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2013年10月31日 (木)

毎月勤労統計に見る今夏のボーナスやいかに?

本日、厚生労働省から毎月勤労統計が発表されました。月次の直近は9月の統計ですが、今夏のボーナスについても集計されています。夏季ボーナスは調査産業の平均で約35.9万円支給され、前年比+0.3%増とわずかながら昨年よりも増えました。業績見合いの分が増加しているにしては吝い結果だと受け止めています。もっとも、電力料金抑制のため電力会社が大きくボーナスを減じた影響がマイナスに効いているのは確かです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

13年夏の賞与、3年ぶり増加 平均35万9317円、前年比0.3%増
厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、6-8月に支払った2013年夏の賞与は前年比で0.3%増の35万9317円と増加した。3年ぶりにプラスに転じた。円安を背景にした企業業績の回復を反映した。
業種別では製造業が0.1%増の47万2285円に拡大した。このほか情報通信業が7.1%増の64万2770円となったほか、建設業も35万7458円と5.4%増えるなど、幅広い業種が景気持ち直しの恩恵を受けた。
厚労省が同時に発表した9月調査をみると、従業員1人平均の現金給与総額は前年同月比0.1%増の26万5376円だった。残業代などの所定外給与が伸び、3カ月ぶりに増加した。基本給や家族手当など所定内給与は0.3%減の24万1855円。賃金水準の低いパートタイム労働者の割合が増えたことで16カ月連続で減少した。ただパートタイム労働者を除く一般労働者の所定内給与は0.1%増と4カ月ぶりに増えた。
9月の残業代などの所定外給与は3.5%増の1万8542円。製造業の所定外労働時間は7.0%増の15.4時間と2012年5月(12.8%増)以来1年4カ月ぶりの高い伸びだった。足元で生産活動が活発になっていることを映した。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。影をつけた期間は景気後退期であり、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。

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まず、月次統計を見ると、上のパネルの所定外労働時間なんですが、それなりに景気動向には敏感な指標ながら、ここ半年くらいは昨日取り上げた鉱工業生産指数との乖離が私はやや気になっています。季節調整の影響ではないかと危惧しています。いずれにせよ、鉱工業生産指数と同様に、リーマン・ショック前の水準はおろか、昨年のミニ・リセッション前の水準もまだ回復しておらず、その意味では、賃金上昇圧力はまだ強くない可能性もあります。下のパネルの通りです。引用した記事の通り、現金給与総額は前年同月比でプラスになりましたが、所定内給与はパートタイム労働者の比率の上昇でマイナスを続けています。ただし、後にくわしく見る通り、今夏のボーナスは微増したようです。

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ということで、夏季と年末のボーナスの前年比をプロットしたのが上のグラフです。今年2013年の夏季ボーナスは前年比で+0.3%増と、わずかに水面上に顔を出しましたが、その前2年間のマイナスが大きく、震災前の水準は回復していません。昨年暮れからのアベノミクス効果によって企業の業績が向上し、その見合いでボーナスはもっと増えるかと期待したんですが、やや期待外れの感があります。内閣が旗を振って経団連まで巻き込んだ賃金アップのためのカギカッコ付きの「国民運動」は、この先、どのような結果をもたらすのでしょうか。

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産業別の夏季ボーナスの詳細は上のグラフの通りです。引用した記事にもある通り、調査産業計で35万9317円、前年比+0.3%増でした。毎月勤労統計の賃金統計には官庁は含まれまれていないと記憶していますので、公務員のボーナスを含めるとこれよりも高い可能性はありますが、いずれにせよ、過去最高に迫るくらいの業績の回復ほどにはボーナスは増加していないと受け止めています。もちろん、電力料金の引上げを抑制するために、電力会社でボーナスの削減などが実施された影響が大きいと考えられますし、ここ数年で雇用を増加させているものの非正規雇用の比率が高い医療・福祉のボーナスも水準が低い上に昨年から減少している、といった影響も今年の夏季ボーナスの下押し要因となっていることは理解すべきですが、株価や企業業績と比較した賃金や雇用条件の低迷が気がかりです。私は promarket な経済政策は賛成ですが、農業保護や企業のみに利益をもたらすがごとき probisuness な政策はそろそろ国民生活重視に向かうべきではないかと思わないでもありません。それにしても、ここまで夏季ボーナスが吝かったとは私の予想外でした。もっとも、私の予想が甘過ぎたのかもしれません。

雇用を見ると量的な需要はそれなりにあるものの、質的な賃金や雇用条件などが改善を示すに至っておらず、非正規雇用の重しが暗い影を投げかけています。例えば、週刊「エコノミスト」誌の10月29日付けの号の pp.32-33 で一橋大学の深尾教授は、製造業の非正規労働者の生産性の低さは賃金格差よりも大きく、すなわち、企業は人員調整しやすい非正規労働者を雇うために生産性以上のプレミア付きの賃金を支払っている一方で、非正規労働者には教育・研修の機会が少なくて熟練が蓄積されず、経済成長が妨げられる可能性を指摘しています。さらに解雇条件を緩和して熟練の蓄積を阻害するような規制緩和は沙汰止みになったように報じられていますが、企業業績に貢献するだけでなく、将来も含めた経済成長に寄与するような経済社会全体としての雇用のあり方を考える必要があります。

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2013年10月30日 (水)

鉱工業生産統計は景気の拡大を示しているか?

本日、経済産業省から9月の鉱工業生産指数が発表されました。季節調整済みの前月比で+1.5%の増産となりました。日経QUICKによれば市場の事前コンセンサスは+1.8%増でしたので、この中央値をやや下回ったものの、ほぼ予想レンジの範囲内でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産指数、9月1.5%上昇 基調判断を上方修正
経済産業省が30日発表した9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は98.5だった。12年5月(98.8)以来の高水準で、前月比では1.5%上昇した。プラスは2カ月ぶり。自動車販売の好調に加え、14年1月に始まる少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)を背景に金融機関のシステム改修の活発化したのが寄与した。
経産省は生産の回復傾向が続いていることから基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きで推移している」へと6カ月ぶりに上方修正した。
業種別でみると15業種のうち9業種が上昇した。軽自動車を含む自動車の国内販売が伸びたことを受けて、輸送機械工業が前月比3.9%上昇。情報通信機械工業はNISA導入を前に金融機関のシステム改修が活発化したため4.9%増、電子部品・デバイス工業もスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)向け部品が好調で4.7%増となった。
出荷指数は1.6%上昇の97.0。生産と同じく輸送機械工業や情報通信機械工業が伸びた。出荷増を受けて在庫指数は0.2%低下の108.3、在庫率指数は2.0%低下の110.2だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは10月が4.7%上昇。火力発電用部品を含む「はん用・生産用・業務用機械工業」と情報通信機械工業で、9月の生産分の一部が10月にずれ込む見通しという。11月は、はん用・生産用・業務用機械工業と情報通信機械工業の反動減で1.2%低下する見込みだ。
7-9月期の四半期ベースは前期比1.8%上昇の97.8で、3四半期連続でプラスとなった。

いつもの通り、よくまとまった記事でした。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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市場の事前コンセンサスをやや下回り、また、ここ数か月の動きもジグザグを繰り返していますが、基本的に生産は上向き基調であり、統計作成官庁である経済産業省が基調判断を半ノッチほど上方修正した気持ちも理解できます。また、製造工業生産予測調査においても10月+4.7%増の後、11月▲1.2%減と、引き続きジグザグした動きをまじえつつ回復ないし拡大の方向にあると考えてよさそうです。ただし、上のグラフを見ても明らかな通り、付加価値ベースの生産はリーマン・ショック前はおろか、昨年のミニ・リセッション前の水準すら回復していません。輸送機械を除く資本財出荷も同様です。昨日取り上げた雇用や商業販売統計のうちの小売販売などとの大きな違いのひとつです。ただし、先行きの製造工業生産予測調査の10月で高い伸びを示しているのが、情報通信機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業など、我が国の比較優位のある産業ですから、今後の期待はさらに大きく持てそうな気もします。

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次に、四半期をひとつ終えましたので、在庫循環図を書いてみました。日銀方式と異なり、政府方式ですので、縦軸が出荷で横軸が在庫となっており、景気局面によって時計回りで進みます。どうでもいいことですが、日銀方式では縦軸と横軸が逆で、反時計回りに進みます。それはさて起き、緑色の矢印で示された2008年1-3月期から始まって、山吹色の矢印の2013年7-9月期に至り、第3象限の45度線あたりでクネクネしていた在庫-出荷ラインも、第2象限に進みました。内閣府のサイトにある「鉱工業の在庫循環図と概念図」なんかからすれば、意図せざる在庫減の段階を終えて、いわゆる在庫積増し局面に入ったということになります。単純に解釈すれば、景気循環の後半の成熟期に入った可能性が示唆されています。

昨日の雇用統計といい、今日の生産統計も、現在の順調な景気の回復ないし拡大を示していると私は受け止めています。しかし、生産のさらなる拡大のためには輸出の本格的な増加を待たねばならない可能性が高いと考えるべきですし、もちろん、来年2014年4月からの消費税率引上げ魔の駆込み需要の影響も注視する必要があります。

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2013年10月29日 (火)

雇用統計は労働需給のミスマッチを示しているか?

本日、総務省統計局の失業率厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ発表されています。失業率は前月から0.1%ポイント低下して4.0%に改善し、有効求人倍率は前月と同じ0.95倍、また、商業販売統計のうち小売業販売額は11兆円で前年同月と比べて+3.1%増となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の失業率4.0%に改善有効求人倍率は横ばい
総務省が29日発表した9月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0.1ポイント低下の4.0%となった。職探しをしていた人の就業が進んだためで、2カ月ぶりに改善した。厚生労働省が発表した有効求人倍率(同)も前月と横ばいの0.95倍だった。雇用環境は堅調に推移しているが、さらなる改善には人手不足産業とのマッチングを進める必要がある。
厚労省は雇用情勢の判断を前月に続き「一部に厳しさが見られるものの、改善が進んでいる」に据え置いた。男女ともに失業率は改善し、男性が0.2ポイント低下の4.3%、女性が0.2ポイント低下の3.5%となった。
9月の就業者数は6319万人で、前月比19万人増えた。15-64歳人口に占める就業率は72.1%となり、比較可能な1968年1月以降過去最高を更新した。女性だけ見ても63%で、過去最高を更新した。総務省は「職探しをしていた人の就業が進んだ」と分析している。
一方で、雇用者(役員を除く)に占める非正規社員の比率も37.1%となり、上昇が続く。女性を中心に、非正規での就業が進んでいるようだ。
職探しをしていない失業者にあたる「非労働力人口」は9月に前月比9万人減の4504万人となった。景気の回復を受け、職が見つかると期待して労働市場に参入する人が増えているためで、特に女性は10万人の大幅減だった。
パートを含む新規求人数は前年同月比9.2%増で、仕事がないために失業している人は少ない状況になっている。さらに失業率を改善するには、人手不足感が強い建設業(9.7%増)、医療・福祉(4.1%増)などで、ミスマッチを解消していく必要がある。
9月の小売販売額3.1%増 自動車販売好調、2カ月連続プラス
経済産業省が29日発表した9月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆円で、前年同月から3.1%増えた。プラスは2カ月連続。新車の投入効果で自動車販売が好調だったほか、気温低下で秋物衣料の販売が伸びた。
小売業の内訳をみると、自動車が5カ月ぶりに増加に転じた。軽自動車の販売が好調だったほか、昨年9月に終了したエコカー補助金による反動減の影響も一巡し、11%増となった。前年比で2ケタ以上の伸びは昨年8月以来13カ月ぶり。燃料が石油製品価格の上昇で4.7%増加した。秋物衣料の売れ行きが好調で「織物・衣服・身の回り品」も3.9%増えた。一方、機械器具は一部の店舗改装の影響などで3.2%減った。
大型小売店は1.7%増の1兆5060億円で、2カ月連続で増加した。既存店ベースでも0.7%増えた。百貨店で衣料品や高額商品が引き続き好調だった。
コンビニエンスストアは新店効果で3.8%増の8280億円だった。一方、天候不順で客足が遠のき、既存店ベースでは1.6%減だった。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。記事の引用だけでおなかいっぱい、という感じがしないでもないんですが、次に、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に失業率、有効求人倍率、新規求人数です。影を付けた部分は景気後退期ですが、毎度のお断りで、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。これについては後の商業販売統計のグラフも同じです。

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まず、量的な雇用は堅調であり、拡大を続けている姿が確認できたと私は考えています。すなわち、逆からいえば、引用した記事の最後に示唆されているような雇用のミスマッチが生じつつあるとは見なしていません。もしもそうであるならば、量的な雇用だけでなく、質的にも雇用が改善していなければ理論的な整合性がないと考えるからです。引用した記事にあるように、建設業や医療・福祉で部分的なミスマッチが生じている可能性は否定しませんが、これらの業種で賃金が上昇したり、正社員雇用が拡大するような気配は、統計的にはもちろん、アクネドータルにも今のところ感じられません。というか、知らないだけかもしれませんが、私には情報がありません。それとも、何らかの構造的なミスマッチ解消策により非正規の低賃金雇用を継続しようとしているのであれば、そのような政策が必要かどうか考え直すべきです。すなわち、産業や分野別にしてもミスマッチを問題にせねばならないほど量的に労働供給が不足し始めているのであれば、もしもホントにそうならば、賃金が上昇したり、非正規雇用でなく正規雇用などの条件のよい decent な雇用需要の拡大などが生じて然るべきだと私は考えるんですが、あくまで現状維持バイアスが強くて、労働需要があるにもかかわらず、低賃金の非正規雇用を引き続き維持継続するようなミスマッチ解消策には私は反対します。賃金上昇から大幅なインフレが生じたり、労働力不足のために供給に大きな影響が出たりするんであればともかく、現状でそこまで雇用主の企業優先策を考える必要があるんでしょうか?

