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2013年6月10日 (月)

1-3月期GDP速報2次QEはわずかに上方改定され、景気ウォッチャーは低下したものの高水準で消費者態度指数は上昇

本日、内閣府から1-3月期GDP速報の2次QEが発表されました。季節調整済みの前期比成長率は+1.0%となり、1次QEの+0.9%からわずかに上方改定されています。また、マインド指標の景気ウォッチャー消費者態度指数も内閣府から公表されています。どちらも5月の統計です。まず、GDPの2次QEについて統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1-3月期実質GDP改定値、年率4.1%増に上方修正
内閣府が10日発表した1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増だった。5月16日発表の速報値(0.9%増)から上方修正され、2四半期連続のプラス成長。年率換算では4.1%増(速報値は3.5%増)だった。速報値の発表後に明らかになった法人企業統計などを反映した。公共投資が下振れた一方で設備投資が改善した。
1-3月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資は0.3%減(速報値は0.7%減)に上方修正された。自動車などの仕掛かり品在庫の増加を加味した結果、民間の在庫寄与度はマイナス0.0ポイント(速報値はマイナス0.2ポイント)にマイナス幅が縮小した。
3月分の実績を加味した公共投資は0.4%増(同0.8%増)に下方修正。補正予算の成立が遅れた影響で3月に端境期が生じた。
個人消費は0.9%増、住宅投資は1.9%増で速報値と同じだった。
生活実感に近い名目GDPは0.6%増(速報値は0.4%増)、年率で2.2%増(同1.5%増)と増加率が拡大した。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期比マイナス1.1%(同マイナス1.2%)だった。
併せて発表した2012年度の実質GDPは11年度比1.2%増、名目GDPは0.3%増と速報値から変わらなかった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。今回から、アベノミクスの政策論議で注目されている国民総所得 (GNI) をテーブルに入れました。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンクからお願いします。

需要項目2012/
1-3
2012/
4-6
2012/
7-9
2012/
10-12
2013/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+1.2▲0.2▲0.9▲0.3+0.9+1.0
民間消費+0.8+0.2▲0.4+0.4+0.9+0.9
民間住宅▲1.5+2.3+1.5+3.5+1.9+1.9
民間設備▲2.5▲0.2▲3.3▲1.5▲0.7▲0.3
民間在庫 *+0.4▲0.3+0.1▲0.1▲0.0▲0.0
公的需要+2.5+1.3+0.9+1.0+0.6+0.4
内需寄与度 *+1.1+0.1▲0.3+0.4+0.5+0.6
外需寄与度 *+0.1▲0.3▲0.6▲0.1+0.4+0.4
輸出+2.7▲0.0▲4.4▲2.9+3.8+3.8
輸入+2.0+1.8▲0.3▲2.2+1.0+1.0
国内総所得 (GDI)+0.9▲0.0▲0.7+0.4+0.4+0.6
国民総所得 (GNI)+0.9+0.2▲0.7+0.4+0.4+0.6
名目GDP+1.1▲0.5▲1.1+0.2+0.4+0.6
雇用者報酬▲0.1▲0.2+0.6▲0.4+0.5+0.6
GDPデフレータ▲1.0▲1.0▲0.8▲0.7▲1.2▲1.1
内需デフレータ▲0.2▲0.7▲1.0▲0.8▲0.9▲0.8

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの系列の前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1-3月期2次QEの最新データでは、前期比成長率がプラスであり、赤い棒グラフの消費と黒の外需などが成長を押し上げているのが見て取れます。マイナスの寄与は民間設備投資や在庫がそうなんですが、ほぼゼロですのでこのグラフでは読み取れません。

photo

ほぼ予想通り、1次QEからの小幅修正で、特段、コメントする内容もないんですが、政策対応として2点だけ短く指摘しておきたいと思います。まず、第1に今日から始まった日銀金融政策決定会合ですが、5月下旬からのマーケットの乱高下がかなり落ち着いたこともあり、加えて、この2次QEを見る限り、少なくとも追加的な金融緩和はなさそうだと受け止めています。マーケットの動揺を抑えるスムージング効果ある何らかの政策対応は否定しませんが、景気浮揚のための追加金融緩和はないと考えるべきです。第2に消費税率引上げは予定通り実施される可能性が高まったと考えられます。先行きを考えても、4-6月期はやや成長率が低下する可能性は残りますが、潜在成長率を超えるという意味での高めの成長が続き、さらに、来年2014年1-3月期までこういった比較的高い成長率が継続すると見込まれますので、今秋の消費税率引上げに関する議論は問題なくパスだと思います。

photo

景気ウォッチャーと消費者態度指数のグラフは上の通りです。景気ウォッチャーは少し低下したものの高い水準を保っており、消費者態度指数は上昇しています。また、経常収支を含む4月の国際収支も財務省から発表されているんですが、今夜は遅くなりましたので割愛します。

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