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2013年9月30日 (月)

先行き強気の鉱工業生産と堅調な商業販売統計

本日、経済産業省から8月の鉱工業生産指数商業販売統計が発表されました。鉱工業生産は季節調整済みの前月比で▲0.7%の減産、商業販売統計は小売業販売額が季節調整していない前年同月比で+1.1%増加の11兆3150億円となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の鉱工業生産、0.7%低下 火力発電用部品の反動減響く
経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は97.2だった。前月比で0.7%低下した。マイナスは2カ月ぶり。火力発電用部品を含む「はん用・生産用・業務用機械工業」が前月に好調だった反動で落ち込んだ。自動車生産が一服したことも響いた。
業種別でみると15業種のうち7業種が低下した。はん用・生産用・業務用機械工業は7月に大きく伸びた電力会社向けの一般用蒸気タービンや化学プラント用機器が設備投資の一服で反動減となり、2.4%減少した。乗用車販売が国内外で低調だったことで輸送機械工業も0.9%減少した。
経産省は「指数の水準自体は高さを維持している」とみている。生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
出荷指数は0.4%上昇の96.0。7月中に予定していた乗用車の輸出は一部が8月にずれ込み、輸送機械工業が3.6%上昇した。在庫指数は輸送機械工業の出荷増などにより0.1%低下の108.6、在庫率指数は1.6%上昇の112.3だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは9月が5.2%上昇。デスクトップ型パソコンやノート型パソコンの需要が伸びていることが寄与し、情報通信機械工業がけん引する。10月ははん用・生産用・業務用機械工業や輸送機械工業の回復で2.5%上昇となる見込みだ。
8月の小売販売額、2カ月ぶりプラス 燃料高と猛暑効果で
経済産業省が30日発表した8月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆3150億円で、前年同月に比べ1.1%増えた。プラスは2カ月ぶり。円安による燃料価格上昇に加え、猛暑で夏物衣料や飲料などが伸びた。
小売業の内訳をみると、燃料は円安によるガソリンなど石油製品価格の上昇で6.2%増えた。夏物の売れ行きが好調だった織物・衣服・身の回り品は3.4%増だった。飲食料品小売業は猛暑による野菜の価格上昇もあり1.6%増加。一方、自動車は軽自動車が好調だったものの、前年のエコカー補助金制度がなくなった影響で3.5%減った。
大型小売店は0.9%増の1兆5822億円で、2カ月ぶりのプラス。既存店ベースは0.1%減と2カ月連続で減った。このうち百貨店は3.0%増と2カ月ぶりに増加した。夏物衣料が好調だったうえ、前年より土曜日が1日多かったことが寄与した。スーパーは1.3%減だった。
コンビニエンスストアは4.3%増の9047億円。新規出店効果に加え、飲料やアイスなどが好調だったほか、ゲーム用プリペイドカードなども増えた。既存店ベースでは1.3%減だった。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。これについては後の商業販売統計のグラフでも同じです。

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鉱工業生産は季節調整した前月比で▲0.7%の減産となりましたが、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスも▲0.4%と減産を予想していて、予測レンジが▲1.4%から+0.6%でしたから、大きなサプライズはありませんでした。引用した記事にもある通り、電力会社の火力発電向けの部品の反動減が主たる減産の要因です。加えて、これも記事にあるように9月から10月にかけて製造工業生産予測指数は大きくリバウンドしています。統計作成官庁の経済産業省が「緩やかな持ち直しの動き」で基調判断を据え置いたのも当然という気がします。上のグラフを見ても、生産はジグザグした動きながら、引き続き、緩やかな回復基調を維持していると言えますし、資本財出荷も設備投資動向と整合的な動きで緩やかな増加傾向にある一方、耐久消費財出荷もプラスに反転しつつあります。伸びは緩やかながら先行きは強気の生産計画で、総じて生産と出荷ともに底堅い動きと受け止めています。

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続いて、商業販売統計のうちの小売業販売のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の販売額の前年同月比伸び率、下は季節調整指数そのものを、それぞれプロットしています。上のパネルの前年同月比では最初に書いたように+1.1%増ですが、先週の金曜日に発表された消費者物価が生鮮食品も含む総合、いわゆるヘッドラインCPIで+0.9%の上昇でしたので、CPIでデフレートした実質の消費はほぼ横ばいと考えるべきです。引用した記事にもある通り、エコカー補助金の反動減がある一方で、猛暑効果による衣類や食料・飲料の売上増が消費を下支えしています。先行きは冬のボーナスも含めて、所得の伸びに対する期待にも依存し、また、何といっても来年4月から消費税率が引き上げられるかどうかで駆込み需要が発生する可能性があります。すなわち、消費税率が来年4月から引き上げられると仮定すれば、駆込み需要も含めて来年の3月いっぱいまで消費は堅調に推移し、4月からの消費税率引上げとともにドカンと落ちる、というのが標準的なシナリオなんではないかと思います。年明けとともに駆込み需要が目に見えて実感される地合いになる可能性を指摘しておきたいと思います。

リーマン・ショックの大混乱から5年を経て、米国が再び暫定予算不成立による政府機関のシャットダウンから世界経済に影響が及ぶ可能性が無視できなくなってきています。ギリシアをはじめとする欧州のソブリン危機が落ち着きつつある中で、世界経済の新たな火種にならないように願っています。

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