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上のグラフは産業別の雇用者について、季節調整していない原系列の統計のまま前年同月比で増減を見ています。ここ2-3か月は水色の製造業、緑色の医療・福祉、黄色の卸売・小売業などが前年に比べて雇用を増加させています。青色の建設業については7-8月くらいまでは雇用を減らしたりしていました。グラフはありませんが、米国などで注目されている雇用・人口比率は、我が国の場合、リーマン・ショック前には届きませんが、かなり回復を示しており、昨年のミニ・リセッション前の水準は軽く超えています。そろそろホントに賃金が上昇したり、正規雇用などの decent な雇用が増加するくらいまで、その近くまで雇用は回復を示しているんではないかと私は考えています。繰返しになりますが、量的に雇用は改善しており、ミスマッチ解消策と称して、あくまで非正規低賃金雇用の維持を求めるがごとき政策には疑問を感じざるを得ません。

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上のグラフは商業販売統計のうち小売業について、季節調整していない原系列の小売業売上げの前年同月比と季節調整した指数をそれぞれプロットしています。今日は、供給側の統計である経済産業省の商業販売統計と需要側の統計である総務省統計局の家計調査が同時に公表されました。いつもは統計として信頼性の高い前者しかこのブログでは取り上げていませんが、どちらの統計からも消費は力強く伸びていることが確認できました。すなわち、商業販売統計の小売業販売額は季節調整していない原系列の前年同月比で+3.1%増、季節調整済みの前月比は+1.8%の増加を示し、家計調査の前年同月比は実質で+3.7%増、季節調整済みの前月比は実質+1.6%の増加でした。雇用が改善を示して、所得とマインドが向上するとともに消費税率引上げ前の駆込み需要が始まった可能性が示唆されていると私は受け止めています。

雇用のミスマッチについて話を戻すと、ホントに建設業や医療・介護で労働力不足が生じているのであれば、単に未熟練労働者を同じ労働条件のままでそれらの分野に振り向けるだけでなく、新たな入職者とともに既存の雇用者にも職業訓練を行って、各雇用者についてより生産性を高めて、効率単位の労働力を増加させるようにすべきです。結果的ながら、生産性の高い雇用者が高い賃金を受け取ったり、より decent な雇用条件を得られるようなミスマッチ解消策が望ましいと私は考えています。

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2013年10月28日 (月)

「スポーツマーケティング基礎調査」に見るスポーツ市場やいかに?

例年スポーツの秋のこの季節に注目している「スポーツマーケティング基礎調査」が今年もマクロミルと三菱UFJリサーチ&コンサルティングにより取りまとめられ、先週金曜日の10月25日に発表されています。何と、東京オリンピックが決まったにもかかわらず、観戦などの2013年のスポーツ市場は縮小していたりします。まず、マクロミルのサイトからリポートのトピックスを8点引用すると以下の通りです。

トピックス
  • スポーツ参加市場規模は約2.6兆円に縮小。「観戦」「用品購入」「施設利用・会費」市場全てが減少。
  • スタジアム観戦の支出額: 年間27,624円で、昨年より7%増。
  • スポーツ関連メディア市場は2,297億円で、昨年より21%減。
  • 最も好きなスポーツは野球。自分でするスポーツとして自転車の人気が上昇。
  • スポーツブランドでは、ナイキ、アディダスの海外ブランドが人気。
  • 好きなスポーツ選手は10年連続でイチロー選手が1位。東北楽天の田中選手が3位へ躍進。
  • プロ野球ファン人口は3,448万人に増加。
    東北楽天ゴールデンイーグルスのファンが増加し、12球団中4位に。
    Jリーグファンは1,216万人で減少傾向続く。
  • 東京でのオリンピック開催に賛成が6割超。水泳、体操、マラソンに関心。

ということで、pdfの全文リポートからいくつか図表を引用して、簡単に紹介したいと思います。

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まず、アンケート回答者に見るスポーツの位置づけで、「することが好き」か、「見ることが好き」か、どちらも好きか、の合計で80パーセント近くの人がスポーツに対して何らかの関心を持っているといえます。逆から見て、「することも見ることにも関心はない」人が21.6パーセントに上ります。上のグラフを見ても分かる通り、どちらかといえば見るのが好きな人が多いような印象を持ちます。そのスポーツ参加市場の規模は2013年で2兆5,861億円、詳細はスタジアム観戦市場5,257億円、用品購入市場8,664億円、施設利用・会費市場1兆1,840億円と推計されています。昨年2012年の合計規模が2兆9,514億円でしたから、昨年に比べてスポーツ参加市場はかなり大きく縮小したといえます。また、スポーツ関連の「書籍、雑誌、ハンドブック等」「CD、DVD」「有料放送」「インターネット有料配信」「ゲームソフト」の5 種類のメディアに対する支出状況を見ると、2,297億円と昨年から▲21パーセントの減少となっており、オリンピックのウラ年という悪条件が明らかに現れています。

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見るスポーツについて、上のグラフに見られる通り、サッカー関係がジワジワと落ちている一方で、プロ野球人気は底堅く推移しており、特に、プロ野球ファン人口は3,448万人と昨年から増加しています。チーム別では、1位読売ジャイアンツ、2位阪神タイガースは例年通りなんですが、東北楽天ゴールデンイーグルスのファンが増加し12球団中4位に食い込んでいます。スポーツ選手の好感度調査でも、田中将大投手はイチロー選手と浅田真央選手に次いで3位に上げられており、昨夜の日本シリーズを見ていても、もはや負けない絶対的なエースとなった田中投手を中心に楽天人気が出ていることを実感しました。ドラフト会議でも、松井投手をくじで引き当てましたし、もしも、あくまで「もしも」の仮定ですが、日本シリーズでも勝って日本一になったりすれば、今年のプロ野球は楽天一色ということになる可能性もあります。そのうちに、球界の盟主の座も狙ったりするんでしょうか?

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2020年の開催が決まった東京オリンピックについては回答者の64.3パーセントが賛成の一方、反対は12.5パーセントに上りました。東京オリンピックで関心にある競技は上のグラフの通りです。何となく分かる気がします。また、オリンピックとは関係がないんですが、子どもが行っているスポーツでも水泳がトップで、以下、サッカー、野球・ソフトボール、テニス、武道の順となっています。我が家もジャカルタにいたころ、子供達に水泳とテコンドーを習わせていた記憶があります。私も毎週のようにプールに通っていますので、見るのもやるのも水泳が人気なのかもしれません。

スポーツの秋の恒例で、毎年のように取り上げている「スポーツマーケティング基礎調査」なんですが、市場規模としては今年はオリンピックのウラ年という悪条件がありながら、プロ野球における楽天の躍進、水泳人気の高まりなどを確認することが出来ました。とても興味深いと受け止めています。一応、経済評論の日記に分類しておきます。

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2013年10月27日 (日)

チック・コリア「ヴィジル」を聞く

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チック・コリア「ヴィジル」を聞きました。ジャケットは上の通り、趣味にもよりますが、私から見れば、やや出来の悪いスペース・オペラの場面みたいです。アルバムの収録曲は以下の7曲で、すべてチック・コリアのオリジナルです。

  1. Galaxy 32 Star 4
  2. Planet Chia
  3. Portals to Forever
  4. Royalty
  5. Outside of Space
  6. Pledge for Peace
  7. Legacy

私がチッコ・コリアのアルバムの中で最初に買ったのは「リターン・トゥー・フォレバー」でした。当時はCDなんてものはなく、LPでした。今でもこのアルバムのCDは持っていますし、ウォークマンにも入っています。この「ヴィジル」でも、1曲目からバンドとしてのリターン・トゥー・フォレバーやエレクトリック・バンドを思い出させるようなノリの曲で始まり、2曲目はいかにもといったスペイン風の曲だったりします。5曲目にボーカルが入っています。アルバムの「リターン・トゥー・フォレバー」でも What Game Shall We Play Today? でボーカルが入っていた気がします。チック・コリアが好きで、特に、「リターン・トゥー・フォレバー」に思入れのあるジャズ・ファンは何としても聞いておくべきです。何ともカッコいいです。
下の動画は、Blue Note Tokyo が今年9月のチック・コリアの演奏向けにアップした宣伝用のトレイラです。曲は Galaxy 32 Star 4 だと思います。

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2013年10月26日 (土)

今週読んだノンフィクションの経済書・専門書など

今週読んだ経済書、学術書、専門書など、ひっくるめてノンフィクションは以下の通りです。なぜか、私が役所でごいっしょに仕事した方々のご著書が3冊も含まれています。

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まず、茨木秀行『世界経済危機下の経済政策』(東洋経済) です。ご著者は内閣府の現役の参事官で、本書の略歴にOECD代表部の参事官のご経験があるように書いてありますが、実は、私が2011年12月にパリに出張した際にはOECDの国際会議に出席するのが主目的でしたので、パリでランチをごいっしょしたりしました。それ以前にも、1997年APEC経済委員会報告書「APEC貿易自由化の経済効果」の取りまとめ作業においても仕事をした記憶があります。ぜひとも早くに買い求めて読もうと思ったんですが、税込みで6000円近いお値段にひるんでしまって図書館から借りました。著者ご自身のフォーマルな定量分析結果が示されているわけではありませんが、IMFやOECDなどの国際機関から出されたリポートや各種の学術論文をていねいにサーベイし、現下の経済政策について理論的に適切に整理し、とても体系的によく取りまとめてあります。地方大学に出向していたころと違って、私も学術論文を書く機会がめっきり減ったんですが、論文を書く際には最新のペーパーをサーベイした本書がとても役立ちそうです。もちろん、学術論文を書くわけではない向きにも、最新の経済政策についての議論を把握するために貴重な書物だと思います。一定の経済学や経済政策に関する基礎的な学識を要求する本ですが、現在のグローバルな経済社会を理解する上でとても有益でオススメです。

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次に、佐藤朋彦『数字を追うな統計を読め』(日本経済新聞出版) です。ご著者は私が統計局に出向していた折には別の部署の別の統計を担当されていたように記憶していて、余り交流はなかったんですが、それなりに顔見知りであるような気もします。最初に紹介した『世界経済危機下の経済政策』と違って、極めて体系性に欠けてトピックがアチコチに飛んでいます。もっとも、この点は著者ではなく編集者の責に帰すべきかもしれません。トピックに取り上げられている統計は、統計局の大看板である国勢調査のほか、家計調査、消費者物価、労働力調査などです。私が知る範囲の統計局の統計は、大看板の国勢調査を基にランダム・サンプリングによってミニ・ジャパンを標本調査し、それを一定の比率を乗じてオール・ジャパンの母集団の統計を得る、というもので、その意味ではラクでした。母集団は日本国そのもの、もしくは日本国民全体であり、統計が何を示しているのかは自明です。しかし、実際のビジネスでは母集団が何であるのか、から始める必要があり、データが何を示しているのかをキチンと解釈せねば使いものになりません。その意味で、データのメーカーであるスタティスティシャンとデータのユーザであるエコノミストほかの分業体制が確立しているんだろうという気がします。統計のメーカーに関するウンチク話に興味ある向きにはオススメです。

