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2013年9月10日 (火)

2020年東京オリンピックの経済効果やいかに?

東京オリンピックが決まって週末明け昨日の東証では大商いとなり、日経平均株価は前週末終値比344円42銭高の1万4205円23銭、TOPIXも同じく25.18ポイント高の1173.00とそろって値上がりしました。今日も日経平均は続伸し昨日比218円13銭高の1万4423円36銭で引けました。ということで、エコノミストとしてはとても気になるところで、「アベノミクスの第4の矢」とも称され始め、世間では早くも大きな話題になっている東京オリンピックの経済効果について、今夜は簡単に取り上げておきたいと思います。まず、広く報じられている「経済効果3兆円」の根拠となった東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会試算結果を引用すると以下の通りです。

2020年オリンピック・パラリンピック開催に伴う経済波及効果を試算
東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会では、開催に伴う経済波及効果試算を発表しました。
来年2013年から開催年に当たる2020年までを対象としており、経済波及効果は全国で約3兆円。
これに伴う雇用の誘発は、約15万人と試算されています。
大会関係施設への投資や観戦客の消費などを合わせた経済波及効果は、東京都で1兆6700億円、そのほかの地域で1兆2900億円となり、雇用面の波及効果はおよそ15万人分の所得に相当するおよそ7500億円と試算しています。

ということで、上の引用の2パラ目に「経済波及効果は全国で約3兆円」とあります。これが人口に膾炙しているわけです。また、同じパラの中に「来年2013年から」という文言が見えますが、実は、この試算は昨年2012年6月8日に発表されています。まず、生産誘発額に関する経済波及効果のテーブルを東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会にサイトから引用すると以下の通りです。

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生産誘発額で見た経済波及効果は、東京都で約1兆6700億円、その他で約1兆2900億円、全国総計で約2兆9600億円、切りよく3兆円、ということになります。このサイトでは試算の根拠は余り明らかではないんですが、東京新聞の報道によれば、参加選手数1万7000人、オリンピック期間中の来日観光客数25万人、チケット販売数1010万枚、新国立競技場建設費1300億円、選手村建設費1057億円などが示されています。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の立候補ファイルを見れば、さらに詳細な前提条件が分かりそうにも思いますが、明示はしていないものの、おそらく、産業連関表か何か類似の手法を用いて推計していることと私は想像しています。なお、雇用誘発については下のテーブルのとおりです。

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そもそも、私にはこういった試算を検証する意図も能力もありませんし、何よりも試算の詳細が明らかにされていないこともありますので、この試算の妥当性については議論を進めるつもりはありません。代わりに、すでにお示しした東京新聞の記事のほかに、メディアの報道をいくつか紹介したいと思います。「いくつか」といっても、実は山ほどあるんですが、私が見た範囲では日経新聞と経済週刊誌の東洋経済の以下の2本がよく取りまとめられていると受け止めています。

いずれの報道も、オリンピックの経済効果は3兆円なんてケチなことは言わずに、もっとあるんではないか、という論調を含んでいます。日経新聞では大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストに取材し「経済効果は約95兆円、国土強靱化計画が進めば約55兆円の効果を見込めるため総額150兆円」との大きな額を示していますし、東洋経済では明治大学専門職大学院長の市川宏雄教授から「実際には10兆円」との発言を引き出しています。私も直感的に7年間で3兆円は小さいという気もします。
ただし、私が懸念するポイントが2点あります。第1は地域的な偏りで、第2に産業的な偏りです。何でも偏りなく満遍に、というつもりは毛頭ありませんが、東京オリンピックですから、当然のように地域的には東京に偏ります。生産誘発効果3兆円の試算でも、東京都で約1兆6700億円、その他で約1兆2900億円となっていましたが、東京都以外のほとんどは首都圏3県、すなわち、神奈川県、埼玉県、千葉県なのではないでしょうか。ホントに疲弊した地方圏には心意気以外の経済効果はほぼ見込めないと考えるべきです。また、産業的な偏りについても、土木・建設と不動産や観光・運輸などに偏る懸念があります。これらの産業が将来の我が国をけん引するリーディング産業なのか、それとも、いわゆる斜陽産業なのかを考えて、もしも後者だとすれば、あくまでそうであれば、なんですが、労働力や資本といった生産要素をそれらの斜陽産業に張り付かせるオリンピック効果は、日本経済の将来にとって長期的にどこまでプラスなのか、という疑問が残らないでもありません。

エコノミストとして、いろいろと書き連ねてしまいましたが、私自身としてはオリンピックの経済効果はそれなりにあるものの、経済効果を主眼として取り組むべきイベントではないと考えています。経済効果の地域的及び産業的な偏りなんぞは忘れて、もちろん、総額も気にせずに、オリンピックをそのままの形で受け止めて楽しむべきかもしれません。とは言いつつも、「経済評論の日記」に分類しておきます。

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