で自動車販売が伸びた反動により、季節調整していない原系列の小売販売額がマイナスをつけた、と強調していますが、景気の感覚からすれば季節調整済みの前月比で伸びた方が実感に近いと思います。さらに、もし昨年2012年に景気の山谷をつけるとすれば、同じ季節調整済みの指数を見る限り、景気の谷は2012年11-12月であったと消費動向は示していると考えられます。すなわち、今年2013年1月は景気後退から脱しているように見えます。もっとも、昨年2012年に景気の山谷をつけるかどうかは微妙なところだろうという気がします。期間ままずまずだとしても、深さが景気後退とするにはやや浅いと私は考えています。上の商業販売統計のグラフ、特に下のパネルの季節調整済みの指数を見ると、消費に関してはリーマン・ショック時の景気後退よりも昨年の方が落ち込みが激しいように見えますが、明日発表の鉱工業生産を見れば2012年の落ち込みは軽微に見えるだろうと想像じています。実感としてもリーマン・ショック時の景気後退が「100年に1度」とはいわないまでも、極めて大きな景気の落ち込みだったことは明らかだと思います。もっとも、お国の役所が認定することですから、政権交代の象徴という意味も含めて景気の山谷をつける可能性はあります。その考え方もアリだと私は考えます。

今週後半は、今日の商業販売統計に続いて、明日は鉱工業生産指数、明後日は失業率や有効求人倍率などの雇用統計と消費者物価と、いくつか重要な経済指標が明らかにされます。2012年が景気後退であったかどうかは別にしても、今年に入って景気が回復軌道に復したことが確認できるものと私は期待しています。

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2013年2月26日 (火)

吉川洋『デフレーション』(日本経済新聞出版社) を読み物価と賃金の関係について考える

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吉川洋『デフレーション』(日本経済新聞出版社) を読みました。我が国を代表するマクロ経済学者がクルーグマンのモデルに取り組み、ややアサッテの方を向いたデフレ論を展開しています。まず、出版社のサイトから本の内容紹介と目次を引用すると以下の通りです。

デフレーション
従来議論されていたマネーサプライの調節だけでは、わが国が現在陥っている今日的なデフレ現象は解明できない。名目賃金の変化など新しい視点から「なぜ日本だけが?」の答えを捉え直す、現代デフレ論議の決定版!
第1章
デフレ論争 - デフレの何が問題なのか
第2章
デフレ20年の記録
第3章
大不況1873 - 96
第4章
貨幣数量説は正しいか - リカードからクルーグマンまで
第5章
価格の決定
第6章
デフレの鍵は賃金
第7章
結論 - 迷走する経済学

第3章までは我が国の現在のデフレを考察するためのバックグラウンドといえる部分で、第4章の特に第2節から第3節でクルーグマンのモデルを分析しているのがコアな部分になるんだろうと思います。さらに、そのための政策対応が第6章になります。でも、最初の方で注目に値する議論として、不良債権がある場合の流動性の罠のケースやデフレとインフレの非対称性のテーマについて、私はとても興味を持って読み進んだんですが、その後の展開は大したものではありませんでした。ひたすら貨幣数量説を否定し、賃金と一般物価水準の関係に着目したまではいいんですが因果関係については踏み込めず、フォーマルな定量分析なしにエコノミストとしての信念が披露されるにとどまります。著者が吉川教授でなければ読むのを止めていたかもしれません。特に、第5章以降で示されるマイクロな価格決定がなされるローカルな市場における「公正」な価格や賃金の決定に関する問題については、大きな疑問を感じます。期待と合理的期待の間の混同も見られます。
しかし、最大の疑問は賃金とデフレの関係です。「ニワトリとタマゴ」の関係に似ていますが、吉川教授は先験的に賃金低下がデフレを招いたと前提しているように私には読めました。この部分の分析が決定的に欠落しています。例えば、私くらいの世代は1970年代前半のいわゆる第1次石油危機の狂乱物価をかすかに記憶にとどめているんですが、この狂乱物価においては、少なくとも直感的に考えれば、外生的な物価上昇が生じてそれが賃金上昇を引き起こしたと考えるべきです。逆に、1970年代後半の第2次石油危機においては石油価格の上昇があったにもかかわらず賃金上昇がマイルドであったため、第1次石油危機ほどにはインフレは高進しなかったと理解されています。すなわち、物価が賃金に先行したわけです。ですから、このブログでは何度も賃金上昇はデフレ脱却の十分条件であると主張して来ました。現在のデフレでも同様に、金融政策により引き起こされたデフレが賃金の低下をもたらしたと、私を含めた多くのリフレ派のエコノミストは考えていますが、吉川教授は先験的にこの第1次石油危機時の物価上昇が賃金に波及するという関係を否定しているように見えます。ですから、デフレに対する政策対応がまったく引き出せない結論となっています。

どちらにせよ、デフレに対応する経済政策に関する議論は新たな段階に差しかかっています。エコノミストの信念の表明の段階から、事実によって議論が収束する段階に進む可能性が大いにあります。サブプライム・バブルが崩壊した際には、新自由主義的な経済学を批判して中谷教授がカギカッコつきの「転向」をしました。もしもアベノミクスがこのままデフレ脱却に成功すると仮定すれば、吉川教授をはじめとするリフレ策を否定したエコノミストにどのような反応が見られるんでしょうか。今から楽しみです。

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2013年2月25日 (月)

瀬名秀明『大空のドロテ』(双葉社) を読む

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瀬名秀明『大空のドロテ』(双葉社) を読みました。3巻からなる大作で、『パラサイト・イヴ』などをものにした作者のネームバリューからすれば、もっと注目されて然るべきと思うんですが、サッパリだった気がします。私はすべて図書館で借りたんですが、昨年2012年10月ころからの発売ですから、私のような出遅れ気味の人間には人気本なら半年やそこらは予約が回って来ないんですが、この本は3冊とも実にスンナリと貸してくれました。まず、ごく簡単に出版社のサイトから本の紹介を引用すると以下の通りです。

本の紹介
あの日、サーカスは空からやってきた! ルブランが生んだ怪盗ルパンの数々の冒険譚を下敷きに、瀬名秀明が長年の取材を重ねて遂に完成させたもうひとつのルパン! 20世紀初頭のヨーロッパを舞台に活躍する少女ドロテと、少年ジャンの物語。

私はやや志向する分野が違うので、この作者の作品はホラー小説大賞を受賞した『パラサイト・イヴ』とSF小説の『ブレイン・ヴァレー』しか読んだことがありませんが、日本SF作家クラブの会長であり、それなりのビッグ・ネームであるとは認識しています。それにしては、繰返しになりますが、この作品は注目度が低かった気がします。考えるに、この本の人気が出ない大きな要因は、第1に、全3巻Ⅳ部構成のうち、第Ⅰ部と第Ⅱ部はやや退屈です。第Ⅲ部から緊張感が高まってスピード感あふれる展開になるんですが、そこまでたどり着かずに放棄される可能性もあります。第2に、ストーリー展開やプロットとともに使っている漢字も難しいです。少なくとも義務教育くらいの少年少女向けではありません。第3に、質的な難しさとともに量的にも膨大なページ数があります。900ページ近いんではないでしょうか。
ということで、この作品は第1次世界大戦終了直後の1919年のフランスと後々フランスに植民地化されて行く北西アフリカを舞台に、怪盗アルセーヌ・ルパンに関する冒険物語となっており、主人公の少女ドロテは12歳、少年ジャンは14歳です。当時はめずらしかったであろう飛行機が大いに活躍します。その意味で、時代背景と欧州の地理的な広がりに飛行機と来て、もちろん、フランスとイタリアの違いはありますが、私は何となくジブリの「紅の豚」を思い出してしまいました。「紅の豚」は1992年の公開で、私はこの年1年365日まったく日本にいませんでしたので、帰国してからビデオで見た記憶があります。話を本に戻すと、とても大きなスケールでストーリーが進みます。第1次世界大戦後の欧州情勢に北西アフリカの植民地も加えて世界情勢が大きく流動化する中で、スーパースターたる怪盗アルセーヌ・ルパンが祖国フランスのために一大帝国を築き上げます。いったい、ルパンは何人いるのか、ルパンを取り巻く重要人物は生きているのか死んでいるのか、フランス大統領や警視総監は何を考えているのか、プランタジネット王家に伝わる大量破壊兵器は存在するのか、生き残った敗戦国ドイツの諜報機関の動きやいかに、等々、読みこなせばとても面白い小説です。

繰返しになりますが、少年少女向けの小説ではありません。作者は十分に認識しているハズです。それにしては装丁が子供っぽいんですが、この作者の小説で感じる下調べや準備がちゃんと調っていることが伺われて、ペダンティックな小説をお求めの向きにもピッタリです。

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2013年2月24日 (日)

懐かしのアメリカン・ポップス Carpenters 40/40 を聞く

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懐かしのアメリカン・ポップス、カリフォルニア・サウンドで1970年代にヒットを飛ばしたカーペンターズのベスト・アルバムが2009年に Carpenters 40/40 として発売されています。結成40周年で40曲を収録したという意味のようで、2枚のCDに20曲ずつ収録されています。近くの区立図書館で借りて聞きました。収録曲は以下の通りです。

  • disk 1
    1. Yesterday Once More
    2. Superstar
    3. Rainy Days and Mondays
    4. Top of the World
    5. Ticket to Ride
    6. Love Is Surrender
    7. Maybe It's You
    8. Reason to Believe
    9. Where Do I Go from Here
    10. This Masquerade
    11. It's Going to Take Some Time
    12. One More Time
    13. Those Good Old Dreams
    14. For All We Know
    15. Crystal Lullaby
    16. I Believe You
    17. (They Long to Be) Close to You
    18. Theme from Bless the Beasts and Children
    19. All You Get from Love Is a Love Song
    20. Calling Occupants of Interplanetary Craft (The Recognized Anthem of World Contact Day)
  • disk 2
    1. I Need to Be in Love
    2. Now
    3. Solitaire
    4. Please Mr.Postman
    5. Hurting Each Other
    6. I Won't Last a Day Without You
    7. Sweet, Sweet Smile
    8. A Song for You
    9. Ordinary Fool
    10. When You've Got What It Takes
    11. Goodbye to Love
    12. Your Baby Doesn't Love You Anymore
    13. Sing
    14. Baby It's You
    15. Let Me Be the One
    16. Only Yesterday
    17. Jambalaya (On the Bayou)
    18. Touch Me When We're Dancing
    19. We've Only Just Begun
    20. When It's Gone (It's Just Gone)

大雑把に私はいわゆる団塊の世代から10歳余り下で、団塊の世代では洋楽といえば圧倒的にビートルズでした。その後、年齢が下がって1970年代のアメリカン・ポップスやフォークだと、このカーペンターズとサイモン & ガーファンクルなどが、また、プログレッシブなブリティッシュ・ロックなんかだとレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ピンク・フロイドなどが流行ったんではないかと思います。私は英語の歌詞を十全に理解できるだけの語学力がなく、インストだけのジャズに走りましたが、カーペンターズはそこそこ好きでした。もっとも、あれだけヒットしたんですから、好きでなくても耳に残っているんではないかと思います。

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2013年2月23日 (土)

いよいよプロ野球のオープン戦が始まる!

  HE
阪  神132024030 15211
日本ハム100100220 6120

夕方に帰宅したら、上の倅が GAORA で熱心に阪神と日本ハムのオープン戦をテレビ観戦していました。私もいっしょに見始めたらすぐに終わってしまいました。最後は藤原投手が投げていました。コンラッド内野手にホームランが出たそうですね。楽しみです。
今はテレ朝で WBC 壮行試合の豪州戦を見ているんですが、ジャパンはサッパリ打てません。昨年の阪神を見ているみたいです。WBC3 連覇に暗雲だったりするんでしょうか?

何はさて置き、
がんばれタイガース!

