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2013年8月21日 (水)

景気動向指数研究会による景気基準日付は2012年4月を山と認定

本日、内閣府において景気動向指数研究会が開催され、暫定的ながら昨年2012年4月を第15循環の山と認定しました。その前の第14循環の谷が2009年3月でしたので、景気拡大局面は37か月だったことになります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気「山」は12年4月、拡大局面37カ月 政府判定
内閣府は21日、有識者で構成する景気動向指数研究会(座長・吉川洋東大教授)を開き、景気の拡大局面から後退局面への転換点を表す景気の「山」を2012年4月と判定した。09年4月から始まった景気拡大局面の期間は37カ月と、戦後6番目の長さとなる。
今回の回復局面は、08年秋のリーマン・ショック後の急回復期にあたり、内閣府は「テンポは急速だった」との見方を示した。
判定には景気動向指数のうち景気の現状を示す一致指数を構成する11の経済指標から不規則な動きを取り除き、過去にさかのぼって再構成した「ヒストリカルDI」を活用する。同DIは12年5月以降、判断の分かれ目となる50%を下回っている。そのため景気動向指数研究会の委員7人は、景気の「山」を暫定的に昨年4月に認定することで一致した。
今回の「山」認定はあくまで暫定で、正式な認定はデータが出そろった時点で、景気後退が底入れする「谷」の時期も含めて認定する。委員の1人からは「『谷』は昨年11月となる可能性があり、その後は上り坂になっている」との声も出た。座長を務める吉川教授は、今回の議論の対象ではなかったとしながら、「仮に11月を『谷』とすると、非常に短い景気後退だったということになる」と語った。

ということで、いつもの通り、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、政府文書では「設定」establishment を用いており、日経新聞では「判定」judgement という用語を用いていますが、私は「認定」または「同定」identification が正しいんではないかと考えていますので、このブログでは用語を訂正しています。続いて、下のグラフは引用した記事でも言及されていたヒストリカルDIの推移です。本日の景気動向指数研究会の配布資料のうち、資料2 参考図表集の p.7 図表5-2 を引用しています。

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ヒストリカル DI のデータは、2012年4月54.5%、5月45.5%ですから、この間に上から50%ラインを切っていることになります。ですから、2012年4月が景気の山ということになります。同様に、引用した記事にもある「昨年2012年11月が景気の谷」という説に対しても、2012年11月45.5%、12月81.8%ですから、下から50%のラインを切っており、十分に根拠のあるところです。じゃあ、現時点で決めちゃえばいいじゃないか、と思わないでもないんですが、速報性に欠ける統計資料なんぞも用いますので、伝統的に1年くらい遅れることになります。ほぼ確実に、年内にもう一度景気動向指数研究会が開催されて、2012年11月を景気の谷と同定すると私は固く信じています。景気の山が3月か4月かについては外しましたが、谷については後述のように外しようはないと思います。
なお、何らご参考までですが、景気後退の Depth と Duration については、同じく、景気動向指数研究会の配布資料のうち、資料1 論点メモにおいて、Depth は「CI一致指数が過去の参照すべき後退局面のうち下降が小さかった例と同等以上に下降」、また、Duration は「景気の山(谷)が、直前の景気の谷(山)から5ヶ月以上経過、かつ前の景気循環の山(谷)から15ヶ月以上経過」と目安が示されています。

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ちなみに、上のグラフは景気動向指数の推移です。このCI一致指数を見ると景気の山は2012年3月なんですが、現時点でも政府による公式の景気基準日付の認定にはヒストリカルDIを用いて、CI一致指数は景気後退の Depth の目安に用いられるにとどまっています。他方、米国ではNBERによる景気基準日付の認定にはいわゆるストック・ワトソン型の指数が用いられており、私も大学に出向していた時に推計して紀要論文に取りまとめた記憶があります。まあ、ヒストリカルDIとCI一致指数では、一長一短でどちらがいいとはいえませんが、第15循環の場合、山は2012年3月と4月で1か月ズレますが、谷は2012年11月で一致するようです。

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