2か月連続で悪化した消費者態度指数は先行き経済に影を差すか?
本日、内閣府から7月の消費者態度指数が発表されました。昨日の景気ウォッチャーが供給サイドのマインド指標であるのに対して、消費者態度指数は典型的な需要サイドのマインド指標です。季節調整済みの系列で見て、前月差▲0.7ポイント低下し43.6となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
消費者態度指数、2カ月連続悪化 判断を8カ月ぶり下方修正
内閣府が9日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は43.6と前月から0.7ポイント低下した。内閣府は「1982年6月から現在までの平均値(42.4)は上回っており、水準としてはまだ高い」とみるが、2カ月連続の悪化を踏まえ基調判断を「改善している」から「改善のテンポが緩やかになっている」に下方修正した。
判断を下振れさせたのは2012年11月以来8カ月ぶり。
指数を構成する4項目のうち「収入の増え方」「暮らし向き」「耐久消費財の買い時判断」の3項目が2カ月連続で悪化した。ボーナスが増えても所定内給与の前年割れが続いているため、収入面ではマイナスに響いたとみられる。
電気料金や食品価格の上昇は暮らし向きの悪化要因になった公算が大きい。デジタル家電価格の下げ止まりは耐久消費財の買い時判断の悪化に影響したようだ。一方で「雇用環境」は有効求人倍率や失業率の改善を背景にプラスを確保した。
1年後の物価見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)が2.3ポイント上昇の86.2%と7カ月連続で増えた。08年9月(86.7%)以来4年10カ月ぶりの水準で、日用品や食品、エネルギー価格に先高観を持っているようだ。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は7月15日で、有効回答数は6310世帯(回答率75.1%)だった。
いつもの通り、とてもよくまとまった記事でした。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。今年4月でデータの連続性が切れています。なお、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の山は2012年3月、さらに、景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。
消費者態度指数は、引用した記事をよく読めばわかるかもしれませんが、4項目のコンポーネントから成り立っており、7月は「収入の増え方」と「暮らし向き」と「耐久消費財の買い時判断」の3項目は前月から低下したんですが、「雇用環境」は上昇しました。雇用環境と収入が乖離しているのがやや不可解ですが、雇用が悪くないマインドですので、一定のラグの後、収入に関するマインドも上昇する可能性が高いと私は考えています。統計が改善を示した雇用がいいのであれば、収入から消費に波及することが期待されます。供給サイドのマインド指標ながら、昨夜の景気ウォッチャーと同じように私は考えています。特に、ボーナスがいい反面、所定内給与が上がらないので収入マインドが低迷していると分析されているのであれば、何ら問題視する必要はないと考えるべきです。ただし、消費者態度指数は景気ウォッチャーほど水準が高くありませんから、統計作成官庁の内閣府が貴重判断を半ノッチ下げたのも理解できます。いずれにせよ、それほど懸念するには及ばないと受け止めています。
消費者マインドに関して別のソースですが、今週火曜日の8月6日に明治安田生命から「夏に関するアンケート調査」が公表されています。図表は引用しませんが、夏休みに使う予定の金額は83,622円となり、昨年から648円増加し、3年振りの増加を記録したとか、「国内旅行」が「帰省」を5年振りに逆転したとか、消費者マインドがアベノミクスにより改善していることを伺わせる内容となっています。何ら、ご参考まで。
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