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2013年6月28日 (金)

月末閣議日に一気に発表された政府統計から何を読み取るか?

今日は、月末最後の閣議日で、政府の関係部局から主要な経済指標がいくつか発表されました。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数商業販売統計、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計、総務省統計局の消費者物価などです。まず、とても長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産指数、4カ月連続上昇 火力発電用部品伸びる
経済産業省が28日発表した5月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は97.8で、前月に比べ2.0%上昇した。プラスは4カ月連続。電力需要が増える夏場を前に、国内電力会社向けの火力発電用蒸気タービンなど設備改修用の部品の生産が増加した。QUICKが27日時点で集計した民間の予測中央値(0.2%上昇)を大幅に上回った。
業種別にみると15業種のうち12業種が上昇した。火力発電用部品を含む「はん用・生産用・業務用機械工業」は7.6%上昇だった。電気機械工業は6.1%上昇。国内向けの産業用・住宅用太陽電池モジュールに加え、夏場の販売増加を控え冷蔵庫の生産が伸びた。
ただ経産省は「原指数は前年同月に比べ10カ月連続で低下している」と説明し、生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
出荷指数はスマートフォン(スマホ)用CCD(電荷結合素子)やテレビ用大型液晶などが伸び、0.8%上昇の96.6だった。在庫指数は0.3%低下の107.1、在庫率指数は2.1%低下の104.9だった。
併せて発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは6月が2.4%低下する見込み。欧州・中国向けの乗用車の生産減少が響き、輸送機械工業が落ち込むもよう。6月の低下を踏まえても4-6月期の鉱工業生産指数は1-3月期に比べ1.8%上昇になる見通し。7月は火力発電用部品などが伸び、3.3%上昇を見込んでいる。
5月の小売販売額、5カ月ぶり増加 初夏物衣料が好調
経済産業省が28日発表した5月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆4790億円で、前年同月に比べ0.8%増えた。プラスは5カ月ぶり。中旬以降に気温が高めに推移し、初夏物の衣料品や清涼飲料水、アイスの販売が増加。大型連休や母の日などで総菜の消費も伸びた。
織物・衣服・身の回り品小売業は5.7%増、飲食料品小売業は1.4%増だった。燃料小売業はガソリン価格の上昇で3.0%増えた。一方、自動車小売業は6.1%減と2カ月ぶりにマイナスに転じた。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は0.9%増の1兆5889億円だったが、一部店舗の閉鎖が響き、既存店ベースは0.4%減だった。うち百貨店は時計や宝飾品など高額商品の販売が好調に推移し、2.8%増えた。スーパーは2.0%減だった。
コンビニエンスストアは4.2%増の8252億円。行楽需要でファストフードや総菜の販売が伸びたほか、コンサートなど高額チケットの販売が好調で3カ月連続のプラスだった。ただ、既存店ベースは来店客数の減少やたばこの販売の落ち込みが響き1.2%減だった。
5月の完全失業率、横ばいの4.1% 女性の改善に「足踏み」
総務省が28日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は4.1%で、前月と同じだった。雇用情勢は持ち直しの動きが続いているが、5月は就業者数の増加や完全失業者数の減少が小幅にとどまり、失業率の改善には至らなかった。総務省は「女性の就業の動きに足踏みがみられる」とみている。
季節調整した就業者数は6303万人と前月より2万人増加した。このうち、男性は11万人増、女性が8万人減だった。完全失業者数は270万人で1万人の減少。男性が3万人減、女性が2万人増だった。女性は非労働力人口が4万人増えるなど、一時的に職探しをあきらめる動きもみられた。
男女別の完全失業率は、男性が4.2%で0.1ポイントの改善。一方、女性は3.9%と0.1ポイントの悪化だった。
総務省は雇用情勢について「失業者数はなお高い水準にあるため、今後の動きを注視する必要がある」と指摘した。
5月有効求人倍率が上昇 4年11カ月ぶり0.90倍台
厚生労働省が28日朝発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の0.90倍と、3カ月連続で改善した。新規求人の増加を背景に2008年6月(0.92倍)以来、4年11カ月ぶりに0.90倍台を回復した。
雇用の先行指数となる新規求人数は2.1%増と3カ月ぶりにプラスへ転じた。新規求人倍率は0.02ポイント上昇の1.42倍だった。
前年同月と比べた新規求人数(原数値)は6.5%増。宿泊業・飲食サービス業(23.2%増)、人材派遣や警備などのサービス業(12.1%増)、建設業(10.1%増)などが増加した。一方、製造業は2.8%減と12カ月連続のマイナスだった。
都道府県別で有効求人倍率が最も高かったのは東京都と愛知県の1.30倍。最も低かったのは沖縄県の0.52倍だった。
5月の消費者物価、横ばい 7カ月ぶりマイナス脱却
総務省が28日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は値動きが激しい生鮮食品を除くベースで100.0となり、前年同月に比べて横ばいだった。前月と比べて0.4ポイント改善し、12年10月以来、7カ月ぶりに物価が下がらなかった。電気代の値上がりが大きいが、薄型テレビなどの値下がり幅が縮小し、物価下落の動きを弱めている。
指数を品目別に見ると、5月は電気代が前年同月に比べて8.8%上がり、指数全体を0.3ポイント押し上げる要因となった。総務省によると燃料費の上昇のほか、関西電力と九州電力による値上げを反映している。ガソリンは0.9%の値下がりだった。
エネルギー以外の主要品目を見ると、値下がりは続くものの、値下がり幅が小さくなるものが出始めた。テレビは前年同月比9.6%の低下だが、下落率は前月に比べて6.8ポイント縮小。テレビを含む「教養娯楽用耐久財」は値下がりが和らいだことで、CPIを前月に比べて0.08ポイント上げる要因となった。外国パック旅行は0.7%上昇した。
全国の動きに先行する東京都区部の6月中間速報値は、生鮮食品を除くベースで前年同月比0.2%の上昇。前月に比べ0.1ポイント上がり、2カ月続けて物価が上がった。電気代が指数を0.44ポイント押し上げている。5月に値上がりだったテレビは6月速報では9.0%の値下がりだった。総務省は物価の動きについて「一部に変化が出てきている」としている。
今後の消費者物価は全国でもプラスに転じる可能性が高い。電気代の上昇が続くほか、夏場にかけてガソリン代が前年の水準を上回る公算が大きい。円安による輸入品の値上がりも物価上昇につながる。
焦点は値上がりの動きが日用品や耐久消費財に広がるかどうか。大きな物価下落が続いたデジタル家電やパソコンは値下がり幅が縮小したり、一部で値上がりしたりしているが、需要が大きく回復しているわけではない。5月の全国CPIも食料(酒類を除く)とエネルギーを除くベースでは前年同月に比べて0.4%の下落で、物価にはまだ下落圧力が根強く残っている。
夏の賞与や残業代の増加など、所得が上向く兆しが出ている。賃金の上昇を伴う景気の改善が年内に強まるかどうかは、来年4月に予定する消費増税後の景気を大きく左右しそうだ。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。とても長いので記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、鉱工業のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。ただし、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。雇用統計のグラフでも同じです。

