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2013年9月 3日 (火)

毎月勤労統計で7月賃金はボーナスに支えられ上昇!

本日、厚生労働省から7月の毎月勤労統計が発表されました。ヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.4%増加し、他方、景気に敏感な所定外労働時間指数は季節調整済みの指数の製造業で前月から▲3.0%の減少となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の現金給与総額、2カ月連続増 賞与など増加
厚生労働省が3日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報)によると、現金給与総額は前年同月比0.4%増の36万2141円となり、2カ月連続で増えた。賞与や残業代が2%程度伸び給与総額を底上げした。ただ、基本給(所定内給与)は14カ月連続で減っている。デフレ脱却に向けては、今後も賃金上昇が続くことが重要になる。
調査は従業員5人以上の事業所が対象。給与総額の内訳をみると、残業代など所定外給与が1.9%増の1万8752円、賞与など特別給与が2.1%増の10万1184円と増えた。一方で、基本給となる所定内給与は0.4%減の24万2205円にとどまった。
特別給与の伸びでは、建設業の12.1%、金融・保険業の17.8%、郵便局など複合サービス業の27.5%が目立った。
残業代をみると、卸・小売業が8%、飲食サービス業が6.7%と高い伸び率となった。猛暑の影響で仕事量が増えたとみられる。
生産の回復に伴い、製造業の残業時間は0.7%増と、1年ぶりに前年同月を上回ったが、季節調整済みの前月比では3%減っている。
就業形態ごとの給与総額を比べると、フルタイムで働く一般労働者が0.9%増の46万9666円だったのに対し、賞与の割合が低いパートタイム労働者は0.7%減の10万349円となった。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。

photo

まず、上のパネルの所定外労働時間が減少しているのがやや不可解です。7月の生産は増産となり大きく増加したんですが、同じ製造業どうしで比較しているにもかかわらず、残業時間が減少している結果が出たわけです。新たに雇用を増加させて残業時間を抑制した、というのがひとつの解釈ですが、私にはピンと来ません。上のグラフの所定外労働時間は季節調整済みの指数ですが、引用した記事にもある通り、季節調整していない前年同月比ではプラスとなっており、季節調整が何らかの影響を及ぼしている可能性があります。それにしても、季節調整済みの前月比で▲3%減というのは大きい気がします。他方、下のパネルの賃金は増加したとはいえ、消費者物価上昇率を下回りましたから、実質賃金は減少しています。短期に生産性の変動を無視すれば、企業にとっては新たに雇用を増加させるインセンティブとなりますが、逆から見て、雇用者にとっては物価に見合った賃金上昇がなければ生活水準の低下に直結します。特に、引用した記事の最後のパラにある通り、7月の賃金はフルタイムのボーナス増に支えられており、ボーナス支給比率の低いパートタイムには恩恵が及んでいませんから、アベノミクスの第1の矢である金融政策のラグの範囲内とはいえ、消費のサステイナビリティを考える上でも重要なポイントです。なお、アルバイト・パートの賃金が前年と比べて下がっているのは、リクルートジョブズの「アルバイト・パート全国エリア別募集時平均時給調査」では三大都市圏においては上昇となっていますので、都市部から地方への地域的な景気の波及が遅れている可能性があります。最後に、ボーナスに支えられた賃金上昇は景気と連動的なんですが、消費には所定内賃金が恒常的な所得としてより大きな影響を及ぼす可能性があります。この所定内賃金が前年同月比で1年を超えて減少しているのも消費のサステイナビリティに対する懸念材料のひとつです。

労働時間についてはやや不可解な結果でしたが、賃金統計については毎月勤労統計が月次で分かる数少ない統計ですので、引き続き注視したいと思います。

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