1月機械受注は大幅減だが一部に明るい材料も!
本日、内閣府から1月の機械受注統計が発表されました。ヘッドラインとなる船舶と電力を除く民需の季節調整済みの前月比は▲13.1%減の6544億円の大幅減となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1月の機械受注13.1%減 4カ月ぶりマイナス
内閣府が11日発表した1月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は前月比13.1%減の6544億円となった。マイナスとなるのは4カ月ぶりで、減少率は8カ月ぶりの大きさ。株高や円高修正による景況感の改善が設備投資の持ち直しにつながるには時間がかかりそうだ。
1月実績はエコノミストの予想(1.5%減)を大きく下回った。内閣府が先月発表した1-3月期の見通し(前四半期比0.8%増)の実現には2月と3月で平均12.0%の高い伸びが必要になり、内閣府は「容易ではない」とみている。基調判断は前月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」を据え置いた。
1月の数字を需要者別に見ると製造業が13.2%減の2568億円と3カ月ぶりのマイナスとなった。一方、非製造業(船舶・電力除く)も6.3%減の4099億円と2カ月連続のマイナスだった。100億円を超える大型案件は前月に続いてゼロ件だった。
製造業の数字を最も大きく押し下げたのは「その他製造業」で、タービンなど火水力原動機や大型コンピューターなど電子計算機が前月伸びた反動で落ち込んだ。そのほか、化学工業からは化学機械や火水力原動機が減ったほか、電気機械からも電子計算機などの注文が減った。非製造業の数字を最も大きく押し下げたのは運輸・郵便業で、通信業、金融業・保険業が続いた。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は1月実績について「企業と消費者の心理は大きく改善しているが、まだ期待先行の面が強い。4月以降、大型補正予算の効果や輸出増加の流れが出てくれば、設備投資も本格回復の動きが明確になってくるだろう」と指摘している。
次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。
ということで、市場の事前コンセンサスはわずかなマイナスでしたし、製造業・非製造業、そして、内需・外需とも軒並み減少ですので、かなり大きなネガティブ・サプライズのような気もしますが、私はそれほど悲観はしていません。第1に、産業別に詳しく見ると、非製造業の運輸業・郵便業や卸売業・小売業とともに、製造業の中では裾野の広い自動車・同部品や精密機械が増加しており、今後に期待をもたせます。第2に、先行きは補正予算による景気対策や円高修正に伴う輸出の増加などの動きに伴って、設備投資も拡大が予想されます。第3に、もしも景気局面に関する私の見立てが正しくて、現在が景気回復の初期にあるとすれば、設備投資や雇用などの要素需要は遅行指標ですので、この先の増加が見込めます。第4に、機械受注はもともとが毎月の振れの激しい統計ですので、1月統計だけで一喜一憂してもどうしようもありません。引用した記事の最後のパラにもある通り、現時点ではまだまだマインドが先行した形になっており、円高修正などにより輸出を起点に実体経済が回復ないし拡大の基調を示し、さらに要素需要に動きが出る、という波及経路が予想されます。機械受注、ひいては設備投資の動きについてはもう少し様子を見る必要があるのかもしれません。
それにしても、リーマン・ショック後の景気の落ち込みやエコカー補助金による自動車産業のテコ入れ以来、日本経済とは自動車産業のモノカルチャーなのか、と感じられる動きがいくつか見受けられます。国際的な比較優位の構造は震災から2年を経て、いまだ大きな変化はないのかもしれません。
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