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2013年5月31日 (金)

井川投手を崩し切れず1点差でオリックスに競り負ける!

  HE
阪  神001002000 361
オリックス10201000x 4110

井川投手をそこそこ打ちながら崩し切れず、明らかに競り負けたといえます。打線も投手陣も、いわずもがなでベンチワークも、オリックスのほうが少しずつ阪神を上回っていたような気がします。今年の交流戦は関西ダービー3連敗です。でも、セリーグのチームが軒並みパのチームに負けているので、ジャイアンツとの差が広がっていないのが幸いかもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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いっせいに発表された政府統計に見る日本経済の現状やいかに?

今日は月末の閣議日で政府統計がいっせいに発表されました。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価指数が、それぞれ発表されています。いずれも今年4月の統計です。まず、長くなりますが、各統計のヘッドラインについて報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4月鉱工業生産指数1.7%上昇 5カ月連続、車伸びる
経済産業省が31日発表した4月の鉱工業生産指数(2005年s=100、季節調整値)速報値は91.9と前月に比べて1.7%上がった。北米向けの乗用車や国内向けの軽乗用車が増え、生産指数は5カ月連続で上昇した。先行きは円安が輸出の追い風だが、予測の指数によると5月の生産は前月比横ばいで6月に減少する。企業は慎重な生産計画をたてている。
経産省は基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」とし、3月の判断を据え置いた。前月比で見た指数の伸び率が4月まで3カ月続けて大きくなったが、先行きの指数が低下していることなどを考慮した。
4月は自動車などの「輸送機械工業」が前月比11.8%増えた。北米に輸出する乗用車などの生産が増えた。アジアで生産されるスマートフォン用の半導体や、大型の液晶テレビに使う電子部材の増産も生産指数を押し上げた。
ノートパソコンがふるわなかった「情報通信機械工業」は前月比20.5%減少した。「一般機械工業」も2.8%減。工作機械の受注減が響いているという。出荷指数は同1.1%の上昇、在庫指数は同0.6%の上昇だった。
一部の企業を対象に生産の先行きを聞く「製造工業生産予測調査」は、5月の生産が前月比横ばい、6月が同1.4%の低下となった。4月に好調だった自動車が2カ月続けて減る予測となっており、「大きく伸びた反動が出そう」(経産省)という。5月と6月の生産が予測通りとなれば、4-6月期は前期比2.0%増となり、生産は2四半期続けて増加することになる。
4月の有効求人倍率、0.89倍 4年9カ月ぶり高水準
厚生労働省が31日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は0.89倍で、前月比0.03ポイント上昇した。2カ月連続で改善し、リーマン・ショック直前の2008年7月以来4年9カ月ぶりの高水準となった。総務省が同日発表した4月の完全失業率(同)も前月と横ばいの4.1%で堅調に推移したため、厚労省は雇用情勢の基調判断を3カ月ぶりに引き上げた。
厚労省は雇用情勢の判断を「依然として厳しい」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。新規求人数は前年同月と比べ建設業が17.1%増、宿泊・飲食サービス業が15.8%増など大幅に増えた。製造業は2%減で11カ月連続で前年同月を下回ったが、下げ幅は縮小している。
4月の完全失業者数は271万人で、前月比4万人増えた。景気が回復局面を迎えたことで、仕事が見つかる可能性が高まっていると考え、労働市場に参入する人が増えたからだ。
男性は仕事が見つかり就業者が8万人増えたが、女性は「4月は足踏み状態」(総務省)で、5万人減った。男性の失業率は4.3%で0.2ポイント改善したが、女性は0.3ポイント悪化して3.8%だった。
15-64歳の就業率は4月に71.6%となり、比較可能な1968年1月以降過去最高を記録した。女性のみでも62.5%と初めて62%を超えた。夫の収入が伸び悩むなか、家計を補助するため働きに出る女性が増えていることが背景にある。
消費者物価4月0.4%下落 都区部5月速報はプラス
総務省が31日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで99.8となり、前年同月比で0.4%下落した。下落は6カ月連続。マイナス幅は前月より0.1ポイント縮小した。先行指標となる東京都区部の5月中間速報は生鮮食品を除く総合指数が09年3月以来4年2カ月ぶりにプラス圏に浮上した。
全国の指数を項目別に見ると、4月はテレビが前年同月比16.4%の下落となり、全体の数字を押し下げた。前月に比べて下落幅は縮小してきたものの、なお2ケタの下落が続いた。ガソリンも前年に高騰した反動で、前年同月比2.0%下落した。一方、電気代は電力各社の値上げを反映して4.2%上昇した。
全国の動きに先行する東京都区部の生鮮食品を除く総合指数の5月中間速報値は、99.2と前年同月比0.1%のプラスとなった。前月のマイナス0.3%から0.4ポイント上昇した。電気代やガス代の上昇のほか、テレビが06年1月の前年同月比の公表開始以来初のプラスに転じたことが背景にある。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、鉱工業のグラフは以下の通りです。上のパネルは2005年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。ただし、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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鉱工業生産は市場の事前コンセンサスで+0.5-0.6%くらいの増産と予想されていたところ、季節調整済みの前月比で+1.7%でしたから、5か月連続のプラスともあいまって、生産はそこそこ強い数字と受け止めています。昨年のミニリセッション後の回復は前月統計まで緩やかでしたが、単月の動きながら上のグラフを見ても回復が加速したようにも見えます。ただし、引用した記事にもある通り、先行きについて企業は慎重姿勢を崩しておらず、製造工業生産予測調査では2013年5月前月比0.0%の横ばい、6月は▲1.4%減となっています。4月実績の生産を業種別に見ると、輸送用機械工業が前月比+11.8%増と大きく上昇し、また、電子部品・デバイス工業が先月の予測と逆に上昇したことが増産に寄与しており、先月時点では弱気の生産予想だった素材業種に関しても、化学工業以外では前月から上昇しており、底堅い結果となっています。一方、先月時点でも大幅な減産を見込んでいた情報通信機械工業は前月比▲20.5%減と、計画通り大幅な減産を記録しています。先行きも業種別に見ると、鉄鋼業、非鉄金属工業などの素材業種の予想が減産気味となっている一方で、加工業種に関しては大雑把に持直しを見込んでいるものの、輸送用機械工業が5-6月とも減産を見込んでいます。我が国製造業は決して自動車のモノカルチャーではありませんが、かなり影響力の強い産業であることは確かですので、先行きが気にかかるところです。なた、下のパネルに見られる通り、資本財出荷が伸び悩む中で、耐久消費財出荷は順調に増加しており、堅調な家計部門と慎重な企業部門が対照的な動きを見せています。

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上のグラフで示した雇用を見ると、失業率は前月と比べて横ばいだったんですが、景気回復が進む中で労働市場への参入が進んでいますし、有効求人倍率が大きく改善しましたから悪くない数字と受け止めています。もっとも、先行指標である新規求人数は連続して減少しているのが気がかりです。引用した記事にもある通り、男女別に見ると、男性では就業者が増加し失業率が低下する一方で、女性は逆の動きを示しています。賃金を見ることが出来る毎月勤労統計がまだ明らかでないので推測でしかありませんが、引用した記事の最後のセンテンスにあるように、「夫の収入が伸び悩むなか、家計を補助するため働きに出る女性が増えている」可能性は否定できません。とすると、雇用については量的な改善が進む一方で、賃金や正規・非正規などの質的な改善が進んでいない可能性が残されています。参考まで、総務省統計局の労働力調査結果によれば、4月の正規比率は64.2%と3月の63.3%から上昇していますが、季節的な動きなのかどうかは判断できません。

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消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。4月の全国の生鮮食品を除くコアCPI上昇率は3月の▲0.5%から0.1%ポイント下落幅が縮小して▲0.4%となりましたが、自動車の自賠責保険料の引上げに伴う制度要因であり、4月まではほとんど物価の基調に変化はないと見るべきです。しかし、東京都区部に見られるように、5月はかなりマイナス幅が縮小する可能性があります。主たる要因はテレビの下落幅縮小とガソリンの値上がりなんですが、5月の全国コアCPIはかなりゼロに肉薄し、6月にはデフレを脱してプラス領域に入る可能性が十分あると私は考えています。その後、現在の景気回復に起因するGDPギャップの解消に加えて、電力料金の引上げに伴うエネルギー価格の上昇と円高修正に伴う物価上昇があり、コアCPIは緩やかに上昇するものと予想されますが、これはアベノミクスによる物価上昇なのかどうかは私は疑わしいと受け止めています。しかし、今年年央に物価がそのような動きを示す蓋然性は高く、日銀によるいわゆる「異次元緩和」の効果に見える可能性があります。

取りあえず、今週発表された政府統計からは、第1に、足元で景気が順調に回復を示していること、および、第2に、今日の鉱工業生産指数とともに一昨日の商業販売統計で示された通り、家計部門の堅調な動きに比べて、企業部門の先行き見込みが慎重であること、などが明らかになったと思います。あと1と月すれば6月調査の日銀短観が発表されます。それまでに円高修正や株価がどうなっているのかも含めて、先行き慎重な企業マインドの動向にも注目したいところです。

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2013年5月30日 (木)

OECD経済見通しにおける日本の金融政策と財政政策の評価

昨日、経済協力開発機構 (OECD) から「OECD経済見通し」 OECD Economic Outlook, No.93 が発表されています。我が国の成長率はアベノミクスによる好調な経済を反映して上方改定されていたりします。今夜のエントリーでは、記者発表資料からいくつか画像を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、ヘッドラインとなる日米欧の成長率見通しです。昨年11月末の「OECD経済見通し」No.92 では、日本は2013年+0.7%、2014年+0.8%成長と見込まれていたんですが、大きく上方修正されました。アベノミクスの成果と受け止めています。なお、米国の成長率見通しは昨年11月からほとんど変化なく、奥州についてはかなり下方修正されています。しかし、欧州経済が今年のマイナス成長から来年には大きくリバウンドするとの見通しについては変わりありません。わが国経済は今年でほぼGDPギャップがゼロになり、来年2014年から需要超過になると予想されています。なお、図表は引用しませんが、失業率については米国で2014年中に7%水準まで下げる一方で、日本では下げ渋り、欧州では高止まりになると見込まれており、逆に、インフレ率は欧州で+1.5%を下回る水準で推移するものの、米国では+2.0%近くまで上昇すると予想しています。我が国では2014年4月からの消費税率引上げの影響を除けば、2014年末でも+0.5%程度にしか達しないと見通しています。

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金融政策では我が国の異次元の金融緩和に着目しており、上のグラフを示して、日本では資産価格に大きな影響があったと、現時点で結論しています。米欧に対しては資産購入によりさらなる金融緩和を求めているのに対して、日本に対しては "The intensification of quantitative and qualitative easing in Japan is overdue and should help to attain the new inflation target" と評価しています。

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目を財政政策に転じて、上のグラフは、赤い棒グラフが2010-30年にかけての財政再建必要額のGDP比であり、紺色は2010-14年にかけてのプライマリーバランス改善見通しです。日本はギリシアに次いで財政再建の必要額が大きいにもかかわらず、2014年までの改善見通しが極めて小幅にとどまっています。従って、"In Japan, fiscal consolidation should commence in 2014 in the context of a credible medium-term fiscal plan to maintain market confidence in the face of challenging debt dynamics" と指摘されています。金融政策が大いに評価されている一方で、財政政策は悪くすると市場の信認を失いかねないような指摘を受けているのが実情です。なお、各国別の経済見通しのグラフを集めたフラッシュは下の通りです。ご参考まで。

2番めに引用したグラフで赤い折れ線の日経平均株価が最近時点で下落していることを OECD では十分認識していて、その上で我が国のリフレ派的な金融政策の評価を下しているようです。また、最近の Financial Times の "Japan's bumpy road to a recovery" と題する社説でも、"Japan's effort to get its economy moving entered difficult terrain last week. Bond yields rose and stock prices fell. Some promptly declared 'Abenomics' - the reforms launched by prime minister Shinzo Abe - a failure. This is ludicrous." として、株価の一時的な下落をもって「アベノミクスの失敗」とは受け止めていないようです。振り返って、我が国メディアの反応やいかに?

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2013年5月29日 (水)

昨夜の敗戦を引きずって楽天に完封を許して連敗!

  HE
楽  天000001001 280
阪  神000000000 060

序盤から投手戦ながら、3度の満塁など圧倒的に塁上を賑わしながら、ここ1本の決め手を欠いて、ゼロ行進を続ける阪神に対して、ワンチャンスをモノにして先制し、阪神の泣きどころの終盤のリリーフ陣からダメを押した楽天と、対照的な攻撃振りでした。どうも、雰囲気の悪い負け方だった昨夜の敗戦を引きずって、何の工夫もないままに負けてしまいました。先の日本ハム戦をちょうど裏返しにしたような2連戦でした。相手投手が荒れ球だったのはそうかもしれませんが、漫然と打ってゲッツーになるばかりで、何の作戦もなかったんでしょうか?

次のオリックス戦は、
がんばれタイガース!

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株高の資産効果とマインド改善などから商業販売統計は着実に増加を示す!

本日、経済産業省から4月の商業販売統計 が公表されました。消費との関係で注目している小売業販売額は、季節調整していない原系列で11兆5220億円、前年同月比で▲0.1%減となったものの、季節調整指数では前月比+0.7%増と順調に拡大しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月小売販売額、前年比0.1%減 天候不順で衣料品不振
経済産業省が29日発表した4月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆5220億円で、前年同月に比べ0.1%減った。マイナスは4カ月連続。気温が低めに推移したり上旬の週末に大雨が降ったりしたため店舗への客足が鈍り、衣料品の販売が落ち込んだ。一方で新車販売の効果があり、減少率は小幅にとどまった。
織物・衣服・身の回り品小売業は1.3%減だった。燃料小売業はガソリンなどの価格下落に伴い1.7%減、機械器具小売業は薄型テレビの販売不振が続き4.8%減った。一方、自動車小売業はメーカー各社が新型車を相次ぎ発売した効果で、1.2%増と8カ月ぶりにプラスに転じた。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は1.0%減の1兆5509億円。既存店ベースも2.3%減と、共に2カ月ぶりにマイナスに転じた。うち百貨店は宝飾品や時計、家具など高額商品の販売が増えたが、主力の衣料品の不振を補えず0.4%減だった。スーパーは3.3%減。天候不順に加え、日曜日が前年同月より1日少なかったことが影響した。
コンビニエンスストアは2.5%増の7789億円。総菜やコンサートチケットなどの販売が引き続き好調で、2カ月連続プラスだった。ただ、既存店ベースは来店客数の減少で雑誌やたばこの販売が落ち込み、2.6%減だった。

いつもながら適確に取りまとめられた記事だという気がします。次に、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売販売額の前年同月比、下は季節調整指数をそれぞれプロットしています。なお、このブログだけのローカル・ルールですが、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと仮置きして、影をつけた部分である景気後退期を示しています。

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曜日の要因とか、天候とか、いろいろと消費にまつわるエピソードはありますが、4月の統計としては、前年同月比マイナスは季節調整済みの前月比+0.7%を考慮してもやや弱めに出た印象がないでもありません。上のグラフの下のパネルを見ても、大雑把に昨年2012年10-12月期を底に小売販売額は上向いていると判断できますが、現時点では所得のサポートがあるかどうかはやや不疑問が残ります。株高による資産効果とマインド改善は確かに実感としてもあって、株高で家計資産は40-50兆円増加し消費を1兆円くらい押し上げる効果があるとの試算も見ましたし、何といっても、景気ウォッチャーや消費者態度指数に見るマインド改善効果は大きいと受け止めています。次のステップとしては、ボーナス支給の時期にどの程度の消費増が見込めるかです。恒常所得とは必ずしも見なされないボーナスを基にした消費の出方に注目が集まります。その先は所得のサポートです。株高による資産効果ではなく、雇用者の所得増加が統計的に確認できるかどうか、円高修正による企業業績改善効果が株価上昇だけでなく、賃金上昇に結びつくかどうか、さらに、賃金だけでなく雇用の質的な改善をもたらすかどうか、引き続き注目したいと考えています。

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賃金の上昇や雇用の質的な改善は消費をサポートするだけでなく、国民の幸福度を高めます。上のグラフは、昨日、経済協力開発機構 (OECD) から発表された OECD Better Life Index のうち、Country Reports から日本の部分を引用しています。所得、教育、安全などの項目は加盟国の中でも高いスコアを示していますが、健康やワーク・ライフ・バランスなどのスコアはよくないのが見て取れます。なお、OECD Economic Outlook については明日にでも取り上げる予定です。

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2013年5月28日 (火)

田中投手を打ち崩すもクローザーがボロボロで楽天に逆転負け!