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次に、小峰隆夫『日本経済論の罪と罰』(日経プレミアシリーズ) です。このご著者には上司としてお仕えした記憶がありますが、不肖の部下でしたので忘れ去られているかもしれません。閑話休題。本書の第1章から第5章までは私はほとんど諸手を上げて賛成します。芸がないことながら、順に5つの章のタイトルを並べると、「脱経済成長論を疑え」、「人口減少・市場縮小論の誤謬」、「公共投資主導型成長論を批判する」、「日本型雇用慣行に罪あり」、「TPP亡国論をただす」となります。この5点に関してはいいんですが、第6章で取り上げられている成長論に関してだけは私はやや疑問を感じます。すなわち、先進国との格差の大きい途上国経済でキャッチアップを目指そうというのであればともかく、我が国の政府がこの先の経済の成長分野を知っていて、そこに政府予算をつけるというターゲティング・ポリシーは、ホントに成長戦略たりえるのかという疑問があります。この点は8月31日付けのエントリーでで取り上げた池尾和人『連続講義・デフレと経済政策』の第5講の方に私は傾きます。ただし、最後の第7章 「民意に従う財政再建」はあり得ない は秀逸です。財政再建に反する方にバイアスのかかる投票結果にもかかわらず、政治レベルでなすべきことをなすという、間接民主主義の本質を適確に言い当てています。私もシルバー・デモクラシーとの関係で、現行の民主主義の危うさを指摘したことがあります。すなわち、地方大学に出向していた際の紀要論文からの引用ですが、「第1に、選挙民が経済合理的でない選択を行った場合、事後的に、『政治主導』の下に実行するかどうかは政治レベルの見識であり、第2に、選挙民が憲法に定める代議制民主主義を通じての経済合理的な選択を出来るようにすることは、事前的に、専門的知識を有するエコノミストが果たすべき重要な役割であろう。」と論じています。決して投票結果に示された民意を無視すべきとは思いませんが、気持ちはまったく同じです。

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次に、山下勉『「老人優先経済」で日本が破綻』(ブックマン社) です。著者は朝日新聞や同じ系列の雑誌「アエラ」で活躍のジャーナリストです。タイトルや体裁などは著者や編集者の趣味かもしれませんが、ややキワモノっぽい雰囲気を漂わせているものの、内容についてはかなりの部分で私は賛同しています。ただし、内容として物足りないのは、「老人優先経済」の前後、すなわち、前段の原因と後段の処方箋がややお粗末な気がします。原因についてはシルバー・デモクラシーっぽい記述が見受けられなくはないものの、処方箋についてはまったく欠落しており、ひたすら「老人優先経済」をバッシングすることに終始しています。本書の限界といわざるを得ません。その点、先の『日本経済論の罪と罰』では、明示的ではないものの、選挙で示された民意にバイアスがあるならば間接民主主義に基づく政治家の見識で乗り切る、という方向が示されています。それから、内容的には処方箋の欠落を譲ってまったくOKとしても、キワモノ的な打出し方には疑問を感じます。本書のように、単に現在の「老人優先経済」の実態を明らかにするだけでは、なかなか現行の政策の変更には結びつきにくく、対案を提示するとともに、キワモノ的ではない真摯な打出しが必要です。実は、1998年に新日銀法が施行されてデフレ政策がひどくなった際、リフレ派エコノミストが対案を提示したものの打出し方が少しキワモノ的というか、強烈過ぎたために、リフレ政策の採用がかなり遅れたんではないか、という意見を聞いたことがあります。私自身はその間日本を離れて南の島でノンビリしていたもので、余り実感がないんですが、政策変更を求めるとすればそれなりのプレゼン方法があるというのも分かる気がします。

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次に、ライアカット・アハメド『世界恐慌』上下 (筑摩選書) です。著者は米国のシンクタンク所属となっているんですが、私は不勉強にしてエコノミストとしては存じ上げません。本書の体裁としてはジャーナリストではないかと伺わせるものを感じます。なお、2010年に著者は本書でピュリツァー賞を受賞しています。それはともかく、本書の副題は「経済を破綻させた4人の中央銀行総裁」となっており、1929年10月のウォール街における株価急落に始まる世界恐慌の原因を金融政策に求め、戦間期の米英仏独4か国の中央銀行総裁の動きなどをクロノロジカルに追っています。もちろん、この時期ですからケインズも登場します。前者の中央銀行総裁プラス、英国のチャーチルを含めて、何人かの政治家、が金本位制に対する執着を示した一方で、金本位制からの離脱を主張したのがケインズであったわけです。大きな話の流れのついでに、いくつかのウンチク話も挿入されています。例えば、ジョセフ・ケネディがウォール街への道中で靴磨きから、株式投資に関してとっておきの情報を教えてやると言われ、ここまで多くの人間が同じ情報を共有したのであれば、株式投資からは撤退すべきと考えて持ち株全部を売る決意をした、なんてのは、いかにもありそうです。金融危機から始まった世界恐慌が、最終的には米国のローズベルト政権下のニューディールとか、ドイツのヒトラー政権下のアウトバーン建設などの実物経済における政府による有効需要の創出によって不況を脱するまで、中央銀行総裁と金本位制の観点から実によく世界恐慌に迫っています。

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最後に、エリック・フォーナー『業火の試練』(白水社) です。上の表紙を見ても分かる通り、米国のリンカン大統領に関する伝記のようなノンフィクションです。なお、通常は「リンカーン大統領」と延ばすように表記するんですが、本書の表記に従って、このブログでも「リンカン大統領」と表記します。悪しからず、それはさておき、著者はプリンストン大学の歴史学教授であり、近現代の米国史の大家の1人、と言うか、おそらく学識の点でトップに君臨する歴史家です。もちろん、スポットライトを当てているリンカン大統領は、南北戦争という武力によって奴隷解放を成し遂げ、歴代の米国大統領の中でもっとも尊敬されている1人であり、現在のオバマ大統領が就任の宣誓においてリンカン大統領が用いた聖書を使った、というのも有名なトピックです。奴隷解放についてのリンカン大統領の思考や行動について、あくまで南部諸州の連邦離脱を阻止するために始めた南北戦争が、当初の目的から外れて奴隷解放につながったり、リンカン大統領の「段階的かつ補償あり」の奴隷解放方針が、時とともに「即時かつ補償なし」に変化したり、と極めてビビッドに歴史を描き出しています。なお、戦史ではありませんから南北戦争の戦闘に関してはほとんど記述がありません。訳者の解説にもある通り、おそらく、原文は極めて格調高い文章なのだろうと想像されますが、かなり翻訳が負けています。「リンカーン大統領」か、「リンカン大統領」かはやや趣味に任せるとしても、「連邦軍」と「連合軍」ではワケの分からない場合もあるでしょうから、せめてカッコ書きででも「北軍」と「南軍」くらいは補って欲しかった気もします。また、確かに州レベルでも上院と下院があるんですが、「国会」ではなく「連邦議会」くらいの表記は欲しかった気もします。やや残念です。

今秋の読書は経済書が多かったので、通常の「読書感想文の日記」ではなく、「経済評論の日記」に分類しておきます。

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2013年10月25日 (金)

消費者物価と企業向けサービス価格はともに上昇率がプラスを続ける!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス価格指数 (CSPI) が、それぞれ発表されています。いずれも9月の統計です。消費者物価は生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率が+0.7%と4か月連続でプラスを記録し、食料とエネルギーを除くコアコアCPIも久し振りにマイナスを脱しました。また、企業向けサービス物価の上昇率も+0.7%となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月全国CPI、4カ月連続上昇 除く食料・エネルギーもマイナス脱却
総務省が25日朝発表した9月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合(コア指数)が前年同月比0.7%上昇の100.5となり、4カ月連続で上昇した。4カ月連続でのプラスは07年10月から08年12月にかけて15カ月連続で上昇して以来、4年9カ月ぶり。ガソリンや電気代といったエネルギーが引き続き指数を押し上げたほか、パソコンなどの教養娯楽用耐久財がプラスとなった。
教養娯楽用耐久財は前年同月比0.4%上昇と2カ月連続のプラスだった。8月に0.1%上昇と11年7カ月ぶりに上昇に転じていたが、プラス幅が拡大した。新製品効果のあったプリンターが83.5%上がったほか、パソコンもデスクトップ型が24.7%、ノート型が12.4%上がった。消費者の購買意欲が回復しているとみられる。
物価上昇がエネルギー以外にも波及してきたことから、食料とエネルギーを除く総合(コアコア指数)は前年同月比横ばいとなり、08年12月以来4年9カ月ぶりにマイナス圏から脱却した。
総務省は10月の全国のコアコア指数について「先行指標とされる東京都区部で低下幅が縮小していることから、9月の横ばいからそれほど変わらない」とみている。
同時に発表した10月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が0.3%上昇の99.7、食料・エネルギーを除く総合は0.2%下落の98.1だった。
9月の企業向けサービス価格、5カ月連続上昇 運輸が寄与
日銀が25日発表した9月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.2と、前年同月比で0.7%上昇した。プラスは5カ月連続。5カ月連続での上昇は07年1月から08年9月まで21カ月連続以来となる。外国為替相場がやや円安方向で推移したことで、外貨建てで取引される外航貨物輸送や貨物用船料など運輸が押し上げに影響した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。
業種別にみると、運輸は前年同月比3.0%上昇した。為替相場が円安傾向に振れたほか、中国向けの鉄鉱石や穀物の荷動きが活発となり、スポット市況が大きく上昇した。リース・レンタルは1.4%上昇。前年に落ち込んだ反動が出た。
一方、広告は下落した。テレビ広告がプラス幅を縮小したほか、電気機械などの出稿が減り新聞広告はマイナス幅を拡大した。
137品目のうち、前年比で上昇した品目は53、下落した品目は47と上昇品目が下落品目を上回る傾向が続く。日銀は「企業のサービス関連支出に明るさが出ている」と指摘。10月の価格改定の影響に注目している。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。続いて、下のグラフは生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの全国と東京都区部の前年同月比上昇率と食料とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI全国の上昇率を折れ線グラフでプロットし、全国コアCPIの上昇率に対する寄与度をエネルギーと食料とその他に分けて積上げ棒グラフで示してあります。ただし、いつものお断りですが、上昇率や寄与度は公表されている端数を持たない指数から当方で算出しており。端数を持った指数から計算される統計局公表値と異なる場合があります。端数を持った指数は統計局外の私にはアベイラブルではありませんのでご容赦下さい。

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コアCPIの前年同月比はすっかりプラスが定着した感があり、コアコアCPIもようやく水面下からゼロまで上昇率を引き上げて来ました。もっとも、従来より、今年年央から来年早々までは消費者物価はプラスを確保するとの見通しに沿う動きであり、特にサプライズはありません。その後、来年2014年4月の消費税率引上げに伴って、それなりの経済対策は実施されるものの、一時的にせよ需給ギャップのマイナス幅が拡大する可能性があり、そうだと仮定すれば、消費税率の影響を除いたCPI上昇率は低下する可能性が残されています。現在の日銀のインフレ目標は2年後のさ来年春のCPI+2%であり、これに達する可能性も十分ある一方で、達しない可能性ももちろんあります。ただし、インフレ目標の+2%とはそれなりの幅を持って考えるべきであり、±1%ポイントくらいの上下の許容範囲があるとすれば、CPI上昇率がその下限である+1%に達する可能性は大いにあると私は見込んでいます。引用した記事にもあるとおり、価格低下が大きいテレビを含む教養娯楽耐久財がプラスに転じていますので、単なる為替とエネルギーに起因するだけの相対価格の変化から一般物価水準の上昇に転じつつある段階かもしれないと受け止めています。

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企業向けサービス価格指数 (CSPI) の前年同月比も今年2013年5月にプラスに転じてから5か月連続でプラス、変動の大きい国際運輸を除く総合で定義されるコアCSPIも2か月連続でプラスですから、需給ギャップに敏感なCSPIもプラスが定着しつつある可能性を示唆しています。9月統計では広告がマイナスとなりましたが、幅広い品目でプラスを記録しており、10月の年度半ばでの価格改定が注目されているのは引用した記事の通りです。

今年年央くらいからの物価上昇は、為替とエネルギーの影響による相対価格の変化から、徐々に日銀のリフレ政策に起因する一般物価水準の上昇に変わって来ている可能性があります。さ来年2015年春のCPI上昇率+2%のインフレ目標の達成は必ずしも楽観できませんが、少なくとも従来のカギカッコ付きの「日銀理論」に基づく金融政策を脱して、経済活動や国民生活にプラスの方向に変わったことは事実であろうと私は考えています。

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2013年10月24日 (木)

我が阪神タイガースのドラフト会議での成果やいかに?

