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2013年7月27日 (土)

今週読んだ新刊書から

今週読んだ新刊書から、経済書や教養書とともにフィクションの小説まで、3冊を取り上げます。

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まず、イツァーク・ギルボア『合理的選択』(みすず書房) です。この本は、そのままミクロ経済学のテキストとしても使えそうなレベルです。Chapter 1 は「できることと望ましこと」という事実と規範から入り、最適化などのミクロ経済学、ゲーム理論、意思決定論などのエッセンスをかなり的確に取りまとめています。しかし、他方で、顕示選好理論を基礎に置いているため、行動経済学的な「非合理性」を理論に取り込むには至っていません。この点をどう考えるかですが、私は共用部から学部初歩くらいのレベルではこれで十分だと思います。逆に、このあたりを入門として理解せずに、いきなり行動経済学的な「非合理性」を理解するのはムチャだと私は考えています。その意味でも有益なテキストだと思います。オススメです。

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次に、ダニエル・コーエン『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』(作品社) です。こちらはフランス的なマルクス主義経済学の流れも汲む著者の教養書というべきカテゴリーに置かれる本だと受け止めています。フレンチ・マルキストですから、必ず「フォーディズム」という言葉が出て来ます。要点はマルサス的な悲観論とローマ・クラブ的な悲観論を同じ土俵で捉えて、米国的なセンスの経済成長を欧州的なセンスで否定的に論じる、という、かなり定型化されたフレンチ・マルキストの著書に仕上がっています。その意味で、標準的といえます。特に、オススメはしません。

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最後に、薬丸岳『友罪』(集英社) です。事件の内容は微妙にズラしてあるものの、明らかに、「酒鬼薔薇聖斗」を名乗った神戸の連続児童殺傷事件を下敷きに、その犯人が塀の外の社会生活を送るとすれば周囲の人達がどのように反応するか、また、ジャーナリズムはいかに報じるべきか、をテーマにしています。それに、友人をイジメ自殺から救うことの出来なかった男性、AV女優をしていた過去を持つ女性など、連続自動殺人ほどではないものの、何らかの暗い過去を持つ20代の若者を主人公に物語は進みます。チラリと市橋達也の逃亡譚らしきウワサ話なども語られます。ストーリーの展開がとてもスピーディーで、ぐいぐいと物語に引き込まれます。人によっては、「自分ならどうするだろう」と思い悩む場面も数多いのかもしれませんが、私の場合は実感が湧かないものですからともかく読み進みました。特にオススメはしませんが、大雑把な内容を理解した上で、自分で読むかどうかを判断すべき本です。

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