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2013年2月22日 (金)

正規と非正規の賃金格差に関する統計を考える

昨日2月21日に、厚生労働省から「賃金構造基本統計調査結果の概況」が発表されています。我が家で購読している朝日新聞などでは賃金の男女差が注目されていたように見受けましたが、もちろん、それ以外にも学歴別、企業規模別、産業別、雇用形態別などの賃金構造が明らかにされています。2012年における統計です。今夜のエントリーでは、必ずしもメディアで注目されていない雇用形態別、すなわち、正規と非正規に分けた賃金格差について簡単にグラフを見ておきたいと思います。なお、厚生労働省の統計では「正社員・正職員」及び「正社員・正職員以外」と表記されていますが、このブログでは短く「正規」と「非正規」と表記しています。意味は同じつもりですので念のため。

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まず、上のグラフは年齢階級別の正規と非正規の賃金とその格差を正規を100とする非正規賃金のパーセント表示でプロットしています。縦軸は千円単位の月額給与とパーセント、横軸は年齢階級です。見れば明らかですが、すでに20歳代前半から正規と非正規の差はありますが、年齢を経て拡大して行きます。年功序列賃金は過去のものとなったとはいえ、正規雇用では年齢とともに順調に50歳代前半まで賃金が上昇カーブを描くのに対して、非正規雇用はほぼ横ばいで推移しています。それどころか、より正確には非正規は30歳代前半から50歳代前半にかけて月額給与は減少します。バックグラウンドに非正規雇用者がOJTなどによる職業訓練から排除された結果として生産性が低いといった可能性があるのはもちろんですが、社会的に許容できる格差かどうかは疑問が残ります。「同一労働・同一賃金」の原則は守られているのでしょうか。

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次に、産業別の賃金と賃金格差は上のグラフの通りです。縦軸は上と同じで月額給与を千円単位と正規を100とする格差をパーセント単位で表示し、横軸は産業別になっています。産業計の月額給与で正規が317.0千円、非正規が196.4千円、格差は62パーセントとなっています。情報通信業や金融業・保険業、教育・学習支援業などは平均よりも高く、格差も金融業・保険業がやや高いほかはほぼ平均並みとなっている一方で、正規と非正規の格差が大きいのは金融・保険業のほか製造業や卸売業・小売業などとなっています。建設業は産業平均よりも賃金が低い一方で、正規と非正規の格差はかなり小さくなっています。

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非正規雇用の中でも、賃金が少しずつながら上昇して来ています。上のグラフは、リクルートジョブズによる「アルバイト・パート募集時平均時給調査」をプロットしています。棒グラフが時給、折れ線グラフがその前年同月比です。三大都市圏におけるアルバイト・パートの募集時賃金は大雑把に900円台前半で推移しているんですが、ジワジワと上昇しているように見えます。

正規雇用と非正規雇用の賃金格差や、より大きな括りで見た待遇格差もそうなんですが、非正規雇用の条件を正規雇用に合わせるのが本筋と私は考えています。もちろん、まったく同じになることを目標にするのは非現実的と見なす向きもあるかもしえませんが、少なくとも「同一労働・同一賃金」の原則は守られるべきです。

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2013年2月21日 (木)

服部茂幸『危機・不安定性・資本主義』(ミネルヴァ書房) を読む

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服部茂幸『危機・不安定性・資本主義』(ミネルヴァ書房) を読みました。副題は「ハイマン・ミンスキーの経済学」となっています。著者は私と同窓で京都大学経済学部を卒業し、現在は福井県立大学経済学部教授です。まず、出版社のサイトから本書の内容紹介を引用すると以下の通りです。

内容紹介
今、世界経済は世界大恐慌以来の危機のもとにある。危機を防止するのが仕事である中央銀行家や金融当局は、今回の危機を引き起こした「戦犯」の一員である。彼らの失敗を受けて、主流派経済学に対する批判も高まっている。本書はミンスキーの理論に基づき、経済危機の原因を解明するとともに、危機を拡大させた経済理論と政策の誤りを明らかにする。

サブプライム・バブルの崩壊、その象徴としてのリーマン・ブラザーズ証券の破綻などの世界経済の大激震についてはすでに何冊も本が著されており、本書はやや遅れて出版された気がしないでもないんですが、フォーマルな定量分析こそないものの、本書は本格的な学術書であり、一般書とは区別されるのかもしれません。サブプライム・バブル崩壊の関係の本をすべて読んだというつもりもありませんが、本格的な学術書と一般書の中間的な分析書としては、ラインハート・ロゴフの『国家は破綻する』がもっとも有名な本のひとつでしょうし、私の志向するリベラルな経済学の立場からの解明を試みたスティグリッツ教授の『フリーフォール』やライシュ教授の『暴走する資本主義』なども興味深く読みました。これに対して、本書はミンスキー教授の不安定性の理論からの解明を試みています。その意味で、目を引いた点がいくつかあります。例えば、公開市場操作ではなく窓口規制を重視し、あたかも中央銀行が商業銀行のメインバンクとして振舞うような金融政策の推奨したりしています。また、グラス・スティーガル法による商業銀行と投資銀行の区別を無意味と指摘するのは、スティグリッツ教授の視点とまったく逆だと思ったりしました。米国の財務省や連邦準備制度理事会 (FED) を批判する視点は、この種の多くの本に共通しています。そのひとつの現われは、サブプライム・バブルの崩壊を経て、FED流のバブル観、すなわち、バブルの発生は放置しつつ、バブル崩壊後の大胆な金融緩和で手当てするという後始末戦略がまったく信認を失い、否定された点にあります。逆に、バブルの発生を金融不均衡と捉えて防止するBIS流のバブル対応策が中心になっています。本書も同じ路線を取っています。

本書が副題通りにミンスキー経済の特徴を出し切れているかといえば、やや不満の残る部分もあります。本書でいうところの「主流派経済学」に対する批判だけでなく、資本主義の不安定性を動学的に跡づけるモデルの提示など、もう少し踏み込んだ新たな経済学を知りたかった気がします。5ツ星を満点として1.5から2ツ星くらいの評価でしょうか。

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2013年2月20日 (水)

貿易統計に見る輸出の下げ止まり

本日、財務省から1月の貿易統計が発表されました。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出が前年同月比+6.4%増の4兆7992億円、輸入が+7.3%増の6兆4286億円、差引き貿易赤字が▲1兆6294億円と、統計が比較可能な1979年1月以降で最大の貿易赤字を記録しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

1月の輸出額、8カ月ぶり増加 貿易赤字は過去最大
財務省が20日に発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆6294億円の赤字だった。赤字は7カ月連続で、赤字額は2012年1月(1兆4814億円)を上回り、比較可能な1979年1月以降で最大だった。ただ、輸出額は円安などの影響で8カ月ぶりにプラスに転じた。
地域別にみると、対中国の貿易収支は6546億円の赤字で、過去最大の赤字額だった。スマートフォン(スマホ)やノートパソコンなどの輸入が大幅に増え、輸入額が過去最大の1兆4175億円に膨らんだことが影響した。
全体の輸出額は前年同月比6.4%増の4兆7992億円。主に中国向けのペットボトル用パラキシレンなどの有機化合物、米国やタイ向けの自動車部品、アジア向けの非鉄金属が伸びたほか、中国の春節(旧正月)が今年は2月にずれたことも増加要因になった。
全体の輸入額は7.3%増の6兆4286億円で、3カ月連続のプラス。原油価格上昇や暖房需要の増加の影響で軽油やナフサなどの石油製品、液化天然ガス(LNG)、原粗油が高水準だった。
財務省関税局は「外貨建ての貨物が輸出で6割、輸入で8割弱を占めているので、円安が輸出入額の増加に効いてきている」と分析している。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事ですが、次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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1月の貿易統計の印象を一言で表現すると輸出が下げ止まった、ということになろうかと思います。先月1月24日付けのエントリーでも、昨年2012年10月を底に輸出の季節調整値が上向きに転じた旨を強調しましたが、1月統計を見てもその動きが続いています。輸出の動きをさらに詳しく見ると、下のグラフの通りです。いずれも貿易指数のうち輸出の前年同月比を折れ線グラフでプロットしてあり、上のパネルでは輸出額を価格と数量で寄与度分解してあり、下のパネルは輸出先で寄与度分解してあります。

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上のいずれのグラフも元は季節調整していない原系列の前年同月比ですので、季節調整済みの輸出とは微妙にベースが異なっており、輸出の底入れの要因を考えるにはやや強引な議論かもしれませんが、まず、輸出額の増加は数量ではなく価格の要因が大きいことが見て取れます。特に昨年12月以降は輸出の価格の上昇が顕著であり、円高修正の効果と受け止めています。ただし、私の知り合いのエコノミストから送ってもらっているニューズレターなどを見る限り、シンクタンクなどにおける独自算出の季節調整済みの輸出数量も底入れを示しています。また、地域別の輸出は、アジア向けが前年同月比でプラスに転ずるととともに、北米向けも引き続き底堅く、欧州向けもマイナス幅を縮小して来ています。中国や欧米の景気回復にともなう需要面の要因とともに、円高修正の進展による価格面での競争力の回復もあって、輸出の先行きは期待できそうです。

取りあえず無視しましたが、1月の貿易統計には円高修正に伴うJカーブ効果が色濃く現れています。すなわち、円建ての原系列統計で見て輸出額が減少して、輸入額が増加しています。数量効果が統計から把握できるようになるには今少し時間がかかるかもしれません。

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2013年2月19日 (火)

矢野英基『可能性の大国 インドネシア』(草思社) を読む

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矢野英基『可能性の大国 インドネシア』(草思社) を読みました。昨夜のリポートに続いてインドネシアに関するミニ特集の第2弾です。まず、出版社のサイトから本の要約を引用すると以下の通りです。

可能性の大国 インドネシア
経済成長の伸びしろ、穏やかな国民性、そして世界屈指の親日……。世界第4位の人口を有し、今世紀の世界経済の牽引車と目されている新興国の素顔を紹介する。

昨夜のシンクタンクのリポートではまったく気づかなかったんですが、そういえば、インドネシアは世界でも有数の親日国だということをこの本を読んでいて思い出しました。しかも子供好きでもあって、10年以上前の小学校や幼稚園に上がるか上がらないかの我が家の倅2人はなかなかの人気者で、一家そろってとても楽しくジャカルタ生活を送っていたことを思い出します。ということで、順序が逆になりましたが、まえがきとあとがきを別にして、この本は以下の6章から構成されています。

第1章
経済大国への助走
第2章
ユドヨノ大統領の挑戦
第3章
イスラム大国の葛藤
第4章
熱帯雨林の悲鳴
第5章
汚職大国からの脱却
第6章
開発独裁の徐獏がとける日

第1商が経済、第2章が政治、第3章が宗教、第4章で環境、第5章で行政、第6章で開発をそれぞれ取り上げています。著者は朝日新聞のジャカルタ支局勤務の経験あるジャーナリストなんですが、なかなかよく考えられたバランスと構成だと思います。ただ、宗教の章でテロばかりがクローズアップされた印象がありますが、経済活動との関係ではイスラム教のラマダン、現地では「プアサ」と呼ばれる断食月についてと、豚肉のタブーに関してまったく言及がないのでやや奇異な気がします。
とてもいい本で、「インドネシア大好き駐在員」が大好きなインドネシアについて本気で書いたことが伺えます。時としてこういったジャーナリストの著作では、やや人物を強調し過ぎて偶然の歴史をひも解いているような本も見かけますが、この本はそうではありません。例えば、ユドヨノ大統領のリーダーシップで可能となった成果は数多いとは思いますが、本書ではユドヨノ大統領のスーパーマン振りを詳しく掘り下げるのではなく、市井の名もなき人々へのインタビューなどを基に、ユドヨノ大統領の成果のバックグラウンドにも目を配り、あるいは、ユドヨノ大統領の登場を必然ならしめたインドネシアの経済社会の発展や成熟の度合いといった面にも十分な取材がなされています。その面で決して英雄史観ではなく、一般市民の多くに支えられている経済社会について、単に指導者の上から目線だけでなく、国民と同じ目線でマクロに把握しようとする姿勢が見えます。

この本に最初にも書いてありますが、アジア諸国の経済については中国とインドが圧倒的に我が国論壇の注目を引いており、インドネシアに対してはその親日的な国民性や潜在的な経済規模に比較して、ふさわしい注意が向けられているとは思えません。我が家もジャカルタ在住3年間の経験を基に大いにインドネシアを応援したいと思います。そして、インドネシアがいつまでも「可能性だけの大国」ではなく、「現実の大国」になれるよう、ASEANの本部を首都ジャカルタに置くにふさわしい「大国」である、と多くの日本人から見なされるよう見守りたいと考えています。

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2013年2月18日 (月)

インドネシアの投資環境に関するみずほ総研のリポートを読みジャカルタ生活を思い出す

先週の2月14日にみずほ総研から「ユドヨノ政権下でインドネシアの投資環境は改善したのか」と題するリポートが発表されています。我が家は一家4人そろってジャカルタに3年間暮らしましたので、平均的な日本人よりもインドネシアは興味ある国ではないかと思っています。まず、リポートからサマリーを引用すると以下の通りです。

ユドヨノ政権下でインドネシアの投資環境は改善したのか
・2014年に任期を終えるユドヨノ大統領は、2004年の就任以来、直接投資に対する大きな障害となっていた法制度やインフラの問題の解消に向けて様々な分野での取り組みを進めてきた
・この取り組みの結果、いくつか課題は残るものの、インドネシアの投資環境に対する日系企業の評価は概ね改善している
・ただし、ユドヨノ大統領の求心力が低下する中、国内産業の保護を目的とした規制強化の動きも目立っている。こうした内向きの政策運営が政権交代後も続くのか注視する必要があろう

