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2013年6月11日 (火)

法人企業景気予測調査に見る企業マインドは大きく改善を示す

本日、財務省から法人企業景気予測調査の4-6月期 BSI が発表されました。ヘッドラインとなる大企業景況判断 BSI は1-3月期の+1.0の後、4-6月期+5.9となり、先行き見通しは翌7-9月期の+14.0まで上昇した後、翌々10-12月期には+11.5とやや下降すると見込まれています。まず、とても長くなりますが、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4-6月期大企業景況感、7四半期ぶり高水準 製造業で大幅改善
内閣府と財務省が11日発表した4-6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を表す全産業の景況判断指数はプラス5.9となり、1-3月期のプラス1.0から大きく改善した。プラスは2期連続で、東日本大震災の反動で大きく伸びた2011年7-9月期のプラス6.6以来、7四半期ぶりの高い水準となった。円安が進んだことや国内需要の持ち直しを受け、大企業の景況感は製造業、非製造業ともに改善した。
調査基準日は5月15日で、日経平均株価が1100円を超えて下落した5月23日より前となる。指数は自社の景況が前の期と比べて「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を差し引いて算出するが、株価の調整局面を受けた回答は含んでいない。
大企業製造業の4-6月期の景況感はプラス5.0と、1-3月期のマイナス4.6から一転し3期ぶりのプラスだった。後発医薬品をはじめとする化学工業や、スマートフォンなど情報通信機械器具などで景況感が上向いた。プラスだった自動車はマイナスに転じ、景況感改善は一服した。
非製造業も景況感はプラス6.4で、1-3月期のプラス4.0を上回った。プラスは2期連続。調査時点までの株価上昇期待などを背景に国内消費が持ち直し、サービス業が上向いたほか、株式取引の活況で証券会社など金融・保険業で改善した。
1-3月期以降さらに進んだ円安は評価されている。製造業で円安進行を景況判断の改善要因ととらえる企業数は、原材料上昇などのマイナス要因と考える企業数を上回った。
先行きも一段の改善を見込んでいる。大企業全産業の7-9月期見通しはプラス14.0。前回3月発表時点に見込んでいたプラス9.0を上回った。今回初めて公表する10-12月期はプラス11.5を見込む。
2013年度の設備投資計画(ソフトウエア含む)は、全産業で前年度比7.2%増を見込む。上期は17.5%増だが、下期は1.0%減で、年度後半の新規投資には慎重な姿もうかがえるが、3月発表時点の見通しと比べ、上期、下期ともに改善した。製造業の設備投資は5.8%増。3月発表時点では減少と見込んでいた下期の設備投資が今回プラスに転じた。
調査は資本金1000万円以上の約1万6千社を対象に実施し、回答率は79.3%だった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。下のグラフは法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業全産業の BSI、すなわち、「貴社の景況」と「国内の景況」をプロットしています。やや色を薄くしてあるのは先行き見通しです。影をつけた景気後退期の景気日付については月次データと同じで、昨年1-3月期が景気の山、10-12月期が谷だったと仮置きしています。なお、来週6月18日に鉱工業生産指数の基準改定の結果が明らかにされ、同時に季節調整の改定がなされて、結果的に景気後退ではなく踊り場と判断を変更する可能性があり得るとウワサされています。ついでながら、ご参考まで。

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必ずしも上のグラフに盛り込み切れなかった情報も含めて、今回の統計の特徴としては以下の3点を上げることが出来ると私は考えています。第1に、当然ながら、企業マインドが改善を示していることです。年央に頭打ちとなる可能性は残されているものの、業況感は高い水準で推移しそうです。加えて、雇用の不足感が特に非製造業で広がりつつあります。設備の過剰感はまだ払拭されるに至っていませんが、引用した記事にもある通り、全産業の設備投資見通しは前年度比で見て、前回調査の▲6.5%減から+7.2%増に大きく上方改定されています。もちろん、売上も利益も増加すると見込む企業の比率が高まっています。第2に、業況判断 BSI を企業規模別に詳しく見ると、大企業では年央をピークに年末にかけて少し低下する可能性が示唆されている一方で、中堅企業・中小企業では大企業に少し遅れる形で年末まで上昇を続けると見込まれていることです。もちろん、その後は大企業と同じように年明け以降は景況感が低下する可能性は十分に残されているものの、大企業で高まった企業マインドが中堅企業や中小企業に波及しつつあることが確認できます。第3に、それまでほぼ一貫してマイナスを続けていた販売価格判断 BSI が上昇超過に転じたことです。期待インフレ率のデータとしては精度に欠けることはなはだしいと思いますが、企業活動から得られるマインドとして販売価格を上げやすくなっている可能性が指摘できます。デフレ脱却に向けた望ましい兆候といえます。もちろん、大きな留保条件がつくのは、引用した記事にもある通り、調査基準日が株価の大きな下落のあった5月23日よりほぼ1週間前の5月15日だったことであり、株価などのマーケットの影響は何ともいえませんが、6月調査の日銀短観で明らかになる部分も少なくないと受け止めています。

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誠についでながら、企業景気予測調査を離れると、昨日、経済協力開発機構 (OECD) から先行指数 OECD/CLI が発表されています。上の画像はその総括表ですが、今週末からのG8サミット参加国のうち、"growth firming" と判定されているのは日米両国だけだったりします。ただし、日本の景気の谷はまだ付けられていません。

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