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2013年8月29日 (木)

商業販売統計からマインドに支えられた消費のサステイナビリティを考える!

本日、経済産業省から7月の商業販売統計が発表されました。ヘッドラインとなる小売業販売額は季節調整していない原系列で見て前年同月比▲0.3%の減少、季節調整指数の前月比で▲1.8%の減少となりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

7月の小売販売額、3カ月ぶりマイナス 天候不順など響く
経済産業省が29日発表した7月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆7430億円で、前年同月に比べ0.3%減った。マイナスは3カ月ぶり。特に百貨店など大型小売店がマイナスに転じた。前年より日曜日が1日少なく、一部地域での記録的な豪雨、6月への夏物セール前倒しなどが響いた。
小売業の内訳をみると、機械器具が薄型テレビやレコーダーの不振で7.4%減と大きく落ち込んだ。自動車もエコカー補助金制度がなくなったことが響き6.2%減と落ち込みが目立った。
一方、燃料は石油製品価格の上昇で7.9%増えた。高温が続いたことで夏物の売れ行きが伸びた織物・衣服・身の回り品は0.9%増だった。
大型小売店は0.7%減の1兆7124億円で、3カ月ぶりのマイナス。既存店ベースも1.6%減と2カ月ぶりに減少した。このうち百貨店は宝飾品や時計といった高額品の販売が依然として好調だったが、セール前倒しの影響が大きく2.2%減と3カ月ぶりに減少に転じた。スーパーも天候不順の影響が大きく1.2%減だった。
コンビニエンスストアは4.8%増の9014億円。店舗内で抽出するコーヒーや総菜の販売増が寄与した。既存店ベースはタバコの減少が響いて0.7%減だった。

というわけで、いつもの通り、よくまとまった記事だという気がします。続いて、商業販売統計のうち小売業販売のグラフは以下の通りです。影をつけた部分は景気後退期であり、毎度のお断りながら、直近の景気の山は内閣府の認定通りに昨年2012年4月なんですが、このブログのローカル・ルールで、2012年11月を直近の景気の谷と仮置きしています。

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7月統計はいかなる観点からも消費の停滞を示していると私は受け止めています。すなわち、報道には出ていませんが、梅雨明け後にはかなりの猛暑で気温が上がり、それなりの猛暑効果が見込めたハズなんですが、そういった消費の増加はマクロでの統計には相殺されて現れていません。猛暑需要を上回る停滞があったと考えるべきです。もちろん、一部地域での豪雨で外出が控えられたことは消費にはマイナスだったでしょうが、上に引用した記事にもあるように、宝飾品や時計といったレベルの高額商品ではなく、テレビや車といった実用的な高額商品の売上げが減少しているのは、所得とマインドが思ったほど伸びていないことが原因と私は受け止めています。すなわち、8月8日付けのエントリーで取り上げた景気ウォッチャーやその翌日の8月9日の消費者態度指数など、マインドは足踏みを示しています。所得についてはアベノミクスの第1の矢である金融政策のラグの範囲内でまだ現実化していません。

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まず、マインドや資産効果については上の業態別の小売売上高の推移が示唆に富んでいます。グラフは季節調整済みの系列をプロットしており、基準年は2010年です。見れば明らかですが、衆議院解散やアベノミクスの前、昨年のミニ・リセッション中からいずれの業態、百貨店、スーパー、コンビニとも売上げを伸ばし始めており、当然ながら、今年に入って年央までは、トレンドとして増加を続けているコンビニを別にしても、必需的な消費の比率が高いと推察されるスーパーよりも選択的な消費の割合が高いと考えられる百貨店の伸びの方が大きくなっていました。しかし、7月にはコンビニも含めてスーパーも百貨店も減少に転じました。スーパーよりも百貨店の方が大きく落ち込んでいるのは見ての通りで、水準としてはミニ・リセッション時をさらに下回っています。マインド効果や資産効果の剥落が疑われます。誤解を恐れずに極めて単純化すれば、食料などの必需的な消費よりも衣料などの選択的な消費のほうが所得やマインドに対する弾性値が高く、実用的な高額商品はさらに弾性値が高く、実用的でない宝飾品などの弾性値はさらに高いと考えるのが自然です。もっとも、最後のカテゴリーは平均的な国民の消費に基づくものではないかもしれません。6月統計までの伸びに対する反動という面はありますが、いずれにせよ、百貨店売上げの大きな落ち込みは所得よりもマインドに支えられた最近までの消費のサステイナビリティに対する疑問を裏付けていると私は受け止めています。なお、所得については、私はまだ金融政策のラグのために発現していないと考えています。月曜日8月26日のエントリーでは、ジャクソンホール会合での黒田総裁発言などを引いて、ラグが短い可能性を示唆しましたが、訂正しておきたいと思います。やっぱり、岩田副総裁の京都における発言などを見ても、エコノミストの常識として、金融政策の効果が発揮されるまで4-6四半期のラグはあるという考えに戻ってしまいました。日経新聞の記事を見ても、金融政策の効果は来年度から本格化する、と岩田副総裁は発言した旨が報じられており、逆にいえば、ラグは4四半期以上ある、という含意だと受け止めています。極めて常識的です。

従来から指摘しているように、アベノミクスのど真ん中と私が考える政策は第1の矢の金融政策であり、ラグを埋めるために第2の矢の財政政策が発動されています。第2の矢の財政政策で第1の矢の金融政策のラグの時間を買っているわけです。第3の矢の成長戦略は、その名の通りの構造改革による生産性や潜在成長率の回復のための政策であればOKなんでしょうが、報道される限り、TPPを除いてターゲティング・ポリシーにしかなっておらず、どこまで経済成長に貢献するかは疑問だと私は考えています。いずれにせよ、金融政策が一定のラグを経て効果を発揮して所得が増加し始めるまで、マインドに支えられた消費がサステイナブルかどうかを注視する必要がありそうです。

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