ということで、大雑把にインドネシアの投資環境改善に対して好意的なリポートなんですが、まず、リポートの最初のページから対内直接投資の推移に関するグラフを引用すると以下の通りです。

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インドネシアへの直接投資は、ユドヨノ大統領就任の2004年ころから急速に増加を示し、再選された2009年以降にさらに大きく増加しています。アジアでもかつての日韓の経済開発パターンは、外資を排除しつつ国内資本を中心に会社を立ち上げて、技術だけライセンスの形で国内に導入するというモデルでしたが、1990年代以降の中国やASEAN諸国の開発モデルでは、積極的な外資導入がひとつの特徴となっています。資本として外資を導入し、工学的な技術だけでなく経営的な技術、と言うか、一般にはマネジメントやノウハウと呼ばれているものも同時に取り入れるモデルです。そのためには、直接投資が大きな役割を果すことはいうまでもありません。ですから、直接投資を呼び込んで経済開発のひとつの大きな原動力とするために投資環境の整備が求められているわけです。UNCTADの統計で見る限り、ユドヨノ大統領就任後のインドネシアはそれに成功しつつあるように見えます。

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次に、リポートの p.4 から引用した投資環境上の問題点のグラフは上の通りです。JETROが日系企業に対して2004年と2011年に実施したアンケート調査結果です。インフラ整備以外は2004年のユドヨノ大統領就任後に改善しているのが見て取れます。インフラについても、経済活動との見合いでの整備状況ですから、それなりにインフラ整備が進んでいる一方で、経済活動に追いついていないというのが実態ではないかと受け止めています。ただ、インドネシアはアジアの国らしく伝統的に汚職が蔓延しているんですが、政策運営や行政手続きがずいぶんと問題視されなくなったのはご同慶の至りかもしれません。もっとも、物理的なインフラだけでなく、労働法制を含む法制度などのソフトなインフラの整備は今後の課題かもしれません。

我が家がジャカルタから帰国して10年がたち、インドネシアも大きく発展を遂げていることと思います。我が家が暮らしていたジャカルタは電力供給に不安があって停電が多かったり、地下鉄やモノレールなどの鉄道網の整備がほとんどなされていなかったりと、企業活動だけでなく現地生活の面でも不便が多かった記憶があります。でも、抜群の親日国でもあり、私も今後の発展に期待を寄せています。

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2013年2月17日 (日)

Communiqué, Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors

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Communiqué, Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors
Moscow, 15-16 February 2013

  1. We, the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, met to discuss the global economic challenges of today and to bring forward the policy agenda agreed by our Leaders.

    Global Economy and G20 Framework for Strong, Sustainable and Balanced Growth
  2. Thanks to the important policy actions in Europe, the US, Japan, and the resilience of the Chinese economy, tail risks to the global economy have receded and financial market conditions have improved. However, we recognize that important risks remain and global growth is still too weak, with unemployment remaining unacceptably high in many countries. We agree that the weak global performance derives from policy uncertainty, private deleveraging, fiscal drag, and impaired credit intermediation, as well as incomplete rebalancing of global demand. Under these circumstances, a sustained effort is required to continue building a stronger economic and monetary union in the euro area and to resolve uncertainties related to the fiscal situation in the United States and Japan, as well as to boost domestic sources of growth in surplus economies, taking into account special circumstances of large commodity producers.

  3. To address the weakness of the global economy, ambitious reforms and coordinated policies are key to achieving strong, sustainable and balanced growth and restoring confidence. We will continue to implement our previous commitments, including on the financial reform agenda to build a more resilient financial system and on ambitious structural reforms to lift growth. We are committed to ensuring sustainable public finances. Advanced economies will develop credible medium-term fiscal strategies in line with the commitments made by our Leaders in Los Cabos by the St Petersburg Summit. Credible medium-term fiscal consolidation plans will be put in place, and implemented taking into account near-term economic conditions and fiscal space where available. We support action to improve the flow of credit to the economy, where necessary. Monetary policy should be directed toward domestic price stability and continuing to support economic recovery according to the respective mandates. We commit to monitor and minimize the negative spillovers on other countries of policies implemented for domestic purposes. We look forward to the results of the ongoing work on spillovers in the Framework Working Group.

  4. We have adopted an assessment process on the implementation of our structural reform commitments, which will inform the direction of our future structural policies.

  5. We reaffirm our commitment to cooperate for achieving a lasting reduction in global imbalances, and pursue structural reforms affecting domestic savings and improving productivity. We reiterate our commitments to move more rapidly toward more market-determined exchange rate systems and exchange rate flexibility to reflect underlying fundamentals, and avoid persistent exchange rate misalignments and in this regard, work more closely with one another so we can grow together. We reiterate that excess volatility of financial flows and disorderly movements in exchange rates have adverse implications for economic and financial stability. We will refrain from competitive devaluation. We will not target our exchange rates for competitive purposes, will resist all forms of protectionism and keep our markets open.

    Long-term Financing for Investment
  6. We recognize that long-term financing for investment, including infrastructure, is a key contributor to economic growth and job creation in all countries. We welcome the diagnostic report provided upon our request by international organizations (IOs), which assesses factors affecting long-term financing, including its availability, and which will provide a sound basis for the future G20 work. The report finds that the availability and composition of long-term investment financing have been affected by a combination of factors, with differing repercussions across borrowers and sectors. It also finds that there is scope for some sources of long-term financing, including local currency bond markets, domestic capital markets, and institutional investors to play a larger role for investment. At the same time, country-specific factors affect access to long-term financing and there is therefore much that countries can do to attract long-term financing.

  7. Recognizing the essential role that the long-term financing plays in supporting our goal of strong, sustainable and balanced growth, we agreed to establish a new Study Group on Financing for Investment, which will work closely with the World Bank, OECD, IMF, FSB, UN, UNCTAD and other relevant IOs to further consider issues raised in the diagnostic report and determine a work plan for the G-20, considering the role of the private sector and official sources of long-term financing.

  8. In support of this work, we encourage the OECD, together with other relevant IOs, to provide analysis of different government and market-based instruments and incentives used for stimulating the financing of long-term investment, as well as a survey report on pension funds' long-term investments. We look forward to the OECD report on the "High Level Principles of Long-Term Investment Financing by Institutional Investors" by the Leaders` Summit in St Petersburg. The FSB will continue to monitor the possible effects of regulatory reforms on the supply of long-term financing. We have asked the MDBs to consider modalities to optimize their lending capacity and to enhance the catalytic role they play in mobilizing long-term financing from other sources, including through PPPs. We encourage the World Bank and other relevant IOs to intensify their efforts in addressing weaknesses in infrastructure project preparation and design and, drawing on existing G-20 work, where relevant, come up with the recommendations on how to address this challenge. We also ask the MDBs to analyze the existing modalities of interaction with the National Development Banks (NDBs).

  9.  Deep and stable local capital markets continue to play an essential role as a reliable source of long-term financing. We welcome the ongoing work of the World Bank and other IOs on implementing the G20 Action Plan to support the development of local currency bond markets (LCBMs). We look forward to full implementation of the Action Plan and a progress report by July 2013. We ask IOs to explore how LCBMs might play a bigger role in financial deepening, taking into account individual country experiences and regional initiatives.

    Government Borrowing and Public Debt Sustainability
  10. In pursuit of our goal of strengthening the public sector balance sheet, work is needed to better assess risks to public debt sustainability. This includes, inter alia, taking into account country-specific circumstances, looking at transparency and comparability of public sector reporting, and monitoring the impact of financial sector vulnerabilities on public debt. We look forward to an update from the IMF and the World Bank on these issues according to their respective mandates.

  11. The existing practices of public debt management also deserve attention. We therefore ask the IMF and the World Bank to take stock of the existing guidelines on effective management of public debt, namely the "Guidelines for Public Debt Management," with a view to ensuring that they remain relevant and topical. We also note the ongoing work of the OECD to review leading practices for raising, managing and retiring public debt.

    International Financial Architecture
  12. We welcome progress made since the IMF and World Bank Annual Meetings in Tokyo on the G20 Leaders' commitments in Los Cabos to provide the IMF with resources via bilateral arrangements, and call on the IMF and lending countries to finalize the remaining agreements.

  13. We underscore the importance of enhancing the credibility, legitimacy and effectiveness of the Fund. We reaffirm the urgent need to ratify the 2010 IMF Quota and Governance Reform. We note the IMF Executive Board's decision to integrate the process of reaching a final agreement on a new quota formula with the 15th General Review of Quotas. We commit to achieve, together with the whole IMF membership, an agreement on the quota formula and complete the General Quota Review by January 2014 as agreed at the Seoul Summit. We attach high importance to securing continued progress in meeting these objectives, including on key elements at the September St Petersburg Summit and subsequently at the October 2013 G20 Ministerial and IMFC meetings. We reaffirm our previous commitment that the distribution of quotas based on the formula should better reflect the relative weights of IMF members in the world economy, which have changed substantially in view of strong GDP growth in dynamic emerging market and developing countries. We reaffirm the need to protect the voice and representation of the IMF poorest members as part of this General Review of Quotas.

  14. In line with the Leaders' Declaration at the Cannes Summit, we note the ongoing work at the IMF and BIS on global liquidity indicators and will take stock of this work at our next meetings. We call for dissemination of the BIS research and call on the IMF to explore the possibility of incorporating global liquidity issues into its surveillance.

  15. In Seoul, Cannes and Los Cabos our Leaders recognized the importance of effective financial safety nets. Given an important role played by Regional Financial Arrangements (RFAs), we will assess scope for a more effective dialogue between RFAs, as well as enhancing cooperation and increasing complementarities between the IMF and RFAs, building on the principles for cooperation we agreed on in 2011. We take note of the ongoing work at the IMF on this issue and look forward to an update on it at our next meeting in order to assess possible options for further policy recommendations by the time of the Leaders' Summit in St Petersburg.

    Financial Regulation
  16. We welcome the establishment of the FSB as a legal entity with greater financial autonomy and enhanced capacity to coordinate the development and implementation of financial regulatory policies, while maintaining strong links with the BIS. The FSB intends to review the structure of its representation, which is envisaged to be completed by the end of 2014.

  17. We remain committed to the full, timely and consistent implementation of the internationally agreed financial sector reforms. We urge all jurisdictions to adopt the agreed Basel III reforms as expeditiously as possible. We look forward to progress reports on implementing the Basel III framework, the FSB Key Attributes of Effective Resolution Regimes and the reforms of the over-the-counter (OTC) derivative markets at our April meeting, as well as a comprehensive report on progress in implementing all reforms at the St Petersburg Summit in September. We welcome the Basel Committee's increased focus on comparability of risk-weighted assets and look forward to an update by our July meeting. We reiterate our commitment to take the necessary steps to ensure that all global systemically important financial institutions are resolvable, and to promptly address all impediments to the effective home-host cooperation of the resolution authorities for internationally active banks. Operational resolution plans for all global systemically important banks should be developed by end-June 2013. We ask the FSB to deliver by the time of the St Petersburg Summit an assessment of progress towards ending the problem of "too-big-to-fail".

  18. We stress that all jurisdictions should promptly complete the necessary changes to their legislative and regulatory frameworks to put the agreed OTC derivative reforms into practice. We welcome the FSB's plan to report to the Summit on all members' committed actions to complete these reforms. The FSB will continue to coordinate the monitoring of implementation of OTC derivative reforms. We strongly encourage all jurisdictions to continue working together to ensure national regulatory frameworks avoid cross-border conflicts, inconsistencies, gaps and duplicative requirements. We take note of the December 2012 statement by some regulatory authorities on the regulation of the OTC derivatives markets, in particular their agreement on approaches towards cross-border regulatory issues to be considered. We also look forward to the results of the macroeconomic impact assessment of the OTC derivatives regulatory reforms. The Regulatory Oversight Committee of the global Legal Entity Identifier (LEI) system was established last month and we look forward to the establishment of the LEI foundation in order to launch the global system in March 2013.

  19. We reiterate our willingness to strengthen the oversight and regulation of the shadow banking sector. We also look forward to policy recommendations for the oversight and regulation of the shadow banking sector by the Leaders' Summit. We note with concern the delays in the convergence of accounting standards to date and ask the IASB and the FASB to finalize by the end of 2013 their work on key outstanding projects for achieving a single set of high-quality standards. We welcome the FSB's forthcoming peer review to assist authorities in implementing the FSB roadmap to reduce reliance on external credit ratings and we also call on Standard Setting Bodies to do further work in this area. We look forward to IOSCO's report on enhancing transparency and competition issues of the credit rating agencies and to further work on these issues. We also expect more progress on measures to improve the oversight and governance frameworks for financial benchmarks coordinated under the current FSB agenda this year, including the promotion of widespread adoption of principles and good practices and ask for reporting to our Leaders at the St Petersburg Summit. We welcome the FSB's intention to monitor material unintended consequences of financial regulatory reforms for EMDEs as appropriate without prejudice to our commitment to implement the agreed reforms.