  HE
楽  天000000304 7121
阪  神002000110 470

二転三転した試合も最後はクローザーの久保投手が打たれて逆転負けでした。全日本クラスの楽天田中投手を打ち崩した打撃陣は健在なんですが、先発はそこそこ投げる一方で、リリーフ陣が崩れつつあります。特に、今日の試合はぜんぶ久保が悪いと私は思います。雰囲気の悪い負け方でした。

明日は、
がんばれタイガース!

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企業向けサービス価格指数 (CSPI) は下落幅が拡大

本日、日銀から4月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が公表されました。前年同月比で▲0.4%の低下となり前月の▲0.2%から下落幅が拡大しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月企業向けサービス価格、2カ月連続マイナス 広告落ち込む
日銀が28日発表した4月の企業向けサービス価格指数(2005=100)は96.1と、前年同月比0.4%下落した。下落率は前月から0.2ポイント拡大し、2カ月連続のマイナスとなった。テレビや新聞の広告が落ち込んだ。自動車や通信業などが広告を控えたことが響いた。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引する価格水準を示す。4月は前月比でも0.3%下落し、3カ月ぶりのマイナスだった。日銀は「昨年夏からの緩やかな下落基調は続いている」(調査統計局)とみている。
業種別では、広告が前年と比べ5.4%下がり、マイナスに転じたほか、不動産も事務所賃貸の価格を引き下げる動きが続き、1.9%下落した。
一方で、運輸は1.4%上昇した。円安進行を背景に、主にドル建てで取引される外航貨物輸送の円換算した価格がかさ上げされた。諸サービスのなかでも、プラントエンジニアリングも上昇に転じた。

いつもの通り、統計についとてもよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、グラフは以下の通りです。物価指数の伝統に従って、季節調整していない原系列の統計の前年同月比をプロットしています。リーマン・ショックの前までは長期に渡る景気拡大と商品市況の高騰にも支えられて、前年同月比で見てプラス領域まで上昇率を高めましたが、その後、大きく落ち込み、最近時点までマイナスを続けて来ています。

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4月の企業向けサービス価格上昇率に関して、市場の事前コンセンサスは▲0.2%の下落と前月の統計と同じ下落を予想していましたので、やや意外感を持って受け止められています。円高修正の影響から運輸が外航貨物輸送などをはじめ、前年同月比+1.4%と上昇した一方で、首都圏などで事務所賃貸の下落傾向が続いているとともに、ソフトウェア開発などの情報通信が▲1.4%と下落を続け、2-3月と2か月連続でプラスだった広告が4月には▲5.4%と大きく下落したのが響きました。広告は1000分の68.5しかウェイトがなく、運輸の210.3や情報通信の216.5などと比べてもかなり小さなウェイトしか持たないんですが、前月比で見ても前年同月比で見ても広告の振れ幅は大きく、CSPI 全体への寄与も無視できません。昨年2012年のこの時期の広告については、エコカー補助金の駆込み需要を狙った自動車や、携帯電話の新端末を出した通信が積極的に広告を出していましたが、今年はその反動で落ち込んだと報じられています。

ここ数日の株式市場を見るまでもなく、アベノミクスに基づく異次元の金融緩和は一本調子で日本経済を再生する魔法の杖ではありません。統計でも一進一退を繰り返しながら、デフレ脱却とGDPギャップ解消に着実に進むことを期待しています。

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2013年5月27日 (月)

Pew Research Center の世界経済に関する意識調査結果

やや旧聞に属する話題ですが、先週木曜日の5月23日に Pew Research Center から「世界経済に関する意識調査結果」 Economies of Emerging Markets Better Rated During Difficult Timesが発表されています。もちろん、pdf の全文リポートもアップロードされています。リポートに特にタイトルらしいタイトルが付されていないので何とも呼びづらいんですが、主として意識調査のソフトデータを中心に、いくつかハードデータも交えながら、リポートされています。リポートのサマリーというほどのことはありませんが、タイトルとなっている "Economies of Emerging Markets Better Rated During Difficult Times" のほかに、副題として "Global Downturn Takes Heavy Toll""Inequality Seen as Rising" といったところが調査結果の特徴として上げられるんではないかと思います。なお、世界経済は先進国と新興国と途上国の3カテゴリーに分類されていますが、詳細はリポートの付属別表にあります。調査期間は大雑把に今年の3月中ですが、調査対象国により小さなズレがあり、日本の場合は3月5日から4月2日となっています。今夜のエントリーでは、主として格差や不平等の問題にスポットを当てて、当然ながら日本に着目してこのリポートを取り上げたいと思います。

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まず、総論として、先行き経済の見通しにつき、12か月後の方向性に関する質問に対する回答は上のグラフの通りです。グラフのタイトルは "Advanced Economies Pessimistic" となっており、見れば明らかに、先進国では新興国や途上国に比べて「改善」の比率が小さく、「悪化」が大きくなっています。ただし、「先進国」でカテゴライズするよりも、明らかに欧州諸国で「悪化」比率が高いことは読み取るべきです。日米韓は新興国や途上国でも中位に位置するくらい「改善」の比率が高く、特に、日本は「悪化」の比率が小さい点は注目すべきです。アベノミクスの効果と私は受け止めています。

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次に、もうひとつの総論として、政府の課題に関する質問に対する回答は上のグラフの通りです。グラフのタイトルは "Government Should First Address..." となっています。質問票を見ると、回答の選択肢は、雇用、インフレ、格差・不平等と公的債務の4つとなっているようです。雇用に関しては各国ともスコアが高い一方で、インフレについては先進国よりも新興国・途上国で高いスコアを示しており、逆に、公的債務については新興国・途上国よりも先進国でスコアが高くなっています。また、格差・不平等については途上国でスコアが低い一方で、先進国と新興国では高い関心を集めています。なお、我が国では先進国の中で公的債務が高いスコアを弾き出しています。当然でしょう。

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ということで、総論から各論の格差・不平等に目を転じて、不平等が問題かどうかに関する質問に対する回答は上の通りです。グラフのタイトルは "Most Say Inequality Is a Problem" となっています。当然ながら、不平等は問題であると国民から捉えられているんでしょうが、わずかな差ながら、先進国では新興国や途上国よりもスコアが低いように見受けられます。特に、我が日本は豪州とともにとても低くなっています。この背景について、格差や不平等が経済的あるいは社会的な問題と考えられておらず、例えば、自己責任や自助努力の範囲内、と受け止められているのか、それとも、格差や不平等の水準が低くて問題となるに至っていないのか、この調査だけからは不明なんですが、どちらかといえば後者なのかもしれないと私は解釈しています。

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続いて、不平等が拡大しているかどうかに関する質問に対する回答は上の通りです。グラフのタイトルは "Most Say Inequality Has Increased" となっています。このグラフの印象では、新興国よりも先進国と途上国で不平等の拡大が進んでいるような印象を受けます。ここでも、我が日本は不平等の進行を感じている割合は低くなっています。もっとも、低いとはいえ、不平等が進んでいるとする割合が軽く50パーセントを超えている点は忘れるべきではありません。

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最後に、経済システムが富裕層に有利かどうかに関する質問に対する回答は上の通りです。グラフのタイトルは "Most Say Economic System Favors Wealthy" となっています。ここでも前のグラフと同じで、新興国よりも先進国と途上国でスコアが高いような印象を受けます。また、我が日本はアングロサクソン諸国に混じってスコアは先進国の中で低くなっています。というか、新興国や途上国と比較しても低い方だという気がします。逆から見て、現行の経済システムへの信頼性が相対的に高い、と解釈することも可能です。なお、このグラフと併せて、上の2枚のグラフ、すなわち、不平等が問題かどうか、不平等が拡大しているかどうか、についても先進国の中で欧州のスコアが高くなっていることが読み取れます。

全体として、新興国と途上国で先行き経済の楽観論は少なくない一方で、先進国、特に欧州では悲観論が根強く残る中、政府が取り組むべき経済的な課題としては、雇用は当然ながら、格差や不平等の問題があるものの、我が日本については他国と比較した相対的な位置づけながら、格差や不平等の問題認識は決して高くない、ということになるのかもしれません。世界の中における日本経済に関する意識調査として、とても興味深いと受け止めています。

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2013年5月26日 (日)

試合はワンサイドで阪神勝利も、ルーキー対決は大谷に軍配?

  HE
日本ハム010000000 181
阪  神60010000x 7131

試合は1回ウラの打者一巡のビッグイニングで決まりでした。私が心配していた鳥谷選手も3安打猛打賞で、エンジンがかかりつつあります。興味はもっぱら藤浪vs大谷のルーキー対決が残るのみになりました。コチラは3打数2安打、しかも、2塁打2本で大谷に軍配が上がりそうな気がします。セパのリーグこそ違え、この先、20年間のプロ野球の名勝負の始まりなのかもしれません。

次の楽天戦も、
がんばれタイガース!

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2013年5月25日 (土)

4番マートンの劇的なサヨナラ打で日本ハムに先勝!

  HE
日本ハム000010000 170
阪  神000000002x 281

決して投手戦ではなかった気もしますが、日本ハムに先制されてホームが遠い中、最後の最後の9回にワイルドピッチで追いつき、4番マートン選手のサヨナラ打で劇的な勝利でした。先発能見投手もよくないながらも1点に抑え、リリーフの福原投手と筒井投手もゼロで抑え切ったのも逆転につながりました。大和選手のつなぎのバッティングも見事でしたが、泣くことはない気がします。クリンナップは新井貴選手も好調を維持していますし、後は、鳥谷選手にがんばっていただきたいと思います。

明日はルーキー藤浪投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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第一生命サラリーマン川柳ベスト10が発表される

おなじみ、第一生命のサラリーマン川柳の投票結果が発表されました。ベスト10は以下の画像の通りです。当然ながら、第一生命のサイトから引用しています。いずれも、「ふむふむなるほど」というカンジのものばかりです。流石です。

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2013年5月24日 (金)

ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』(河出書房新社) を読む

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ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』(河出書房新社) を読みました。この作者らしい不思議な雰囲気をたたえ、少し不気味で恐怖感を与えるようなストーリーを集めた自選の中短篇集です。まず、出版社のサイトから本の紹介を引用すると以下の通りです。

この本の内容
有名私立中学生が一学年下の美しい少女を誘拐する表題作のほか、「私の名を知る者はいない」「化石の兄弟」「タマゴテングタケ」「頭の穴」など計7篇を収録。短篇の名手による傑作選。

ミステリー! ホラー!! ファンタジー!!!
心の暗闇にある何かから目が離せない。
現代アメリカ随一の短篇の名手が自ら編んだ傑作集
ブラム・ストーカー賞、世界幻想文学大賞受賞

世界がひどく残酷だということを、
また思いだしたい気分の夜。
ぜひこの本を読んでみてほしい。
きっと満足できるから。 ——桜庭一樹(小説家)

美しい金髪の下級生を誘拐する、有名私立中学校の女子三人組(「とうもろこしの乙女」)、
屈強で悪魔的な性格の兄にいたぶられる、善良な芸術家肌の弟(「化石の兄弟」)、
好色でハンサムな兄に悩まされる、奥手で繊細な弟(「タマゴテングタケ」)、
退役傷病軍人の若者に思いを寄せる、裕福な未亡人(「ヘルピング・ハンズ」)、
悪夢のような現実に落ちこんでいく、腕利きの美容整形外科医(「頭の穴」)……
1995年から2010年にかけて発表された多くの短篇から、著者自らが選んだ悪夢的作品の傑作集。
ブラム・ストーカー賞(短篇小説集部門)、世界幻想文学大賞(短篇部門「化石の兄弟」)受賞

副題は「ジョイス・キャロル・オーツ傑作選」となっています。自選の短篇集ですが、表題作の「とうもろこしの乙女」はこの本の半分近く、356ページのうちの146ページを占め、圧倒的な存在感を放っています。誘拐という犯罪行為を軸に、被害者の母親と加害者の中のリーダー格の少女を含め、それぞれの立場の登場人物の心の動きと個別具体的な行動を克明に描き出していて秀逸としかいいようがありません。双子の兄弟を主人公にした「化石の兄弟」と「タマゴテングタケ」も、双子でありながらここまで異なった個性を持つ人物を想定するオリジナリティにびっくりします。
恥ずかしながら、私はこの著者の作品をまとまった作品集で読むのは初めてです。それまでは、何らかのアンソロジーの中のひとつの短編作品として読んでいたような気がします。おそらく、最も直近で読んだのは、岸本佐知子さんの翻訳で『野性時代』に掲載されたいくつかの作品を訳者自身がアンソロジーに編んだ『居心地の悪い部屋』に収録された「やあ! やってるかい!」だと思うんですが、上の引用した出版社のコマーシャルにもある通り、「ブラム・ストーカー賞受賞」が売り物となっているわけですから、それなりの不気味さを含む作品であることはいうまでもありません。でも、オーツの力量を遺憾なく発揮した短篇集ですし、私の知り合いに従えば、「オーツの入門編として最適な1冊」ともいえそうです。

ここ数年、ノーベル賞の季節になれば、文学賞では決まってオーツと村上春樹の名が上がります。残念ながら、この2人のような「小さな物語」の作家にはなかなかノーベル賞は回らず、ついつい「大きな物語」の作者に授賞されがちなんですが、今年こそオーツか村上あたりが受賞するかもしれません。期待したいと思います。

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2013年5月23日 (木)

投打がかみ合ってロッテを粉砕!

  HE
阪  神104000200 7130
ロ ッ テ001000000 1101

昨日と違って、先発メッセンジャー投手が粘り強く投げ、小刻みな継投の投手陣が最少失点に抑え、打撃陣がロッテ投手陣を粉砕してほぼワンサイドの完勝でした。でも、相変わらず、指名打者に人材を得ません。打つ方はかなり復活して来たように見受けますので、投手陣、特にクローザーがしっかりして小差で競った試合をモノに出来れば、ジャイアンツとの首位争いがもっと面白くなりそうな気がします。それにしても、昨日勝っとけば、という気がします。

甲子園の日本ハム戦も、
がんばれタイガース!