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鉱工業生産の増産幅について、市場の事前コンセンサスは+0.2%くらいとショボい予想だった一方で、実際には+2.0%の増産ですから、強い数字と見られがちですが、2010年=100の新基準ベースの製造工業生産予測指数の生産見込みは+2.2%増でしたから、市場予想を上回ったのは基準改定の要因と考えてもよさそうです。次の項目で見る商業販売で自動車販売が振るわなかった影響が生産にも現れていて、輸送機械がマイナスを記録した一方で、一般機械と電機が増産となっています。日本経済は自動車のモノカルチャーではないかと心配した時期もありましたが、そうでもないのかもしれません。先行きは引用した記事にもあるように、製造工業生産予測指数で見て、6月は▲2.4%の減産となった後、7月は+3.3%の増産ですから、基調判断の通り、緩やかな持直しの動きが続きそうです。グラフの下のパネルに見られるように、資本財出荷は一進一退を繰り返しているんですが、5月には増加を記録しています。

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生産でも触れましたが、商業販売統計では自動車販売が足を引っ張りました。4月の増加の反動と5月下旬の株価下落などの金融市場の混乱が原因と私は受け止めています。もっとも、5月から気温が上がって衣類の販売は好調ですし、清涼飲料水やアイスは早くも売行きを伸ばし始めています。上のグラフで見て、原系列の前年同月比でも季節調整した指数の前月比でも、5月はプラスを記録しています。アベノミクス効果は特に百貨店販売に出ており、高額商品の売行きが伸びているやに報じられています。先行きについては賃金動向が気にかかるところですが、4月16日付けのエントリーで取り上げたように、わずかとはいえ夏のボーナスが伸びるのとすれば、それなりの期待が持てると考えています。

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雇用統計に目を転じると、失業率、有効求人倍率、新規求人数のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列をプロットしています。失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と考えられています。景気回復初期の特徴で、職を求めて労働市場への参入が増加するため、失業率こそ下げ渋っていますが、有効求人倍率や新規求人数といった指標を見ると、雇用は着実に改善を示しています。なお、性別に見て女性よりも男性の改善が大きくなっていると報じられていますので、職の質として正規・非正規で見れば前者が増加している可能性が十分にあると期待しています。

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久し振りに、産業別の雇用者数の増加を前年同月からの差で見たグラフを書いてみました。上の通りです。緑色の医療・福祉は相変わらずコンスタントに多くの雇用を吸収していますが、最近では少し勢いが低下したようで、卸売・小売業や、特に5月の統計では金融・保険業や情報通信業なども雇用の増加に寄与しています。製造業がマイナスを続ける一方で、復興事業が一段落したとはとても思えないんですが、5月になって建設業が減少に転じています。なお、新規求人数では建設業は増加を示しています。

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最後に、消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。青い折れ線が生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率、これに対するエネルギー、食料、その他の寄与度が積み上げ棒グラフで示されています。赤い折れ線は食料とエネルギーを除くコアコアCPI、グレーは東京都区部のコアCPIのそれぞれ前年同月比上昇率です。5月のコアCPIの前年同月比はゼロに達しました。多くのエコノミストは6月はプラスだと見込んでいます。そんなにラグが短いハズはないんですが、中にはアベノミクスの成果であると勘違いする向きもあるかもしれません。先行きについても、電気・ガス料金の値上げと円高是正に伴って、年内はCPIがプラス圏内で推移すると私は考えています。ただし、米国の量的緩和政策の終了を見込んだ商品市況の低下は我が国物価を押し下げる可能性があります。商品市況がオーバーシュートしないことを願っています。

今日発表された政府統計は総じて日本経済が順調な回復軌道にあることを示していると私は受け止めています。私はもともと雇用を重視するエコノミストなんですが、今日発表された中では、もっとも気がかりなのは消費者物価であり、2年程度で日銀のターゲットである2%に達することを期待したいと思います。

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