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本日夕刻、グランドプリンスホテル新高輪にてプロ野球の新人選択会議、いわゆるドラフト会議が開催されました。私はテレビを見ていたわけではないので報道から、我が阪神は昨年と同じく和田監督がくじを引いて、1位指名で競合した九州共立大の大瀬良大地投手は外し、ハズレ1位で競合した日本生命の柿田裕太投手も外し、結局、1位指名は横浜商大の岩貞祐太投手となりました。私は左投手という以外は何ら情報を持っていないんですが、いいピッチャーなんでしょうか。1位指名の岩貞投手を含めて、以下の6人を選択しました。

1
岩貞祐太 (投手) 横浜商大
2
横田慎太郎 (外野手) 鹿児島実
3
陽川尚将 (内野手) 東農大
4
梅野隆太郎 (捕手) 福岡大
5
山本翔也 (投手) 王子製紙
6
岩崎優 (投手) 国士舘大

私はとても事情に疎くて、よく知らないんですが、昨年の甲子園で藤浪投手とバッテリーを組んだ大阪桐蔭の森友哉捕手は西武が1位指名したらしいです。でも、4位指名の梅野捕手は大学球界ナンバーワンのキャッチャーだとか聞きました。左ピッチャーが多いんですが、打者も上位指名しバランスもいいんではないでしょうか。でも、1位で外しまくりましたから、和田監督なのか、阪神球団なのか知りませんが、藤浪投手を引き当てた昨年のドラフトで運を使い果たしたのかもしれません。

何はさておき来年も、
がんばれタイガース!

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2013年10月23日 (水)

農業保護のコストはどのような家計が負担させられているのか?

一昨日のエントリーで貿易統計を取り上げた際、貿易における農業保護に関連して、国際協力開発機構 (OECD) のリポート Agricultural Policy Monitoring and Evaluation において、我が国の農業保護が加盟国の中で3番目に手厚いとの結果をグラフも引用してお示ししましたし、これを報じた日経新聞の記事「農家の収入、半分以上は政府支援 OECD」を紹介したりしているんですが、実は、日本経済研究センターから先週10月18日に「農業保護はどの程度家計負担を増やしているか -個票データを用いた主要6品目の影響推計-」と題するディスカッション・ペーパーが発表されています。我が国の農業保護のコストがどのように消費者側で負担されているかについて、コメ、小麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖の主要6品目について、2004年の総務省「全国消費実態調査」の個票データを用いて検証しています。とても興味深い内容が含まれていると私は考えています。まず、日経センターのサイトから要旨のうち結論となる7点を箇条書きで引用すると以下の通りです。

要旨
  1. 6品目の消費者負担は1人当たり月額約2000円、年換算では約24,000円になる
  2. 高齢者世帯など低所得者層ほど負担が重い逆進性がある
  3. 逆進性は現行消費税よりも大きい
  4. 逆進性はコメにおいて最も顕著であり、負担額としてもコメが一番大きい
  5. 牛肉はコメに次ぎ負担が大きいが、高所得者ほど負担が重い累進性がある
  6. 直接消費分が7割強の効果を占める
  7. 6品目の農業保護は消費者物価を1%強押し上げている

データや分析方法などの詳細について「専門的に過ぎる」という理由で割愛すれば、要するに上の「要旨」の7点がすべてなんですが、一応、簡単に図表を引用して私が重要と考えるポイントについて取り上げると以下の通りとなります。

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まず、ディスカッション・ペーパーの p.14 から 図2 所得10分位別の負担率 (可処分所得比) を引用すると上の通りです。コメなどの基礎的で所得弾性値の低い食料を保護して消費者に負担を求めていますから、所得の低い階層ほど農業保護のコスト負担が重く逆進性が大きい結果が示されています。コメについてはもっとも所得の低い第1分位はもっとも所得の高い第10分位よりも3倍もの負担率となっています。しかも、図表の引用はしませんが、この農業保護のコスト負担の逆進性は消費税の逆進性よりも大きいとの結論が得られています。消費税率に軽減税率を考慮するよりも、農業保護を撤廃する方が合理的であると考えるエコノミストも少なくなさそうです。私もその1人です。

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次に、上のグラフはディスカッション・ペーパーの p.17 から 図4 年齢階層別負担率 (可処分所得比) を引用しています。この農業保護のコスト負担の年齢階級別の分布は、何と、高齢者に重くのしかかっています。年齢階級別に分析して経済政策を評価すると、社会保障政策を典型として、高齢者に圧倒的に有利なように設計されている場合がかなり多いんですが、この農業保護のコスト負担は高齢者に不利な結果となっています。高齢者の方がコメなどの基礎的な食料の消費が多かったりする結果なんだろうと受け止めていますが、逆から見れば、シルバー・デモクラシーで圧倒的な政治的パワーを持つ高齢者から農業保護の撤廃は賛同を得やすいテーマともいえます。

貿易における農業保護は極めて小さなグループに利得がある一方で、コストの不利益は広く薄く負担されるように設計されていますが、この分析のように所得階級別や年齢別などで実際に農業保護のコストを誰が負担しているのかが目に見えるようになれば、TPP などの貿易自由化がもっと進みそうな気がします。

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2013年10月22日 (火)

米国雇用統計は物足りない結果に終わり金融緩和は長期化する可能性!

本日、米国労働省から米国雇用統計が発表されました。本来、10月4日に発表されているハズの指標なんですが、連邦議会で暫定予算が成立せず連邦政府がシャットダウンし、日本時間で今夜の発表となりました。統計のヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月差で+148千人増加し、失業率は前月から0.1%ポイント低下して7.2%を記録しました。いずれも季節調整済みの系列です。米国時間の統計発表を待って、日本時間では夜遅くになりましたので、簡単にグラフィックだけを取り上げておきます。まず、New York Times のサイトから記事の最初の6パラまでを引用すると以下の通りです。

Delayed Jobs Report Finds U.S. Adding Only 148,000 Jobs
American employers added 148,000 jobs in September, according to a delayed report released Tuesday by the Labor Department. The pace of growth was somewhat slower than what economists had been expecting.
The unemployment rate ticked down to 7.2 percent from 7.3 percent the previous month.
Federal Reserve officials and economists are closely watching the report for any signs of weakness. But the numbers may not offer the most current picture of the economy.
The numbers were supposed to be released two and a half weeks ago - the jobs report usually comes out the first Friday of each month - but were delayed by the government shutdown that began Oct. 1. The 16-day shutdown and concurrent Congressional battle over the debt ceiling probably worsened employment in the weeks since the September jobs data were collected, both because hundreds of thousands of federal workers and contractors were furloughed and also because anxiety and uncertainty over the budget battle caused consumer confidence to plummet.
Economists are hopeful that any dip will be temporary. If not, that could effectively delay when the Federal Reserve decides to start tapering its major monetary stimulus program, known as quantitative easing, since that action has been predicated on a steadily improving economy.
Some workers are still feeling the effects of the shutdown, though it officially ended last week.

引用した記事は日本時間の今夜の10時過ぎの時点での第1報のバージョンですから、明日にも差し替えられている可能性があります。悪しからず。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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今年2013年8月の非農業部門雇用者数の前月差増加が先月時点の統計発表時の+169千人から+193千人に上方改定されたことを差し引いて、さらに、失業率が着実に低下しているとしても、9月の雇用の+148千人増はやや物足りないと言わざるを得ません。市場の事前コンセンサスも+180千人程度の増加ということでしたので、これも下回りました。産業別には卸売+16.1千人増、小売+20.8千年増、運輸・倉庫+23.4千年増などが雇用を増加させています。なお、9月の雇用統計には入りませんが、広く報じられている通り、10月1日から米国の連邦政府は16日までシャットダウンに入りましたので、来月11月8日に公表予定の10月雇用統計ではマイナスの影響が現れる可能性が指摘されています。足元から目先の雇用は弱含みとなる可能性があり、さらに、連邦準備制度理事会 (FED) の来年1月からの次期議長が現在副議長で超ハト派、雇用を重視するイエレン女史ですから、米国の金融政策は緩和状態が長引きそうです。追加緩和すらあり得ます。我が国経済への影響としては、為替が円高に振れる可能性を私は懸念しています。

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米国の雇用について手放しで堅調といい切れないもうひとつの要素は、雇用・人口比率がサッパリ上がらないことです。かなり長期で見た上のグラフの通りです。日本のように高齢化がとてつもないスピードで進行している国であれば、高齢化に伴って労働市場から退出する人が多いわけですから、雇用者の比率が停滞ないし減少する可能性も十分にありますが、移民人口が決して少なくなく、人口がそれなりに増加を続けている米国では、まだ高齢化がそれほどのスピードでは進んでいませんから、デモグラフィックな要因よりは景気に起因する循環要因でこの雇用・人口比率が上がらないんだろうと私は考えています。

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最後に、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いていて、サブプライム危機前の3%超の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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2013年10月21日 (月)

貿易統計は今後も着実に貿易赤字を記録し続けるのか?

本日、財務省から9月の貿易統計が発表されました。季節調整していない原系列で見て、統計のヘッドラインとなる輸出額は前年同月比+11.5%増の5兆9721億円、輸入額は同じく+16.5%増の6兆9043億円、差引き貿易収支は▲9321億円の赤字となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字、9月として過去最大 15カ月連続の赤字、最長更新
財務省が21日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9321億円の赤字だった。9月としては2012年(5682億円の赤字)を上回り、比較できる1979年以降で最大となる。赤字は15カ月連続で、これまで最長だった第2次オイルショック下の79年7月から80年8月にかけての14カ月連続を上回った。円安を背景に自動車など輸出額は増えたが、中国からのスマートフォンなど通信機や半導体等電子部品の輸入が増えた。原粗油など燃料輸入も高水準だった。
輸入額は前年同月比16.5%増の6兆9043億円で、11カ月連続で増加した。中国からは通信機のほか、太陽光発電に使う光電池など半導体等電子部品や衣類の輸入が増えた。中国からの輸入額は1兆6824億円と単月として過去最大。これに伴いアジアからの輸入額も3兆1571億円と過去最大だった。
輸出額は前年同月比11.5%増の5兆9721億円。ただ輸出数量指数は1.9%減と3カ月ぶりに減少した。米国向けの自動車や、中国向けにペットボトルなどの原料となる有機化合物パラキシレンの輸出額が伸びた。中国では環境対策の観点からパラキシレン工場の新設に制約があり、日本から調達する傾向が続いている。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=98円84銭で、前年同月比25.8%の円安だった。
貿易収支を地域別にみると、対中国は6200億円の赤字だった。9月としては最大で、19カ月連続の赤字だった。対欧州連合(EU)も244億円の赤字。9月としては最大で9カ月連続の赤字だった。一方、対米国の貿易黒字は前年同月比24.9%増の5331億円だった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフでプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にもある通り、月次統計で貿易赤字が連続しており、第2次石油危機以来とのことですが、上のグラフに見られるように、季節的な変動をならしたトレンドでは震災のあった2011年3月から31か月連続で貿易赤字が続いています。記事にある「赤字は15カ月連続」なんてものではありません。季節調整済みの系列をプロットした下のパネルで、2011年3月に輸出の青い折れ線が輸入の赤い折れ線の下にクロスして、その後、輸入が輸出を上回っているのが見て取れます。多くのエコノミストは震災を経て、これほど長く貿易赤字が続くとは考えていませんでしたし、早々に黒字に転換すると主張していたんですが、どうも、この先も貿易赤字は続きそうです。円高修正とエネルギー価格の高止まりが原因と私は考えています。

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しかし、従来からこのブログで主張している通り、我が国の国民生活や経済活動で必要とされる輸入品はケチケチせずにさっさと輸入して、その分、輸出で外貨を稼げばいいと私は考えています。貿易動向では輸出ばかりが注目されがちですが、ホントに必要なのは輸入することであり、その輸入の対価を稼ぐために輸出しているのであるという重要な事実を忘れるべきではありません。ということながら、やっぱり注目の輸出動向を見たのが上のグラフです。一番上のパネルは季節調整していない輸出額の前年同月比伸び率を輸出数量と価格で寄与度分解しており、真ん中のパネルは輸出数量とOECD先行指数のそれぞれの前年同月比伸び率について、OECD先行指数だけ1か月のリードを取ってプロットしています。一番下のパネルは初公開で、輸出入のそれぞれの数量指数の前年同月比伸び率をプロットしています。輸出額の前年同月比が伸びているのは、現状では、上のパネルに見られる通り、価格の上昇に支えられていますが、真ん中のパネルに見られるように、先進国の景気も米国はもとより欧州を含めて回復ないし拡大基調にあり、今後も輸出数量も伸びが見込めます。これで中国をはじめとする新興国の景気が本格的に回復すれば、さらに我が国の輸出は伸びを高める可能性が大きいと考えられます。一番下のパネルを見ても、我が国における景気回復・拡大はかなり力強いものがありますが、円高修正によって価格効果から輸入の伸びは輸出に比較して抑えられているのが見て取れます。貿易収支が黒字化するほどではないと私は受け止めていますが、円高修正はJカーブ効果の終了後に輸出の増加と輸入の抑制に効果を発揮する可能性が高いと期待してよさそうです。