  20. In the tax area, we welcome the OECD report on addressing base erosion and profit shifting and acknowledge that an important part of fiscal sustainability is securing our revenue bases. We are determined to develop measures to address base erosion and profit shifting, take necessary collective actions and look forward to the comprehensive action plan the OECD will present to us in July. We strongly encourage all jurisdictions to sign the Multilateral Convention on Mutual Administrative Assistance. We encourage the Global Forum on Transparency and Exchange of Information to continue to make rapid progress in assessing and monitoring on a continuous basis the implementation of the international standard on information exchange and look forward to the progress report by April 2013. We reiterate our commitment to extending the practice of automatic exchange of information, as appropriate, and commend the progress made recently in this area. We support the OECD analysis for multilateral implementation in that domain.

  21. We reiterate our commitments and encourage the FATF to continue to pursue all its objectives, and notably to continue identifying and monitoring high-risk jurisdictions with strategic Anti-Money Laundering/Counter-Terrorist Financing (AML/CFT) deficiencies. We look forward to the completion in 2013 of the revision of the FATF assessment process and support ongoing FATF work, including on identification of beneficial owners of corporate vehicles.

  22. In the prudential area we call for further progress within the FSB to encourage increased adherence to international regulatory and supervisory cooperation and information exchange standards.

    Financial Inclusion
  23. We welcome the progress achieved by the Global Partnership for Financial Inclusion (GPFI) in implementing the Financial Inclusion Action Plan and look forward to the progress report at our July meeting. We reaffirm our commitment to support the implementation of the G20 Financial Inclusion Peer Learning Program through the GPFI together with its implementing partners and take note of the initiative of the World Bank and development agencies to establish a comprehensive Financial Inclusion Support Framework (FISF). We expect the GPFI to expand the G20 Basic Set of Financial Inclusion Indicators to cover innovative approaches, quality of products, financial literacy and consumer protection with support from the Alliance for Financial Inclusion, CGAP, IFC, OECD and the World Bank by our meeting in July 2013. We expect the progress report on barriers for women and youth to gain access to financial services and financial education, including policy recommendations to be delivered by the GPFI, OECD/INFE and the World Bank by the St Petersburg Summit.

  24. We welcome the work that the OECD/INFE and the World Bank are undertaking on the development of practical tools for financial literacy measurement and the evaluation of financial education programs and look forward to the progress report on the National Strategies for Financial Education by our July meeting. We look forward to an update report on the work undertaken by the G20/OECD Task Force to support the implementation of the G20 High-Level Principles on Financial Consumer Protection by the St Petersburg Summit. We wait for the FinCoNet Status report on consumer protection supervisory tools and best practices to support supervisory bodies, based on work undertaken by FinCoNet members and on the World Bank Global Survey on Financial Consumer Protection.

    Energy, Commodities, Climate Finance
  25. We will produce a report to our Leaders on progress on the G20's contribution to enhance transparency and facilitate better functioning of international commodity and energy markets. We look forward to the report by the IEA, IEF and OPEC on practical steps G20 countries could take to increase transparency in international gas and coal markets, as well as the IOSCO report on progress on the implementation of the principles for the PRAs and the assessment by IOSCO in cooperation with the IEA, IEF and OPEC of the impact of these principles on physical markets. We will continue working to improve the timeliness, completeness and reliability of JODI-Oil and look forward to a progress report this year. We welcome progress on the JODI-Gas database and look forward to its launch in 2013.

  26. We will voluntarily self-report this year on our efforts to incorporate green growth and sustainable development policies into our structural reform agendas. We will report back to our Leaders on the progress made to rationalize and phase-out over the medium-term inefficient fossil fuel subsidies that encourage wasteful consumption, while providing targeted support for the poorest. We will develop methodological recommendations for and undertake a voluntary peer review process for such fossil fuel subsidies with the view to encourage broad participation and report on the outcomes to our Leaders in St Petersburg. We will continue working towards building a better understanding among G20 members of the underlying issues in the area of climate finance through voluntary knowledge and experience sharing, taking into account the objectives, provisions and principles of the UNFCCC, and report back to our Leaders in 2013.

source: G20

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2013年2月16日 (土)

4月に村上春樹の書き下ろし長編小説の新刊が文藝春秋から出版予定

村上春樹の新作小説が4月に出版されるそうです。書き下ろしの長編だそうです。『1Q84』book 3 から3年振りです。私は朝日新聞の夕刊のニュースで見かけました。以下に引用した文藝春秋のサイトが情報源のようです。

村上春樹氏 新刊に関するお知らせ
村上春樹氏 書き下ろし長篇小説の4月刊行が決定しました。
詳しい情報は、順次お知らせします。

このクラスの作家になると、これだけでニュースバリューがあるんだと思い知らされました。私は必ず買うと思います。
他に適当なカテゴリがないので、「読書感想文の日記」に分類しておきます。

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2013年2月15日 (金)

海外ジャーナリストの執筆になる経済教養書を読む

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ジャーナリストの手になる経済教養書を2冊ほど読みました。まず、フィリップ・コガン『紙の約束』(日本経済新聞出版社)です。著者はフィナンシャル・タイムズ紙やエコノミスト誌の記者を務めたジャーナリストとして英国で活躍しており、いわゆる「債務」一般を歴史も含めて説き起こしています。ひょっとしたら、この著者は金本位制への復帰をオススメしているのではないかと感じさせる部分もあったりしますが、経済活動につきものの貯蓄・負債について、さまざまなエピソードも踏まえてストーリーが進み、いろんな知識を吸収することが出来ます。p.126 で近隣窮乏化政策について触れており、「デフレの包みを受け渡す」と表現しています。アベノミクスより前の日本は世界各国から「デフレの包み」をいっぱい受け取っていたということなんでしょう。

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次に、ニコラス・ワプショット『ケインズか ハイエクか』(新潮社) です。著者はタイムズ紙やオブザーバー紙の記者・編集者を務めたジャーナリストです。21世紀の現在から考えると、ケインズ的な混合経済とオーストリア学派的な自由主義的経済とは完全に勝負がついていると私は考えていたんですが、1冊目の経済書の観点と同じで、政府の政策対応が大きいと過剰な債務が残りかねないという問題意識かと思います。ケインズと対比させなければ、リアル・ビジネス・サイクル理論の形でオーストリア学派はまだエコノミストの間にも一定の影響を残していますが、私の希望的な観測も含めて、アベノミクスが何らかの結果を残して、私の理解する雇用を重視したリベラルな経済学が広く浸透すれば、少なくともエコノミストの間では、今後はますます影響力を低下させるのではないかと考えます。もっとも、政府や中央銀行と一定の緊張関係を保持することが求められるメディアの世界では、政府批判の根拠として生き残る可能性は否定しません。その意味で、エコノミストの間で大きくケインズに傾いた天秤が、ジャーナリストからは違った風に見えるのかもしれません。

タイトルに明示しましたが、今夜のエントリーで取り上げた2冊は、いわゆる経済の学術書ではありません。しかし、広い意味で経済社会や経済学についてよりよく理解するために有益な本であろうと考えています。「読書感想文の日記」に分類しておきます。

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2013年2月14日 (木)

10-12月期1次QEから見た我が国景気の底やいかに?

本日、内閣府から昨年2012年10-12月期のGDP速報、エコノミストの業界でいうところの1次QEが発表されました。わずかながらプラス成長との大方の予想を裏切って、3四半期連続のマイナス成長を記録し、季節調整済みの系列で▲0.1%減、前期比年率では▲0.4%減となりました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を、いつもの日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

10-12月の実質GDP、3期連続マイナス 年率0.4%減
内閣府が14日発表した2012年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%減、年率換算では0.4%減だった。マイナスは3四半期連続。海外景気の低迷で輸出が落ち込み、設備投資が低迷するなど企業活動の停滞が響いた。個人消費や住宅投資、公共投資は好調だったが補えなかった。
QUICKが13日時点で集計した民間予測の中央値は前期比0.1%増、年率0.5%増だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.4%減、年率では1.8%減だった。名目でも3四半期連続のマイナスだった。
実質GDPの内訳は内需が0.1%分押し上げたものの、外需は0.2%分のマイナスだった。欧州の景気低迷や尖閣諸島を巡る日中対立の影響があったとみられ、輸出は3.7%減。輸入は2.3%減だった。
項目別を見ると、設備投資が2.6%減と落ち込んだ。7-9月期から落ち込み幅は縮小したが、4四半期連続のマイナスだった。中国向けの輸出が落ち込み、製造業の設備投資に響いたとみられる。海外の景気回復に時間がかかっていることも企業の慎重姿勢につながったようだ。
半面、個人消費が伸び0.4%増と2四半期ぶりにプラスに転じた。エコカー補助金の終了に伴う自動車需要の落ち込みが響いたが、気温低下で冬物衣料のような季節性の高い商品の販売が伸びた。住宅投資は3.5%増。住宅を新築・改修すると商品などと交換できる住宅エコポイントが10月着工分まで対象だったことが押し上げ、7-9月期からプラス幅を拡大した。
公共投資は1.5%増。民間在庫の寄与度は0.2%のマイナスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.6%。13四半期連続で前年を下回った。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.7%下落だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、アスタリスクを付した民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2011
10-12
2012
1-3
2012
4-6
2012
7-9
2012
10-12
国内総生産GDP+0.2+1.5▲0.2▲1.0▲0.1
民間消費+0.5+1.2+0.01▲0.5+0.4
民間住宅▲0.9▲1.7+2.2+1.6+3.5
民間設備+8.6▲2.6▲0.2▲3.6▲2.6
民間在庫 *▲0.4+0.4▲0.4+0.3▲0.2
公的需要▲0.3+2.6+1.5+0.8+0.7
内需寄与度 *+0.9+1.3+0.0▲0.3+0.1
外需寄与度 *+0.8▲0.8+0.1▲0.1▲0.7
輸出▲3.1+3.4+0.0▲5.1▲3.7
輸入+1.7+2.1+1.7▲0.5▲2.3
国内総所得GDI+0.1+1.3▲0.1▲0.7▲0.3
国民総所得GNI+1.9▲0.3+0.9+0.3▲0.5
名目GDP+0.1+1.1+0.1▲0.8▲0.2
雇用者報酬+0.5+0.1▲0.2+0.6▲0.5
GDPデフレータ▲1.5▲1.0▲0.9▲0.8▲0.6
内需デフレータ▲0.3▲0.2▲0.7▲0.9▲0.7

さらに、テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度で、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された10-12月期の最新データでは、前期比成長率がわずかなマイナスであるとともに、マイナスに寄与しているのが黒の外需と水色の設備投資であり、逆にプラスで経済を下支えしているのが赤の消費と黄色の公的需要であるのが見て取れます。

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大方のエコノミストの予想に反してマイナス成長を記録した最大の要因は民間在庫です。上の表に見るように、GDP前期比成長率への寄与度で▲0.2%を示しました。恨みごとをいうなら、これがゼロならプラス成長だったわけです。もちろん、在庫調整が進んだことを示しており、今年1-3月期以降の健全な成長、在庫を積み増す方向への変化のための下準備であったと考えるべきであり、マイナス成長だからといって悲観する必要はまったくありません。
もっとも、何の心配もなく2013年明け後はプラス成長に戻るとしても、注意すべきポイントは3点あると私は考えています。第1に家計部門です。上の表にもある通り、雇用者所得がマイナスにもかかわらず消費が増加しており、平均消費性向が上がる形で消費は拡大を続けています。サステイナブルな消費増ではありません。所得のサポートなしに消費の増加が続くハズはありません。第2に企業部門です。10-12月期の段階では設備投資がまだマイナスとなっており、足元で円高修正に伴う製造業の業績改善が非製造業や、さらに家計に及ぶまで、どのくらいのスピードでどこまで波及するか、今後注目される点です。第3に海外部門です。市場関係者の中には今年ではないかもしれないものの、ギリシア政府は遠からず破綻すると見なしているエコノミストも少なくありません。そうなると何が起こるのかは私ごときでは想像もつきません。ギリシアを持ち出すのは少し反則気味かもしれませんが、円高修正に関して政府高官から「高所恐怖症」的な発言が出る可能性もあり、内需に比べても外需は不透明と私は考えています。だたし、ここで取り上げなかった政府部門については、特に足元で懸念はないと私は見込んでいます。

今日は都合で帰宅が遅くなりましたので、大物の経済指標ではありますが、簡単に済ませておきます。今夜の記事のタイトルに対する回答は「10-12月期が景気の底である可能性が高い」ということなんだろうと思います。

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2013年2月13日 (水)

明日発表の10-12月期1次QEはわずかにプラス成長か?