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5月病の季節に対処法などを考える

やや旧聞に属する話題ですが、先週金曜日5月17日にネットリサーチ大手のネオマーケティングから「5月病に関する調査」の結果が公表されています。もはや死語かと思っていたんですが、まだ5月病にかかる人もいたりするんでしょうか。ということで、まず、リポートから【調査結果概要】を3点引用すると以下の通りです。

【調査結果概要】
【1】五月病になりそう芸能人1位は「栗原類」
【2】自分が 五月病になったら「そとしておいほしい」42.2%で最多
【3】症状改善方法 「美味しいものを食べた」34.8%でトップ

私なんぞは公務員になって早や30年近くになり、職場の5月病は、厳しい就活を勝ち抜いて公務員になった若者には関係ないと見ていたんですが、大学などの5月病はまだあるのかもしれません。短期間ですが、私も地方大学で教員をしていた経験がありますので、少し聞いたような気がしないでもありません。今夜取り上げるアンケート調査結果は過去3年以内に5月病になったことがある20-49歳の男女を対象にしています。【調査結果概要】の1点目はパスして、2点目と3点目をグラフを引用しつつ紹介したいと思います。

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まず、「5月病になった際周囲の人に望む対処」の回答は上のグラフの通りです。いくつかマーキングしてありますが、「そっとしておいてほしい」や「話を聞いてほしい」が上位に並び、元気を出すように迫りそうな「励ましてほしい」や「喝を入れてほしい」は下の方に沈んでいます。5月病とはズバリ活動が不活発な状態なんですから、それを活性化するよりも、そのままの不活性状態でおいておく、というのが希望であって、励ましたり、喝を入れたりして活性化させようとするのはNGなのかもしれません。

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次に、「5月病の症状改善の為に行った対策」は上のグラフの通りです。病気なんですから医者にかかるかどうかは別にしても、休養と栄養をとることは重要です。その意味で、上位2項目は私には大いに理解出来ます。それに続くのが気分転換に役立ちそうなアクティビティです。まあ、このあたりは5月病は身体的な病気ではない可能性が示唆されているのかもしれません。最後に、相談やカウンセリングが来ていますが、順位は低くなっています。また、特に何もしなかったも、忘れたといっしょにされているものの、無視できない比率を占めているような気がします。

私は、何か問題があった時、「気合で乗り切る」といったタイプの人間ではありません。可能な範囲で合理的に物事を考えようとします。その意味で、アンケートの回答者には私の考えに近い人が多いような気もします。5月病に負けずにこの季節を乗り切っていただければと思います。

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2013年5月22日 (水)

ぜんぶクローザーの久保が悪い!

 十一十二 HE
阪  神000510000000 6170
ロ ッ テ010003002000 6120

およそ、ミスキャストな用兵で勝てる試合を引き分けた気がします。特に、大問題はクローザーの久保投手です。2点差なら逃げ切って欲しいところですが、監督もそろそろミスキャストに気づかないもんでしょうか。藤川投手がいないのは仕方ありませんが、今シーズンはこれで行くしかないんでしょうか。もうひとつのミスキャストは指名打者です。セリーグになくて慣れてないとはいえ、西武戦といい、今夜のロッテ戦といい、もう少し何とかならないものかと頭をひねっています。5時間を超えた熱戦、ならぬ、凡戦でした。

明日は、
がんばれタイガース!

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貿易統計をながめて貿易赤字の方向を考える!

本日、財務省から4月の貿易統計が発表されました。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインとなる輸出額は前年同月比+3.8%増の5兆7774億円、輸入額は+9.4%増の6兆6573億円、差引き貿易収支は▲8799億円の赤字となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字、4月で最大 対米輸出増、中国から輸入は過去最高
財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8799億円の赤字だった。赤字は10カ月連続で、4月としては前年(5184億円の赤字)を上回り比較できる1979年以降で最大だった。液化天然ガス(LNG)などの輸入が高水準だった。
輸出額は前年同月比3.8%増の5兆7774億円。円安の影響で2カ月連続のプラスだった。主に中国向けのパラキシレンなど有機化合物や、米国向けの自動車が伸びた。輸出数量は5.3%減と11カ月連続でマイナスが続いたが、3月の9.8%減、2月の15.8%減と比べマイナス幅は縮小した。
輸入額は前年同月比9.4%増の6兆6573億円で、6カ月連続で増えた。カタールなどからのLNG輸入が17.9%増えたうえ、中国やベトナムからの衣料品輸入が増えた。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=96円01銭で、前年同月比16.6%の円安だった。
地域別にみると、米国向け輸出は1兆1013億円と前年同月比14.8%増え、2008年10月以来の高い水準となった。自動車やベンゼンなど有機化合物の輸出が好調だったためで、対米貿易黒字額は5630億円と08年7月以来の水準を回復した。
一方、中国、欧州連合(EU)との貿易収支は、4月としては過去最大の赤字となった。中国からの輸入額は前年同月比13.3%増の1兆4409億円と過去最大。貿易赤字は4425億円だった。衣料品やスマートフォンなど通信機輸入が増えた一方、輸出は自動車やプレス機械部品などが減った。EUとの貿易赤字は386億円。欧州景気の低迷で19カ月連続で輸出が減少した。
財務省は今後の見通しについて「円安傾向だが、依然として海外景気の下振れリスクに留意する必要がある。鉱物性燃料の動向もあり、確たる見通しは難しい」(関税局)としている。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。最後の「確たる見通しは難しい」などはまさにその通りという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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輸出入とも着実に増加しているのが見て取れます。まず、輸入について考えると、何らかのラグを伴って、輸入は為替の価格効果が効いて数量から減り始めると私は考えていたんですが、報じられているように、電力会社などからのLNGやほかの燃料の需要であれば、価格弾力性はかなり低い可能性があります。電力会社は競争の働かない地域独占企業ですから、コストアップの価格転嫁能力は極めて高く、逆から見て、輸入燃料の価格弾力性はとても低いと考えるべきです。要するに、高い燃料で発電すると電力料金を引き上げれば済むからです。電力消費者のところまで波及して初めて価格弾力性が意味を持つかもしれませんが、かなり気の長いお話であろうと思います。原発に代替する発電用の燃料輸入などの例外を除けば、2-3四半期くらいのかなり長いラグを伴いつつ、為替の価格効果がそれなりに輸入減少に作用すると予想しています。ただし、国内景気の回復に伴う所得効果が価格効果を相殺する方向に働く可能性は否定できません。貿易赤字は年内いっぱいくらいは続く可能性が十分あります。もっとも、輸出入の価格弾力性が低過ぎてマーシャル・ラーナー条件を満たさないならば貿易赤字が解消されない可能性もあります。

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目を輸出に転じると、上のグラフの通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同月比を価格と数量で寄与度分解しており、下のパネルは輸出数量指数とOECD先行指標の前年同月比を重ねてプロットしています。ただし、OECD先行指標には1か月だけリードを取っています。現時点では、輸出数量のマイナス幅が縮小している段階ですが、Jカーブ効果の時期を過ぎれば、為替の円高是正と海外経済の拡大に伴って、今後は輸出の着実な増加が期待できると私は受け止めています。下のパネルの折れ線グラフの乖離の要因は2つあり、為替とOECD非加盟国である中国経済の動向から生じていると私は考えています。中国から見れば欧州が大きな輸出市場なんでしょうが、我が国から見れば中国はそれなりに大きな輸出市場です。今後、中国経済が本格的な拡大軌道に戻れば、円高是正の効果とともに、このグラフに見られるギャップは縮小ないし逆方向に転じる可能性があると考えるべきです。

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いずれにせよ、輸出に対するリスクは為替であると私は考えています。前々からこの考えは変わりません。上のグラフはブリティッシュ・コロンビア大学のサイトからデータを取ってプロットしています。円の対ドル及び対ユーロの日次の為替レートです。リーマン・ショック前の水準にさえ円高修正が進んでいないにもかかわらず、早くも円安に対する警戒論がメディアなどで流されています。黒田総裁より前の日銀理論に深く傾倒していたりしたんでしょうか?

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2013年5月21日 (火)

2年後に消費者物価上昇率は2%に達するか?

先週木曜日の5月16日に今年1-3月期のGDP統計、いわゆる1次QEが発表された後、今年度から2014年度ないし2015年度くらいまでの短期経済見通しがシンクタンクなどから相次いで公表されています。いくつか、私も拝見しましたが、特に興味を持って注目したのは物価見通しです。日銀が2年後の消費者物価上昇率+2%を目標に金融政策運営をしていることから、ほぼ2年後の2015年1-3月期の消費者物価上昇率に着目してみました。四半期ベースの物価見通しを公表していない第一生命経済研を除いて、以下の表に取りまとめてあります。すべて、消費者物価 (CPI) の生鮮食品を除く総合であり、2014年4月に予定されている消費税率引上げの影響を含むベースです。いつもの通り、ニューズレターで届くようなクローズな情報ではなく、ネット上で公開している機関のみを取り上げています。ヘッドラインは私の趣味で物価に関するものを抜粋しました。ただし、日本総研のように、物価には何ら言及のないリポートもあり、その場合、ヘッドラインはブランクです。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名2015年1-3月期
CPI上昇率見通し
ヘッドライン
日本総研+3.7%n.a.
みずほ総研+2.5%コアCPI前年比は夏場に小幅なプラスに転じると予測している。その後、米国基準コアCPIの持ち直しは続くものの、エネルギー価格の上昇が一服し、コアCPIの伸びが一段と高まる状況とはならないだろう。コアCPIは2013年度が前年比+0.1%、2014年度が消費税の影響を除くベースで同+0.2%(消費税含むベースで+2.3%)と、明確なデフレ脱却には至らない見通しである。
大和総研+3.1%フィリップス曲線を見ると、足下(2013 年1-3 月期)で観測されている期待インフレ率(+1.0%)が不変であった場合、日銀が目標とするCPI上昇率2%を達成するためには、GDPギャップが+8.5%となる必要がある。現状、GDPギャップは▲3%程度であるため、物価目標を達成するためにはGDPを10%以上増加させる必要があり、早期の達成は非常に困難だと言わざるを得ない。また、GDPギャップが大幅なプラスの状態を維持することは現実的ではないことから、持続的に2%の物価上昇率を維持することは難しいだろう。これに対して、期待インフレ率が上昇するケースを想定すると、仮に期待インフレ率が+4.2%まで上昇した場合、CPI上昇率2%達成に必要なGDPギャップは0%まで縮小する。
ニッセイ基礎研+2.5%景気回復基調が明確となり需給バランスが改善に向かうこと、各電力会社で電気料金の値上げが予定されていること、円安の影響が輸入物価の上昇を通じて国内物価に波及することなどから、2013年度入り後は下落幅が縮小し、夏場までにはプラスに転じる可能性が高い。2013年度中は高めの成長が続くことに伴い需給バランスの大幅な改善が見込まれること、円安に伴う輸入物価上昇による物価押し上げ圧力がさらに高まることにより、上昇率は2013年度末にかけて0%台後半まで高まることが予想される。しかし、2014年度に入ると消費税率引き上げに伴う景気減速によって、需給バランスの改善が足踏みとなるため、消費者物価の伸びは頭打ちとなる可能性が高い。
第一生命経済研n.a.消費者物価指数(生鮮食品除く総合)の見通しは、2013年度が前年度比+0.3%、2014年度が+2.7%、2015年度が+1.7%である。14年4月、15年10月に実施予定の消費税率引き上げの要因を除けば、14年度が+0.7%、15年度が+1.0%となる。日本銀行が目標として掲げる「2%」のハードルは非常に高く、実現は困難だろう。
伊藤忠経済研+3.0%2015年1-3月期の日本型コアは消費税率引き上げの影響を除くベースで0.9%(消費税率の引き上げを含め3.0%)と予想している。経済主体のインフレに対する認識は変化し、期待インフレ率は徐々に上昇していくと判断している。しかし、それが日本の隅々に行き渡るには、時間を要し、そのため実際のインフレ率の上昇も、日本銀行が見込むほどの速さでは進まないと考える。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+4.2%安倍政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」を追い風に、日本経済がデフレから脱却する可能性は一段と高まった。名目GDP成長率が実質を下回る「名実逆転」減少は13年度中に解消し、14年度末には、日本銀行が目指すインフレ率2%に到達する見通しだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+2.1%2014年度は、消費税率引き上げ後の影響が、家計部門を中心に現れる。公共投資のプラス効果が剥落することも、成長率を押し下げることになろう。このため、実質GDP成長率は前年比0.0%と伸び率は急減速する見込みである。ただし、海外経済の拡大を背景に輸出の伸びが高まってくるため、景気が後退期に入ることは回避できるだろう。こうした状況下では物価に上昇圧力はかかりづらく、消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年比+2.3%に上昇するが、消費税の影響を除けば同+0.3%にとどまり、日本銀行の目指すターゲットの達成は困難になってこよう。

ということで、特に物価上昇について詳細な分析結果を提供している大和総研とニッセイ基礎研を含めて、ただし、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所を除いて、各機関ともマイナスの物価上昇というデフレからは脱却できるものの、2年後に消費者物価上昇率が日銀の目標である2%に達することは難しいとの結論です。消費税率が2014年4月に現行の5%から8%に引き上げられる影響については、軽減税率の適用などの詳細が決まっていないものの、現在の非課税品目などを考慮して、消費者物価上昇率に対して+2%ポイント程度の押上げ効果を有すると各機関では見込んでいるように見受けられます。先行き物価見通しの典型的な一例として、ニッセイ基礎研のリポート p.7 のグラフを引用すると以下の通りです。

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ニッセイ基礎研とともに物価上昇を少し詳しく分析した大和総研のリポートでは、単純に日銀の物価上昇目標が2年後に達成できるかどうか、ではなく、期待物価上昇率を織り込んだフィリップス曲線を用いて、目標とする物価上昇率に対して、GDPギャップと期待物価上昇率の組合せを試算しています。テーブルにもある通り、物価上昇+2.0%を達成するためには、現状の+1.0%のインフレ期待ではGDPギャップが+8.5%となる必要がある一方で、期待インフレ率が+4.2%まで上昇すれば必要なGDPギャップは0%にとどまる、との結論です。実際に米国の連邦準備制度理事会がインフレ期待を上昇させるのに成功した例なども言及されています。なお、下のグラフは大和総研のリポート p.13 から引用しています。少し分かりにくいかもしれませんが、期待物価上昇率の上昇でフィリップス曲線が上方シフトすることがピンクの矢印で示されています。

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アベノミクスの中でも着実に成果を上げている金融政策について、大和総研のリポート p.9 では次のように表現されています。すなわち、「旧来の日銀擁護派がどういった理屈を並べたてようとも、大幅な円安・株高進行という『現実』の前では、黒田新総裁に対する『揚げ足取り』の様な批判はむなしく響くだけだ。」ということで、まったく同感です。吉川教授の『デフレーション』の尻馬に乗ったような「賃金が問題」という疑問や批判は続くでしょうが、リフレ派の理論と実証に基づいた現在の金融政策については、現実の日本経済が回答を出す段階に達しつつあると私は考えています。

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2013年5月20日 (月)

今夜は守りのミスから西武にボロ負け!

  HE
阪  神000000100 171
西  武00050000x 590

3回まではそれなりの投手戦だったような気もしますが、4回に守りのミスから大量点を取られて、一方的なゲームでボロ負けでした。打線も菊池投手を打ち崩せず、収穫はリリーフの玉置投手の好投くらいでしょうか。特に阪神ファンとしてコメントすべき試合ではないような気もします。アホらし。

千葉ロッテ戦は、
がんばれタイガース!

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ゴールデンウィークの消費は実は盛り上がらなかったのか?