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最後に、TPP 交渉などの貿易、特に農産物貿易にも関連して、経済協力開発機構 (OECD) から Agricultural Policy Monitoring and Evaluation が発表されています。上のグラフはこのリポートのプレス発表のサイトから引用しています。何をプロットしているのかといえば、農業収入のうち、関税や補助金といった保護策による収入の割合を多い順で、すなわち手厚く農業が保護されている順で加盟国をランク付けしています。2012年調査結果なんですが、我が国はその前の2011年のランキングから韓国を抜いて、OECD 加盟国の中でも3番目に農業を手厚く保護している結果となっています。日経新聞でも「農家の収入、半分以上は政府支援 OECD」と報じられています。農業団体や農家が TPP に反対するのも当然かもしれません。

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2013年10月20日 (日)

ハクエイ・キム「ボーダレス・アワー」を聞く

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去る7月10日にリリースされたハクエイ・キム率いるトライソニークの最新アルバム「ボーダレス・アワー」を聞きました。トライアソニークとしてはセカンド・アルバムだろうと思います。収録曲はすべてハクエイ・キムのオリジナルで以下の通りです。

  1. Intro
  2. Jackie on the Run
  3. Parallel Blues
  4. A Clockwork Rock
  5. A Requiem
  6. The Gateway
  7. Mesopotamia
  8. Antikythera Mechanism
  9. On the Horizon
  10. Monolith

本作でハクエイ・キムはピアノだけでなく、神奈川工科大学の研究チームが開発した新型の電気鍵盤楽器 Neovichord を使用しており、モダン・ジャズにとどまらず、プログレッシブ・ロックの領域まで踏み込んでいます。特に2曲めが秀逸です。オススメのアルバムです。
下は YouTube にアップされているトレイラの動画です。

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2013年10月19日 (土)

ジェフリー・アーチャー「クリフトン年代記」(新潮文庫)、ほか

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「クリフトン年代記」という括りですが、上の画像に見る通り、現時点では『時のみぞ知る』上下と『死もまた我等なり』上下の4冊の文庫本で出版されています。もちろん、まだ続きがあるようです。アーチャーの年代記としては『ケインとアベル』とその続編の『ロスノフスキ家の娘』が有名ですが、後者は絶版になっています。また、『大統領に知らせますか?』も実は続編で、この作品の大統領とは旧姓でフロレンティナ・ロスノフスキです。それから、ややクリフトン年代記に近いサクセス・ストーリーの作品としては『チェルシー・テラスへの道』も上げることが出来ます。
ということで、戦間期の英国ブリストルを舞台に『時のみぞ知る』の物語が始まり、『死もまた我等なり』では第2次世界大戦が終了します。港湾労働者の倅ハリー・クリフトンがグラマー・スクールを経てオックスフォード大学に入学し、第2次世界大戦で米軍に従軍した後、戦後、英国に戻り作家になるまでを綿密にたどります。『チェルシー・テラスへの道』のトレンザムに当たる敵役のヒューゴー・バリントンが早くも死んで、この先の展開が読めないんですが、第3巻の Best Kept Secret がすでに発売されており、ヒューゴーがオルガ・ペトロフスカに産ませた女の子を探したり、ハリーとエマの子セバスティアンがケンブリッジ大学に進んだりといった展開になるらしいです。
早くもジェフリー・アーチャーの最高傑作との呼び声も高く、私もそれに近い評価を下せるんではないかと期待しています。文庫本は図書館で借りることが多いんですが、この4冊はすべて買い求めました。オススメです。

photo誠についでながら、曽野綾子『人間にとって成熟とは何か』(幻冬舎新書) も図書館の予約の順番が回って来たので読みました。著者は80歳を超えており、この年代の人ですから仕方ないんですが、他人に対する批判と自分の自慢話でいっぱいのエッセイです。もっとも、評価できるのはカトリック信者らしく「神の目」から見た視点による論評を試みていることです。必ずしも成功しているとは言い難く、「神の目」と信じ込んだ自分の目からの批判に終始しているように見えなくもありませんが、かなり売れている本ですので読んでおくのも一案です。もちろん、読まなくても一向に人生の損失にはなりません。ラジオで誰かが言ってましたが、この本は読んだ結果で自分の行動を律するのではなく、他人の考え方や行動を批判する基準になり、他人に読ませたい本であるとの評価も成り立つかもしれません。この年代の女性作家らしく、AKB48に対する評価は厳しいものがあります。当然でしょうね。一昨日金曜日の朝日新聞の夕刊で見かけたフジモリ元ペルー大統領に対する何らかの評価を知りたかった気がします。まあ、その他の扱いですから悪しからず。

油井正一『ジャズ昭和史』(ディスクユニオン) というページ数ばかりが巨大な本を読んだ後で、今週は文庫本や新書のお手軽な本に偏った読書でした。

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2013年10月18日 (金)

楽天リサーチ「健康志向に関する調査」に見るダイエットの効果やいかに?

今週月曜日は体育の日で、高齢者の体力や運動能力の増進ばかりがメディアで報じられましたが、一昨日の10月16日には楽天リサーチから「健康志向に関する調査」結果が公表されています。週末前の軽い話題ですので、グラフをいくつか引用して簡単に紹介しておきたいと思います。

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上のグラフは健康に関して気になっていることを質問した結果です。質問の仕方なんかでバイアスがかかっている可能性はありますが、「運動不足」が過半数でトップとなっており、次いで「疲労」、「ストレス」、「睡眠不足」がそれぞれ30パーセントを超えています。分かる気がします。

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上は現在ダイエットを行っている、もしくは今後ダイエットを行おうと思っている方に理由を質問した結果です。「健康の改善・維持のため」がトップで、僅差で「体型・スタイル改善・維持のため」と続き、「自分で太ったと意識するようになったため」までが過半数を超えていて、「運動不足だと感じるため」もほぼ半数が回答しています。見た目と健康がかなり拮抗した回答結果だと受け止めています。

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上は現在行っている、また行おうと思っているダイエット方法を質問した結果です。「食事制限」が圧倒的な大多数を占めています。次いで「ランニング」、「スポーツジムに通う」といった運動系が続いています。また、図表は引用しませんが、ダイエット経験者に結果を質問したところ、「成功してダイエットを終了した」が20パーセントを超えて最も高く、5人に1人がダイエットを成功させ、終了している結果となっています。

ここ数年は秋が短くてすぐに冬になってしまうような印象があるんですが、秋の季節は「食欲の秋」と「スポーツの秋」という、一見すると矛盾した季節です。秋の夜長にダイエットや健康について考える時間もありそうです。

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2013年10月17日 (木)

米国連邦政府の活動停止や債務上限問題を米国民はどのように見ているか?

広く報じられている通り、米国連邦政府の暫定予算が予算年度が開始される10月1日までに連邦議会で成立せず、連邦政府活動が停止状態 shutdown に入るとともに、来年2月7日までという期限付きでギリギリになって回避されたものの、債務上限が引き上げられないために米国連邦政府が債務不履行 default に陥る危険が迫っていました。このため、前者の連邦政府の活動停止に伴って、予定されていた10月4日に米国雇用統計が発表されないため、我がブログで取り上げることが出来なかったのは、一般市民にとって極めて軽微で些細な影響としても、後者の連邦債務不履行に関しては、フィッチ・レーティングスが AAA の米国債の格付けについて、格下げの可能性のある Rating Watch Negative (RWN) に place したと発表したりして、大きな影響が懸念されています。取りあえず、今回の解決策は2月7日までの国債発行の許可ですので、来年2月にはもう一度ドタバタが繰り返されるのかもしれません。

ということで、この米国連邦政府の活動停止と連邦債務の上限引上げ問題について、米国民がどのように見ており、どのように評価して、何に影響が現れているのか、という点について、Pew Research Center から10月15日付けで As Debt Limit Deadline Nears, Concern Ticks Up But Skepticism Persists と題する世論調査結果が発表されています。今夜のブログでは図表を引用しつつ、この調査結果を簡単に紹介したいと思います。なお、図表の引用元は包括的に以下の通りです。リポートは html 版と pdf 版があります。

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まず、リポートで最初に取り上げられているのが上の表 Half View Debt Limit Increase as Essential, More than a Third Say it is Not です。10月の第1週の時点から第2週になって債務上限引上げ問題が経済危機を避けるために重要 essential だと考える割合がようやく過半数を超えました。しかし、まだ 1/3 を超える割合で大きな経済的問題なく従来の債務上限でやって行けると考えられており、共和党支持者ではこの割合が過半数に達します。私には信じがたい気がします。ホントに米国連邦政府が債務不履行に陥れば、ちょうど5年前のリーマン・ショックと同じくらいのマグニチュードで世界経済が大きなショックを受けると思うんですが、そのような危機意識は米国市民の間ではとても希薄だと考えざるを得ません。

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次に、上の画像は連邦政府の活動停止について、Shutdown Concerns Grow, But Little Change in Political Blame と題する表をリポートから引用しています。順序が逆になりますが、下半分で連邦政府の活動停止が経済活動に及ぼす影響として、強く関連する Very concerned が10月の第2週になって過半数を超え、徐々に深刻な状況が認識され始めている一方で、上半分に目を転じれば、これも10月の第2週になってオバマ政権よりも共和党に責任がある blame とする意見が高まっているのが見て取れます。当然です。

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上の画像はもっと長い目で時系列を見た Record Anti-Incumbency Mood のグラフをリポートから引用していますが、現職の国会議員の再選に反対する雰囲気 Anti-Incumbency Mood が記録的に高まっているのが見て取れます。国会議員の再選を支持する割合は半分を割り込んでしまいました。米国では大統領選挙のない年の中間選挙では、現職大統領の政党に不利な投票結果が現れることがめずらしくないんですが、来年2014年の中間選挙では民主党がやや有利かもしれない Democrats Hold Slight Midterm Advantage とリポートでは指摘しています。

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今回の大統領府と議会との膠着状態の背景には、共和党を支持するティー・パーティーの存在が多くのメディアで指摘されており、上の画像は Half of Tea Party Republicans Say Debt Limit Does Not Ever Need to be Increased の表をリポートから引用しています。共和党支持者と民主党支持者をさらに保守とリベラルに分け、共和党の保守では債務上限引上げに反対する割合が過半数を超え、さらに、ティー・パーティーに同調する共和党支持者では69パーセントに達しています。債務上限引上げ問題とティー・パーティーの関係を指摘したメディアの論調に統計的な裏付けを与えるものと言えそうです。

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さらに、上の画像は Most Democrats Expect Debt Resolution, Republicans DividedRising Concern about Shutdown, Partisan Divides Persist の表をリポートから引用して連結しています。連邦債務の上限引上げ問題 Debt Resolution と連邦政府の活動停止 shutdown に関して、回答者の属性別の結果が示されています。連邦債務問題の解決を願うのは、女性より男性であり、学歴が高く世帯収入が多いグループとなっている一方で、連邦政府活動停止に関心を示すのは、男性よりも女性であり、年齢が高く世帯所得が少ないグループである、との結論が指摘できます。直感的な印象と大きくは違わない気がします。

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最後に、上の画像は Dissatisfaction With State of the Nation Nears Peak のグラフをリポートから引用しています。今世紀に入ってから、米国市民の不満が大きく高まったのは今回を含めて3回あり、2008年10月はリーマン・ショックに起因し、2011年7月と今回2013年10月はともに連邦債務の上限問題に起因しています。2011年夏にはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債の格付けを引き下げて円高が進んだ記憶があります。債務不履行のデッドラインが近づく中で、米国大統領府と連邦議会は何とかギリギリのタイミングで問題を回避したんですが、来年2月上旬には同じドタバタが繰り返されるんでしょうか、それとも、市場に動揺を与えることなく期限までに余裕を持って解決されるんでしょうか。

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最後に、Pew Research Center から本日取り上げた As Debt Limit Deadline Nears, Concern Ticks Up But Skepticism Persists に続いて、1日遅れで Tea Party's Image Turns More Negative と題する世論調査結果が昨日10月16日に発表されています。上の画像はそのリポートから Tea Party Favorability Drops Across Party Lines と題するグラフを引用しています。リポートのタイトルから明らかなように、ティー・パーティーがかなり支持を落としているようです。私は Pew Research Center の米国内での立ち位置をよく知らないんですが、この調査結果が来年2月に有効に作用されるように願っています。

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2013年10月16日 (水)

マクロミル「消費税8%決定。節約意識と駆込み需要の実態は・・・?」調査結果

2週間前の10月1日に安倍総理大臣が記者会見をして、予定通りに来年2014年4月から」消費税率を現行の5%から8%に引き上げると発表しています。広く知られた通りだと思います。この政府決定に基づいて、ネット調査大手のマクロミルが「消費税8%決定。節約意識と駆込み需要の実態は・・・?」と題する調査を実施し、その結果を10月7日に公表しています。なかなか興味深い結果ですので、簡単に図表ととともに取り上げたいと思います。まず、マクロミルのサイトから調査結果について4点のトピックスを引用すると以下の通りです。