明日の2月14日バレンタインデーに2012年10-12月期期GDP速報1次QEが内閣府より発表されます。必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で景気の底や先行きについて言及した部分を中心に取っているつもりです。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.2%
(+0.8%)
2013年1-3月期を展望すると、①米国、中国をはじめとする海外景気の回復や、日中摩擦のマイナス影響減衰を受けて、輸出が持ち直すこと、②昨年秋以降の円相場の下落を通じて、輸出企業を中心に収益環境が改善すること、③エコカー補助金終了に伴う自動車販売の反動減が一巡し、個人消費が回復すること、などを受けて、昨年春以降悪化していたわが国景気は底入れし、成長率が加速する見通し。
大和総研+0.3%
(+1.2%)
10-12月期の日本経済は堅調に推移した個人消費と復興需要を背景に、3四半期ぶりのプラス成長となる見込みである。ただし、設備投資や輸出といった企業部門の動きは弱含みが続いており、所得環境も悪化が続いている。継続的な景気拡大に向けて企業部門の活発化は不可欠であり、海外経済の回復や円安を受けて、輸出や生産が増加に向かうかどうかが今後の焦点となろう。
みずほ総研+0.2%
(+1.0%)
2012年10-12月期は家計部門(個人消費・住宅投資)を中心とした国内民間需要の持ち直しを主因にプラス成長に転じたと予想される。2013年1-3月期についてもプラス成長を維持する可能性が高い。
ニッセイ基礎研+0.0%
(+0.1%)
景気後退の主因となった輸出の減少にはすでに歯止めがかかりつつあり、海外経済の持ち直しに円安の追い風が加わることから、先行きは回復に向かうことが見込まれる。国内需要は住宅投資、公共投資を中心に引き続き堅調に推移する可能性が高い。景気はすでに後退局面を脱したとみられるが、2013年1-3月期は内外需がともに増加することにより、明確なプラス成長となることが予想される。
第一生命経済研+0.2%
(+0.6%)
13年1-3月期には状況はさらに改善するとみられ、GDP成長率は明確なプラスが見込まれる。まず、輸出は10-12月期に大幅マイナスになったものの、月次で見れば11月、12月と下げ止まりの動きが見られる。景気刺激策の効果から中国経済が持ち直していることに加え、日中関係悪化による悪影響についても最悪期は脱した模様であり、1-3月期の輸出は前期比でプラスに転じる見込みだ。今後は輸出の増加が景気回復を牽引するだろう。また、国内自動車販売についても、前述の通り既に底打ちが確認されている。これまでの景気を押し下げてきた「輸出」と「自動車」という2つの要因について、共に改善が見込まれることから、景気は先行き回復感を強めていくだろう。1-3月期は前期比年率+2%程度の成長が十分視野に入る状況だ。4-6月期以降についても、経済対策効果の顕在化による押し上げにより成長率が高まる公算が大きい。景気は今後、明るさを増していくだろう。
伊藤忠経済研▲0.1%
(▲0.3%)
昨年12月に景気後退から脱したと考えられる日本経済は、2013年1-3月期に実質GDP成長率の観点からも明確なプラス成長へ転じる見込みである。10-12月期の成長率を大きく押し下げた輸出も12月には底入れの動きを示しており、1-3月期には持ち直しに転じると考えられる。鉱工業生産統計の生産予測データからは、輸出増加を受けた生産回復の動きも読み取ることができる。また、円安による企業収益押し上げ期待が株高を招いており、資産効果により個人消費もサポートされるだろう。但し、既に述べたように、10-12月期の個人消費の回復が雇用所得環境やマインドの観点から裏付けられるものではなかったが故に、1-3月期の個人消費の動向には一抹の不安もある。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+0.0%
(+0.2%)
実質成長率は前期比年率プラス0.2%となると予想される。個人消費や住宅投資、公共投資などの増加を輸出、設備投資などの落ち込みが、相殺するかたちとなるとみられる。ほぼゼロ成長にとどまることになるが、鉱工業生産などの月次の経済指標をみると、すでに底入れ、回復を示しているものが増えている。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング0.0%
(0.0%)
2012年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率換算0.0%)となったと見込まれる。月次の経済指標では景気が昨年中に底打ちした可能性が高まっているが、実質GDP成長率でみても、底打ちの可能性をサポートすることになりそうだ。
三菱総研+0.1%
(+0.5%)
3四半期連続のマイナス成長は回避された可能性が高いが、企業活動の停滞を反映し極めて弱い回復にとどまろう。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング+0.1%
(+0.5%)
現時点で利用可能な基礎統計をベースに予測したところ、10-12月期の実質経済成長率は前期比年率+0.5%となった。輸出や設備投資の減少が続いたものの、復興事業による下支えに加えて、個人消費が底堅く推移したことなどから、3四半期ぶりのプラス成長となる見通し。

現時点で利用可能な情報に基づいて予想すれば、昨年2012年10-12月期の成長率はわずかにプラス、なお、「わずかに」という意味は潜在成長率を下回るという含意です。ほぼゼロ成長とも表現出来ます。消費が底堅かった一方で、外需は振るわず、ほぼ相殺し合った形になっています。
先行きを考えると、まず外需は、今年に入ってから円高修正しつつある為替が輸出を増加させるには、今しばらくのタイムラグがあるものの、中国をはじめとする海外経済が回復に向かっており、我が国の輸出が持ち直す要因となっており今後が期待出来ます。内需に目を転じても、昨年から一貫して底堅い消費は今年に入っても順調な回復を見せる可能性が高いと私は考えています。さらに、住宅投資も引き続き伸びるものと予想しています。ただし、上のシンクタンクなどのリポートでは明言していませんが、私は部分的ながら、消費税率引上げ前の駆込みが始まった可能性があると受け止めています。特に高額支出を伴う住宅投資はその色彩が強いと考えるべきです。逆にいえば、今回の場合は2014年4月だけでなく、その先の2015年10月もあって2段階の消費税率引上げが待っていますので複雑なんですが、それなりの反動は覚悟すべきかもしれません。もっとも、駆込みが早くから始まっているとすれば反動も小さい可能性があります。私は消費をフォローしているんですが、どうしても、家電エコポイントと地デジ移行に伴って、テレビの売上げが大きな駆込みと反動で乱高下したのを見ているだけに、やや慎重な見方になっているのかもしれません。いずれにせよ、足元から目先1年くらいまでは順調な景気回復が続いた後、消費税率引上げの2014年4月から何らかの調整局面に入ると考えるのが自然です。

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2013年2月12日 (火)

G7 Statement

イングランド銀行のサイトから引用しています。アベノミクスを含めた各国の財政・金融政策は国内目的の達成に向けられており、為替レートを目標にはしていない、との表現です。アベノミクスは近隣窮乏化政策ではないとの結論なんでしょう。財務省の仮訳はコチラ。
取り急ぎ。

G7 Statement
We, the G7 Ministers and Governors, reaffirm our longstanding commitment to market determined exchange rates and to consult closely in regard to actions in foreign exchange markets. We reaffirm that our fiscal and monetary policies have been and will remain oriented towards meeting our respective domestic objectives using domestic instruments, and that we will not target exchange rates. We are agreed that excessive volatility and disorderly movements in exchange rates can have adverse implications for economic and financial stability. We will continue to consult closely on exchange markets and cooperate as appropriate.

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消費者態度指数に見る消費者マインドの急上昇はいかに生じたか?

本日、内閣府から1月の消費者態度指数が発表されました。先日2月8日に発表された景気ウォッチャーが供給サイドのマインド指標であるのに対して、この消費者態度指数は典型的な需要サイドのマインド指標です。1月統計では季節調整済みの系列で前月比+4.1ポイント上昇して43.3となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の消費者心理、5カ月ぶり改善 内閣府「持ち直している」
内閣府が12日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は43.3と前月から4.1ポイント上昇した。改善は5カ月ぶり。上昇幅は月次調査を開始した2004年4月以降で最大だった。新政権発足後の円安・株高や緊急経済対策などを受け、雇用環境を中心に消費者の先行きへの期待感が高まった。
内閣府は消費者心理の判断を前月までの「弱い動きがみられる」から「持ち直している」へ上方修正した。判断を引き上げるのは12年1月以来、1年ぶり。内閣府は「今後、先行きに対する期待感が雇用や所得、消費の拡大につながっていくかどうか、みていく必要がある」と指摘した。
1月は指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」のすべてで改善した。円安・株高を背景に企業業績の改善期待が広がった。特に雇用環境は7.6ポイント上昇の44.9と、現行統計で最大の上げ幅だった。政府が1月11日に打ち出した60万人の雇用創出効果を見込む緊急経済対策が影響した。
1年後の物価見通しを巡っては、厳冬による生鮮食料品の価格上昇やガソリン価格の高騰を受け、「上昇する」と答えた割合が3カ月ぶりに増加した。半面、「低下する」の割合は5カ月ぶりに減少し、5.5%と08年10月(4.2%)以来、4年3カ月ぶりの低水準だった。
調査は全国6720世帯が対象。調査基準日は1月15日で、有効回答数は5033世帯(回答率74.9%)だった。

次に、いつもの消費者態度指数のグラフは以下の通りです。毎度のお断りながら、影をつけた部分は景気後退期ですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気の山が2012年3月、谷が2012年11月であったと仮置きしています。

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これだけ指数が大きくジャンプしたんですから、統計作成官庁による基調判断が上方修正されたのは当然と受け止めています。上のグラフでもジャンプの大きさが見て取れます。引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」のすべてが改善を示した中で、特に大きな改善は雇用でした。円高修正や株高が企業業績を改善させ、雇用の質と量がポジティブな影響を受け、さらに消費を通じて企業の売り上げ増につながるという波及が期待されています。現政権はかなり強気で、自信があるというのか、雇用の質、すなわち、賃金引上げにまで言及しているようです。経営サイドからは「賞与に反映」とのご回答だったと報じられています。また、2%のインフレ目標とどこまで関係があるのかないのか私には分かりませんが、オピニオン・ポールの結果としては物価期待も上昇しているようです。1年後の物価見通しのうち「上昇する」との回答比率は12月の59.6%から1月には65.3%に跳ね上がりました。この先の消費の動向はいつもの通り所得とマインドに影響を受けると私は考えていますが、アベノミクスの効果もあってマインドはかなり改善しました。所得が賃金上昇という形でさらに上がれば、昨年中も割合と底堅かった消費がさらに順調に回復する可能性が高まると期待しています。

最後に、今日、日本経済研究センターから発表された「ESPフォーキャスト」の結果によれば、昨年2012年3月が景気の山で、12月が谷とするエコノミストが、景気の山を過ぎたと考える36人のうち、いずれもちょうど30人になりました。後は、内閣府の景気動向指数研究会が1年足らずの期間をもって景気後退と考えるか、景気の踊り場と見なすか、興味深いところです。私は踊り場でいいと考えていますが、政権交代を機に景気の山谷をつけるという考え方もあり得ます。微妙なところかもしれません。

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2013年2月11日 (月)

3連休の最終日に最近読んだ小説をまとめて取り上げる

誠にズボラにも、3連休の最終日に、最近読んだ小説をまとめて取り上げておきます。

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まず、ジェフリー・ディーヴァー『追撃の森』(文春文庫) です。私はこの作者の作品では『ウォッチメイカー』がもっとも好きで、リンカーン・ライムもキャサリン・ダンスもどちらも登場するおトク感があるんですが、この『追撃の森』はノンシリーズで、女性2人が殺し屋2人から逃走するストーリーですが、ディーヴァーらしく二転三転するプロットはスピード感あふれる展開とともに読者を魅了します。かなり分厚い文庫本ですが、登場人物が少なくてストーリーがシンプルなこともあり、一気に読みきるファンも少なくないと思います。

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次に、伊坂幸太郎『残り全部バケーション』(集英社) です。書下しの最終章以外は短編として公表された4章プラス最終章から構成されています。主人公は溝口と岡田という非合法の裏稼業に携わる2人組なんですが、このペアの主導権は年長者の溝口が握っており、若い方の相棒は時々代わったりします。伊坂作品らしいテンポのいい進行なんですが、最後の結論が明確に書いてなく、とても気にかかります。

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最後は、スティーヴ・ハミルトン『解錠師』(ハヤカワ・ミステリ文庫) です。2011年に単行本で出版され、昨年2012年に文庫に収録されました。私が読んだのは上の表紙の文庫本です。幼児の時の事件でしゃべれなくなった主人公のマイクルが解錠と絵画に才能を発揮し、決して仲間を裏切らない信頼感とともに、ゴーストに弟子入りして金庫破りの仲間入りをします。ストーリーは主人公の手記という形を取って二層から成り、一方で高校時代のアメリアとの出会いが金庫破りの修行とともに連綿と綴られ、他方で現在の金庫破りの活動が記されます。とても切ない恋愛を織り交ぜつつ、犯罪の世界では末端の駒にすぎない主人公の少年の光と影を描き出し、何とも見事な作品です。