やや旧聞に属する話題ながら、先週金曜日の5月17日に、ネット調査大手のマクロミルから「2013年ゴールデンウィークの振り返り」と題する調査結果が公表されています。今年のゴールデンウィークのお出かけ日数は昨年と同水準で、消費もそれほど盛り上がらなかった、との結果が示されています。まず、マクロミルのサイトから調査のポイントを3点引用すると以下の通りです。

トピックス
・GWのお出かけ日数は"昨年と同水準"に推移
・GWの消費金額、アベノミクス効果はまだ顕著に見られない?
・イベントや体験など"コト"への出費は堅調、"モノ"に対しては節約意識が根強く

4月19日付けのエントリーで取り上げた JTB のリポートでは、カレンダーの並びのために海外旅行が減る一方で国内旅行が増えて、今年のゴールデンウィークの旅行消費は昨年の8,934億円から9,245億円と前年比で+3.5%増加する、と予想されていたんですが、事後的にはマクロミルの調査で反対の結果が出ました。以下、グラフを引用しつつ簡単に紹介します。

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まず、上のグラフは、1週間当たりの平均外出日数を昨年と今年でプロットしています。ただし、単なる外出ではなく、「特別な買物やレジャー、会合などで外出した日数」に限っています。4月は昨年を下回る傾向が続いていましたが、ゴールデンウィークに入ってようやく昨年の水準に戻ったようで、平均お出かけ日数は、5月第1週の連休前半が1.6日、5月第2週の連休後半が1.9日でした。いずれも、昨年をやや下回っています。

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次に、上のグラフは、1週間当たりのモノやサービスに使った平均金額です。家賃やローン・公共料金・電話料金など毎月の支払いを除く額ですが、必ずしもお出かけや旅行の消費というわけではありません。4連休があった5月第2週になってようやく18,000円に達し、それまでの週より出費金額が増えたものの、昨年より▲5%超のマイナスでした。総じて前年を下回っているのは見ての通りです。

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特に消費が多かった5月第2週に購入・利用した商品・サービスを調べた結果が上のグラフの通りです。横軸がパーセントになっているので、私にはわけが分からないんですが、取りあえず、昨年と今年の比較のみで考えると、「外食」、「プレゼント・ギフト」、「国内旅行」が昨年から増加している一方で、「お酒」、「書籍・雑誌」、「化粧品」などはマイナスとなりました。なあお、「洋服」はプラスだったりするんですが、総じて、イベントや体験など「コト」に対する出費は堅調ながら、「モノ」の購入に対しては買控えや節約意識が根強く残っている、と分析されています。旅行に使う、という意味では JTB のリポートと整合的な気がします。ただし、JTB のリポートに加えて、旅行以外の「モノ」消費にはいかにもデフレ的な消費行動が示されている、ということなのかもしれません。別の観点ながら、出歩いた日数が減ったにもかかわらず外食や旅行で使った額が増えたのであれば、このグラフの見方がイマイチよく分からないのでホントにそうなのか自信がありませんが、もしそうだと仮定すれば、単価が上がったという結論になります。さらに別の観点で、「モノ」と「コト」なのか、「ハレ」と「ケ」なのか、どちらかは判然としませんが、消費行動が日常生活以外のところで変化して来ている可能性が示唆されているのかもしれません。

大雑把に、昨年11月の衆議院解散以降、年末年始、年度末・年度初めとともにゴールデンウィークは消費の動向を探るひとつの機会でした。次はボーナスシーズンということになりますが、ゴールデンウィークはお正月とともに必需性よりも選択性の強い消費が観察されることはいうまでもありません。その意味も含めて、とても興味深い結果だと受け止めています。

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2013年5月19日 (日)

ライオンズ涌井投手を打ち崩して昨日を上回る10点得点で連勝!

  HE
阪  神020502100 1092
西  武212000000 5101

予告先発の顔ぶれを見た時には投手戦かと想像しましたが、何と序盤から立派な打撃戦になり、阪神打線が西武のエース涌井投手を打ち崩して交流戦連勝です。クリンナップの3人で5打点ですから立派なものです。能見投手は打たれながらも5回を投げ終え、6-7回をつないだ筒井投手、さらに安藤投手、久保投手とリリーフ陣はしっかり抑えました。パ・リーグの本拠地でDH制があることから、6番にレフトで今成選手を入れたアイデアは不発だった気がします。
終盤は聞いたこともないライオンズの投手がいっぱい登場しましたが、BSテレ朝の放送が7回表途中の5時前に終了し、ネットでフォローせざるを得ませんでした。それにしても、1塁側のスタンドはほとんど阪神ファン一色でしたし、テレビ中継は試合途中で打ち切られるし、西武ライオンズはひどく人気がなかったりするんでしょうか?

明日は交流戦5割目指して、
がんばれタイガース!

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最新号のエコノミスト誌はアベノミクス特集

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NHKニュースか何かのメディアで見たような気もしますが、最新号のエコノミスト誌のカバーストーリーはアベノミクスが取り上げられています。と言いつつ、実は、朝が早いので、ということでもなく、まだちゃんと読んでなかったりします。主要には以下の2つの記事だと思います。ご参考まで。

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2013年5月18日 (土)

ホームランが乱れ飛んでホークス相手に何とか交流戦初勝利!

  HE
ソフトB003100010 591
阪  神51001200x 9100

1回ウラの西岡選手の先頭打者ホームランと新井弟の満塁ホームランで始まり、統一球を使った広い甲子園のゲームながら、7ホーマーが乱れ飛ぶ試合でしたが、何とかホークス相手にタイガースが打ち勝ちました。先発の小嶋投手は4回途中の降板でしたが、リリーフ陣が最少失点で抑え、打撃陣に支えられての勝利です。地元甲子園で3連敗してから4試合目というのは、とても情けないながら何とか交流戦初勝利です。

明日からの西武ドームでも、
がんばれタイガース!

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カーラン & アペル『善意で貧困はなくせるのか?』(みすず書房) を読む

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ディーン・カーラン & ジェイコブ・アペル『善意で貧困はなくせるのか?』(みすず書房) を読みました。上の画像に見られる通り、副題は「貧乏人の行動経済学」、英語の原題は More Than Good Intentions です。日本のような先進国の国内の貧困問題ではなく、世界経済における開発経済学から見た発展途上国の貧困をテーマにしています。まず、出版社のサイトから本書の紹介を引用すると以下の通りです。

善意で貧困はなくせるのか?
マイクロファイナンスのパンフレットにきれいな女性の写真を載せると申し込みは増える? 検査を受けた人にお金を払えばHIV感染率は下がる? 貴重な善意を最大限に活かすためにはどうしたらいいの?
ガーナ、ケニア、南アフリカ、インド、フィリピン、ペルー、メキシコ……理論と現実が一致しない途上国の複雑な世界にわけいって、そこから「クール」な答えを、次々と導き出している <新しい経済学> のいまを紹介。
人間心理が陥りがちな落とし穴をやんわりと回避させるための後押し(=ナッジ)の手法をふんだんに盛り込み、開発経済学の新しい知見を一般向けにやさしく語ります。
その新しさの特徴は、開発プロジェクトの「なにがうまくいって、なにがだめなのか」を社会実験ではっきり実証する点、そして人間の非合理性を考慮した新しい発想に基づいている点にあります。

昨年7月13日付けのエントリーで同じ出版社のバナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』を取り上げましたが、『善意で貧困はなくせるのか?』の著者たちの大学院での指導教員がバナジー&デュフロになりますので、ほぼ同じラインの本であるといえます。訳し方はいろいろあるんでしょうが、本書では「ランダム化比較試験」と訳されている Randomized Controlled Trial (RCT) を途上国で実験し、マイクロクレジット、貯蓄、農業、教育、医療などについて貧困撲滅のための分析結果を提示しています。
開発経済学にもいろいろな考え方があって、『貧困の撲滅』などで示されたサックス流の無償援助を重視する方向と、『エコノミスト南の貧困と闘う』で示されたイースターリー流の市場を活用する方向があります。『貧乏人の経済学』では供給ワラーと需要ワラーと表現して、また、本書では、いずれも p.279 において「価格のせいで保護を受けられない人を作ってはならないというサックス」と「資源とそれを動員するのに必要な意志は、どちらもあまりにも貴重で希少だから無駄にはできないというイースターリー」と表現して、やや対立的に考えられがちですが、実験経済学の手法でベスト・プラクティスを追求しようとするのが本書の、そして、『貧乏人の経済学』の立場です。なお、ついでながら、私はサックス教授の近い考え方であることはすでに書いたような記憶があります。
本書の末尾に、東京大学の澤田教授による解説が収録されていて、開発経済学の一般向け入門書として、5年前であれば、ジェフリー・サックス『貧困の終焉』、ウィリアム・イースタリー『エコノミスト南の貧困と闘う』、ポール・コリアー『最底辺の10億人』となろうが、今では、バナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』、モーダックほか『最底辺のポートフォリオ』、そして本書カーラン&アペル『善意で貧困はなくせるのか?』であろうと喝破しています。実は、私は専門分野でありながら『最底辺のポートフォリオ』は未読だったりしますので、非常に興味深い指摘だと思いつつ読み終えました。

ミステリの世界に安楽椅子探偵という分野があり、日本を代表するような開発経済学に基づく援助実施機関に属したこともある私なんぞも、開発経済学の分野ではフィールドワークに出ることもなく、データを取って数量分析をするに限られた活動なんですが、最近では、言葉は悪いものの、地べたをはいつくばるような臨場感にあふれ、最前線のフィールド研究から得られる知見に目を奪われるものがあります。そのひとつの成果が本書といえます。国際化の進んだ現代社会で海外の貧困に接する機会も格段に増えたことですし、専門分野にかかわりなく大いにオススメです。

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2013年5月17日 (金)

勝てそうな気配もなく交流戦で3連敗!

  HE
ソフトB030000100 4100
阪  神001001000 2100

先発メッセンジャー投手が失点し、そのままズルズルと試合が流れ、勝てそうな気配すらなくソフトバンクに負けました。選手も覇気なければ、采配も疑問だらけです。交流戦に入って勝利なく3連敗でした。点差以上にチームとしての格の違いを見せつけられた気がします。

明日は交流戦初勝利目指して、
がんばれタイガース!

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機械受注はそろそろ上向きの兆しを見せ始めたか?

本日、内閣府から3月の機械受注統計が発表されました。船舶と電力を除くコア機械受注で見て、季節調整済の前月比+14.2%増の7931億円となりました。大きな増加でしたが、基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月機械受注、前月比14.2%増 4-6月予測1.5%減
内閣府が17日発表した3月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比14.2%増の7931億円だった。増加は2カ月連続で、増加率は遡れる2005年4月以来最大だった。円安進行を背景に生産環境が改善した製造業などが設備投資を増やす動きが出たとみられる。
3月実績は日経グループのQUICKが16日時点で集計した民間エコノミストの予想(2.5%増)を大きく上回る結果となった。
製造業が前月比13.3%増、非製造業が14.3%増といずれも2桁の伸びとなった。業種別にみると、製造業では石油製品や一般機械、非製造業では金融業や情報サービス業などが全体の数字を押し上げた。円安で製造業中心に先行きの生産環境に明るさが出てきたことに加え、設備投資を見送っていた分が年度末の3月にまとめて出やすい要因もあったもよう。
一方、1-3月期の累計実績は1月に大幅減となっていたことから、前期比ほぼ横ばいにとどまった。内閣府は4-6月期の受注見通しも1.5%減と小幅のマイナスを見込んでいる。業種別に見れば、製造業の受注は0.8%増と11年7-9月以来7四半期ぶりのプラス転換を見込む。内閣府は製造業を中心に「明るい兆しが見えてきた」とみる。ただ機械受注の基調判断については「緩やかな持ち直しの動きがみられる」と前月から据え置いた。

いつもながら、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、谷は2012年11月であったと、それぞれ仮置きしています。

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昨年のミニ景気後退から長らく減少を続けて来た機械受注ですが、ようやく、上向きの兆しが見えたかもしれません。季節調整済みの前月比としては過去最高の伸び率だったそうです。特に、私なんかが期待の眼差しで見ているのは下のパネルの製造業です。機械受注はもともと振れの激しい統計ですので、単月では何とも判断しがたいんですが、そろそろ製造業も反転して設備投資が増加する兆しなのかもしれません。また、外需はコア機械受注の先行指標ですので、製造業よりもさらにジャンプしており、期待が持てるかもしれません。いずれにせよ、「兆し」以上の確実性はなく、もう少し統計の推移を見る必要があります。特に、1-3月期が前期比で▲0.0%減だったのに続いて、4-6月期もコア機械受注は▲1.5%減を見込んでいる中で、製造業だけは前期比でプラスですので、ついつい先行きについて期待を持たせますが楽観は禁物かもしれません。特に、機械受注の先にある設備投資ということになると、昨日発表のGDP統計1次QEでは下げ止まりの兆しが見えたものの、報じられているように、アベノミクスの3本目の矢である成長戦略でも3年間で1割増、というカンジなんですから、かなり気長に考える必要がありそうです。

当然のことながら、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』でも明らかにされていたように、アベノミクスとは大胆で機動的な金融政策そのものですから、即効性を示す為替などと違って、設備や雇用などの要素需要はそうでなくても遅れがちになります。ただ、望ましい方向に進んでいることだけは確認できそうです。

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2013年5月16日 (木)

1-3月期GDP統計1次QEは個人消費がけん引して年率+3.5%の高成長!

本日、内閣府から今年1-3月期のGDP速報、エコノミストの業界で1次QEと呼ばれている経済指標が公表されました。統計のヘッドラインである実質成長率は、個人消費がけん引して前期比+0.9%、前期比年率+3.5%の高成長を記録しました。かなり長くなりますが、まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月GDP、年率3.5%増 個人消費・輸出けん引
内閣府が16日発表した2013年1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%増、年率換算で3.5%増となった。株高による消費者心理の改善で自動車を中心に個人消費が伸びたほか、米国向けを中心に輸出が4四半期ぶりにプラスに転じた。景気のけん引役が、公共事業から民需と輸出に移りつつある。
甘利明経済財政・再生相は16日の会見で「個人消費を中心に安倍晋三政権の経済政策の効果が表れ始めている」と語った。そのうえで、14年4月の消費税率の引き上げに向けて「経済環境を整えるスタートを切れた」と述べた。日本経済は昨秋に底を打ったとみられ、持ち直しが続いている。
成長率は民間エコノミストの予想平均(2.8%増)を上回った。輸出が想定よりも好調だったため。生活実感に近い名目成長率は0.4%、年率で1.5%だった。
実質GDPの前期比の増減にどれだけ貢献したかを示す寄与度は、輸出から輸入を差し引いた外需が0.4%分と最も大きく民間需要は0.3%分。公的需要は0.2%分だった。
実質成長率を主要項目別に見ると、個人消費が0.9%増。消費者心理の改善や新型車の投入、エコカー補助金の打ち切りに伴う反動減の一服で自動車が大きく伸びたほか、外食、娯楽、衣服も好調だった。「押し上げの相当部分は株高による資産効果で説明できる」(内閣府幹部)という。住宅投資は消費増税前の駆け込みもあって1.9%伸びた。
輸出は3.8%増と、4四半期ぶりにプラスに転じた。欧州やアジア向けは不振だったが、米国向けの自動車が好調だったことが主因だ。
設備投資は0.7%減と5四半期連続のマイナス。産業機械が落ち込んだが、経営者心理の改善で自動車や建設資材向けの投資が持ち直した。減少率は1四半期連続で縮小し、下げ止まりの兆しが出てきた。
公共投資は0.8%増と、増加率は4四半期連続で落ち込んだ。建設資材や人材の不足が続いているうえ、大型補正予算による押し上げ効果が本格化する前だったため。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス1.2%。マイナス幅は5四半期ぶりの大きさだった。控除項目の輸入デフレーターが円安の影響で上昇したことが主因だ。
同時公表した12年度の実質GDPは1.2%増と3年度連続のプラスとなった。内需がけん引して11年度の0.2%増から大きく伸びた。名目GDPは0.3%増だった。デフレ基調の継続で、15年度連続で実質値を下回る「名実逆転」となった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2012
1-3
2012
4-6
2012
7-9
2012
10-12
2013
1-3
国内総生産GDP+1.3▲0.2▲0.9+0.3+0.9
民間消費+0.8+0.2▲0.4+0.4+0.9
民間住宅▲1.5+2.3+1.5+3.5+1.9
民間設備▲2.4▲0.3▲3.3▲1.5▲0.7
民間在庫 *(+0.5)(▲0.5)(+0.1)(▲0.1)(▲0.2)
公的需要+2.4+1.5+1.0+1.1+0.6
内需寄与度 *(+1.2)(+0.1)(▲0.3)(+0.3)(+0.5)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.3)(▲0.6)(▲0.1)(+0.4)
輸出+2.7▲0.0▲4.4▲2.9+3.8
輸入+2.0+1.8▲0.3▲2.2+1.0
国内総所得GDI+1.0▲0.1▲0.6+0.3+0.4
国民総所得GNI+1.0+0.1▲0.7+0.4+0.4
名目GDP+1.2▲0.6▲1.0+0.1+0.4
雇用者報酬▲0.1▲0.2+0.6▲0.4+0.5
GDPデフレータ▲1.0▲1.0▲0.8▲0.7▲1.2
内需デフレータ▲0.2▲0.7▲1.0▲0.8▲0.9

