景気動向指数に見る我が国景気の現状やいかに?
本日、内閣府から2月の景気動向指数が発表されました。ヘッドラインとなるCI一致指数は前月から+0.5ポイント上昇の92.1となりました。内閣府は基調判断を「悪化」から「下げ止まり」に上方修正しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
2月の景気先行指数、5年4カ月ぶり高水準
内閣府が5日発表した2月の景気動向指数(2005年=100、速報値)によると、数カ月先の景気動向を示す先行き指数は97.5となり、2007年10月以来5年4カ月ぶりの高水準となった。前月と比べて2.5ポイント上昇し、改善幅も過去4番目の大きさだった。円安・株高が進むにつれ、企業や家計の不安が和らぎ、景気回復への期待が高まりつつある。
先行指数の上昇は3カ月連続。先行指数を構成する9指標のうち7つが改善した。上昇への寄与度を見ると、中小企業の売り上げ増加に対する期待を示す項目が大きく改善した。株価上昇や、家計の消費者心理の改善も寄与した。
現状を示す一致指数も92.1となり前月から0.5ポイント改善した。一致指数から算出した景気の基調判断は「下げ止まり」となり、前月の「悪化」から改善した。基調判断が上方修正されるのは1年ぶり。一般機械や非鉄、自動車などの業種で軒並み出荷が改善したことが寄与した。一方、生産は回復基調にあるものの、1-2月はやや停滞した。
政府が3月の月例経済報告で示した景気の総合判断は「持ち直しの動き」。景気一致指数に基づき機械的に出す判断は「下げ止まり」でやや開きがある。足元の景気回復が円安・株高による期待先行を脱し、実体経済を底上げするには少し時間がかかるとの見方もある。
いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。
CI一致指数よりも先行指数のほうが大きく上昇しています。2月速報では2.5ポイント上がって97.5に達しました。3か月連続の上昇です。上のグラフで見ても、先行指数の上昇幅のほうが一致指数よりも大きくて、アベノミクスに対する期待先行のようすがうかがえます。というのは、CI先行指数には中小企業売上げ見通しD.I.というマインドを取ったソフトデータが入っており、2月統計の速報段階ではこの寄与度がもっとも大きくなっていますが、CI一致指数にはマインドを表わすソフトデータは取り入れられていませんから、アベノミクスの期待が先行しているとの解釈が成り立ちます。CI一致指数のコンポーネントでプラスの寄与が大きいのは、製造業の中小企業出荷、鉱工業生産財出荷、輸送機械を除く投資財出荷となっています。現象面では直接的には在庫調整の進展なんでしょうが、昨年暮れ以降のアベノミクスによる円高修正の恩恵を受けているんだろうと私は考えています。ただし、アベノミクスがもたらしたもうひとつの株高については、日本の場合、株高は資産効果というよりもマインドの改善から消費拡大につながるように私は考えていて、CI一致指数に採用されている耐久消費財はそこそこプラスに寄与している一方で、商業販売統計の小売販売は増加していません。まだまだ、デフレに起因する価格の先安感の払拭が十分ではないのかもしれません。
景気動向指数では、マインドを示すソフトデータをコンポーネントに含めているのは先行指数だけであり、一致指数と遅行指数はハードデータだけで成り立っています。今後、マインド向上がハードデータにどのような波及を見せるかをチェックしたいと思います。
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