今日のところは、最近読んだ小説に限定しました。経済書も適当に読んでいるんですが、別途取り上げたいと思います。

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チャールス・ロイドの古い古いアルバム「フォレスト・フラワー」を聞く

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先日、東大の先生と打合せをするために本郷の喫茶店に入ったんですが、まごうことなく、チャールス・ロイドの「フォレスト・フラワー」の最初の曲である「フォレスト・フラワー、日の出」がかかっていました。ということで、思い出して聞いてみました。50年近くも昔の1966年9月モンタレー・ジャズ・フェスティバルでのライブ録音です。
当時の時代背景からして、ジャズというよりもロックとフリー・ジャズを混ぜ合わせたような音楽が主流だったんでしょうが、まずまず、このアルバムはジャズらしい音楽を流しています。ゆったりと遅めのテンポで、ほとんどノーリズムのように聞こえます。さすがに、リズムセクションは豪華なもので、ピアノがキース・ジャレット、ベースはセシル・マクビー、ドラムスがジャック・デジョネットですから、後のジャズ・シーンを牽引する秀英達といえます。すっかり忘れ去られてしまいましたが、このころ、チャールズ・ロイドはジャズとしてはめずらしく何枚かのアルバムでヒットを飛ばしていて、その中でもこの「フォレスト・フラワー」は彼の最大のヒットではなかったかと記憶しています。2曲めのキース・ジャレットのピアノ・ソロに飛行機の爆音がかぶさっているのも、ジャズ祭でのライブ録音のハプニングといえます。

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2013年2月10日 (日)

「このミス」大賞受賞の安生正『生存者ゼロ』(宝島社) を読む

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安生正『生存者ゼロ』(宝島社) を読みました。宝島社の主催する第11回『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作品です。まず、出版社のサイトから紹介文を引用すると以下の通りです。

北海道沖に浮かぶ石油掘削基地を襲ったのは、
テロ攻撃か、謎の病原菌か、それとも……。
未知の恐怖が日本に襲いかかる!

第11回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作は、壮大なスケールで「未知の恐怖」との闘いを描くパニック・スリラーです。北海道根室半島沖に浮かぶ石油掘削基地で、職員全員が無残な死体となって発見された。陸上自衛官三等陸佐と感染症学者は、政府から被害拡大を阻止するよう命じられるが……。

改めて、「このミス」大賞受賞作の一覧を拝見すると、誠に残念ながら、私が読んだことがあるのは中山七里『さよならドビュッシー』だけだったりします。それはさておき、この『生存者ゼロ』は先に引用した出版社による内容紹介で、「テロか、病原菌か」と振られていますので、テロでも病原菌でもないという結論が丸見えです。テロは早々に却下され、パンデミックもののストーリーに入り、一応、病原菌は大いに関係するんですが、最後に驚愕の真実が明らかにされます。ミステリですから、ネタバレは控えますが、ヒントとして、下の紹介動画の「美しい女性」とは昆虫学者だったりします。
もちろん、この作者のほぼ処女作なわけですから、構成や文章表現もプロットも明かに粗削りで、悪くいえば穴だらけです。特に、感染症学者として登場する冨樫のキャラや役割が飛躍している、というかメチャクチャな気がします。首相をはじめとする政府首脳もステレオ・タイプに描かれており、1人くらいは話の分かる政府関係者がいてもよさそうに思わなでもありません。でも、何よりも、スケールの大きな奇抜さで見るべき点があります。奇抜さがスケール大きいわけです。着眼点が常人とは異なるような気がします。この先が楽しみな作者です。

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2013年2月 9日 (土)

映画「東京家族」を見に行く

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今週は国会での論戦が本格的に開始され、私が統括する課でも資料要求が舞い込んだりして国会対応が全くないわけでもなく、それなりに仕事で遅くなる日もありました。さらに、先週末からやや体調を崩していたため、この3連休は骨休めに有り難い限りです。というわけで、今日は近場の映画館に映画「東京家族」を見に行きました。山田洋次監督50周年記念作品です。一言で大胆にまとめると、瀬戸内海の小島で暮らし、学校の教員を定年になった父親と母親が東京に住む長男夫妻、長女夫妻、次男に会いに東京にやって来るという物語です。ついでながら、母親の方は次男のフィアンセとも会います。予告編にありますからネタバレではないと思うんですが、母親は訪問先の東京で亡くなります。
人生における幸福とは何か、家族のつながりとは何か、世代の差とは何か、いろんなことを考える機会を与えてくれる映画です。決してエンタメ映画ではなく、文学でいえば純文学といえます。制作サイドから結論として何か与えられるわけではありません。起承転結はハッキリとありますが、いわゆる「落ち」があるわけではありませんし、何かの重大な問題が解決されるわけでもありません。我々一般人の人生のように淡々と物語が進みますから、いろんなシーンごとに鑑賞者サイドで受け止め方を考える必要があります。でも、鑑賞後の感触はとっても爽やかで、晴れ晴れとした気持ちで映画館を出ることが出来ます。

私はどうしても邦画を見る機会が多いんですが、この先、今月末から封切りの「横道世之介」を楽しみにしています。春休みにはマンガを見るかもしれません。

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2013年2月 8日 (金)

景気ウォッチャーに見る景気マインドはいかに急上昇したか?

本日、内閣府から1月の景気ウォッチャー調査結果が発表されました。ヘッドラインとなる現状判断DIは前月から3.7ポイント上昇して49.5となりました。3か月連続の改善です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の街角景気、3カ月連続改善 円安・株高が追い風
内閣府が8日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比3.7ポイント上昇の49.5と、3カ月連続で改善した。政権交代後の円安・株高を背景とした企業の採算改善や消費者の購買意欲の向上を指摘する声が多かった。
先行き判断指数も3カ月連続で改善。5.5ポイント上昇の56.5と、小泉政権下で円安が進行した2006年2月(56.6)に次ぐ、過去2番目の高水準だった。内閣府は街角景気の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」とし、2カ月連続で上方修正した。現状・先行きとも、家計、企業、雇用の全ての分野で改善した。
家計動向に関しては「一部で今まで以上の高額品に動きが出てきている」(東北の百貨店)といい、政権交代後の株価上昇が購買意欲をかき立てたことがうかがえた。「個人投資家は円安、株高の進行で明らかに積極的になっている」(南関東の金融業)との回答もあった。
住宅販売会社からは消費増税前の駆け込み需要を指摘する声が増えている。「様子見だった客が消費税率引き上げの影響で取得に向けて動いてきた」(北陸)、「消費増税を意識した相談が増える傾向が見受けられる」(沖縄)という。
企業動向については「為替相場の影響で黒字になっている」(九州の精密機械器具製造業)、「円安傾向により設備投資意欲が出ている」(北陸の一般機械器具製造業)など製造業を中心に円安を歓迎するコメントが並んだ。ただ、雇用に関しては「大手電機メーカーのリストラ発表があり、どのぐらいの離職者が出るか気になっている」(北関東の職業安定所)と不安感が残った。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は1月25日から月末まで。

次に、いつもの景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。影をつけた部分は景気後退期ですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気の山が2012年3月、谷が2012年11月であったと仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、最近の円高修正と株高が企業の採算改善や消費者の購買意欲の向上につながっているとする見方が示された結果と受け止めています。統計作成官庁である内閣府は基調判断を基調判断は「このところ持ち直しの兆しがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に2か月連続で上方修正しています。私がこのブログで批判して来たエコカー補助金や家電エコポイントなどの選択的な補助金政策の反動も一巡し、現政権の全般的な金融政策活用による景気底上げ政策への期待がマインドの向上に大きく寄与していると考えるべきです。ただし、そろそろ、来年2014年4月からの消費税率引上げを見込んだ駆込みが一部に始まっている可能性も排除できません。例えば、今週火曜日の2月5日に長谷工アーベストから「お客様意識調査」が公表されていて、景気動向の改善予想と住宅の買い時感の高まりが報告されていますが、住宅くらいの高額物件の購入に関しては消費税率引上げの影響は大きいと考えられます。来年のこの時期に向けて駆込み消費は徐々に高まって行くものと考えられます。当然ながら、その後は反動減が待っています。そこまでは織込み済みでしょう。

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景気ウォッチャーから離れて、本日、財務省から経常収支などの国際収支が発表されています。12月の統計です。季節調整済みの系列で見て、12月の経常黒字は1000億円を割り込んで981億円となりました。メディアでは2012年通年の経常黒字が前年から半減した点が強調されると思います。いずれにせよ、これで、10-12月期のGDP推計に必要な統計が出そろい、2月14日にGDP1次速報、エコノミストの業界でいうところの1次QEが発表されます。このブログでも、いつもの通り、シンクタンクなどの1次QE予想を取りまとめたいと思います。

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2013年2月 7日 (木)

機械受注と景気動向指数に見る景気の現状と先行きやいかに?

本日、内閣府から機械受注統計と景気動向指数が発表されました。いずれも12月の統計です。統計のヘッドラインについて見ると、機械受注は船舶と電力を除く民需の受注額は季節調整済みの系列で前月比+2.8%増の7529億円となり、3か月連続の前月比増加となる一方で、景気動向指数のCI一致指数も前月の90.2から92.7に上昇しました。昨年11月の解散以降、急速に景気が改善している雰囲気がよく感じられます。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

12月機械受注、3カ月連続増 内閣府、判断10カ月ぶり上方修正
内閣府が7日発表した2012年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比2.8%増の7529億円だった。プラスは3カ月連続。内閣府は機械受注の判断を前月までの「弱含み基調」から「緩やかな持ち直し」に変え、2012年2月以来10カ月ぶりに上方修正した。
QUICKが6日時点でまとめた民間予測の中央値(0.6%減)に反して増えた。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は3.0%増の2957億円と2カ月連続の増加。海外経済の減速などで不振が続いたが、「下げ止まりの兆しがみえている」(内閣府)という。業種別には造船業から船舶用のエンジンなどの内燃機関や、その他製造業からはボイラーなど火水力原動機の受注が押し上げた。
一方で、船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額は8.0%減の4376億円と5カ月ぶりの減少に転じた。金融・保険業で前月にパソコンなど電子計算機の受注が重なった反動で減少したほか、農林漁業からの農林用機械、運輸・郵便業から鉄道車両といった受注が減った。
毎月の変動が大きい船舶・電力や官公需を含む受注総額は1.6%減の1兆8530億円と2カ月ぶりのマイナスだった。100億円を超える大型案件が前月から少なくなった外需で12.6%減と受注総額を押し下げた。
景気一致指数、9カ月ぶり改善 12月
内閣府が7日発表した昨年12月の景気動向指数(2005年=100、速報値)によると、景気の現状を示す一致指数は92.7となり、前月から2.5ポイント上昇した。改善は9カ月ぶりで、上昇幅は統計を始めた1985年以降で3番目の大きさだった。海外経済の緩やかな持ち直しを背景に企業が増産に転じている。景気が底入れした可能性が濃厚になってきた。
内閣府は一致指数の基調判断を「悪化」のまま前月から据え置いたが、来月発表する1月の一致指数が前月比で上昇すれば「下げ止まり」に変更する見通しだ。専門家の間では昨年4月ごろから始まった景気後退期が昨年11月ごろに終わったとの見方が多い。
昨年12月の一致指数は、構成する10指標のうち8指標が改善した。特に大幅な上昇となったのが投資財の出荷指数で、7カ月ぶりに前月比でプラスとなった。半導体の製造装置など資本財や建設財の出荷が好調だったためだ。鉱工業生産や有効求人倍率も前月から改善しており、一致指数を押し上げた。
数カ月先を示す先行指数も1.4ポイント上昇して93.4となった。プラスは2カ月ぶりで、構成する9指標のうち8指標と幅広く改善した。株価の上昇に加えて、中小企業の売り上げ見通しにも明るさが出ている。新設住宅の着工床面積は2カ月連続でマイナスだった。

次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。次の景気動向指数のグラフに共通して、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。

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まず、コア機械受注について市場の事前コンセンサスは▲1%足らずのマイナスでしたから、これを大きく上回って+2.8%増と3か月連続の増加を記録したのはポジティブなサプライズでした。統計作成官庁である内閣府も基調判断を11月の「全体としては弱含み基調が続いている」から「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に上方改定しています。また、単月では振れの激しい統計ですので10-12月期の四半期統計を見ても、見通しの+5.0%増には及ばなかったものの、実績として+2.0%増と3四半期振りにプラスに転じました。今回公表された1-3月期の見通しでもコア機械受注は+0.8%増とわずかなプラス幅ながら、2期連続での増加を見込んでいます。業種別では、上のグラフの下のパネルを見ても分かるように、非製造業が5か月振りに減少に転じたものの、為替の円高修正が収益改善に寄与する製造業がけん引した形になっています。機械受注は1-2四半期先の設備投資に先行しますが、先行きについても、いっそうの金融緩和を期待して為替の方向感がいい上に、新政権が策定した経済対策でも設備投資支援策がいくつか盛り込まれていることから、設備投資は徐々に回復を示すと私は考えています。当然、その先行指標である機械受注も上向くものと予想しています。

