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2013年6月 3日 (月)

米国国家情報会議編『2030年 世界はこう変わる』(講談社) を読む

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米国国家情報会議編『2030年 世界はこう変わる』(講談社) を読みました。図書館に予約してあったのがようやく順番が回って来ました。本来は2012年12月に出版されたリポートですが、英語の原書、と言うか、もともとのリポートは、編者である米国国家情報会議のサイトから pdf ファイルを入手出来ます。20MB くらいあります。以下のリンクの通りです。

出版社のサイトにも解説がありますが、第1章でメガトレンド 「2030年の世界」を決める4つの構造変化を、第2章でゲーム・チェンジャー 世界の流れを変える6つの要素を、そして最後に、第3章でオルターナティブ・ワールド 「2030年」4つの異なる世界を提示しています。出版社のサイトから目次を引用すると以下の通りです。

  • 第1章 メガトレンド 「2030年の世界」を決める4つの構造変化
    • メガトレンド1 個人の力の拡大
    • メガトレンド2 権力の拡散
    • メガトレンド3 人口構成の変化
    • メガトレンド4 食料・水・エネルギー問題の連鎖
  • 第2章 ゲーム・チェンジャー 世界の流れを変える6つの要素
    • ゲーム・チェンジャー1 危機を頻発する世界経済
    • ゲーム・チェンジャー2 変化に乗り遅れる「国家の統治力」
    • ゲーム・チェンジャー3 高まる「大国」衝突の可能性
    • ゲーム・チェンジャー4 広がる地域紛争
    • ゲーム・チェンジャー5 最新技術の影響力
    • ゲーム・チェンジャー6 変わる米国の役割
  • 第3章 オルターナティブ・ワールド 「2030年」4つの異なる世界
    • 2030年のシナリオ1 「欧米没落」型
    • 2030年のシナリオ2 「米中協調」型
    • 2030年のシナリオ3 「格差支配」型
    • 2030年のシナリオ4 「非政府主導」型

税抜き1000円、200ページ足らずの本で、2-3時間もあれば読めますから、読むのが一番ですので詳しくは紹介しませんが、2点だけ強調しておきたいと思います。すなわち、第1に、昨年11月1日付けのエントリーでまとめて紹介したうちの1冊イアン・ブレマー『「Gゼロ」後の世界』のように、「Gゼロ」を想定しています。米中のG2ではありません。世界のスーパーパワーはいなくなってしまうようです。第2に、シェール系のエネルギーの実用化に伴い、米国の中東へのエネルギー依存が解消される可能性が高まっています。世界のエネルギー事情はシェール系のエネルギーの実用化で大きく変化しつつあります。
ということで、手抜きそのものなんですが、元リポートの National Intelligence Council Global Trends 2030: Alternative Worlds から、本書にも収録されているグラフをいくつか引用しておきます。もちろん、すべては私の趣味で選んでいます。本書本来の趣旨や論旨にピッタリと沿っているわけではありません。

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まず、リポート p.2 Years necessary for an invention to be used by 25 percent of the US population です。発明から米国民の25パーセントが使うようになるまでに要した年数です。最近になるほど、IT技術の普及が急速に進んだことが理解できます。

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次に、リポート p.9 Shares of global middle-class consumption, 2000-2050 です。GDPのシェアではありません。中間所得層の消費、逆から見れば購買力のシェアです。日本のビジネス界では富裕層ビジネスが注目されていますが、米国のインテリジェンスのコミュニティでは中間層を重視していることを理解すべきです。

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続いて、リポート p.17 Selected countries punching above their weight in 2010 です。縦軸に外交力、横軸の物質力を取り、赤いラインがその均衡点であり、赤いラインよりも左上にある国々は物質力に裏打ちされているよりも強力な外交力を持っています。右下はその逆です。日本は当然、物質力ほどの外交力は保持していません。

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続いて、リポート p.23 Four population age structures です。いわゆる人口ピラミッドです。日本です。一番上が1935年時点の若者社会、次が1970年の中間社会、さらに1990年の成熟社会、最後は2025年のポスト成熟社会です。

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続いて、リポート p.101 Elements of power of leading countries in 2030 です。2030年における世界主要国の国力の源泉を示しています。日本の場合、水色の核兵器がなく、緑色っぽい経済系の要素が国力の源泉の中心をなしていることが理解できます。

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最後に、リポート p.109 Comparison of global gdp composition in our 2030 scenarios です。データラベルの数字の単位はシェアのパーセントではなく、米ドルです。4つのシナリオは左から順に、最初に出版社のサイトから引用した目次の順番です。

2030年には、年齢から見て私はとっくに第1線を退いている可能性が高いんですが、それでも、とても興味深い本だと受け止めています。なお、本日、財務省から法人企業統計が発表されているんですが、日を改めて取り上げたいと思います。

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