来週発表の4-6月期GDP統計2次QEは消費税率引上げに追い風か?
来週月曜日の9月9日に今年2013年4-6月期GDP速報2次QEが内閣府より発表されます。今週月曜日の法人企業統計を含め、必要な経済指標がほぼ出尽くし、各シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ウェブ上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、来年4月からの消費税率引上げに関する部分を中心に取っているつもりです。言及していないニッセイ基礎研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングと三菱総研はアッサリと済ませてあります。特に、2次QEですから、淡々としたリポートも少なくありません。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
内閣府1次QE | +0.6% (+2.6%) | n.a. |
日本総研 | +0.8% (+3.2%) | 2次QEの結果や、企業の利益率、自己資本比率といった収益・財務環境の大幅な改善などを踏まえれば、消費税率の引き上げは、当初の予定通り実施することが可能と判断。 |
大和総研 | +0.9% (+3.7%) | 2013年4-6月期GDP2次速報は消費税率引き上げの重要な判断材料となる。予想通りの結果となれば、前期比年率+3%後半という高い成長率であること、一次速報段階での懸念材料であった設備投資がプラス転換することから、消費税増税の実現性が一層高まることとなるだろう。 |
みずほ総研 | +0.9% (+3.6%) | 2014年4月からの消費税率引き上げを巡る有識者会合では、過半が予定通りの引き上げを求めた模様である。今回の2次QEでは回復の遅れが懸念された設備投資も増加に転じていたことが明らかになり、安倍首相による予定通りの税率引き上げ決断を後押しする材料となりそうだ。 |
ニッセイ基礎研 | +0.9% (+3.8%) | 大幅に上方修正されると予想する。 |
第一生命経済研 | +0.9% (+3.7%) | 仮にこの予想通りの大幅上方修正となった場合、予定通りの消費税率引き上げ(14年4月に8%)が実現するとの観測が強まるだろう。 |
伊藤忠経済研 | +1.0% (+3.9%) | 安倍政権は、二次QEに加え、8月下旬に実施した有識者会合の意見や8月の月次データ(9月下旬公表)、9月日銀短観(10月1日公表)などを踏まえ、10月4日頃に消費税率引き上げの最終判断を行う方針と報じられている。少なくとも、GDP動向は、政府が課した基準に照らし消費税率引き上げの判断を支持するものと考えられる。 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | +1.0% (+4.1%) | 1-3月期の前期比年率3.8%に続く高成長が確認されることで、政府が10月上旬にも判断するとみられる、2014年4月からの消費税率の引き上げ(5%→8%)も、一段と現実味を増すとみられる。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +1.0% (+4.1%) | 上方修正される見込みである。 |
三菱総研 | +1.0% (+4.2%) | 大幅な上方修正を予想する。 |
何といっても2次QEですので、1次QEからの改定幅は決して大きくないんですが、すべての機関が上方改定を予想しています。大雑把に見て、年率成長率で3%台後半から4%くらいといったところでしょうか。その主たる要因は設備投資の回復となっています。家計部門の消費にけん引されていた今回の景気回復・拡大に企業部門の設備投資が追いついて来たということで、これらの予想が正しいとしてGDP統計を見る限り、来年2014年4月からの消費税率の引上げをサポートする結果であると考えるエコノミストが多くなっているのも事実です。
最後に、みずほ総研のリポートから、需要項目別に寄与度分解したGDPの前期比成長率の推移です。現在の槐記回復・拡大局面では、紫色の家計の消費や住宅の寄与が大きい一方で、黒い外需については1-3月期を別にすれば必ずしも寄与が大きくなく、また、この4-6月期からようやく企業の設備投資がプラスに転じること、などを読み取ることが出来ます。あくまで予想の一例ですが、大雑把なコンセンサスと言えそうな気がしなくもありません。
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