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2013年10月 9日 (水)

国際通貨基金 (IMF) 「世界経済見通し」 World Economic Outlook と経済協力開発機構 (OECD) 「技能見通し」 OECD Skills Outlook

この週末に米国のワシントンで開催されるIMF世銀総会に向けて、「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) が公表されています。先週、分析編の第3章と第4章が明らかにされたのに続き、昨日、見通し編第1章と第2章が公表されました。第2章は地域見通しですので、今夜は第1章の見通し編と分析編の特に第3章で景気循環のシンクロについて論じた部分を中心に簡単に振り返っておきたいと思います。まず、リポートの p.15 から始まる Executive Summary の最初のパラを引用すると以下の通りです。日本に関する部分については強調表示してあります。

Executive Summary
Global growth is in low gear, the drivers of activity are changing, and downside risks persist. China and a growing number of emerging market economies are coming off cyclical peaks. Their growth rates are projected to remain much above those of the advanced economies but below the elevated levels seen in recent years, for both cyclical and structural reasons. The United States has seen several quarters of solid private demand. Although public sector demand has been pushing in the opposite direction, this counterforce will diminish in 2014, setting the stage for higher growth. Japan's economy is enjoying a vigorous rebound but will lose steam in 2014 as fiscal policy tightens. The euro area is crawling out of recession, but activity is forecast to stay tepid. In these three advanced economies, much slack remains and inflation pressure is expected to stay subdued.

続いて、IMF のサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。なお、クリックするとリポート p.2 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抜き出した pdf ファイルが別タブで開きます。

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見れば明らかですが、先進国の成長率見通しが7月時点の改定見通しから全体としては変更ない一方で、アジアを中心に新興国と途上国の成長率見通しが大きくダウンすると見込まれています。先進国では日本は7月から大きな変更はない一方で、米国が下方修正、英国を含む欧州が上方修正された結果、全体として成長率見通しは7月から変更ないと見込まれています。新興国と途上国の成長率の減速については、中でもインドの下方修正幅が大きくなっています。中国やASEAN-5も下方修正されており、ラテンアメリカもご同様です。ただし、目先の今年や来年の新興国・途上国における成長率は少し減速するものの、いわゆる「中所得国の罠」に陥っていないのであれば、中長期的には成長率は回復を示す可能性が大きいと見なされています。このあたりの認識は、先週10月4日付けのエントリーで取り上げたアジア開発銀行 (ADB) の「アジア開発見通し2013改定」 Asian Development Outlook 2013 Update とか、まだ本文は公表されていないものの、ポケット版がダウンロード出来る経済協力開発機構 (OECD) の「東南アジア・中国・インド経済見通し2014」 Economic Outlook for Southeast Asia, China and India 2014 などとも共通していると受け止めています。

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見通し編の第1章 Chapter 1: Global Prospects and Policies の成長率見通しから、いきなりながら私の趣味で、分析編の第3章 Chapter 3: Dancing Together? Spillovers, Common Shocks, and the Role of Financial and Trade Linkages で分析されている景気循環のシンクロに目を転じて、リポートの p.86 Figure 3.4. What's behind "Common Shocks"? を引用すると上の通りです。Coefficient of time dummy を時系列でプロットしており、これが大きいほど世界的・地域的な景気の連動性が高いことを示しています。まず、一番上のパネルの世界景気の連動性に注目すれば、まず、2008年におけるリーマン・ショック時の Coefficient of time dummy のラインが左軸を振り切っています。懇切丁寧にさまざまなイベントが書き込まれていますが、世界的な連動性のスパイクは石油ショック、金融ショック、主要先進国の景気後退などによく対応しています。2番目以下の地域的な連動性の主要な要因は金融危機であることが明らかです。ただし、リポートでは金融のグローバル化が必然的に景気の連動性を高めるわけではないと結論しています。すなわち、金融危機ではないいわゆる平時には、金融リンケージは資源を最も効率的に配分し、資本を最も生産性の高い場所へ移動させることに役立つ一方で、大規模な金融危機の際には金利を媒介として同時的な景気後退が世界的に連動して生じる、ことを明らかにしています。金融リンケージが平時と危機の際でかなり非対称な役割を果たす、というのはとても興味深いと受け止めています。

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次に、メディアでとても話題になった経済協力開発機構 (OECD) による「成人技能調査」 Survey of Adult Skills (PIAAC) の結果を取りまとめたリポート「OECD 技能見通し2013」 OECD Skills Outlook 2013 を取り上げます。いくつかのメディアでは「国際成人力調査」などと訳されているようです。2011-12年に加盟国の16-65歳の成人を対象に実施され、読解力と数的思考力で日本がトップとの結果が出ています。まず、上のグラフはリポートの Overview p.29 から Figure 0.2 Literacy proficiency among 16-65 year-olds を引用しています。グラフのタイトル通り、読解力 literacy proficiency の国別のスコアです。日本がトップで、イタリアがワースト、という結果が示されています。

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続いて、同じく読解力 literacy proficiency の結果について、上のグラフはリポートの Overview p.33 から Figure 0.4 Distribution of literacy proficiency scores and education in Italy and Japan を引用しています。トップの日本とボトムのイタリアについて学歴別で見ており、日本の高校卒 upper secondary とイタリアの大学卒 tertiary のそれぞれの平均スコアがほぼ等しいとの結果を示しています。そうかもしれません。

今夜のエントリーでは、国際機関のリポートに着目するというこのブログの特徴にあわせて、国際通貨基金 (IMF) 「世界経済見通し」 World Economic Outlook と経済協力開発機構 (OECD) 「技能見通し」 OECD Skills Outlook を取り上げました。私は官庁エコノミストですので、やや前者に重点を置いています。なお、前者は250ページ近く、後者は何と460ページを超える膨大な英文リポートですので、すべてを読んでいるハズもなく、後者のリポートは Overview をナナメ読みしただけで勝負しています。アチコチに引用元を散りばめておきましたので、このブログの至らざるところや誤解などがあれば原典に当たることを強くオススメします。

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