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2013年9月 7日 (土)

米国雇用統計は引き続き基本的に堅調ながら物足りない数字か?

昨日、米国労働省から8月の米国雇用統計が発表されています。いずれも季節調整済みの系列で見て、ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数の前月差増加は+169千人、失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して7.3%となりました。また、7月の非農業部門雇用者の増加幅はかなり下方に改定されました。まず、New York Times のサイトから記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

U.S. Economy Adds 169,000 Jobs as Unemployment Rate Falls
The nation's employers added 169,000 jobs in August, slightly below what economists were expecting. The unemployment rate ticked down to 7.3 percent from 7.4 percent, but it fell largely because people dropped out of the labor force and so were no longer counted as unemployed.
In fact, the share of working-age Americans who were either working or looking for work was at its lowest level since 1978, a time when women were less likely to be participating in the labor force.
The report also contained large downward revisions to job growth in July and June. August's growth was about in line with the average hiring rate so far this year, which has been steady but mediocre. If the economy were to fill the jobs gap left by the recession within the next four years, around 300,000 jobs a month would need to be created, according to the Hamilton Project at the Brookings Institution.
The latest numbers leave in question whether the Federal Reserve will start scaling back its stimulus measures after it meets Sept. 17-18, as Wall Street seems to expect. The Fed has been buying long-term Treasury bonds and mortgage-backed securities in order to keep long-term interest rates low, and the Fed chairman, Ben S. Bernanke, has said that the central bank will reduce the rate of those purchases "later this year."

引用した記事は昨夜の時点での第1報のバージョンを私がメモしておいたものですから、現時点では差し替えられている可能性があります。悪しからず。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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米国の雇用の増加については、市場の事前コンセンサスが170-180千人増でしたので、7月の統計が大きく下方修正されたことと相まって、やや物足りない結果と受け止めています。しかし、民間部門の雇用者は順調に増加しており、米国労働省の雇用者増はやや物足りないものの、ADP のデータは米国労働省の民間部門雇用者増を上回っており、もちろん、失業率が着実に低下しているわけですから、基本的には米国の雇用は堅調と考えるべきです。しかし、物足りないもの事実ですから、米国準備制度理事会 (FED) による量的緩和 QE3 は年内にも規模縮小とのウワサもありましたが、シリア情勢とも併せて考えると、FED の出口戦略は少し後ズレしそうな気もします。でも、引用した New York Times の記事の4パラ目は微妙な表現だったりします。

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米国の雇用について手放しで堅調といい切れないもうひとつの要素は、雇用・人口比率がサッパリ上がらないことです。日本のように高齢化がとてつもないスピードで進行している国であれば、高齢化に伴って労働市場から退出する人が多いわけですから、雇用者の比率が停滞ないし減少する可能性も十分にありますが、移民人口が決して少なくなく、人口がそれなりに増加を続けている米国では、まだ高齢化がそれほどのスピードでは進んでいませんから、デモグラフィックな要因よりは景気に起因する循環要因でこの雇用・人口比率が上がらないんだろうと私は考えています。

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最後に、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%超の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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