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2013年3月30日 (土)

宮部みゆき『桜ほうさら』(PHP研究所) を読む

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宮部みゆき『桜ほうさら』(PHP研究所) を読みました。昨年の『ソロモンの偽証』の現代物から一転して時代小説の最新作です。まず、出版社の特設サイトからあらすじを引用すると以下の通りです。

あらすじ
舞台は江戸深川。主人公は上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊・笙之介。大好きだった父が賄賂を受け取ったと疑いをかけられて自刃。兄が蟄居の身となったため、江戸へやってきた笙之介は、父の汚名をそそぎたい、という思いを胸に、深川の長屋に住み、事件の真相究明にあたる。父の自刃には、搗根藩の御家騒動がからんでいた。野心を抱く者たちに押しつぶされそうになる笙之介は、思いを遂げることができるのか。人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語。

最初に掲げた装画と挿画は三木謙次です。とても内容に沿った挿し絵で好感が持てます。基本的な物語の運びは、井筒平四郎と弓之助の「ぼんくら」シリーズと同じです。大きな謎と章ごとの謎を組み合わせて物語が出来上がっています。ただし、この『桜ほうさら』は主人公が古橋笙之介という22歳の侍ですので、オッサンの井筒平四郎と子供の弓之助のコンビではあり得ない恋物語にもなっています。
宮部作品らしく、細部に渡る詳細な記述があり、かつ、最後は怒涛のがぶり寄りなんですが、お家断絶や藩主の跡目争いといった深刻な客観的事情に照らして、主人公の余りに軽くて薄い主観的心情のズレが少し気になります。『孤宿の人』のように主人公が少し足りない町人の子供であればともかく、立派に成人したお侍なんですから、もう少し何とかならないものかという気はします。でも、挿し絵のイメージで軽く流すのがこの作品の主眼なんだろうということは理解します。

『ソロモンの偽証』と違って、フルマークは付けられません。5ツ星から1ないし1.5くらい足りないような気がします。でも、私のような宮部ファンであれば、是非とも読んでおくべきです。

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