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2013年6月 8日 (土)

雇用者+175千人増、失業率0.1ポイント悪化の米国雇用統計をどう見るべきか?

日本時間の昨夜、米国の労働省から5月の米国雇用統計が発表されました。米国におけるマクロの景気動向を探る上で、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会 (FED) も金融政策運営の観点から重視している経済指標です。統計のヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は季節調整済みの系列で前月から+175千人増加した一方で、失業率は労働市場への参入が増加して前月から0.1ポイント悪化して7.6パーセントとなりました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の2パラだけ引用すると以下の通りです。

Middling Jobs Gain Signals a Long Path to Healthy Payrolls
American employers added 175,000 jobs in May, almost exactly the average monthly job growth over the last year, the Labor Department reported Friday, while the unemployment rate ticked up to 7.6 percent from 7.5 percent in April.
Economists were relieved that the numbers weren't worse, given a string of other disappointing data in recent weeks, but noted that recent job trends are nowhere close to bringing the country back to full employment. At the current pace of job and population growth, it would take nearly five years to get the economy back to the low unemployment rate it enjoyed when the recession officially began in December 2007.

続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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+175千人増というのはかなり微妙な数字だという気がします。景気拡大の必要条件のひとつの目安とされる100千人増を十分に超えていますので、基本的には米国の雇用は堅調と考えてよさそうなんですが、失業率が着実に低下するのに必要といわれている+200千人増には達しません。市場の事前コンセンサスは100千人台半ばでしたので、これは少し超えました。他方で、雇用が堅調だと FED の金融緩和の出口が近づくのではないかとの観測が強まる可能性も否定出来ません。ただし、物価と雇用のデュアル・マンデートを有する FED が目安とする失業率にはまだ達していません。もちろん、5月の失業率上昇は景気回復下での労働市場への新規参入の増加に起因しているわけで、決して雇用の悪化と見なすべきではありませんが、それでも、失業率が低下するペースが鈍くて、FED の目標になかなか届きそうにないのも事実です。マーケットでは雇用は力強さに欠け FED の金融緩和の出口が遠のいた、と解釈されているようですが、かなり微妙なことも確かです。何かのきっかけで逆転する可能性を秘めているといえます。

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米国の雇用について手放しで堅調といい切れないもうひとつの要素は、雇用・人口比率がサッパリ上がらないことです。日本のように高齢化がとてつもないスピードで進行している国であれば、高齢化に伴って労働市場から退出する人が多いわけですから、雇用者の比率が停滞ないし減少する可能性も十分にありますが、移民人口が決して少なくなく、人口がそれなりに増加を続けている米国では、まだ高齢化がそれほどのスピードでは進んでいませんから、デモグラフィックな要因よりは景気要因なんだろうと私は考えています。

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最後に、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%台の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつける可能性は小さそうに見えます。

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