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1-3月期の最新データでは、前期比成長率がプラスであり、赤い棒グラフの消費と黒の外需、黄色の公的需要などが成長を押し上げ、逆に、水色の設備投資と灰色の在庫といった企業部門がマイナスに寄与しているのが見て取れます。

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ごく単純に評価すれば、いい姿の成長だということが出来ます。内外需バランスよく寄与して高成長を達成しています。消費や住宅といった家計部門が強くて、設備や在庫などの企業部門は低空飛行ですが、国内需要として合わせて見ればプラスの寄与度を示し、輸出も伸びて外需も成長に寄与しています。設備投資はまだマイナスなんですが、下げ止まりの兆しがあり、輸出が堅調なことから、投資が増加に転じるのは時間の問題と受け止めています。在庫調整は着々と進んでいるように見えます。細かい見方かもしれませんが、3点だけ懸念を上げておくと、第1に、公的需要が伸びているのは成長の観点からすればプラスなんですが、財政収支の観点からは疑問視する向きがあるかもしれません。第2に、消費の伸びに比べて所得が伸びておらず、アベノミクスに喚起されたマインド改善に偏った消費増ともいえます。なお、第3に、デフレータが再びマイナス幅を拡大しました。でも、デフレータは円建ての輸出価格が上がって輸入価格が上がることに起因しており、為替の円高修正に伴う短期的な現象ですのでそれほど大きな心配することもなく、貿易のJカーブ効果のようなものだと私は受け止めています。
アベノミクス効果により1-3月期が一般にもかなり分かりやすい成長を示し、現時点の5月半ばは4-6月期のど真ん中に当たるわけですが、少なくとも1-3月期の景気環境から大きく潮目の変化があったとはとても考えられませんから、秋から想定されている来年4月からの消費税率引上げは何ら問題なしということになりそうな気がします。私の想像では、消費税率引上げを議論する時点で4-6月期の2次QEが発表になっていると思います。世界を見渡せば、米国経済が順調な景気拡大を続け、中国経済も持ち直す可能性が高いことなどから、欧州経済だけが気がかりですが、世界経済の動向は深刻な問題はないように見えます。国内経済に目を転じても、所得との関係で消費の持続可能性の問題は残るものの、他方で、設備投資が復活する兆しもあり、消費税率の引上げの延期をもたらすほどの大きな景気の停滞を迎える可能性はかなり小さいと考えるべきです。

短期的にはアベノミクスは成功したと私は考えています。これはかなり明らかです。そして、何度も繰り返している通り、今年度いっぱいくらいは順調な成長が続いて、2013年度で見て+2%台半ばの成長が達成された後、来年2014年4-6月期の消費税率引上げによって当該四半期はマイナス成長に陥る、と多くのエコノミストは考えているようです。典型的な一例として、今日発表されたばかりの日本総研の経済見通しにリンクを張っておきます。

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2013年5月15日 (水)

榎田投手が打ち込まれてオリックスにボロ負けし交流戦は連敗スタート!

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  HE
オリックス302022000 9130
阪  神010010000 280

帰宅してテレビを見始めたころには、すでに大差がついて先発の榎田投手が降板していました。結局、最後までどうにもならず、オリックスにボロ負けでした。まあ、かつての岡田監督に試合後にボロクソにいわれないだけ、ちっとはましかという気もしないでもありません。危険球で退場させられた鶴投手も、さらにつないだ藤原投手も覇気のない投球でした。当然のように、打線も湿りっ放しです。交流戦に入っていきなり冴えないスタートでした。私は7回ラッキーセブンの攻撃を終えてお風呂に入ってしまいました。お風呂から出ても、何も変わりありませんでした。

次のソフトバンク戦は、
がんばれタイガース!

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労働力調査の詳細集計からデフレと賃金の関係を考える!

昨日午後、総務省統計局から労働力調査の詳細集計が発表されています。労働力調査といえば、毎月の失業率がおなじみなんですが、この詳細集計では正規・非正規雇用の統計が注目されています。今夜は正規・非正規の雇用とデフレの関係を論じたいと思います。まず、日経新聞のサイトからこの統計に関する記事を引用すると以下の通りです。

仕方なく非正規、男性で3割超 労働力調査
総務省が14日発表した1-3月期の労働力調査(詳細集計)によると、非正規で働く男性に理由を聞いたところ、「正規の仕事がない」ことを挙げる人が31.1%と最も多かった。特に35-54歳の層では49.1%と半分近くを占めた。正社員に就けず、仕方なく非正規で働く人が多いようだ。
総務省は今年1月からこの調査を始め、今回初めて集計した。女性が非正規で働く理由は「家計の補助や学費のため」が27%、「都合の良い時間に働きたい」が24.8%と多かった。「正規の仕事がないため」とした人は14.8%で、男女で非正規を選んだ理由の違いが浮き彫りになった。
政府は不本意ながら非正規で働く人の処遇を改善するため、正社員や無期雇用に転換した企業への助成制度を今年から始めている。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。続いて、他の政府統計とともに雇用統計を取り上げた4月30日付けのエントリーでもお示ししましたが、役員を除く雇用者のうち、正規と非正規の雇用者の比率の推移は以下のグラフの通りです。この正規・非正規比率の調査は1984年から始まっており、1984年から1998年までは毎年1回で2月時点の調査、1999年から2001年は毎年2回で2月と10月時点の調査、2002年以降昨年2012年までは四半期調査、今年2013年からは月次調査として実施されています。下のグラフは切りのいいところで1985年からプロットしています。

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一目瞭然ですが、正規比率は30年近くに渡って低下を続けています。調査開始時点の2984年には正規比率が84.7%に上っていましたが、1990年調査では80%を割り込み、2002年10-12月期には70%を下回りました。1984年の84.7%から2001年2月の72.8%まで、17年間でほぼ▲12%ポイント正規比率は低下し、年間▲0.70%ポイントで正規比率が低下しており、2001年2月の72.8%から2013年1-3月期の63.7%まで、12年間でほぼ▲9%ポイント低下して、今世紀に入って年間▲0.76%ポイントとややテンポを上げて正規比率が低下しています。

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続いて、同じく統計局の労働力調査詳細集計から、上のグラフは男女別に非正規雇用となった理由をプロットしています。今回初めての調査結果です。時間的な自由度や補助的な収入目的、あるいは、家事等との両立などが女性で高い比率を占めており、非正規雇用の、いわば、本来的というか、決して否定的ではない理由が上げられている一方で、男女とも「正規の仕事がない」が無視できない比率を占めています。特に男性では30%を超えています。所得を得るための雇用としてばかりでなく、例えば、経済産業研究所の「非正規労働者の幸福度」の研究成果によれば、未婚、短い雇用契約期間などとともに非自発的な非正規雇用といった労働者の属性は主観的幸福度を引き下げる要因となっています。

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主観的幸福度もさることながら、マクロ経済における非正規雇用の問題は所得の低さに起因します。上のグラフは厚生労働省の毎月勤労統計の5人以上事業所における就業形態別の現金給与総額の前年比増減率をプロットしています。一見すると矛盾するような部分があります。すなわち、2003年と2004年はフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者のいずれも前年比で賃金が上昇しているにもかかわらず、この両者の加重平均であるトータルは前年比マイナスとなっています。シンプソン・パラドックスが生じているわけです。毎月勤労統計2013年3月速報では、月間の現金給与総額で見て一般労働者が350,688円であるのに対して、パートタイム労働者はわずかに93,305円にとどまっています。ですから、一般労働者とパートタイム労働者のいずれも賃金が上昇しても、一般労働者からパートタイム労働者へのシフトが生じれば、加重平均のトータルの賃金は下がってしまいます。毎月勤労統計の一般労働者とパートタイム労働者の区分が、統計局の正規・非正規雇用者の区分と厳密に一致するわけではないので、あくまで参考なんですが、非正規雇用の増加が日本国民全体の賃金所得に対する下押し圧力となっているわけです。逆から見て、雇用が非正規から正規にシフトすれば、正規と非正規のそれぞれの賃金水準が変わらなくても、マクロでの国民トータルの賃金所得は増加します。
なお、賃金とデフレの関係について、私は従来から物価が先行して賃金が後を追う、という第1次石油危機の当時の経験を引き合いに出し、賃金上昇はデフレ脱却の十分条件と主張していますが、今年の2月26日付けのエントリーで紹介した吉川洋教授の『デフレーション』が効率的賃金仮説を主張したため、デフレ脱却と賃金の関係は当然ながら大いに注目されています。特に、吉川教授の主張の後を追うように、リフレ政策に懐疑的な論者から「リフレ政策では賃金が上がらないからデフレから脱却できない」という主張がなされる可能性があります。別の観点ですが、ライシュ教授の『暴走する資本主義』にもある通り、賃金を所得として受け取る労働者からすれば賃金を上げる方向が望ましいんですが、資本主義の中で賃金をコストと考える投資家や消費者からすれば低賃金を求めがちになってしまいます。しかし、労働者が非正規から正規雇用にシフトすることによる国民トータルでの所得の増加の可能性があることは見逃すべきではありません。その意味でも、もちろん、主観的幸福度の観点からも、質の高い正規雇用、あるいは、ILOのいう decent work の増加は、もちろん、デフレ脱却の結果としてもたらされると多くのリフレ派エコノミストは考えていることと思いますが、デフレ脱却の観点からも重要になると考えるべきです。

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最後に、ついでながら、本日、内閣府から4月の消費者態度指数が発表されました。先週発表の景気ウォッチャーの現状判断DIが低下したので、私は大いに注目していたんですが、消費者態度指数は前月比+1.4ポイント上昇の44.5に上昇しました。上のグラフの通りです。統計作成官庁である内閣府は基調判断を「改善に向けた動きがみられる」に据え置いています。なお、4月から調査方法が変更になり、従来との接続性は確保されていないようです。グラフでは「新系列」として緑色でお示ししてあります。調査方法の変更に関する詳細な情報は内閣府のサイトで提供されています。

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2013年5月14日 (火)

企業物価に見るデフレの現況やいかに?

本日、日銀から4月の企業物価指数 (CGPI) が発表されました。ヘッドラインとなる国内企業物価は前年同月比で保合いとなり、昨年3月以来ほぼ1年振りにマイナス圏から脱した形になりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月の国内企業物価横ばい 下落1年1カ月ぶりとまる
日銀が14日発表した4月の国内企業物価指数(2010年=100、速報値)は101.4となり、前年同月比横ばいとなった。上昇率がマイナス傾向から抜け出すのは12年3月以来、1年1カ月ぶり。外国為替市場で円安が進み、石油・石炭など素材品目の輸入価格が幅広く上昇。電気料金の値上がりも影響した。
項目別の内訳では、電気料金の引き上げの影響で電力・都市ガス・水道が前年同月比6.4%上昇したほか、米国の住宅市況の回復などを背景に製材・木製品が6.0%プラスとなった。中国の需要低下などを受けて鉄鋼は5.0%下落。価格競争が激しい情報通信機器も6.2%下がった。
円安の影響で、円ベースの輸入物価指数は前年同月比9.5%上昇の123.8となった。6カ月連続の上昇で、水準としてはリーマン・ショックが発生した08年9月以来の高い水準となった。契約通貨ベースでは4.5%低下しており、円安が輸入物価を押し上げた格好だ。
企業物価指数は前月比でみると0.3%上昇し、5カ月連続のプラス。5カ月連続で上昇するのは10年12月-11年4月以来となる。企業物価は出荷や卸売り段階で企業間でやり取りされる製品の価格水準を示す。

いつもながら、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、企業物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルは国内と輸出入、サービスの物価上昇率です、サービスだけ2005年基準であるほかは、2010年基準です。下のパネルは需要段階別の素原材料、中間財、最終財の上昇率です。いずれも前年同月比の上昇率であり、折れ線グラフの色分けは凡例にある通りです。

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企業物価の統計やグラフを見る上で注意すべきであるのは、すべて円建てで評価されていることです。国内物価はそれで何ら差し支えないんですが、輸出入物価は少し様子が違います。すなわち、4月の前年同月比で見て、輸出物価は円ベースで+8.9%の上昇なんですが、契約通貨ベースでは▲1.6%の下落ですし、輸入物価は円ベースで+8.2%の上昇が契約通貨ベースでは▲4.5%の下落だったりします。どうしてこうなっているのかというと、円高修正がこの1年間で、というか、昨年11月以降でかなり進んだからです。円ベースの輸出入物価はいずれも昨年10月まで前年比でマイナスだったんですが、実に正直に昨年2012年11月からともにプラスに転じています。
引用した記事にある通り、前年同月比で上昇幅が大きいのは、電力・都市ガス・水道、製材・木製品、非鉄金属などの原材料となっており、逆に、大きく下落したのは、情報通信機器や鉄鋼となっています。また、季節調整していない前月比で3月から足元で上がったのは、やっぱり、電力・都市ガス・水道や食料品・飲料・たばこ・飼料となっています。他方、輸出入物価の契約通貨ベースで下がったのは、輸出で輸送用機器と化学製品、輸入で石油・石炭・天然ガスなどとなっています。世界的な需給関係が価格に反映されていると私は受け止めています。

現時点で、企業物価がゼロに戻したとはいえ、輸入の素原材料が円高修正の結果として円ベースで上昇しているのが大きな要因となっており、景気の拡大に伴う需給ギャップの改善や賃金上昇が主導しているわけではありません。即効性の高い円高修正はともかく、アベノミクスが経済全体に波及するには今しばらく時間がかかりそうです。

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2013年5月13日 (月)

川上未映子『愛の夢とか』(講談社) を読む

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川上未映子『愛の夢とか』(講談社) を読みました。この作者の初めての短篇集だそうです。7編の短編から中編くらいの長さの作品が収録されています。まず、出版社の特設サイトから目次の画像を引用すると以下の通りです。

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収録されている初めの方の作品は、この著者のデビュー作である『わたくし率 イン 歯ー、または世界』とか、『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』などのように、この作者独特の表現がありますが、最後の方の中編に近い長さの作品はよりジェネリックな表現を使っています。特に、私は最後の「十三月階段」がよかったです。そのひとつ前の「お花畑自身」はややブラックで、湊かなえの作品といっても通るような気もしないでもありません。なお、初出で出た文学雑誌はかなりバラけており、さらに、時期的に古い作品も含まれます。その点だけを取り上げると、昔の短編もいっしょに無理やり収録した、という趣がないでもないですし、例えば、2011年3月の震災について言及したりしなかったりするんですが、不思議とまとまりのある短篇集の作品に仕上がっています。表現力とともに、この作者独特の世界観が示されているためではないか、と私は受け止めています。ということで、従来からこのブログで表明している通り、まごうことなく私はこの作者のファンです。この短篇集で作者の新たな世界が開かれた気もします。

装丁は名久井直子さんで、上の画像に見る表紙のように、とても「乙女チック」なんですが、それほど内容は「乙女チック」ではないように感じました。私と同じく、この作者のファンであれば読んでおくべき1冊です。

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2013年5月12日 (日)

終盤登場のリリーフ陣の差か、6連勝フィニシュで交流戦へ!

  HE
阪  神000000031 4120
ヤクルト001000010 282

終盤近くまではなかなかの投手戦で、結局、両チームとも8回から登場のリリーフ陣の差なのか、8回の新井兄の逆転ツーランが飛び出して、さらに9回にも加点して阪神が東京ヤクルトに逆転勝ちでした。ジャイアンツも負けないので差は1.5ゲームのままですが、これで巨人に続いて東京ヤクルトも2カード連続で3タテし、6連勝と波に乗って交流戦に突入です。交流戦に入って何が起こるのか?

交流戦でも、
がんばれタイガース!

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2013年5月11日 (土)

ヤクルトとの乱打戦を制して5連勝!

  HE
阪  神104023010 11160
ヤクルト030200020 7130

昨日の段階から予告されていた先発投手だけを見れば分が悪いと感じていたんですが、結局、乱打戦になりました。私から見れば岩田投手は阪神の中でもっとも信頼感のない先発投手ですし、リリーフ陣のAFKもこのところ締まりなく、打撃戦になってしまいました。最後の9回ウラの無死満塁までハラハラドキドキの展開でしたが、何とか逃げ切り巨人戦から5連勝でした。それよりも心配なのは、登録抹消されたルーキー藤浪投手です。まだまだ先の長い選手なんですから、ファームでしっかり体調を整えて下さい。

明日も6連勝目指して、
がんばれタイガース!