トピックス
  • 2014年4月の増税後、68%が「節約する」
  • 増税の余波、まずは食卓を直撃か?
    1番節約したいものは「日々の食費・飲料費」
  • 駆け込み需要はあるのか? 消費者の約3割が "増税を見越した消費あり"
  • 増税前に買いたいものランキング
    1位 「家電製品」、 2位 「車、バイク」、 3位 「住宅関連」 「日用品」

まず、下の円グラフは上のトピックスの最初に該当するものです。

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消費税率が8%に引き上げられる2014年4月以降、どの程度節約するかを尋ねると、「大幅に節約する」22.2%と「やや節約する」45.5%の合計して67.7%が「節約する」と回答しています。もちろん、質問が曖昧で回答者の主観によって左右されるんでしょうが、いずれにせよ、消費税率引上げが消費の抑制、ひいては成長率の鈍化につながりかねないことは事実として認識しておく必要があります。

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続いて、上のグラフは、最初に「節約する」と回答した人を対象に、何を節約するかを尋ねた結果です。トップは「日々の食費・飲料費」69.1%でした。理由としては、「毎日のことで、取り掛かりやすい、大きく節約できそう」、「おやつ、ジュース、お酒などが減らせそう」などがあげられました。次いで「外食・飲み会費」66.3%、「洋服、ファッション雑貨費」63.5%などとなり、日々のちょっとした贅沢に対しての節約意識が高まりそうと分析されています。

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さらに、グラフは省略しますが、消費者の約3割が「増税を見越した消費あり」と回答しています。駆込み需要の発生が予想されます。そして、増税を見越した消費があると回答した人に、何を買いたいか、あるいは、すでに買ったかを尋ねたところ、結果は上のグラフの通り、「家電製品」が断トツで49.3%となり、駆込みで買い物をする人の2人に1人は家電製品を買いたいと考えているようです。その種類は、「パソコン」、「冷蔵庫」、「洗濯機」、「テレビ」などが上げられました。家電製品に続いて「車、バイク」26.8%、「住宅関連」15.4%、「日用品」14.7%などと続いています。

10月初に消費税率引上げが本決まりになったことから、この年末商戦から駆け込み需要の本格化が始まるのではないかと考えています。以外なモノが売れるかもしれません。もちろん、4月に消費税率が引き上げられた後の消費減も心配ですが、2015年10月には2段階目の引上げが控えていますので、ホントに大きな駆込み需要の反動はその際だろうと予想しています。

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2013年10月15日 (火)

「所得再分配調査」に見る高齢者に偏った所得再分配で高齢者の体力が増進?

やや旧聞に属する話題ですが、連休前の先週金曜日10月11日に厚生労働省から2011年の「所得再分配調査」の結果が公表されています。2011年ですから現在の安倍内閣ではなく、民主党政権下、しかも震災のあった年の調査結果ですから、一定のバイアスは免れないと思いますが、全体としては所得再分配の機能が高められていると評価できる部分も少なくないものの、相も変わらず高齢者に偏った社会保障政策が続いていることが如実に示されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

所得格差の是正進む 再分配、社会保障で改善
国民の所得格差の是正が進んでいる。厚生労働省が11日発表した2011年の所得再分配調査によると、税金や社会保障制度を使って低所得層などに所得を再分配した後の世帯所得の格差を示す「ジニ係数」は0.3791だった。再分配前の当初所得でみた係数より31.5%縮小し、この縮小幅は過去最大となった。年金・医療でたくさんの給付を受ける高齢者の増加が背景にある。
所得再分配調査は3年に一度、前年の所得を対象に実施する。再分配前の当初所得のジニ係数は0.5536で、前回の08年調査(0.5318)を上回り過去最大になった。公的年金は所得に加えないため、高齢者が増える分だけ格差は広がりやすくなる。ジニ係数上昇の約7割分は高齢化による要因だった。所得水準が低い単身世帯が増えたことも影響した。
税金や社会保険料を差し引いたうえで、公的年金などの給付を加えた所得でみた係数も前回調査(0.3758)より上昇した。ただ、格差が再分配後にどれだけ縮小したかを示す修正幅は初めて3割を超えた。社会保障制度による改善度が28.3%と大きく、税による改善度は4.5%にとどまった。
年金や医療などで受け取れる給付額から税や保険料などの負担額を引くと、20-50代はマイナスだが、60代以降はプラスに転じる。現役世代から高齢世代への所得移転による格差是正は進む。
一方で、若年層では同世代内の格差が広がった。たとえば世帯主が35-39歳のジニ係数は当初所得分で08年の0.2779から、11年には0.3358に急上昇した。世帯主が「29歳以下」「30-34歳」の場合も08年より係数が上昇。非正規社員の増加や就職難が響いたとみられる。
今回の調査は民主党政権下での所得再分配の実態を調べたものだ。民主党政権は子ども手当や高校無償化などの給付拡大を進めたものの、厚労省はそうした政策の効果は「今回の結果にほとんど影響していない」としている。

いつもながら、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、「所得再分配調査報告書」のリポートからいくつか図表を引用したいと思います。p.6 図3 所得再分配によるジニ係数の変化を引用すると以下の通りです。

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グラフからいくつか読み取れる点があります。第1に、最近になるほど当初所得のジニ係数が大きくなり、不平度が増していることです。基本的には、高齢化が進んでいることが大きな理由と考えられますが、非正規雇用の比率の増加なども要因として考えられなくもありません。ただし、この調査は当初所得の不平等の度合いを解明するのが目的ではありません。第2に、当初所得のジニ係数で測った不平等度が最近時点では0.5を超えるくらいに拡大している一方で、社会保障を考慮に入れた再分配所得では0.4足らずと大きく改善されており、しかも、最近になるほどこの改善度合いが大きくなっていることです。余りに当然のことながら、不平等の改善には社会保障による再分配の役割が大きいと考えるべきです。

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さらに、リポート p.9 表4 世帯類型別所得再分配状況を引用すると上の通りです。経年変化の情報はなく、最近時点だけの情報で、どのような類型の世帯に再分配所得の恩恵が及んでいるかを見ています。一般に、不平等ではなくて貧困なんですが、既存研究によれば我が国では母子、高齢、疾病が貧困世帯の3大類型と見なされています。そのうち、上の表では母子と高齢の2類型が表章されているところ、何と受給合計額でも、ジニ係数の改善度でも、圧倒的に高齢者世帯に手厚く、母子世帯に冷たい所得の再分配がなされている実態が明らかになっています。

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最後に、ダメ押しかもしれませんが、リポート p.10 表5 世帯主の年齢階級別所得再分配状況を引用すると上の通りです。一例を上げると、世帯主の年齢が30歳代、すなわち、上の表の年齢階級では30-34歳と35-40歳の世帯は、60歳代後半、すなわち、60-64歳の世帯よりも当初所得では年間で200万円近く多く稼ぎ出しているにもかかわらず、再分配所得では逆転されてしまっています。一番右の欄の再分配係数を見ても、60歳未満はマイナスで負担超過、60歳以上はプラスで給付超過となっており、しかも、年齢が高くなるほど給付超過の割合が大きいという驚くべき結果となっています。

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さて、最近のメディアで話題になったのは、体育の日にちなんで、10月13日に文部科学省が発表した「体力・運動能力調査」があり、高齢者の体力が年々増進していることが明らかにされています。上のグラフは調査結果のうち「体力・運動能力の年次推移の傾向 (成年)」「体力・運動能力の年次推移の傾向 (高齢者)」から、それぞれ、新体力テストの合計点の年次推移を引用して画像を連結しています。上下のグラフを見て、50歳代から70歳代の男女の体力・運動能力は年々増進しており、これはこれでご同慶の至りなんですが、実は、それよりも若い世代では体力・運動能力は停滞気味で、35-39歳女子のように一貫して低下している場合すらあります。

もちろん、タイトルに書いたのはジョークの世界であり、社会保障による所得再分配と体力・運動能力の間に因果関係を主張するつもりは毛頭ありませんし、決して、高齢者の体力増進はより若い勤労世代の運動能力の低下や停滞の犠牲の上に成り立っていると考えているわけではありません。しかし、あくまで一般論ながら、日本という国は高齢者に極めて手厚く優しい一方で、勤労世代はたとえ母子家庭のような恵まれない世帯類型に対してすら冷たい国であり、投票行動に基づくシルバー・デモクラシーに従って、すべてを超越して年齢のみによって社会保障政策が決まっているように見えかねない、というおそれを感じないでもありません。

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2013年10月14日 (月)

ノーベル経済学賞は金融論のシカゴ大学ファーマ教授らに授賞!

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本日、スウェーデン時間の午後1時、日本時間の夜8時に今年のノーベル経済学賞が発表されています。効率的市場仮説などの金融理論で著名なシカゴ大学ファーマ教授、同じくハンセン教授、イェール大学シラー教授の3氏に授賞されました。授賞理由は "for their empirical analysis of asset prices" とされています。ノーベル賞のサイトから引用して以下の通りです。

  • Eugene F. Fama
    Born: 1939, Boston, MA, USA
    Affiliation at the time of the award: University of Chicago, Chicago, IL, USA
    Prize motivation: "for their empirical analysis of asset prices"
  • Lars Peter Hansen
    Born: 1952
    Affiliation at the time of the award: University of Chicago, Chicago, IL, USA
    Prize motivation: "for their empirical analysis of asset prices"
  • Robert J. Shiller
    Born: 1946, Detroit, MI, USA
    Affiliation at the time of the award: Yale University, New Haven, CT, USA
    Prize motivation: "for their empirical analysis of asset prices"

10月2日のエントリーで、リーマン・ショックから5年を経過して、そろそろ「金融論の分野から John B. Taylor 教授」と私は予測したんですが、やや近かった気がしないでもありません。

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2013年10月13日 (日)

クライマックス・シリーズ第2試合もあっさり負けて今シーズンが終わる!

  HE
広  島000002131 7110
阪  神100000012 462

相変わらず、最後まで打線が湿りっぱなしでした。序盤だけはいいカンジでしたが、中盤から勝てそうな気がしませんでした。9月に入ってからシーズン終盤の悪い流れそのままに、50日を経て調子を上げることが出来ませんでした。ここ数年、ずっとペナントレースの終盤戦で調子を落として、ポストシーズンの試合は負け続けなんですが、今年ほど早くに調子を落とし始めたのは記憶にありません。それにしても、真弓前監督、和田監督と「守り勝つ野球」を標榜していたような気がしますが、もうヤメにして来年は打ち勝つ野球を目指すのはダメなんでしょうか?

1年間の応援お疲れさまということで来年こそ、
がんばれタイガース!

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先週読んだ新刊書5冊

先週に読んだ新刊書は以下の5冊です。最初のクルーグマン教授の新書以外はすべて借りて読んでいます。クルーグマン教授の本だけ買い求めました。エンタメ系の小説が1冊だけ混ざっていたりします。

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まず、ポール・クルーグマン『そして日本経済が世界の希望になる』(PHP新書) です。著者は紹介の必要もないくらいに有名な経済学者で、2008年のノーベル経済学賞の受賞者です。本書は、クルーグマン教授の「語り下ろし」だそうで、原著があるわけではなさそうです。内容は、圧倒的にアベノミクスがほぼ完全に正しいことを繰り返し述べています。ただし、アベノミクスの第3の矢の成長戦略だけは、単なるターゲティング・ポリシーとして否定しています。私の見方と完全に一致しています。中央銀行の独立性に対する考え方くらいまではいいんですが、最後の方の新興国経済に関する見方などは、それはそれで評価できる部分もある一方で、「放談」日会員証を持つ人がいるかもしれないと、勝手に心配したりしています。

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次に、読売新聞政治部『安倍晋三 逆転復活の300日』(新潮社) です。タイトルに「300日」とありますが、実際はそれよりももう少し長く、いわゆる3党合意の2012年8月から今年2013年7月の参議院選挙までをカバーしています。日銀がインフレ目標を掲げる際の綿密な取材に基づく検証、TPPに関する取組みなど、経済政策的にとても興味深い内容を含んでいます。もちろん、選挙や政治面も充実しています。次の国政選挙までの「黄金の3年間」を手に入れた安倍内閣の次なる手はなにか。とても示唆に富んでいると受け止めています。

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次に、ポール J. ザック『経済は「競争」では繁栄しない』(ダイヤモンド社) です。本書では、かなり単純に「競争=テストステロン」、「信頼=オキシトシン」という図式で描き出そうとしていて、p.14 ではそれを極端な形で認めることさえしています。私にはなかなか理解が進みません。

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次に、ジョシュ・シェーンヴァルド『未来の食卓』(講談社) です。サラダから始まって、魚や肉など、副題の「2035年 グルメの旅」にふさわしく、20年余り先の将来にはどのような料理が流行っているだろうか、をジャーナリストの著者が探訪します。私は年齢を重ねて50歳を過ぎたころから人生残り僅かになったと感じ、食欲を性欲とともにほとんど放棄した仙人のような生活を送っていますので、料理や食事には余り大きな興味はないながら、将来の流行についての方向性を考える参考として読みました。

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最後に、長沢樹『上石神井さよならレボリューション』(集英社) です。おそらく、この著者の3冊目の本で、私はその前のデビュー作『消失グラデーション』と『夏服パースペクティブ』をいずれも読んでいて、決して評価は高くなかったんですが、連作短編集になっている本書はとても面白く読みました。決して殺人でも何でもない、イタズラの水準の謎を眉目秀麗で成績優秀な高校生が解いて行くという仕立てで、この著者らしく少しセクシーな観点も織り込んでいます。この著者の作品の中では私がもっとも好きな小説です。

今週、連休明けは少し小さいカバンを持ち歩く必要がありそうですので、文庫本を読もうかと考えています。アーチャーの「クリフトン年代記」あたりをターゲットにしています。

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2013年10月12日 (土)

クライマックス・シリーズ第1試合はマエケンを打てずに捨てゲームでボロ負け!