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続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは上の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。CI一致指数が9か月振りにプラスに転じ、DI一致指数も10-11月の10.0から75.0に跳ね上がりました。CI一致際数に基づく景気の基調判断については、3か月後方移動平均の符号が変化するに至っていませんので、引き続き「悪化」で据え置かれています。しかし、CI一致指数が9か月ぶりに前月差でプラスに転じた旨がただし書きされています。すなわち、直近では2012年11月がCI一致指数の谷となっており、CI先行指数はその2月前の2012年9月が谷で、DI一致指数も2012年12月指数が50のラインを下から上に切っていますので、私のこのブログのローカル・ルールのように、2012年11月を景気の谷と仮置きするのも、それなりの根拠が後付けで備わりつつあると喜んでいます。なお、12月のCI一致指数のコンポーネントのうち現時点でプラス寄与が大きいのは、輸送機械を除く投資財出荷、鉱工業生産財出荷、製造業の中小企業出荷、耐久消費財出荷、などとなっています。

今夜のブログで展開し、私も同意しつつある「2012年11月景気の谷」説をもっとも早い時期から主張し始めたエコノミストの1人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中所長ではないかと思うんですが、2月5日付けのリポート「金融緩和批判の根拠を吟味する」がアベノミクスを理解する上でとても参考になります。ハイパーインフレやバブル再来などの根拠のない批判を切って捨て、『アメリカは日本経済の復活を知っている』の著者である浜田教授のいうところの「日銀流理論」のひとつである「日銀は主要国で一番マネーを出している」については、ていねいに統計を引きつつ、明確に、「残念ながら正しくない」と結論しています。最後の最後に、誠についでながら、同じくシンクタンクのリポートということで、ニッセイ基礎研から「日本の財政は持続可能か」と題するリポートが発表されています。毎年この時期になると内閣府から「経済財政の中長期試算」が公表されていたんですが、今年はまだです。だからというわけでもないんでしょうが、民間シンクタンクが財政の長期見通しを試算しており、妥当なシミュレーション結果だと私は受け止めています。シルバー民主主義に抗して社会保障費の伸びを抑えないことには、いくら消費税率を引き上げても財政はバランスしません。

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2013年2月 6日 (水)

帝国データバンク「TDB景気動向調査」に見る景気の現状と先行きやいかに?

やや旧聞に属するトピックですが、昨日の2月5日、帝国データバンクから1月調査の「TDB景気動向調査」が発表されています。このブログでは昨年11月が景気の谷であったと勝手に仮置きしてグラフを書いていますが、景気判断が微妙な段階に差しかかっており、明日の内閣府による景気動向指数の発表を待たずに、いろんな情報を総動員して景気動向を探りたいと思います。なお、内閣府の景気動向指数はハードデータですが、今夜のエントリーで取り上げる帝国データバンクの景気DIはマインドを調べたソフトデータです。日銀短観の業況判断DIと似た統計と考えて差し支えありません。

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まず、上のグラフはリポートの p.1 から引用した全国の景気DIです。役所の統計などでいうところの基調判断は、「国内景気は、経済政策への期待が高まるなか、回復の兆しが現れている」と昨年12月の「国内景気は、新政権への期待が高まるなかで悪化に歯止め」から上方修正されています。でも、現状ではまだ「期待が高まるなか」との枕詞がつき、企業の売上げや賃金上昇といった実体経済への波及が遅れた場合の反動に対する懸念もリポートでは触れられています。もっとも、米国における財政の崖回避など、実態面でも海外経済の明るさは見えていますし、また、上のグラフを見ても明らかですが、1月調査の景気DIは特に大きくジャンプしています。1か月後はさらに+2.6%の上昇、3か月後も+4.1%、6か月後も+5.7%と着実にマインドは上昇しています。

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地域別の景気DIは上の通りです。リポートの p.3 から引用しています。1月は九州の伸び率がもっとも高く、逆に水準としては一番高い東北の伸び率が最も小さくなっています。震災からほぼ2年を経て、全国の景気動向が収れんする方向にあることが伺えます。

明日発表の内閣府の景気動向指数も12月の統計はかなり大きくジャンプすることが予想されています。安倍政権の圧力を受けた金融政策と機動的な財政政策により、我が国の景気は上昇に転じるのでしょうか、あるいは、すでに上昇に転じている景気はさらに力強さを増すのでしょうか?

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2013年2月 5日 (火)

浜田宏一『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社) を読み日銀白川総裁の辞任について考える

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誠に今さらながらなんですが、浜田宏一『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社)を読みました。安倍政権のリフレ政策を知るための格好の1冊といえます。まず、やや長いんですが、出版社のサイトから内容紹介を引用すると以下の通りです。

内容紹介
ノーベル経済学賞に最も近いといわれる経済学の巨人、研究生活50年の集大成!!
日銀が政策を変更すれば、日本経済は今すぐにでも復活する!!

この救国の書は、東京大学での教え子、日本銀行総裁・白川方明に贈る糾弾の書でもある。20年もの間デフレに苦しむ日本の不況は、ほぼすべてが日銀の金融政策に由来するからだ。白川総裁は、アダム・スミス以来、200年間、経済学の泰斗たちが営々と築き上げてきた、いわば「水は高いところから低いところに流れる」といった普遍の法則を無視。世界孤高の「日銀流理論」を振りかざし、円高を招き、マネーの動きを阻害し、株安をつくり、失業、倒産を生み出しているのだ。
本書で解説する理論は、著者一人だけが主張するものではない。日本を別にすればほとんど世界中の経済学者が納得して信じ、アメリカ、そして世界中の中央銀行が実際に実行しているもの。実際に著者は、日米の学者・エコノミスト・ジャーナリストたちにインタビューを行い、すでに60人以上から聞き取りを行っているが、ほとんどすべての俊才が、潜在成長率のはるか下で運営されている日本経済を「ナンセンスだ」と考えている。たとえば教科書でも有名なグレゴリー・マンキュー、ウィリアム・ノードハウス、ベンジャミン・フリードマン、マーク・ラムザイア、デール・ジョルゲンソン、ロバート・シラー、黒田東彦、伊藤隆敏らだ。
世界から見れば常識となっている「日本経済の復活」を、著者50年間の研究成果をもとに、わかりやすく徹底解説!

続いて、章別の構成は以下の通りです。

序章
教え子、日銀総裁への公開書簡
第1章
経済学200年の常識を無視する国
第2章
日銀と財務省のための経済政策
第3章
天才経済学者たちが語る日本経済
第4章
それでも経済学は日本を救う
第5章
2012年2月14日の衝撃
第6章
増税前に絶対必要な政策
第7章
「官報複合体」の罠
終章
日本はいますぐ復活する

今夜のエントリーでは、このブログで展開して来た私自身の主張とも照らし合わせて、本書の内容と安倍政権のリフレ政策について、さらに、日銀白川総裁の辞任について考えたいと思います。ただし、私は正確に記述しているつもりなんですが、安倍政権の3本の矢を柱とする経済政策のうち、本書は金融政策のリフレ政策しか取り上げていません。安倍政権のほかの2つの分野の経済政策、すなわち、財政政策と成長政策は本書のスコープ外となっています。安倍政権の3本の矢の経済政策すべてを取り上げているわけではありませんので、その点には注意が必要です。
まず、本書のテーマは、p.103 の最後のパラをまるごと引用すると、「本書の大きなメッセージは、金融政策をうまく使えば、いま日本経済が苦しむデフレ、円高、不況、空洞化といった問題が解決できるのに、日本銀行が金融政策を独占しており、にもかかわらず金融政策を使うのを拒んでいるということだ。」ということになります。1点の曇りもなくリフレ派の主張そのものです。その意味で、3本の矢のうち、安倍政権の経済政策でもっとも重要なのは金融政策ということになるのかもしれません。当然ながら、浜田教授は為替相場についても金融政策を割り当てるべきという「世界の常識」を展開します。民主党政権の折に、為替相場に市場介入を用いるという政策割当ての疑問を何度もこのブログで主張したことは間違いではありませんでした。
さらに、本書では人口動態をデフレの原因とする説を痛烈に批判しています。逆に、生産年齢人口の減少はデフレではなく、インフレの原因になりうるとの説を展開しています。少し解説が必要かと思いますが、物価上昇率がGDPギャップに何らかの感応性を示すと仮定すれば、生産年齢人口の減少に伴う潜在成長率の低下はGDPギャップをプラス方向に、あるいは、マイナス幅を縮小させる方向に作用します。人口動態がデフレの原因であるとする説は、人口動態の経済的な意味合いを供給サイドではなく、需要サイドで展開しており、真逆の結論を導いています。これも浜田教授のお説が正しいことはいうまでもありません。これら以外にも、リアル・ビジネス・サイクル理論の破綻、あるいは、失業の発生や稼働率の低下を防止するという意味での生産資源の遊休を生じさせないような、私の解釈では、リベラルな経済理論が随所で展開されています。その他、記者クラブの制度とか、多岐に渡る主張が展開されていますが、基本的には前半の第3章130ページまでが主張の中心になろうかと思います。
また、日経新聞のサイトによれば、本日の経済財政諮問会議の後、日銀の白川総裁が2人の副総裁の任期が満了する3月19日付けで総裁を辞任する意向を安倍総理に伝えたと報じられています。私は従来から国民生活に重大な影響を及ぼす金融政策に国民の意見が反映されない現在のシステムに疑問を表明して来ましたが、本書の p.152 では「日銀総裁の責任が問われないまま、任期中の5年間、国民の意見がフィードバックされない日銀のシステムが、そもそも問題なのかもしれない。」と指摘されています。浜田教授は日銀総裁解任権の明文規定を日銀法に盛り込む主張を展開しているようで、私はそこまでは思わないものの、ここまでトラック・レコードの悪い中央銀行の総裁が何ら責任を取らないのも疑問でした。従って、人によっては、引責辞任と受け取る向きがあるかもしれません。

本書のあとがきでは、専門家だけが読むデフレの経済学ではなく、社会学を編集者から求められた、と書いてあり、さらに、「経済政策決定過程の『人間学』を描こうと思った」とも記されています。ただし、次作では「『経済学』を世に問う予定」とも表明されています。待ち遠しい気がします。

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2013年2月 4日 (月)

今年のバレンタイン事情やいかに?

2月14日は、エコノミストにとっては昨年10-12月期GDP統計の1次速報、業界でいうところの1次QEの発表日なんですが、世間一般ではバレンタインと考えられています。ということで、先週1月31日にネッチリサーチ大手のマクロミルから全国の20-49才の社会人を対象にした「バレンタイン実態調査2013」が発表されています。今夜のエントリーでは、図表を引用して簡単に取り上げておきたいと思います。まず、マクロミルのサイトから調査結果のトピックスを4点引用すると以下の通りです。

トピックス
・働く女性の83%が "バレンタイン商品を買う予定がある" バレンタインに掛けるお金は4,758円
・バレンタインチョコが多様化。4年前から "ご褒美チョコ" 12ポイント、"友チョコ" が8ポイント増加
・バレンタインは、"感謝の日" 39% > "愛を伝える日" 25%
・働く男性の5人に1人がバレンタイン商品を購入予定。日本のバレンタイン、欧米化?

続いて、全国の働く女性に、バレンタイン商品の購入予定があるかを尋ねたところ、83%の人が「購入予定がある」と回答しています。内訳は、「チョコのみ」60%、「チョコ+プレゼント」21%、「プレゼントのみ」2%となっています。また、今年のバレンタインにかける予算の合計を尋ねたところ、平均4,758円で、中でも、「5,000円」と回答した人が93名と最多だったようです。女性のバレンタイン商品購入予定の有無のグラフは以下の通りです。

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今年のバレンタインにチョコを購入する女性に、贈る相手について尋ねると、最も多かったのが「恋人・夫(本命チョコ)」で64%、次いで2位が「会社の上司(義理チョコ)」で32%、3位が「親(ファミチョコ)」で30%となっています。チョコをあげる相手のグラフは以下の通りですが、矢印で示してあるとおり、本命チョコと義理チョコの比率が減少し、友チョコとご褒美チョコの比率が増加しています。

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最後のグラフは以下の通り、全国の働く男女に、「バレンタインはどんな日か」を尋ねています。「日頃の感謝の気持ちを伝える日」39%が最も多く、「好きな人に愛を伝える日」は25%にとどまりました。伝統的に「女性が好きな男性に、愛の告白としてチョコを贈る日」とされてきた日本のバレンタインは「感謝を伝える日」へと変化しているようです。

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なかなか興味深い結果です。青山に住んでいて、男女共学の区立小学校に通っていた時は、我が家の子供達もバレンタインのチョコをもらわなかったわけでもなかったんですが、男子単学の私立校に進学してからはめっきり減りました。ゼロかもしれません。ということで、今年のバレンタイン事情やいかに?

