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2013年4月16日 (火)

今年の夏季ボーナスは増えるか?

昨夜のアベノミクスの読書感想文にもあった通り、今後、デフレからの脱却とともに、お給料のアップが期待できると私は考えていますが、取り急ぎ、今夏のボーナスはどうなるのかという問題があります。ということで、いくつかのシンクタンクから今夏のボーナス予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートがダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングについては国家公務員を取っています。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研36.0万円
(+0.4%)
52.8万円
(+2.9%)
今夏の賞与を展望すると民間企業の一人当たり支給額は前年比+0.4%と夏季賞与としては3年ぶりのプラスに転じる見込み。背景には、円高修正の動きなどを受けた2012年度下期の企業収益の持ち直し。加えて、政府による賃上げ要請、個人の購買力強化をめざす小売企業等の賃金戦略の変化が賞与押し上げに作用。もっとも、内外需ともに緩やかな回復にとどまるなかで、収益改善による賞与引き上げ余力には、産業・企業によるばらつきが大きく、全体としての改善幅は小幅。このため賞与水準は、引き続きリーマンショック前の2008年を1割以上下回る水準にとどまる見込み。
みずほ総研36.1万円
(+0.8%)
64.9万円
(+0.2%)
今夏のボーナスを取り巻く環境は改善している。日銀短観(2013年3月調査)によると、2013年度上期の経常利益は増益(前年比+3.9%、全規模・全産業)の見通しとなっているほか、個人消費の堅調や経済対策による公共投資の積み増しなどから非製造業でも増益が見込まれている。さらに、安倍政権の賃上げ要請もボーナスの増額を後押しするとみられる。
第一生命経済研36.1万円
(+0.7%)
n.a.
(+2.0%)
民間企業の2013年夏のボーナス支給額を前年比+0.7%(支給額: 36万1千円)と予測する。2012年冬のボーナスは前年比▲1.5%と減少したが、今夏には増加に転じる見込みである。ボーナスの増加は、2010年夏以来6季振りのことになる。昨年末以降の景気回復や円安効果により企業収益が持ち直しつつあることや、企業の景況感が改善していることなどが背景にある。政府による賃上げ要請が一部影響した可能性もあるだろう。もっとも、ボーナスの増加率は小幅なものにとどまる見込みである。増加は大企業が中心になるとみられ、中小企業では目立った改善が期待できないことがその理由だ。中小企業は内需に依存する度合いが大きいため、大企業と比べて円安の恩恵を受けにくい。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング35.7万円
(▲0.3%)
51.4万円
(+0.1%)
2013年夏のボーナスは3年連続で減少すると予測する。民間企業(パートタイム労働者を含む)の一人当たり平均支給額は357,400円(前年比-0.3%)と、過去最低水準を更新する見込みだ。もっとも、2012年夏のボーナスと比較して減少幅は縮小するだろう。製造業では増加が見込まれる一方、非製造業では減少するとみられる。

上の表を見れば明らかな通り、最後の三菱UFJリサーチ&コンサルティングを除いて、1人当りの夏季ボーナス支給額はわずかながらも増加すると予想されています。減少を見込む三菱UFJリサーチ&コンサルティングの予想でも、リポートの p.5/8 で「これまでボーナスを支払っていなかった企業が少額ながらも支払うようになることで、全体の水準が押し下げられる可能性がある。とくに、非製造業では雇用の非正規化が進んでおり、ボーナスの水準が低い労働者のウエイトが増すことでも、全体でみた水準が下がることになる。」と結論しており、ポジティブに捉えるべき前者のボーナス支給対象の拡大とネガティブな後者の非正規化の進展、の両者の要因で支給額減少を見込んでおり、決してネガティブ一辺倒というわけでもありません。従って、三菱UFJリサーチ&コンサルティングも含めて、上の表で取り上げた予想各機関すべてが、1人当り支給額と支給対象人数の積で求められるボーナス支給総額は前年比でプラスになると見込んでいます。公務員を含まない厚生労働省の毎月勤労統計と同じ5人以上事業所のベースの前年比で、日本総研が+2.6%増、みずほ総研が+1.9%増、第一生命経済研が+1.7%増、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが+0.7%増と予想しています。支給総額は各機関とも13兆円を超える水準を見込んでおり、昨夏より2000-3000億円増加することになります。それなりの消費拡大効果を持つ可能性があると受け止めています。

photo

最後に、今夜のエントリーに取り上げた予想の一例ということで、私の実感にかなりよくマッチする日本総研のリポートから (図表4) 賞与支給総額(前年比) を引用すると上の画像の通りです。先に引用した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主張の通り、最近のボーナスは夏季も年末も支給対象が拡大する一方でパート・アルバイトも含めて加重平均された1人当り支給額は伸び悩んでいたんですが、今夏のボーナスは1人当り支給額も明るい展望が開けるかもしれません。しかし、ボーナス支給総額が前年比で増加する可能性が高いとはいえ、1人当り支給額でも支給総額でも、水準としてはまだまだ低いといわざるを得ません。本格的にデフレから脱却し、お給料の上がる世界を取り戻したい気がします。

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