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2013年5月30日 (木)

OECD経済見通しにおける日本の金融政策と財政政策の評価

昨日、経済協力開発機構 (OECD) から「OECD経済見通し」 OECD Economic Outlook, No.93 が発表されています。我が国の成長率はアベノミクスによる好調な経済を反映して上方改定されていたりします。今夜のエントリーでは、記者発表資料からいくつか画像を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、ヘッドラインとなる日米欧の成長率見通しです。昨年11月末の「OECD経済見通し」No.92 では、日本は2013年+0.7%、2014年+0.8%成長と見込まれていたんですが、大きく上方修正されました。アベノミクスの成果と受け止めています。なお、米国の成長率見通しは昨年11月からほとんど変化なく、奥州についてはかなり下方修正されています。しかし、欧州経済が今年のマイナス成長から来年には大きくリバウンドするとの見通しについては変わりありません。わが国経済は今年でほぼGDPギャップがゼロになり、来年2014年から需要超過になると予想されています。なお、図表は引用しませんが、失業率については米国で2014年中に7%水準まで下げる一方で、日本では下げ渋り、欧州では高止まりになると見込まれており、逆に、インフレ率は欧州で+1.5%を下回る水準で推移するものの、米国では+2.0%近くまで上昇すると予想しています。我が国では2014年4月からの消費税率引上げの影響を除けば、2014年末でも+0.5%程度にしか達しないと見通しています。

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金融政策では我が国の異次元の金融緩和に着目しており、上のグラフを示して、日本では資産価格に大きな影響があったと、現時点で結論しています。米欧に対しては資産購入によりさらなる金融緩和を求めているのに対して、日本に対しては "The intensification of quantitative and qualitative easing in Japan is overdue and should help to attain the new inflation target" と評価しています。

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目を財政政策に転じて、上のグラフは、赤い棒グラフが2010-30年にかけての財政再建必要額のGDP比であり、紺色は2010-14年にかけてのプライマリーバランス改善見通しです。日本はギリシアに次いで財政再建の必要額が大きいにもかかわらず、2014年までの改善見通しが極めて小幅にとどまっています。従って、"In Japan, fiscal consolidation should commence in 2014 in the context of a credible medium-term fiscal plan to maintain market confidence in the face of challenging debt dynamics" と指摘されています。金融政策が大いに評価されている一方で、財政政策は悪くすると市場の信認を失いかねないような指摘を受けているのが実情です。なお、各国別の経済見通しのグラフを集めたフラッシュは下の通りです。ご参考まで。

2番めに引用したグラフで赤い折れ線の日経平均株価が最近時点で下落していることを OECD では十分認識していて、その上で我が国のリフレ派的な金融政策の評価を下しているようです。また、最近の Financial Times の "Japan's bumpy road to a recovery" と題する社説でも、"Japan's effort to get its economy moving entered difficult terrain last week. Bond yields rose and stock prices fell. Some promptly declared 'Abenomics' - the reforms launched by prime minister Shinzo Abe - a failure. This is ludicrous." として、株価の一時的な下落をもって「アベノミクスの失敗」とは受け止めていないようです。振り返って、我が国メディアの反応やいかに?

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