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村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋社) を読む

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村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋社) を読みました。いうまでもありませんが、話題の本です。それなりにメディアに目を通す教養ある日本人であれば、この書名は何度か耳にしたことがあるんではないかと思います。
ジェットコースターのように目まぐるしく起伏に飛んだストーリーだった前作の『1Q84』と違って、淡々と物語が進みます。タイトルにある名前が主人公で、この主人公を除いて姓に色が入っており、アカ、アオ、シロ、クロと呼ばれるが、ミスター・ブルー、ミス・ホワイトなどとも表記されている場合もあり、ポール・オースターの『幽霊たち』を思い出しました。主人公の多崎つくるは高校生のころに他の男女2名ずつの友人と「乱れなく調和する共同体」(p.20) を形成してボランティア活動をしていたんですが、つくるだけが東京の大学に進み、名古屋の地元に残ったほかの4人から大学2年生の時に絶縁されます。それから16年を経て、つくるは36歳の鉄道の駅を作るエンジニアとなり、2歳年上の女性と結婚まで視野に入れた真剣な付き合いをするうち、なかなか進展しない2人の関係の突破口的に、過去の絶縁の理由を探り始め、名古屋で、また、フィンランドに行ってまでかつての友人達と直接話をして過去を解明して行きます。自分自身では特徴がない(=色彩のない)と考えているつくるが、実はどのように仲間から見られていたか、興味深い観点です。ミステリタッチの要素はあるんですが、謎解きミステリのような読み方はオススメ出来ません。あるがままに読むべきです。また、大学の後輩の灰田やその灰田の父の話に出てくる緑川など、無理やりに色彩を持つ名前の人物のエピソードについては、結局、やや消化不良的に終わったりします。このあたりは気にしてはいけません。

今までの村上作品の中で強引に関連付ければ、やや『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のラインに近い気もしますが、私はこの最新作よりも『1Q84』の方を評価します。でも、近々ノーベル文学賞を授賞されるかもしれませんし、これだけ話題になって売れまくっている本ですので、私のような村上ファンでなくても読んでおいて損はないと思います。

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2013年5月10日 (金)

景気ウォッチャーと経常収支から日本経済を考える

今日は、内閣府から4月の景気ウォッチャー調査結果と財務省から3月の経常収支が発表されました。景気ウォッチャーは現状判断DIが前月比▲0.8ポイント低下の56.5となり、6か月振りに低下しました。他方、先行き判断DIは前月比+0.3ポイント上昇の57.5となり、2か月振りに上昇しています。。経常収支は1兆2512億円の黒字です。まず、日経新聞のサイトから統計を報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月の街角景気、天候不順で改善一服 先行き指数は最高更新
内閣府が10日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比0.8ポイント低下の56.5だった。株高を背景に高額品の売れ行きは伸びたが、天候不順による春物衣料の不振が響き、過去最高に並んだ3月から一転、6カ月ぶりに悪化した。内閣府は基調判断について「持ち直している」を維持した。
4月は「家計」と「雇用」で低下した。株高が消費者の購買意欲を刺激し「宝飾品やブランド品といった高額品の売り上げが前年を大きく上回っている」(東北の百貨店)との指摘がある半面、「4月中旬は気温が低下して売り上げが大きく落ち込んだ」(四国の衣料品専門店)との声が目立った。雇用についても新年度向けの人材の需要増が一巡したとみられる。
一方、2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は0.3ポイント上昇の57.8と、2カ月ぶりに改善。製造業を中心に円安による収益改善を見込む声が根強く、調査を開始した2000年1月以降の最高を更新した。ただ「燃料費の高止まりによるコスト負担が運賃に転嫁できず、今後極端に良くなるとは思えない」(北陸の輸送業)といった円安デメリットを懸念する見方も広がっている。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は90.5%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は4月25日から月末まで。
12年度の経常黒字、現基準で過去最低 所得増も燃料輸入が響く
財務省が10日発表した2012年度の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は4兆2931億円の黒字だった。黒字額は11年度に比べ43.6%減り、現基準で比較可能な1985年度以降では最低となった。海外から受け取る利子や配当など所得収支は増えたものの、液化天然ガス(LNG)など高水準の燃料輸入による貿易収支の赤字拡大が響いた。
貿易収支は輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで6兆8947億円の赤字。2年連続の赤字で、赤字額は11年度からほぼ倍増し、過去最大だった。輸入額は燃料やスマートフォン(スマホ)など通信機輸入が増え、11年度比3.6%増の68兆4650億円と3年連続で増えた。輸出額は1.7%減の61兆5703億円で2年連続の減少。昨秋の中国との尖閣諸島を巡る問題や欧州の景気低迷が響いた。自動車などが伸びた米国や、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けの輸出は増えたが補いきれなかった。
一方、所得収支は14兆7245億円の黒字。11年度より5.1%増えた。増加は2年度連続。海外投資による配当金や海外拠点の収益などの受け取りが増えた。
旅行や輸送動向を示すサービス収支は2兆5812億円の赤字。海上貨物輸送で外国船利用が増えたことなどが響き、赤字額は11年度に比べ7545億円拡大した。
同時に発表した13年3月の経常収支は1兆2512億円の黒字。黒字は2カ月連続だが、前年同月より4.3%減った。貿易収支は2199億円の赤字で9カ月連続の赤字だった。輸入額は、LNGや原粗油などが伸び前年同月比3.9%増の6兆2870億円。輸出額は有機化合物などが増え0.3%増の6兆671億円と、2カ月ぶりに増えた。
所得収支は1兆7111億円の黒字。円安が進み企業が海外投資から受け取る利子や配当などが増え、黒字は前年同月より14.0%増えた。サービス収支は5億円の黒字だったが、99.4%減少と大幅に落ち込んだ。財務省は経常収支の先行きについて「内外の経済情勢や為替、LNG、原粗油価格や金利の動向等によるところが大きく、今後の動向を注視する必要がある」(国際局)と話している。

いつもながら、どちらの記事もとてもよくまとまっているという気がします。ただし、経常収支は年度計数に注目が集まって、月次統計を報じた部分はパラひとつ分しかありませんでした。続いて、景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIのグラフ及び現状判断DIと雇用関連DIは以下の通りです。影をつけた部分は景気後退期ですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールとして直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月と仮置きしています。

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やや低下した現状判断DIの3つのコンポーネントについて見ると、家計動向関連は高額品の販売が相変わらず好調だったものの、引用した記事にもある通り、天候不順により春物衣料などが伸び悩んだことから低下し、また、雇用関連も年度末・新年度向け求人が剥落したことから低下した一方で、企業動向関連は円安が進行する中で製造業を中心に売上や収益が増加したため上昇しています。他方、過去最高を更新した先行き判断DIについては、アベノミクスによる円高修正や株価上昇が続き、夏季ボーナス増加への期待が見られることから、企業動向部門と雇用部門で上昇しました。総じて見て、統計作成官庁の内閣府が基調判断を「持ち直し」で据え置いたのは妥当なところではないかと受け止めています。マインド指標が一本調子でこの先もずっと上昇を続けるハズもありません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示しており、積上げ棒グラフは経常収支を構成する貿易収支などのコンポーネントです。色分けは凡例の通りです。季節調整済みの系列をプロットしています。2011年3月の震災のあたりから傾向的に経常収支の黒字幅が縮小しており、その要因は貿易赤字の拡大であることが読み取れます。3月統計で経常黒字が拡大しましたが、ここ2年ほどの傾向から外れているわけではないと受け止めています。ただし、最近時点では円高修正が進んでいることから、Jカーブ効果により円建ての貿易赤字が拡大している可能性が高いと考えるべきであり、為替の水準次第ですが、今後、貿易赤字は縮小ないし黒字に転換する可能性も十分あり得ると期待しています。

そろそろ、為替と株だけでなく、この3-4月くらいの経済指標からアベノミクスの効果も一巡する部分が現れ始める可能性があると私は考えています。今週でゴールデンウィーク気分も完全に抜け、引き続き、経済指標をウォッチしたいと思います。

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2013年5月 9日 (木)

景気動向指数から見たアベノミクスによる期待先行の景気の現状やいかに?

本日、内閣府から3月の景気動向指数が発表されました。ヘッドラインとなるCI一致指数は前月から+0.8ポイント上昇して93.3、他方、CI先行指数は▲0.1下降して97.6となりました。まず、統計のヘッドラインなどを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

3月の景気先行指数4カ月ぶり低下 住宅着工床面積の減少響く
内閣府が9日発表した3月の景気動向指数(CI、2005年=100)速報値は、数カ月後の先行きを示す先行指数が0.1ポイント低下の97.6と4カ月ぶりのマイナスだった。2月に大きく伸びた住宅着工床面積が反動で3カ月ぶりに減少に転じた。2月まで4カ月連続で上昇していた新規求人数が低下したことも響いた。
景気の現状を示す一致指数は0.8ポイント上昇の93.3と、2カ月連続でプラスだった。電気機械や一般機械の出荷が増加したほか、タイヤ向けの合成ゴムやスマートフォン(スマホ)向けの電子部品の生産が伸びた。消費者心理の改善で春物衣料の販売も好調だった。
一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断について、内閣府は前月の「下げ止まり」を据え置いた。
景気に数カ月遅れる遅行指数は1.1ポイント上昇の87.1で3カ月ぶりプラスだった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が80.0、先行指数が88.9だった。

いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。続いて、景気動向指数の推移をプロットしたグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールにより、直近の景気の山と谷は2012年3月と2012年11月とそれぞれ仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、先行指数が下降したのは住宅着工床面積と新規求人数の影響が大きい一方で、一致指数では製造業の中小企業出荷指数、輸送機械を除く投資財出荷指数、小売業販売額などが伸びて上昇しました。もっとも、当資材出荷が伸びた一方で、耐久消費財はマイナスとなって下降に寄与しています。基調判断は先月から据置きの「下げ止まり」となっています。
昨年末から景気動向指数のCI先行指数とCI一致指数がやや乖離を見せたのは、先行指数に含まれるマインド指標が一致指数には含まれずハードデータだけで構成されているため、アベノミクスの期待先行により先行指数の上昇が大きかったからである、と私は受け止めています。本日発表の3月統計では、先行指数が停滞するという形で両者の乖離が縮小しました。この先、CI一致指数が大きく伸びる形でCI先行指数との乖離が縮小すれば景気は期待先行から実体経済に波及したと見なすべきですが、現時点ではまだその段階には達していないと考えるべきです。

この先1年くらいの景況感については、昨日の1次QE予想でも書いた通り、繰返しになりますが、2013年度いっぱい我が国経済は安定的な回復軌道をたどり、来年2014年1-3月期に消費税引上げ直前の駆込み需要が生じた後、来年度2014年度が明けて4-6月期には反動でマイナス成長を記録する、というところまでは緩やかで大雑把ながらエコノミストの間にもコンセンサスがあるんではないかと私は考えています。

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2013年5月 8日 (水)

リリーフ陣が崩れるも延長12回の接戦を制してジャイアンツを3タテ!

 十一十二 HE
阪  神000000020001 360
読  売000000011000 280

今日も7時少し前からのテレビ観戦で、フォアボールを連発する荒れた榎田投手と力で押しまくる澤村投手の対照的な投手戦でした。ややジャイアンツが押し気味の中、終盤8回表に伊藤隼太外野手のツーランが出て逃切り体制に入ったものの、またまたセットアッパーとクローザーがともに終盤で失点して追いつかれ延長戦となりました。私は9時前からお風呂に入ってしまったんですが、10時前にテレビを見るとまだ試合をやっていました。限界説もささやかれる代打桧山選手のタイムリーで粘り勝ちでした。その前の田上選手もツーアウトからよくフォアボールを選んで、ファーストから長駆ホームインの激走でした。10回以降は小刻みな投手リレーでゼロに抑え、勝利を呼び込みました。

交流戦前の松山でのヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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来週5月16日に発表される1-3月期GDP速報1次QEは年率3%の高成長か?

来週木曜日の5月16日に今年2013年1-3月期GDP速報1次QEが内閣府より発表されます。必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ウェブ上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で景気の先行きに関する部分を中心に取っているつもりです。今回は、表の下に置いた3機関、すなわち、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと三菱総研とみずほ証券リサーチ&コンサルティング以外は何らかの先行きに関する言及がありました。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.8
(+3.2%)
4-6月期を展望すると、①安倍政権が打ち出した緊急経済対策の本格的な進捗に伴い公共投資が大きく増加すること、②米国の堅調な経済成長や昨秋からの円安を受けて、輸出環境が改善に向かうこと、③消費者マインドや企業の景況感の改善などが個人消費や設備投資にプラスに作用すること、などから、比較的高い成長率が続く見通し。
大和総研+0.7%
(+2.8%)
先行きについては、輸出の増加がポイントとなる。輸出数量は下げ止まりつつあり、4-6月期には、海外経済の回復と、昨年末から続いていた円安を背景に、増加基調を強める見込みである。輸出の増加は、生産の増加を通じて設備投資を誘発する見込みであることに加え、企業収益の改善によって家計所得へ波及するとみられる。4-6月期以降は、輸出の増加による経済全体への波及効果が顕在化することで、安定的な景気回復が続く公算である。
みずほ総研+0.5%
(+1.8%)
海外経済が緩やかながらも持ち直す中で、円安の数量面への効果が徐々に表れ、夏場にかけて輸出の伸びも高まってくることが予想される。加えて、生産活動の持ち直しを受けた雇用・賃金の回復、消費者マインドの改善に後押しされ、個人消費は4-6月期以降も緩やかな拡大を維持すると予想される。設備投資の回復はやや遅れるとみられるが、輸出と公的需要の伸びが高まり、個人消費が緩やかな拡大を維持することにより、4-6月期の成長率は年率+2-+3%台に高まる見通しである。
ニッセイ基礎研+0.8%
(+3.1%)
先行きについては、円安の効果などから輸出の伸びが高まること、2012 年度の大規模補正予算の執行に伴い公的固定資本形成が増加すること、2013年度前半は住宅投資、2013年度後半は個人消費を中心に消費税率引き上げ前の駆け込み需要が生じることなどから、2013年度を通して高めの成長が続くことが予想される。
第一生命経済研+0.7%
(+2.8%)
足元で出遅れている輸出や設備投資などの企業部門も、今後は持ち直しが期待できる。加えて、2月に成立した緊急経済対策の効果が顕在化することで、公共投資が大幅に増加することが成長率を押し上げる。「家計部門」「企業部門」「公的部門」が揃って回復することで、景気は一段と明るさを増していく可能性が高いだろう。4-6月期のGDP成長率は前期比年率+3%成長も十分視野に入る状況だ。
伊藤忠経済研+0.7%
(+2.7%)
個人消費の1-3月期の高い伸びは、家計所得の将来の拡大を先取りしたものと言える。今後、後追い的に、円安などを受けた輸出の拡大が雇用所得環境の改善に繋がることが期待され、また消費税率引き上げ前の駆け込み需要も見込まれるため、個人消費が腰折れする可能性は低い。しかし、先取りしたが故に、実際に裏付けを伴うまでは、外部ショックに対して脆弱さが残る点には留意すべきであろう。メインシナリオにおいて、日本経済は2013年度に回復軌道を辿ると予想しているが、海外経済は米欧中のいずれも懸念材料を抱えており、海外需要や市場動向には引き続き注意する必要がある。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+0.7%
(+3.0%)
今年1-3月期は、米国やユーロ圏などの主要先進国で景気の持ち直しが確認されつつあるが、その中でも日本の高成長ぶりは際立っている。安倍政権が打ち出した経済政策(いわゆるアベノミクス)によって、日本の家計および企業活動が活発化した可能性が高い。今後は、公共投資の増加や輸出の回復が加わることで、アベノミクス効果は一段と鮮明になろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.7%
(+2.7%)
2013年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率換算+2.7%)となったと見込まれる。内需が個人消費を中心に堅調に推移していることに加え、外需も前期比プラスに転じたと考えられ、景気が昨年中に底を打った後、順調に回復してきていることを確認する結果になりそうだ。
三菱総研+0.8%
(+3.1%)
2013年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.8%(年率+3.1%)と予想する。日本経済が回復局面に入ったことを確認する結果となろう。
みずほ証券リサーチ&コンサルティング+0.7%
(+2.7%)
1-3月期の実質経済成長率は前期比年率+2.7%となり、個人消費が堅調に推移したほか、輸出の減少にも歯止めが掛かったことで、2四半期連続のプラス成長かつ前期に比べて成長率は高まったとみられる。

ということで、みずほ総研を別にすれば、年率3%前後の高成長を予測する機関が多くを占めています。高成長を牽引するのは消費です。下のグラフは私の実感に合致する予測の一例ということで、お世話になっているニッセイ基礎研のリポートから引用しています。1-3月期は白抜きの消費の寄与度が大きくなっているのが見て取れます。

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さらに、4-6月期以降では海外経済が堅調に推移するとともに円高修正が進むことから輸出が期待できますし、補正予算の執行が本格化することにより公共事業が経済を下支えし、引き続き、消費も夏のボーナスに支えられて好調を維持すると見込まれることから、2013年度いっぱいは我が国経済は安定的な回復軌道をたどり、来年2014年1-3月期に消費税引上げ前の駆込み需要が生じた後、来年度が明けて4-6月期には反動でマイナス成長を記録する、というのがこの先1年余りの大方の予想ではないかと私は考えています。なお、昨年2012年10-12月期の名目季節調整値の一部について、内閣府経済社会総合研究所のサイトに訂正情報がアップされていますが、実質値には影響ないようですし、ケアレスミスといったところなんだろうと受け止めています。

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2013年5月 7日 (火)

新井兄の2発で杉内を沈めスタンリッジが完封し首位の読売相手にワンサイドゲームの勝利!