  HE
広  島000130004 8130
阪  神000100000 151

相変わらず、マエケンをまったく打てませんでした。いきなり、最悪のパターンのボロ負けで王手をかけられてしまいました。でも、先発の藤浪投手には失礼ながら、どうせマエケンを打てないのであれば、ということで、捨て試合だったのかもしれません。明日の試合をモノにすれば、逆王手でがぜんタイガースが有利になる可能性も残されています。もちろん、2タテでそのまま敗退する可能性も十分にあるわけですが、…

日本一目指して、
がんばれタイガース!

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G20 Communiqué

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Communiqué
Meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors
Washington, 10-11 October 2013

1. Since our Leaders met in September, the recovery in the global economy has continued, with the early signs of improvement in major advanced economies but slower growth in many emerging markets, which still remain important drivers of global growth. The current outlook presents challenges, including unacceptably high unemployment in many countries, and downside risks remain. The U.S. needs to take urgent action to address short-term fiscal uncertainties. We recognize that strengthened and sustained growth will be accompanied by an eventual transition toward the normalization of monetary policy and that volatility of capital flows continues to be an important challenge. Sound macroeconomic policies, structural reforms and strong prudential frameworks will help address an increase in volatility. We will ensure that future changes to monetary policy settings will continue to be carefully calibrated and clearly communicated. We will cooperate to make policies implemented for supporting domestic growth also support global growth and financial stability and to manage their spillovers on other countries.

2. We will intensify our collective and national efforts to create a robust environment for job-rich and inclusive growth, and to address the downside risks to the global economy. We are fully committed to implement the St Petersburg Action Plan that sets forth our reforms for achieving strong, sustainable and balanced growth and will further develop comprehensive growth strategies for presentation to the Brisbane Summit to achieve this objective. In this regard, ensuring fiscal sustainability remains a key priority and we reaffirm our commitment to implement our medium-term fiscal strategies flexibly to take into account near-term economic conditions, while putting government debt on a sustainable path.

3. We re-affirm the importance of long-term financing for investment to boost growth, create jobs and facilitate development and are moving forward with the work plan endorsed in St Petersburg, including further work on private sector investment flows. We will identify measures to facilitate domestic capital market development and improve the intermediation of global savings for investments and work on approaches to implement the G20/OECD High-Level Principles of Long-Term Investment Financing by Institutional Investors. We take note of the work underway in the World Bank Group and Regional Development Banks to mobilize and catalyze additional financing for infrastructure investment, particularly in emerging market and developing countries.

4. We re-emphasize the urgent need to immediately ratify the 2010 IMF Quota and Governance Reform. Understanding that the process of reaching a final agreement on a new quota formula is integrated with the 15th General Quota Review, we remain committed, together with the whole IMF membership, to agree on the quota formula and complete the 15th General Quota Review by January 2014 as agreed at the Seoul Summit and reiterated in Cannes, Los Cabos and St Petersburg.

5. We welcome the ongoing work by International Organizations to support the improvement of debt management practices in light of recent experiences. Having contributed to the progress of reviewing and updating the "Guidelines for Public Debt Management", we look forward to the completion of this work by the IMF and the World Bank Group in early 2014.

6. We will closely monitor the implementation of the ambitious tax agenda agreed by our Leaders in St Petersburg and look forward to regular reporting from the Global Forum and the OECD, in particular as regards creating a new standard of automatic exchange of information and implementing the BEPS Action Plan. In addition, we reiterate the need for the Global Forum to complete the allocation of comprehensive country ratings regarding the effective implementation of information exchange upon request and ensure that the implementation of the standards are monitored on a continuous basis. We also reiterate our commitment to FATF's work.

7. We will pursue our work to build a safe and reliable financial system by implementing the financial reforms endorsed in our Leaders' Declaration, which are aimed at building upon the significant progress already achieved, including in creating more resilient financial institutions, ending too-big-to-fail, increasing transparency and market integrity, filling regulatory gaps, addressing the potential systemic risks from shadow banking and closing information gaps.

8. We welcome the recent replenishment of the African Development Fund and reiterate our commitment to achieving a successful International Development Association (IDA) 17 replenishment.

9. We are grateful to International Organizations and other relevant bodies for providing the reports and notes to our meeting (see Annex) and look forward to their future work.

10. We thank Russia for its leadership at the conclusion of its presidency, and look forward to Australia's leadership next year as we work together to achieve the goals laid out in St Petersburg.


Annex

1. Public Debt Management Issues. Report by the G20 International Financial Architecture Working Group, October 2013.

2. Updating the Guidelines for Public Debt Management. Progress Report by the IMF and the World Bank Group to the G20 Ministerial Meeting, October 2013.

3. Review and Update of OECD Leading Practices for Raising, Managing and Retiring Public Debt, Including State Guarantees. OECD Interim Report for the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, October 2013.

4. The G20 Case Studies Report on Clean Energy and Energy Efficiency, October 2013.

5. OECD Report on Pension Funds' Long Term Investments: Survey of Large Pension Funds and Public Pension Reserve Funds, October 2013.

6. OECD Policy Guidance for Investment in Clean Energy Infrastructure. An OECD report to the G20, with contributions by the World Bank and UNDP, October 2013.

7. Institutional Investors and Green Infrastructure Investments: Selected Case Studies. An OECD report to the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors' Meeting, October 2013.

8. The Financial Crisis and Information Gaps. Fourth Progress report on the Implementation of the G20 Data Gaps Initiative. Note by the IMF and the FSB to the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, September 2013.

9. Recent Developments in Local Currency Bond Markets (LCBMs). Note by the World Bank Group in consultation with the IMF, ADB, AfDB, IADB, EBRD, OECD, and BIS to the G20 Finance Ministers and Central Bank Governors, October 2013.

10. Global Liquidity: Selected Indicators. Note by the BIS, October 2013.

Documents provided to the G20 Meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors, October 2013

source: G20 Information Centre

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2013年10月11日 (金)

企業物価指数の上昇は日銀の異次元緩和によるものか?

本日、日銀から9月の企業物価指数 (CGPI)が発表されました。前年同月比上昇率で見て+2.3%と金融政策目標のインフレ率+2%に向けて着実な上昇率を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の国内企業物価、2.3%上昇 6カ月連続のプラス
日銀が11日発表した9月の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は102.7となり、前年同月比で2.3%上昇した。プラスは6カ月連続。昨年秋以降の円安進行で輸入品の価格が押し上げられたほか、原油価格や電力料金が上昇した。
企業物価指数は出荷や卸売り段階など企業間で取引する製品の価格水準を示す。
820品目のうち、前年比で上昇したのは366品目(44.6%)、下落は340品目(41.5%)だった。8月分が改訂され確報値では下落品目が上昇品目を上回った。そのため、今月は上昇品目が12年2月以来1年7カ月ぶりに下落品目より多くなった。
上昇品目から下落品目を引いた品目数は26と、11年12月以来の高水準だった。価格引き上げが幅広い品目に広がっている。
9月は前月比では0.3%上昇した。円安を受け都市ガスや電力などの燃料費が上昇。猛暑の影響で鶏卵価格が上がるなど、農林水産物や非鉄金属が上昇に寄与した。
円ベースでの輸出物価は前年同月比で13.8%上がり、輸入物価も17.9%上昇した。前月比でも輸出物価は1.0%上昇し、輸入物価も2.2%上がった。原油市況高でガソリンや液化石油ガスなど石油・石炭製品が上昇した。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは下の通りです。いずれも企業物価の前年同月比上昇率をプロットしているんですが、上のパネルは国内・輸出入の別、下のパネルは需要段階別です。影をつけた期間はいずれも景気後退期なんですが、いつものお断りで、このブログのローカル・ルールとして直近の景気の谷は昨年2012年11月だったと仮置きしています。

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上下のパネルを見て明らかなんですが、上のパネルからは国内物価が安定的に推移している中で、輸出入物価がともに大きく上昇しているのが見て取れます。引用した記事にもある通り、アベノミクスに伴う円高修正の結果であると受け止めています。下のパネルからは、いわゆる川上の素原材料や中間財が上昇している割には、川下の最終財の値上がりが低く抑えられているのが見て取れます。もちろん、製造段階でコストアップを吸収するとともに、流通段階でも競争によって価格が抑えられている可能性が指摘できます。

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ということで、企業物価のうちの輸入物価から円建てによる原油価格指数をプロットしたのが上のグラフです。リーマン・ショック後に大きく低下し、その後、最近時点まで上昇傾向にあります。前年同月比上昇率で見ると、ここ3ヶ月では、7月+31.8%、8月+28.0%、直近の9月+26.3%のそれぞれ上昇と、かなり大きな上昇幅になっています。街中のガソリン・スタンドでもかなり値上がりしているような印象を持っています。ですから、フォーマルな定量分析をしたわけではありませんが、現時点における物価は、為替も含めたコスト・プッシュに起因する上昇から、徐々に需要の拡大がけん引するインフレに移行する過程と考えるべきであって、現在の物価上昇は日銀の政策によるものではないと私は考えています。

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2013年10月10日 (木)

順調な改善を示し基調判断が上方修正された機械受注と消費者態度指数

本日、内閣府から機械受注消費者態度指数が公表されています。それぞれ、機械受注は8月、消費者態度指数は9月の統計です。機械受注はGDPベースの設備投資の先行指標となるコア機械受注、すなわち、船舶と電力を除く民需の季節調整値で見て前月比+5.4%増の8193億円と、市場の事前コンセンサスを大幅に上回りました。消費者態度指数も8月の43.0から9月は45.4と+2.4ポイントも大幅に上昇しています。いずれも大きく改善したことから基調判断が上方修正されています。まず、統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

