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2013年6月14日 (金)

最近読んだ文庫本からスティーヴン・キングの作品と『完全なる首長竜の日』

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最近、何冊か文庫本を読みました。今夜取り上げるのはその中から、まず、上のスティーヴン・キング『1922』『ビッグ・ドライバー』(講談社文庫) です。この2冊とも2話の中編くらいの長さのキング作品を収録しています。『1922』は今年1月刊行で「1922」と「公正な取引」を収めており、『ビッグ・ドライバー』は今年4月の刊行で「ビッグ・ドライバー」と「素晴らしき結婚生活」を収録しています。この4話は原書では Full Dark, No Stars という1冊の本として出版されているところ、日本では2話ずつに分割して刊行されています。「1922」は父子で共謀して妻を殺害した後のどす黒い物語で、特に息子の方が破滅に向かいます。「公正な取引」はやや「猿の手」にも似たストーリーで、悪魔と取引して幸運を引き寄せる一方でライバルがどん底に沈んで行きます。「ビッグ・ドライバー」ではレイプされた女性が復讐を果たすんですが、間違って犯人の兄弟を殺したんではないかと追い詰められて行きます。「素晴らしき結婚生活」では、そうと知らずに連続殺人犯と長らく結婚生活を送って来た妻が、事実を知ってしまった恐怖を描き出しています。実は、2冊とも中間試験を終えた下の子向けに買い求めたんですが、なにぶん、キングのホラー小説ですから私が先に読んでチェックしました。キングの作品らしい読後感の悪さは残りますが、一応、キングの最新作を読んだという充実感も得られると判断しました。ただし、私個人の感想ですが、キングの作品とは、くどいくらいに周辺事情をコト細かに描写した上で、さらにウネウネとアチコチに曲がりくねったストーリー展開であり、決して一直線に事態が進むわけではない、というのがひとつの大きな特徴です。従って、どうしてもページ数の多い超長編になってしまう、と理解しています。そういう意味では、やっぱり、このくらいの長さのキング作品は長編を読み切れない中学生や高校生くらいにはいいけれど、私を含めて本格的なキング作品を求める読者には物足りない可能性がある、といえそうな気がします。

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次に、乾緑郎『完全なる首長竜の日』(宝島文庫) です。2010年第9回の「このミス」大賞受賞作品が昨年文庫本になりました。最近、綾瀬はるか主演で映画化されて封切られ、私の読書意欲を大いにかき立てて図書館で借りました。主人公の和淳美は少女漫画家であり、植物状態の人間と対話できる「SCインターフェース」を通じて、飛降り自殺未遂により意識不明になった弟と対話を続けています。しかし、半分くらい読んだところで、私にはいかにもデニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』のパターンだとネタバレしてしまいました。道尾秀介の『シャドウ』のパターンと受け取る読者もいるかもしれません。なお、表紙に見える通り、あえて記された英語のタイトルは A Perfect Day for Presiosaur なんですが、サリンジャーの "A Perfect Day for Bananafish" に由来することが作品中でも明らかにされています。いずれも自殺にまつわるお話といえます。「このミス」大賞の選考会におけるウワサ話として、最近ではこの『完全なる首長竜の日』と海堂尊『チーム・バチスタの栄光』が満場一致と聞き及びますが、後者が満場一致かつ即決なのは私にも理解出来ますが、この作品は少し疑問が残ります。なお、最新の2012年第11回「このミス」大賞受賞作品である『生存者ゼロ』は今年2013年2月10日のエントリーで取り上げています。『シャッター・アイランド』や『シャドウ』のパターンと分かってしまえば少し評価が落ちますが、むしろ分かっていない方がこの『完全なる首長竜の日』の評価が高そうな気がしないでもありません。

文庫本は単行本よりも遅れて発売され、私なんぞはさらに遅れて図書館で借りて読んでいますが、コンパクトで持運びに便利ですから、ついつい借り過ぎてしまいます。でも、通勤電車の中もさることながら、トレーニングルームでエアロバイクを漕いで汗をダラダラ流しながら読むにはピッタリです。

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