  HE
阪  神001300100 540
読  売000000000 060

今日は7時少し前からのテレビ観戦で、藤井捕手の先制ホームランは見逃しましたが、新井兄の2発で杉内投手を沈めたのはしっかり見ました。投げてはスタンリッジ投手が完封でした。終盤は投球テンポもよく、内外野の守備もファインプレー続きで投手を守り立てました。首位を独走するジャイアンツを相手に敵地の東京ドームでお株を奪うホームラン攻勢によるワンサイドゲームの完勝で、ゲーム差をジワジワと詰めています。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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その他のゴールデンウィークの読書など

昨日のこのブログの記事ではジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界』とその前段となる同じ著者による『銃・病原菌・鉄』及び『文明崩壊』をゴールデンウィークの読書の成果として取り上げましたが、その他にも、チョロチョロと読書は進めていたりします。いつか書いたかもしれませんが、私は同時に2-3冊の本を読み進む場合があります。ダイアモンド教授の難しげな伝統的社会に関する本を読む息抜き、ではないものの、適当にいろんな読書をしていたりします。ゴールデンウィークにはそれほど外出もせず、音楽、特にジャズ・ピアノを聞きながら読書する機会が多かったのは確かです。

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まず、ものすごく長らく、おそらく半年ほども積ん読の状態にあった猪木武徳『経済学に何ができるか』(中公新書) です。経済学とは、特に新古典派的な世界では、効率を追求する際に有益であるが、公平や平等は苦手、という印象がありますが、この本は徹底して「効率」という観点を排除し、倫理的な経済学について論じているように見えます。その意味でやや違和感を覚える向きがある可能性は否定できません。もっといえば、通常、「人間が出て来ない」といわれる経済学において人間を見据えている気がしないでもありません。でも、制度を論じている割には倫理を重視し、いくつか矛盾した結論も導いていたりします。例えば、特許や知的財産に関する部分です。また、私のようなリフレ派のエコノミストから見れば、インフレはハイパーインフレにつながる危険があるとするハイエクの説を引くなど、旧態依然たる経済学を展開するあたりにやや古さを感じましたが、現時点でも共感できる部分は少なくありません。現実を捨象したモデルと現実社会に当てはめる政策のズレといった議論は今でも必要かと思います。取りあえず、流行りの本ですので読んでおいて損はない気がします。でも、私の場合、これだけ長期間積ん読したものですから、買わずに借りておけばよかったと反省しています。

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次に、永濱利廣・鈴木将之『団塊ロストワールド』(日本経済新聞出版社) です。短期から中長期の日本経済をコンパクトに取りまとめています。切り口は団塊の世代であり、社会保障が政策の中心になりますが、著者たちが理解を欠いているおそれがあると私が見ているのは、社会保障は経済学で決まるのではなく民主主義、それも、人数も投票率も他を圧倒する団塊の世代などの高齢者によるシルバー・デモクラシーで決まるという事実です。構成的には、第5章くらいまで既存の資料を上手に取りまとめていて、例えば、社会保障を取り上げた第5章では慶応大学の権丈教授の編集したシリーズからの引用部分が多いんですが、第6章の日本経済の将来見通しを産業連関表から推計する部分などはオリジナリティにあふれています。脚注が多いかどうかで、既存資料の取りまとめ部分か、著者たちのオリジナルか、一目で分かります。著者は2人とも民間シンクタンクのエコノミストですので、専門的な数量分析は限界があって、オリジナリティを求め過ぎるのも無理があるのかもしれません。最後の最終章の政策対応めいた結論部分がとてもありきたりなのが物足りないでもないんですが、こういったテーマを取り上げる以上は止むを得ないと考えるべきです。

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専門外のところで、カール・ジンマー『ウィルス・プラネット』(飛鳥新社) も面白かったです。著者はサイエンス・ライターであり、こういった分野の本を私のような専門外のシロートにも分かりやすく解説するのが本職でしょうから、ある意味で分かりやすいのは当然かもしれません。ゴールデンウィーク前から中国の上海あたりでH5N9方の新型インフルエンザのニュースが盛んに流れていましたので、大いに興味を持って借りて読みました。ウィルスが生物ではないというのは初めて知りましたし、強烈な症状と致死率の高さで有名なエボラ出血熱は感染するスピードよりも宿主を死に至らしめるスピードの方が速くて感染が拡大しない、というのも、いわれればそうかという気がします。風邪やインフルエンザに限らず、HIVやエボラ出血熱、あるいは、少し前に話題になったSARSやウェストナイル熱のウィルス、地上から根絶された天然痘ウィルスなど、写真や図解も豊富に取り入れられており、私も見た記憶のある「アウトブレイク」などのパンデミックものの映画の話題も取り上げており、専門外の読者を対象に分かりやすく解説されています。

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最後に読書ではないんですが、桑原あい「from here to there」を聞きました。中学生のころにエレクトーンからピアノに転向した若干21歳のジャズ・ピアニストのデビュー・アルバムです。実は、2枚目の「The Sixth Sense」がすでに4月に発売されているので、やや遅れ気味なんですが、取りあえず、デビュー作を聞いてみました。キャッチコピーには「上原ひろみを追いかける」といった趣旨があった気がしますが、かなり割り引いて聞いておく必要がありそうです。男女の違いはあるのかもしれませんが、松永貴志が17歳でデビューした時の爆発力のようなパワーも感じられません。あえていえば、森田真奈美のプレイ・スタイルに近いかもしれません。早めにセカンド・アルバムを聞きたいとも思いませんが、気長にフォローする可能性はあります。

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2013年5月 6日 (月)

能見投手の投打にわたる活躍でジャイアンツに先勝!

  HE
阪  神001111100 5130
読  売110000000 240

我が家のチャンネル権の関係でNHKニュースが終わって7時半過ぎからのテレビ観戦。見始めた時は2-2の同点でしたが、すぐに新井兄選手の勝越しホームランから小刻みに加点し、結局、ジャイアンツ相手に5-2の完勝でした。何といっても、先発能見投手の投打の活躍が光りました。失点の場面を見ていないせいもありますが、見事なピッチングの上に、5回ウラのバント処理のフィールディング、6回表のホームランと独り舞台でした。危なげのない完投勝利と見受けました。

交流戦前の直接対決でジャイアンツを叩くべく、
がんばれタイガース!

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ジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界』(日本経済新聞出版社) を読む

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ゴールデンウィークにおける読書の目標のひとつにしていたジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界』(日本経済新聞出版社) を読みました。一応、念のためですが、未読だったので同じダイアモンド教授の前作『銃・病原菌・鉄』と『文明崩壊』も『昨日までの世界』の前にこの順で読んでおきましたので、出来る範囲で併せて論じると、結論として、ダイアモンド教授の専門分野であるニューギニアなどの伝統的社会の研究から現代社会のさまざまな問題を考察するのは、少なくとも決定的な結論を引き出すことは困難としかいいようがない一方で、当然ながら、それなりの意味があることは評価すべきです。肯定的な面と否定的な面とどちらに着目するかは読者次第なんでしょうが、現代社会の経済問題を解き明かし何らかの改善策を模索しようとするエコノミストにとっては、迂遠な印象を持ちましたが、示唆に富む議論で汲み取るべき部分は少なくないと肯定的に評価しています。もう少しちゃんと敷衍すると、伝統的社会の行動様式は別にして、その背景となる考え方は現代社会にも通ずるものがあると私は考えています。例えば、マルサス的な貧困を回避するために、いくつかの伝統的社会が取る嬰児殺害という行動は我々には何ら参考に値しないものの、その背景にある人口の急激な増加を抑制するべきであるという考え方は理解すべきではなかろうかと受け止めています。もちろん、21世紀を生きるサラリーマンの教養という意味では、読んでおいて損はない、というか、3冊とも大いに意味がある本です。
結論を先に書いてしまいましたので、以下は付け足しですが、第1に、伝統的社会におけるさまざまな問題への対処、すなわち、戦争、子育て、高齢化、危険への対応、健康、宗教、などについては、私の印象ですが、単純な現象、別の表現をすれば、人間というよりも動物に近い本能的な行動、例えば、危険への対応、健康などは本書がより参考になる気がする一方で、その反対の事項、例えば、宗教などについては逆の印象を持ちます。対になっているわけではありませんが、子育てと高齢化については前者の方が本書の得意分野といえます。第2に、ダイアモンド教授のこの3作については、『銃・病原菌・鉄』、『昨日までの世界』、『文明崩壊』の順で私は興味深く読みました。また、何らご参考までなんですが、『銃・病原菌・鉄』、『昨日までの世界』の倉骨博士の翻訳が、『文明崩壊』の楡井さんの訳よりも読みやすいと受け止めています。私から見て翻訳が一番分かりやすいのは本作『昨日までの世界』です。ですから、決してオススメしませんが、『文明崩壊』はパスすることも一案かもしれません。でも、『銃・病原菌・鉄』はこの3作の中ではオススメのリストのトップに位置します。第3に、部族の固有名詞はある程度まで理解できずに無視する傾向があるのは止むを得ませんが、場所の固有名詞は無視するとしても気候との関係で何らかの把握に努めるべきです。出来れば、地図帳なんぞが手近かにあればいいような気もします。

すべてが上下巻で、3冊というよりも計6冊を読み進まねばなりませんが、世間一般の評価なりによく出来た本ばかりです。多くの公立図書館に所蔵されていることと思いますので、ニューギニアや伝統的社会に何ら興味ない向きにも、読んでおいて損はない書物といえます。

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2013年5月 5日 (日)

セットアッパーとクローザーが8-9回に2点ずつ取られては勝てません!

  HE
ヤクルト000030022 790
阪  神000000320 5111

先発はゴールデンルーキーの藤浪投手です。7回を3失点に抑えて、先発投手としては合格点でした。しかし、ルーキー先発投手をつないだセットアッパー福原投手とクローザー久保投手が8回と9回に2点ずつ取られては勝てません。打っては新井兄弟がホームランの競演で2回に渡って追いつく展開でしたが、流れがタイガースに来ているにもかかわらず勝ち越せず、終盤は東京ヤクルトに先行されて逃げ切られました。マートン外野手が攻守に精彩を欠きました。昨日も書きましたが、ウル虎の夏のユニフォームがカッコよかったです。下の画像は阪神百貨店のサイトからお借りしています。

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明日からの東京ドームは、
がんばれタイガース!

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下の子と映画「ドラゴンボールZ 神と神」を見に行く!

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今日は、下の子と近くのシネコンに映画を見に出かけました。上のポスターの通り、「ドラゴンボールZ 神と神」です。3月末に封切られて、春休み映画だったような気もしますが、我が家の下の倅の場合、ゴールデンウィーク前半に学校でも重視されている文化祭がありましたので、見に行くのがゴールデンウィーク後半になってしまいました。なお、ご存じの方も多いと思いますが、例外もあるものの、映画は中学生まで子供料金であり、私と下の中学生の倅なら前売りの親子ペア・チケットも適用されたりします。まあ、倅の方が私よりも背が高かったりしますが、身長と料金は別の話です。

我が家の場合、上の高校生の倅はもう私とは遊んでくれなくなった気がします。たぶん、中学生の下の倅も父親と映画を見に行くのは、決してうれしくも何ともないんだろうと理解していますが、何とか説き伏せてイヤイヤながらも連れ回していたりします。夏休みにはジブリの映画を見に行きたいと予定しています。

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2013年5月 4日 (土)

終盤ジワジワと追い上げられるも最後は1点差で逃げ切って今季初の貯金4!

  HE
ヤクルト000011202 6141
阪  神60000100x 7111

4時過ぎからのテレビ観戦でしたが、1回の大量点で逃げ切りました。先発の岩田投手はずっと初回に失点していて、今日も決して好投とまでは思いませんし、ゴールデンウィークで今季初勝利は物足りないことこの上ありませんが、6回2失点であれば先発として責任を果たしたといえます。ヒーロー・インタビューに呼んでもらえなかったのは当然ですが、改めて、今季初勝利おめでとうございます。なお、安藤投手がとうとう今季初失点したのは誠に残念でしたが、いつかは失点するもんでしょう。それにしても、ユニフォームがカッコよかったです。貯金4は今季初なんでしょうか。もう少し伸ばして欲しい気がします。

明日は藤浪投手を守り立てもっとスカッと勝つ3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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堅調に推移する米国雇用統計のグラフィックス

昨日、米国の労働省から4月の米国雇用統計が発表されました。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は季節調整済みの系列で前月から+165千人の増加となり、失業率も0.1ポイント改善して7.5%に低下しました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。

Jobs Data Ease Fears of Sharp Slowdown in U.S. Economy
The United States economy created an estimated 165,000 jobs in April, averting fears of a sharp slowdown and pushing the unemployment rate to its lowest level since the end of 2008.
The latest jobs figures from the Department of Labor paint a brighter picture of the overall economy than other recent data, which had been weaker and prompted economists to warn of a spring swoon for the third year in row. Those worries had been heightened after the March jobs report, which initially showed the economy to have added just 88,000 jobs, much fewer than had been expected.
On Friday, however, the government sharply revised upward its estimates for job creation in February and March, concluding that the economy actually generated 332,000 jobs in February and 138,000 in March. The unemployment rate, which is based on a separate survey, fell by 0.1 percentage point to 7.5 percent, from 7.6 percent in March.

続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際に乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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先月が少し弱めに出たと感じたんですが、今月は逆に強めに出たと受け止めています。もっとも、先月は非農業部門雇用者が+88千人増だったのが、+132千人増に統計が改定されていますので、統計発表後のリアルタイムで感じたほどには決して弱くなかった、ということになります。決して大きくはありませんが、先月の統計では連邦歳出の強制削減の影響もあるんではないかと想像しています。雇用者増は市場の事前コンセンサスは+150千人増くらいでしたので、これを上回りましたし、失業率も着実に低下して7.5%に達しました。いずれにせよ、米国の雇用は堅調と考えてよさそうです。

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非農業部門雇用者数が着実に増加し失業率も低下している一方で、それでもなおかつ雇用の本格的な回復には至っていないと広く受け止められています。上のグラフはマンキュー教授やクルーグマン教授も着目していて、引用した記事でも触れられている雇用・人口比率をかなり長期にプロットしていますが、現在の景気回復局面でほとんど上昇していないのが見て取れます。

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最後に、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつける可能性は小さそうに見えます。

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2013年5月 3日 (金)

人気作家、道尾秀介と湊かなえの新作を読む!