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2013年2月 3日 (日)

今年の節分は恵方巻きを食べる

今日の節分は恵方巻きをいただきました。今年の恵方は南南東だそうで、その方向を向いて食べました。
私は京都の出身ながら、関西方面発祥のこの恵方巻きの風習は、恥ずかしながら、最近までまったく知りませんでした。

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今年は花粉の飛散量が昨年比5倍とか…

かなり旧聞に属する話題ですが、1月25日に環境省から「平成25年春の花粉飛散予測 (第2報)」が発表されています。メディアでは東京は昨年比5倍くらいと報じられていますが、環境省のこの「予測」では「前シーズンに少量飛散となった東北南部から関東、東海での増加が著しく、前シーズンの2-7倍になる地域が多い見込み」と報告されています。私はすでに先週の段階で耳鼻科と眼科に行って診てもらって、眼科から出た点眼薬は昨年と同じなんですが、何と、耳鼻科の方の抗アレルギー剤は昨年比でグレードアップしてしまいました。今シーズンはとても不安です。
最後に、環境省発表の平成25年春における都道府県別花粉総飛散量 (スギ、ヒノキの総数) 予測の地図は以下の通りです。

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J.A.M の最新アルバム「Jazz Acoustic Machine」を聞く

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SOIL & "PIMP" SESSIONS からスピンオフしたピアノ・トリオ J.A.M の最新アルバム Jazz Acoustic Machine を聞きました。昨年9月の発売です。どうして聞いたのかというと、私自身は SOIL & "PIMP" SESSIONS はそれほど関心はありません。菊地成孔のグループと同じです。でも、昨年11月18日付けのエントリーで紹介した Re-Trick とともに、クラブシーンで注目を集めているピアノ・トリオですし、前々から聞いておこうと考えていたところ、私が毎月買っている2月号の Jazz Japan, No.30ニュー・ジャズ部門のアルバム・オブ・ザ・イヤーを授賞されていたものですから、がぜん、聴取意欲を大きく刺激された次第です。なお、この賞の筆頭のジャズ部門のアルバム・オブ・ザ・イヤーは上原ひろみの Move が受賞しています。私も大いに同感です。コチラのアルバムは9月23日付けのエントリーで紹介しています。まず、Jazz Acoustic Machine の収録曲は以下の通りです。一目瞭然ですが、10曲目にトランペッターの日野皓正が入っています。それ以外はピアノ・トリオの演奏です。メンバーは、丈青(Piano)、秋田ゴールドマン(Bass)、みどりん(Drums)となっています。

  1. Jazz Acoustic Machine (opening)
  2. Sing Without You
  3. Sing Without You (reprise)
  4. Quiet Wave
  5. Blue in Green
  6. Arioso
  7. Join and Move On
  8. New Step
  9. Back from Dark Side
  10. He Knows feat. Terumasa Hino
  11. Liquid Street
  12. Real
  13. Justice

その昔に日本でフュージョンとか、クロスオーバーとか呼ばれていたジャズの雰囲気を出しています。ただし、アルバムのタイトル通りに、最初の1-2曲を別にすれば、電気楽器は使われていないようです。もっとも、ベースはアコースティックなのかエレクトリックなのか、私には分かりません。下の動画を見る限りは、アコースティックみたいです。ピアノのタッチやメロディラインはまったく違いますが、ハービー・ハンコックの世界に近いといえます。私はこのピアノ・トリオの前のアルバム、すなわち、2008年の Just a Maestro や2010年の Just Another Mind やスピンオフした母体ともいえるは SOIL & "PIMP" SESSIONS は聞いたことがありませんが、おそらく、カッコイイと受け止めるリスナーは少なくないと思います。Re-Trick のアルバムと同じです。アルバムの最初の方の曲は、トリオの3人の演奏がからみつくような曲もあるんですが、最後の方はアルバムのタイトルの含まれる「マシン」にふさわしく、とても硬質な演奏を聞かせます。また、マイルス・デイビズの演奏で有名な5曲目は、ピアノの低音から始まって、おもしろいアレンジが施してあり、しっかり聞かないと Blue in Green だとは分からないかもしれません。以下の動画はアルバム発売元の Victor Music Channel が YouTube にアップしているものです。8局目の NEW STEP で、硬質な演奏のサワリが聞けます。念のため、流れる音楽と動画のフィンガリングがまったく一致していないのはご愛嬌と受け止めています。

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2013年2月 2日 (土)

米国雇用統計のグラフィックス

昨夜、米国労働省から米国雇用統計が発表されました。1月の統計です。すべて季節調整済の系列で見て、非農業部門雇用者数は前月から+157千人増加した一方で、失業率は0.1%ポイント上昇して7.9%となりました。一応、米国労働省では失業率については "essentially unchanged" と称しています。まず、New York Times のサイトから記事を引用すると最初の4パラは以下の通りです。

Job Growth Steady, but Unemployment Rises to 7.9%
Political gridlock over fiscal policy didn't push the economy off a cliff. But it certainly isn't helping anything, either.
Despite the chaos and uncertainty hovering over tax rates and government budget cuts at the turn of the year, job growth accelerated at the end of 2012 and was even faster than originally estimated, the Labor Department said on Friday. Job growth also continued at a steady if modest pace in January, with employers adding 157,000 payroll positions, though the unemployment rate ticked up to 7.9 percent.
Better readings on construction spending, manufacturing and consumer sentiment released on Friday also allayed fears that had arisen from a sour report on the nation's economic growth earlier in the week.
The upward revisions to job growth, in particular, encouraged traders on Wall Street, sending the Dow Jones industrial average over 14,000 for the first time since 2007.

次に、いつもの米国雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。リーマン・ショックの時の景気後退局面から回復した後、日本と違って米国経済に景気後退は観察されず回復が続いています。

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我が国の消費もかなり底堅いんですが、同様に、米国の雇用も底堅いと私は受け止めています。以前から指摘されている通り、米国の消費は他の先進国に比べて借金に支えられている部分の比率が高く、決してサステイナブルではないと考える向きもあったんですが、これだけ雇用が底堅いと消費もサステイナブルなのかもしれません。ただし、日本式の表現かもしれませんが、米国でも非正規雇用の方が伸びが高いと指摘されており、雇用の質に対する懸念は残ります。
1月29日のエントリーでクイギン教授の『ゾンビ経済学』を取り上げた際に書いた通り、日米の景気循環は拡張期も収縮期も経済主体間の波及の順が逆であり、日本は企業から家計へ景気が波及し、米国は家計から企業に波及します。ですから、日本は pro-business な政策で企業活動をサポートし、米国は減税などで家計を支援する、というのが定番の経済政策になります。いまだに、この景気の波及の順序を考慮する定番の経済政策が、『ゾンビ経済学』で否定されていた「トリクルダウン政策」だとカン違いしている人が経済政策の議論に参加してノイズを発生させているようですので、昨日今日と日米の雇用統計を紹介した機会に、もういちど指摘しておきたいと思います。所得階層間の高所得者から低所得者への「トリクルダウン」ではなく、経済主体間の経済活動や景気の波及 spillover を活用した経済政策は合理的であると考えるべきです。でなければ、pro-business な現在のアベノミクスも、子ども手当の支給などの家計への支援策を柱として家計から企業への波及を期待していた民主党政権のころの経済政策も、何でもかんでも「トリクルダウン」になってしまいます。

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昨夏の2012年7月から連続して非農業部門雇用者数が雇用改善のひとつの目安となる毎月+100千人を超えて増加しているんですが、それでも雇用の本格的な回復には至っていないと受け止められています。上のグラフはマンキュー教授やクルーグマン教授も着目している雇用・人口比率をかなり長期にプロットしていますが、現在の景気回復局面でほとんど上昇していないのが見て取れます。

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最後に、デフレとの関係で私が気にしている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつける可能性は小さそうです。

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2013年2月 1日 (金)

球春! 今日からプロ野球のキャンプが始まる!

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いよいよ球春、プロ野球12球団がキャンプインしました。
上のプロ野球12球団キャンプ地はニッカンスポーツのサイトから引用しています。我が阪神タイガースは沖縄県宜野座でキャンプ・スタートです。
ここ数年はリーグ優勝から遠ざかり、昨年はBクラスに沈みましたが、今年は大型補強で優勝を目指します。福留や西岡といった大リーグ帰りの選手には、私自身は大きな期待はしていませんが、昨年のドラフト1位の藤浪投手をはじめ、若手投手陣はとても楽しみですし、今年こそ外国人スラッガーの当たりを引いてほしいものです。

何はともあれ、
がんばれタイガース!

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雇用統計から見た日本経済の現状やいかに?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人場k率など、12月の雇用統計が発表されました。このブログでいつも取り上げている範囲で、先行指標の新規求人数と一致指標の有効求人倍率が改善した一方で、遅行指標の失業率は悪化しました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

完全失業率12月4.2%、8カ月ぶり悪化 リストラ響く
有効求人倍率は0.02ポイント上昇の0.82倍

総務省が1日発表した2012年12月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の4.2%で、8カ月ぶりに悪化した。建設業や製造業を中心に就業者数の落ち込みが激しかった。年末にかけて電機メーカーなどでリストラが増えた影響とみられる。総務省は「依然、雇用情勢には厳しさが見られる」と分析している。
12月の就業者数は季節調整値で前月と比べると35万人減で、2カ月連続の減少。建設業や製造業のほか、農業や運輸、小売りなど幅広い分野で減った。医療・福祉は2カ月ぶりに増加に転じ、雇用を下支えした。
完全失業者は7万人増え、278万人となった。非自発的な理由で離職した人は111万人で、前月から15万人増えた。増加幅はリーマン・ショック後の09年6月以来の水準。このうち7割程度がリストラなど勤め先の都合による離職だった。
厚生労働省が同日発表した12月の有効求人倍率(季節調整値)は0.82倍で前月比0.02ポイント上昇した。ただ製造業の新規求人は11.7%減っており、引き続き厳しい状況が続いている。
同時に発表した12年平均の完全失業率は前年比0.3ポイント低下の4.3%で、2年連続で改善した。復興需要で建設業やサービス業で就業者が増えた。有効求人倍率は0.80倍で前年を0.15ポイント上回り、3年連続で改善した。

続いて、失業率、有効求人倍率、新規求人数のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。何度か繰り返していますが、直近の景気の山は2012年3月、谷は2012年11月と仮置きしています。

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雇用統計の3指標をざっとながめて、基本的には失業率上昇の原因となっている非自発的離職、すなわち、リストラによる失業者増がもっとも重要な流れだと私は考えていますが、有効求人倍率や新規求人数が改善しているのは、全般的なマクロ景気が上向きであり、景気拡大が始まっているひとつの証拠でもあります。ただし、昨日発表の毎月勤労統計と合わせて見て、単価である賃金が下落している中で量的な雇用が改善しても、質と量をかけ合わせた雇用者所得に対する寄与は小さく、消費に対する効果が限定的と考えるべきです。すなわち、極めて大雑把に考えれば、量的な雇用が拡大すれば雇用の安定からマインドが向上する一方で、賃金が下落すれば所得が減少するため、消費への影響としては一様ではありません。
先進国経済ではペティ・クラークの法則として、第2次産業から第3次産業に付加価値や雇用がシフトすることが広く知られていますが、当然ながら我が国でも同じ傾向が見られ、製造業から小売サービスや医療福祉サービスに雇用がシフトしています。さらに、我が国の場合、近隣のアジア諸国に低所得国が多く、国際競争のために賃金が上昇しにくい傾向もあります。さらに、米国などと違って、正規雇用と非正規雇用の間で賃金などの待遇の差が極めて大きいのも特徴のひとつです。これらの特徴の中で、我が国の労働市場もそろそろ底入れに向かい、量的には今年年央までには拡大を始めると私は見込んでいますが、問題は量的な雇用拡大に賃金の上昇や正規雇用の比率の増加などの質的な改善が伴うかどうかです。アベノミクスによりデフレからの脱却が図られると仮定すれば、デフレ脱却の結果として賃金上昇が実現される可能性は十分あると私は考えていますが、正規雇用と非正規雇用のいずれが増加するかはデフレ脱却との関係は先験的に明らかではありません。何らかの質的な労働市場の政策的な誘導、あるいは、それをを構造改革と呼んでもいいかもしれませんが、そういったミクロ的な政策措置が必要となるのかもしれません。

何度か、このブログでも主張しましたが、私はリベラルなエコノミストであると自任しており、生産要素、特に労働力の遊休は大きなムダだと考えています。その意味で、雇用は決定的に重要です。ILO などが称するところの "decent work" がさらに拡大することを強く願っています。

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