今日からゴールデンウィーク後半の部の4連休に入り、東京ではお天気が回復して有り難い限りです。今朝は早くから少し遠くの図書館に自転車を飛ばして、ジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界』(日本経済新聞出版社) を借りて来ました。長々と待った予約が回って来ました。このゴールデンウィーク後半は、特段、どこかに出かける予定もなく読書にいそしみたいと思いますが、その前に、昨年暮れあたりから読んでいた人気作家の本を簡単に振り返っておきます。

photoまず、道尾秀介『ノエル』(新潮社) です。理不尽な暴力をかわすために、絵本作りを始めた中学生の男女を描く「光の箱」、妹の誕生と祖母の病で不安に陥り、絵本に救いをもとめる少女を主人公にする「物語の夕暮れ」、最愛の妻を亡くし、生き甲斐を見失った老境の元教師を中心とする「暗がりの子供」、最後に配された「四つのエピローグ」と、短編ないし中編くらいの長さの作品を収めたチェーン・ストーリー集です。独立した短編ないし中篇として読むことも可能なのかもしれませんが、2月11日のエントリーで取り上げた伊坂幸太郎『残り全部バケーション』のように、いろいろと微妙につながりのある連作として読むべきだという気がします。その方が文学作品としての価値が高そうです。なお、芥川賞を受賞した『月と蟹』でも感じたんですが、子供を主人公にしたこの作者の小説は少なくとも私にはかなり濃密で、息苦しささえ覚えるほどです。サラサラとエンタメ調に読み進むのではなく、純文学として真正面から腰を据えた読み方が求められるような気がします。でも、以前の作品のような重苦しい印象よりも、この作品は明るいイメージでいっぱいです。読後感も爽やかでオススメです。

photo次に、道尾秀介『笑うハーレキン』(中央公論社)です。荒川沿いのスクラップ置き場でホームレス仲間と暮らしている家具職人を主人公に、家具職人の弟子入りを希望する若い女性や主人公を取り巻くホームレス仲間の日常や仕事振りなどを描き出しています。そして、ホームレスを食い物にして利用する反社会的存在を道化師の意味を持つ「ハーレキン」になぞらえて、仮面を剥いで行きます。この作者のエンタメ作品といえますし、ミステリにもなっていて、読みようによっては伊坂幸太郎の作品にも通ずるものがあります。しかし、決定的に道尾秀介の作風を感じさせるのが、この作品に登場する「厄病神」です。何とも正体不明なんですが、ハーレキンとしていろんな仮面を被り、現れたり消えたりする超常的な存在として描き出されています。でも、「神」がつくものの、絶対的なパワーを持つ存在でもなさそうです。というのも、「厄病神」とは主人公がつけた名だからです。こういったオカルト的な存在にストーリー展開上の意味をもたせるのは道尾秀介の真骨頂と私は考えています。しかし、映画「カラスの親指」を見た後だったものですから、もっと最後に大きなどんでん返しを期待してしまい、その意味で少し物足りなさを感じてしまいました。でも、小説『カラスの親指』は別格であり、この小説も水準以上の作品であることは確かです。

photo道尾秀介を離れて、次に、湊かなえ『母性』(新潮社) です。女子高生が倒れている場面から始まり、その母と娘である女子高生の母娘のモノローグを順番に配した作品です。いうまでもありませんが、このモノローグは『告白』でデビューした湊かなえの独特の手法です。母は神父に対してモノローグし、娘の女子高生は警察における、もしくは、単なるモノローグだったりします。そして、この女子高生の母親の方が女性ではめずらしいマザコンで、女子高生から見た母方の祖母、当然ながら母親の母親に対して過剰な愛情を持っています。物語のひとつのクライマックスである火事の際には、このマザコンの母親は我が子には目もくれず、自分の母親を先に助けようとしたりするわけで、それも含めて、この作者の作品にはありがちなんですが、とても性格の歪んだ登場人物でいっぱいです。昨年2012年3月11日のエントリーで取り上げた久坂部羊の『無痛』と『第五番』も、私にはとても性格の理解できな登場人物でいっぱいで、そのためストーリーの展開も不可解な部分が多々あったんですが、この『母性』では性格は歪んでいるものの、誰しもあり得る方向の歪みを増幅したキャラ設定になっていますので、まだマシだという気はします。でも、物語に登場する人物の性格や状況・背景などが極めて複雑で入り組んでいて、私のような特にひねりのない凡人には理解し難い部分がいくつかあります。特に、最初に倒れていた女子高生の謎が、最後まで解き明かされないのもややムチャな気がしないでもありません。でも、この作者のファンであれば、主人公が中年女性のモノローグであり、しかも書下しですから、読んでおいて損はありません。小説としての水準は別にしても、この作者の典型的な作品のひとつに数える向きもあると私は思います。

photo最後に、湊かなえ『望郷』(文藝春秋社) です。同じ瀬戸内海の島、おそらく架空の白綱島の出身者や関係者をそれぞれの物語の主人公に据えた短篇集です。同じ作者の短篇集で、宝石をリンケージさせた『サファイア』もいい出来の短篇集だったんですが、私はこの『望郷』の方がさらに水準が高いと受け止めています。女性を主人公にした短編がやや多くを占めるんですが、男性を主人公にした物語もあり、作品の幅の広さを感じられたりします。嫁と姑の確執を含む物語もあって、この作者の特徴である暗い物語、ブラックな小説、毒々しい展開などもなくはないんですが、明るいストーリーもかなりあって、一般的な意味での読後感も悪くありません。その意味で、この作者本来の作品ではないと感じるファンもいそうな気がしないでもありません。もっとも、ストレートな趣きのある短編作品だからといって、どんでん返し的な、というか、ミステリらしい意外な結末を迎えるストーリーがないわけでもありません。十分にひねりの利いたラストが用意されていると期待していいと思います。さらに、田舎と都会、もっといえば、瀬戸内海の島と東京を対比させつつも、決して、田舎を否定的に、あるいは、東京を肯定的にストーリーを進めるのではなく、作者のホームグラウンドである瀬戸内海の島の生活に対して、愛憎入り混じりつつも、やっぱり、愛着のような郷愁のような温かい何かを感じさせます。

photo最後に、人気作家の道尾秀介と湊かなえを離れて、新進作家の山下澄人『緑のさる』(平凡社) と『ギッちょん』(文藝春秋社) も読みました。後者の短篇集『ギッちょん』に収録されている「ギッちょん」は、選に漏れましたが、先の芥川賞候補作品だったりします。この作者の作品を強烈にオススメしてくれる知り合いがいるもので、私も借りて読みましたが、悲しいかな、私には十分に読みこなすことができませんでした。私にはこの作者の作品を理解するため、読解力か、感受性か、野性味か、何らかのパワーか、あるいは、信仰心か、何か決定的なものが欠けているように思えてなりません。私に欠けているものが何かすら分かっていないんですが、もう一度修行をし直して、何かの機会にこの作者の作品に再挑戦したいと思います。現時点では諦めます。

長くなりましたが、最後の最後に、話題の村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋社) についても軽く触れると、すでに買ってあって手元にあるんですが、読み始めるのはもう少し先になりそうです。小説を読む前に、借りたばかりのジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界』(日本経済新聞出版社) を早く読み進みたいと思います。

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2013年5月 2日 (木)

今年の新入社員をディープに解剖する!

先月4月23日のエントリーにおいて、今年の新入社員の初任給を取り上げましたが、より幅広い新入社員の意識調査が、私の知る限りで以下の通り、日本生産性本部と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2社から4月下旬に発表されています。

今夜のエントリーでは、時系列で長く取れる結果が多いことから、主として日本生産性本部の調査結果を基に、補完的に三菱UFJリサーチ&コンサルティングの結果も参照しつつ、とても興味深い今年の新入社員の考え方を垣間見たいと思います。なお、以下に取り上げている図表は、上の参照サイトからリンクを張ってある pdf の全文リポートからそれぞれ引用しています。

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まず、ジェネラリスト希望とスペシャリスト希望の比率について、上のグラフは日本生産性本部のリポートの p.2 から引用しています。前世紀末まで低下傾向にあったジェネラリスト希望が世紀の変わり目ころから再び上昇に転じて、今年はスペシャリスト希望を6対4くらいの差で引き離しています。私の極めて大雑把なイメージとして、総合職はジェネラリスト、一般職はスペシャリストの傾向があり、それは役所のいわゆるキャリアとノンキャリアの間でも同じことであろうと受け止めています。さらに、ジェネラリストの方がスペシャリストよりも経営幹部に出世する確率が高いように考えられている面があり、後に紹介する出世意欲が高まっている結果と整合的だと私は考えています。

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次に、海外勤務に応じるかどうか及び応じる際の理由について、上のグラフは日本生産性本部のリポートの p.3 から引用しています。ここ2-3年で海外勤務に応じる比率は50%をやや上回るあたりで変化ありませんし、男女の性別でも差はありません。しかし、企業規模では少し差が出ています。企業規模が大きいほど海外業務の比率が高いと仮定すれば、海外勤務のオファーに応じる割合が高いのは当然かもしれません。なお、海外勤務に応じる理由については、上のグラフに見る通り、業務上の利点を上げる回答が多いんですが、南米チリと東南アジアのインドネシアに3年ずつ海外勤務した経験を持つ私は、もっぱら海外生活を楽しみたいとしか考えていなかった気もします。

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続いて、一生勤めるか転職するかについて、上のグラフは日本生産性本部のリポートの p.4 から引用しています。今世紀に入って転職してもよいとする比率が過半を占めていたのが、2005年前後を境に減少に転じ、特にリーマン・ショックの2008-09年から一生勤める組に逆転され、その後はやや傾向的に差が大きくなったものの、2013年の新入社員は再び転職組が割合を高めつつも、再逆転には至っていません。三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートの p.6/23 図表7.就労意識 にも同じ設問と回答があり、当然ながら、同じ傾向を示しています。今年はやや景気が持ち直しつつあるので転職にも積極的になっている可能性があると私は受け止めています。

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さらに、地域別の転職希望について、上のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートの p.7/23 図表8.就労意識(地域別) を引用しています。東京では転職希望が過半を占め、名古屋・大阪と西に行くにつれて定年まで勤めるとの希望が多くなります。リポートでは東京の新規求人数の大きさを上げて労働市場を理由にしていますが、私には労働市場だけの理由では少し疑問が残ります。すなわち、東京には私のような地方からの上京組が少なくなく、それに比べて、通勤圏ではないでしょうが、大きな経済圏としてのカッコ付きの「地元」就職者が大阪や名古屋の方が多いことから、東京にはUターン希望者の比率がやや高い可能性があり、それもひとつの理由なのではないか、と私は考えています。

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続いて、出世への意欲について、上のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートの p.8/23 図表9.新入社員の出世意欲 を引用しています。ここ数年、ジワジワと高まって来ている出世意欲が今年の新入社員の間では小さくジャンプしています。結果として、「出世したい」の回答と「出世しなくても好きな仕事を楽しくしたい」がほぼ拮抗しています。「リストラされると困る」の裏返しかと思わないでもないんですが、どうして今年の新入社員の間で出世意欲が高いのか、私にはよく理由が分かりません。ともあれ、出世意欲の高さは今年の新入社員の特徴のひとつではないかという気がします。

日本生産性本部のリポート三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートには、このエントリーで取り上げた以外にも、就活をはじめとする興味深いトピックが満載なんですが、私のブログではここまでとします。

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2013年5月 1日 (水)

マエケンをまったく打てずに広島に完敗!

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広  島004000001 570
阪  神000000000 050

8時前からのテレビ観戦でしたが、これといった見せ場もなく広島に完敗でした。先発の前田健太投手は言うに及ばず、今村投手もミコライオ投手も打ち崩せず、点差以上に差の大きな試合でした。勝てそうな気もしませんでした。GAORAで観戦だったのですが、解説者も最後の9回は「せめて1点くらい」という感じでした。同感でしたが、完封リレーで抑え切られてしまいました。

明後日からのヤクルト戦はもう一度3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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毎月勤労統計に見る雇用の現状やいかに?

本日、厚生労働省から3月の毎月勤労統計が発表されています。私が注目している賃金と所定外労働時間については、となりました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

3月の現金給与総額、0.6%減 2カ月連続マイナス
厚生労働省が1日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は0.6%減の27万5746円と、2カ月連続のマイナスだった。相対的に賃金水準が低いパートタイム労働者が増え、基本給や残業代が減少した。
基本給や家族手当などの所定内給与は0.8%減と10カ月連続のマイナス。残業代などの所定外給与は3.7%減と6カ月連続のマイナスだった。半面、特別に支払われた給与は8.2%増えた。製造業や金融業・保険業で伸びが目立った。円安・株高による業績回復で臨時ボーナスを支給した企業も一部にあったとみられる。
製造業の残業時間は3.8%減の15.0時間と8カ月連続のマイナスだった。一方、季節調整して前月と比べると1.6%増。生産の持ち直しを受け、4カ月連続のプラスだった。

というわけで、いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。まず、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、昨年2012年3月を直近の景気の山、2013年11月を谷と仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、上のパネルの製造業における所定外労働時間は順調に増加を示しています。多少のラグは伴いつつも、アベノミクスによる円高修正の効果であろうと私は受け止めています。2011年3月の震災とそれに続く一時的なサプライ・チェーンの寸断に伴うイレギュラーな低下を別にすれば、影をつけた景気後退局面と景気回復ないし拡大局面に従った動きと考えてよさそうです。問題は下のパネルの賃金、しかも足元の賃金の動向です。所定内賃金については、これも2011年3月の震災とその直後を別にすれば、ほぼ景気動向に従った動きだったんですが、足元で賃金が下げ止まりません。調査産業計で現金給与総額が前年同月比で▲0.6%減、うち所定内給与が▲0.8%減となっています。消費は恒常所得仮説が説くように所定内給与や決まって支給する給与に連動する部分が多く、所定内給与が下がり続けると堅調な消費にも影響が出かねません。しかし、給与をもう少し詳しく見ると別の姿が浮かび上がります。

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3月の毎月勤労統計の結果では、一般労働者の現金給与総額が前年同月比でゼロなのに対して、パートタイム労働者が▲2.4%減、うち所定内給与でも一般労働者▲0.2%減とパートタイム労働者▲2.5%減のように、パートタイム労働者やアルバイトのお給料が上がっていません。上のグラフは、リクルート・ジョブズが4月19日に発表した「アルバイト・パート全国エリア別募集時平均時給調査」の結果ですが、昨年年央から前年同月比でプラスを続けていたのが今年に入ってこの2月3月とやや弱含んでいます。時給額で過去の例を見ると、4月が底のようですから季節的な動きである可能性は否定出来ませんが、昨日、総務省統計局が発表したように、この2月3月は非正規比率が高まっており、年度末の2月3月から4月にかけての季節的な特長ある動きなのかもしれません。いうまでもありませんが、高校生や大学生の卒業と入学の季節であることは確かです。ということで、所定外労働時間から見て、取りあえずは残業でまかなって、非正規労働力の活用も進みつつ、次第に波及を広げて行く、というパスなのかもしれません。

雇用については、特に失業率などは景気にもっとも遅行する指標のひとつだったりします。アベノミクスにともなう円高修正が進む中、一定のラグを伴いつつ、実体経済が改善を示し、さらに、それが雇用に波及するという、ある意味で、迂遠な経路なんですが、私は従来から主張しているように雇用を重視するエコノミストですし、気長に見守りたいと考えています。

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