8月機械受注、3カ月ぶり増 8000億円超は4年10カ月ぶり
内閣府が10日発表した8月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比5.4%増の8193億円だった。増加は3カ月ぶりで、受注額が8000億円を超えるのはリーマン・ショックが起きた直後の2008年10月(8082億円)以来4年10カ月ぶり。製造業と非製造業からの受注が共に増え、水準としては08年9月(8464億円)以来の高さだった。
QUICKが9日時点で集計した民間の予測中央値は2.0%増だった。回復傾向が続いているとの見方から、内閣府は機械受注の判断を7月の「緩やかに持ち直している」から「持ち直している」へ2カ月ぶりに上方修正した。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は0.8%増の3213億円と4カ月連続のプラスだった。4カ月連続の増加は統計を遡れる05年4月以降で初めて。石油・石炭製品業界からボイラーやタービンの受注が伸びたほか、化学メーカーからプラント向け機器などの需要が旺盛で、設備投資意欲が高まっていることがうかがえる。
船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額も6.2%増えて4911億円と2カ月連続のプラスだった。金融業界のシステム投資を受けてコンピューターが伸びたうえ、運輸・郵便業からは鉄道車両の受注が好調だった。
8月に発表した船舶・電力除く民需の7%9月期の受注額見通しは前期比5.3%減。9月が前月比29.1%減までにとどまれば達成でき、14.1%減なら横ばいになる。これまで単月で最も大きかった落ち込みは09年1月の11.9%減のため、内閣府では「見通し達成のハードルは高くない」とみている。
9月の消費者態度指数、4カ月ぶり改善 基調判断を上方修正
内閣府が10日発表した9月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は45.4となり前月から2.4ポイント上昇した。改善は4カ月ぶり。安倍晋三政権の経済政策、アベノミクスによる株高や雇用環境の好転などへの期待感が消費者心理の改善につながったとみられる。内閣府は基調判断を8月の「改善に足踏みがみられる」から「改善基調にある」に上方修正した。判断を上方修正するのは4カ月ぶりとなる。
消費者態度指数を構成する4項目全てが前月比プラスだった。「暮らし向き」「収入の増え方」は4カ月ぶり、「雇用環境」は2カ月ぶりに前月を上回った。2020年の東京五輪の開催が決定し、景気底上げへの期待感が高まったことも消費者心理の改善につながったようだ。
1年後の物価の見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)が0.5ポイント上昇の87.8%と9カ月連続で増えた。米リーマン・ショック前の2008年8月(88.2%)以来5年1カ月ぶりの高水準となった。電気代、ガソリン代などエネルギー価格が高水準で推移しているほか、日銀の「異次元緩和」でインフレ予想が高まっていることが影響したとみられる。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は9月15日で、有効回答数は5926世帯(回答率70.5%)。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事で、おなかいっぱいという気がします。続いて、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその後方6か月移動平均を、下のパネルは需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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コア機械受注の市場の事前コンセンサスは、日経QUICK調査に従えば+2.0%増でしたので、実績の+5.4%増8193億円はかなり大きく上振れしたと受け止めています。予測レンジの上限といえます。特に、上のグラフを見れば一目瞭然で、水準としてはリーマン・ショック以前にははるかに及ばないながら、コア機械受注は明らかに上昇トレンドを取り戻しています。従って、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府は基調判断を先月までの「緩やかに持ち直している」から、「緩やかに」を削除して「持ち直している」に上方修正しています。設備や雇用といった要素需要は景気から少しラグを伴う遅行性がありますので、9月調査の日銀短観における設備投資計画を併せて考えても、現在の景気回復・拡大局面もいよいよ本格化しつつあると考えるべきです。ついでながら、本日、日本政策金融公庫から「中小製造業設備投資動向調査」が公表されていますが、中小企業でも今年度の設備投資計画は前年度比+7.7%増が見込まれています。

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消費者態度指数は直近では5月の45.7をピークに8月まで3か月連続で加工して来ていたんですが、9月は45.4と前月から+2.4ポイントもジャンプし、3か月の間の下降分を一気に取り戻しました。引用した記事にあるように、東京オリンピック効果なのかもしれません。「アベノミクスの第4の矢」のように見なされていたりもします。加えて、基調判断は前月の「改善に足踏みがみられる」から「改善基調にある」に上方修正されています。少し詳しく見ると、消費者態度指数を構成する暮らし、収入、雇用、耐久財買い時の4コンポーネントともすべて上昇したんですが、雇用が前月から+4.8ポイント上昇した一方で、収入は前月からわずかに+0.4ポイントしか改善していません。量的に雇用機会が増加して働く場が拡大している一方で、賃金をはじめとする収入は伸び悩んでいたり、あるいは、非正規雇用のような賃金の低い雇用機会しかない、といった状況を私は想像していたりします。現在のような順調な景気回復・拡大を継続するには賃金や収入の増加が焦点と言えます。

先日の景気ウォッチャーとともに、需要サイドの消費者態度指数も改善を示し、供給サイドも需要サイドも、また、企業も消費者も、マインドはかなり改善に向かっています。賃金や収入の面で以下に国民生活をサポートするか、もっといえば、企業が溜め込んだキャッシュをいかに従業員や国民に還流させるかが重要な政策課題と受け止めています。

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2013年10月 9日 (水)

国際通貨基金 (IMF) 「世界経済見通し」 World Economic Outlook と経済協力開発機構 (OECD) 「技能見通し」 OECD Skills Outlook

この週末に米国のワシントンで開催されるIMF世銀総会に向けて、「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) が公表されています。先週、分析編の第3章と第4章が明らかにされたのに続き、昨日、見通し編第1章と第2章が公表されました。第2章は地域見通しですので、今夜は第1章の見通し編と分析編の特に第3章で景気循環のシンクロについて論じた部分を中心に簡単に振り返っておきたいと思います。まず、リポートの p.15 から始まる Executive Summary の最初のパラを引用すると以下の通りです。日本に関する部分については強調表示してあります。

Executive Summary
Global growth is in low gear, the drivers of activity are changing, and downside risks persist. China and a growing number of emerging market economies are coming off cyclical peaks. Their growth rates are projected to remain much above those of the advanced economies but below the elevated levels seen in recent years, for both cyclical and structural reasons. The United States has seen several quarters of solid private demand. Although public sector demand has been pushing in the opposite direction, this counterforce will diminish in 2014, setting the stage for higher growth. Japan's economy is enjoying a vigorous rebound but will lose steam in 2014 as fiscal policy tightens. The euro area is crawling out of recession, but activity is forecast to stay tepid. In these three advanced economies, much slack remains and inflation pressure is expected to stay subdued.

続いて、IMF のサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。なお、クリックするとリポート p.2 Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抜き出した pdf ファイルが別タブで開きます。

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見れば明らかですが、先進国の成長率見通しが7月時点の改定見通しから全体としては変更ない一方で、アジアを中心に新興国と途上国の成長率見通しが大きくダウンすると見込まれています。先進国では日本は7月から大きな変更はない一方で、米国が下方修正、英国を含む欧州が上方修正された結果、全体として成長率見通しは7月から変更ないと見込まれています。新興国と途上国の成長率の減速については、中でもインドの下方修正幅が大きくなっています。中国やASEAN-5も下方修正されており、ラテンアメリカもご同様です。ただし、目先の今年や来年の新興国・途上国における成長率は少し減速するものの、いわゆる「中所得国の罠」に陥っていないのであれば、中長期的には成長率は回復を示す可能性が大きいと見なされています。このあたりの認識は、先週10月4日付けのエントリーで取り上げたアジア開発銀行 (ADB) の「アジア開発見通し2013改定」 Asian Development Outlook 2013 Update とか、まだ本文は公表されていないものの、ポケット版がダウンロード出来る経済協力開発機構 (OECD) の「東南アジア・中国・インド経済見通し2014」 Economic Outlook for Southeast Asia, China and India 2014 などとも共通していると受け止めています。

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見通し編の第1章 Chapter 1: Global Prospects and Policies の成長率見通しから、いきなりながら私の趣味で、分析編の第3章 Chapter 3: Dancing Together? Spillovers, Common Shocks, and the Role of Financial and Trade Linkages で分析されている景気循環のシンクロに目を転じて、リポートの p.86 Figure 3.4. What's behind "Common Shocks"? を引用すると上の通りです。Coefficient of time dummy を時系列でプロットしており、これが大きいほど世界的・地域的な景気の連動性が高いことを示しています。まず、一番上のパネルの世界景気の連動性に注目すれば、まず、2008年におけるリーマン・ショック時の Coefficient of time dummy のラインが左軸を振り切っています。懇切丁寧にさまざまなイベントが書き込まれていますが、世界的な連動性のスパイクは石油ショック、金融ショック、主要先進国の景気後退などによく対応しています。2番目以下の地域的な連動性の主要な要因は金融危機であることが明らかです。ただし、リポートでは金融のグローバル化が必然的に景気の連動性を高めるわけではないと結論しています。すなわち、金融危機ではないいわゆる平時には、金融リンケージは資源を最も効率的に配分し、資本を最も生産性の高い場所へ移動させることに役立つ一方で、大規模な金融危機の際には金利を媒介として同時的な景気後退が世界的に連動して生じる、ことを明らかにしています。金融リンケージが平時と危機の際でかなり非対称な役割を果たす、というのはとても興味深いと受け止めています。

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次に、メディアでとても話題になった経済協力開発機構 (OECD) による「成人技能調査」 Survey of Adult Skills (PIAAC) の結果を取りまとめたリポート「OECD 技能見通し2013」 OECD Skills Outlook 2013 を取り上げます。いくつかのメディアでは「国際成人力調査」などと訳されているようです。2011-12年に加盟国の16-65歳の成人を対象に実施され、読解力と数的思考力で日本がトップとの結果が出ています。まず、上のグラフはリポートの Overview p.29 から Figure 0.2 Literacy proficiency among 16-65 year-olds を引用しています。グラフのタイトル通り、読解力 literacy proficiency の国別のスコアです。日本がトップで、イタリアがワースト、という結果が示されています。

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続いて、同じく読解力 literacy proficiency の結果について、上のグラフはリポートの Overview p.33 から Figure 0.4 Distribution of literacy proficiency scores and education in Italy and Japan を引用しています。トップの日本とボトムのイタリアについて学歴別で見ており、日本の高校卒 upper secondary とイタリアの大学卒 tertiary のそれぞれの平均スコアがほぼ等しいとの結果を示しています。そうかもしれません。

今夜のエントリーでは、国際機関のリポートに着目するというこのブログの特徴にあわせて、国際通貨基金 (IMF) 「世界経済見通し」 World Economic Outlook と経済協力開発機構 (OECD) 「技能見通し」 OECD Skills Outlook を取り上げました。私は官庁エコノミストですので、やや前者に重点を置いています。なお、前者は250ページ近く、後者は何と460ページを超える膨大な英文リポートですので、すべてを読んでいるハズもなく、後者のリポートは Overview をナナメ読みしただけで勝負しています。アチコチに引用元を散りばめておきましたので、このブログの至らざるところや誤解などがあれば原典に当たることを強くオススメします。

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2013年10月 8日 (火)

本日でレギュラー・シーズンの試合を終える!

  HE
阪  神002000012 5121
D e N A00131002x 7100

本日の横浜球場のDeNA戦に負けて、今年のレギュラー・シーズンはおしまいです。長らくの応援ご苦労さまでした。終盤に大失速して2位に終わりました。あとはクライマックス・シリーズを勝ち抜いて、日本シリーズに臨むというポストシーズンの試合を残すのみです。

日本一目指して、
がんばれタイガース!

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久し振りに改善を示した景気ウォッチャーと黒字幅が縮小した経常収支

本日、内閣府から9月の景気ウォッチャー調査結果が、また、財務省から8月の経常収支がそれぞれ発表されています。まず、それぞれの統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

9月の街角景気、6カ月ぶり改善 判断を7カ月ぶり上方修正
内閣府が8日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比1.6ポイント上昇の52.8で、6カ月ぶりに改善した。自動車メーカー各社が相次いで投入した新型車の販売が好調だったほか、消費税引き上げ前の住宅関連の駆け込み需要が寄与した。内閣府は街角景気の基調判断を前月の「緩やかに持ち直している」から「着実に持ち直している」へ上方修正した。判断を引き上げるのは7カ月ぶり。
指数を構成する「家計」「企業」「雇用」の全部門が上昇した。家計関連は1.3ポイント上昇の50.6。住宅関連が6.4ポイント上昇し、好調ぶりが際だった。「現行の消費税率が適用される請負工事契約の締結時期の影響により、9月末までの契約を要望する客が大半で、新築、リフォーム工事の商談および受注は大幅に増加した」(北陸の住宅販売会社)という。自動車各社が相次いでハイブリッド車など低燃費の新型車を投入した効果も大きく、「受注の勢いが増している」(東海の乗用車販売店)という声も出ていた。
2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は3.0ポイント上昇の54.2で、5カ月ぶりに改善した。東京五輪の開催決定や消費税引き上げ前の駆け込み需要への期待感が目立った。家計分野では「冬の賞与の増額などで、経済政策のプラス効果を実感する層が拡大してくる」(東北の百貨店)と、政策効果に期待する声もあった。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は91.4%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
8月の経常黒字1615億円に縮小 所得収支の黒字9カ月ぶり減
財務省が8日発表した8月の国際収支(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1615億円の黒字だった。7カ月連続で黒字だったが、前年同月と比べ黒字額は63.7%減った。円安を背景に原粗油などのエネルギー輸入額が膨らみ、貿易収支が8月としては現在の基準で比較可能な1985年以降で最大の赤字だったうえ、所得収支の黒字は9カ月ぶりに減った。
貿易・サービス収支は1兆392億円の赤字。赤字は17カ月連続で、赤字額は8月としては最大だった。うち貿易収支は、輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで8859億円の赤字だった。輸出額は米国向け自動車や中国向けの有機化合物などが増え14.1%増加した。一方で輸入額は16.4%増。エネルギー輸入に加え、半導体等電子部品や衣類などが増えた。旅行や輸送動向を示すサービス収支は1533億円の赤字だった。
所得収支の黒字は前年同月比10.0%減の1兆2530億円。円安もあって海外からの配当金受け取りなど証券投資収益は増えたが、海外企業による送金の増加などで直接投資収益が減少したことが影響した。

いつもながら、適確に取りまとめられた記事だという気がしますが、経常収支については季節調整していない原系列の統計に基いていますので、季節調整済みの系列で見たのと少し印象が異なるかもしれません。続いて、景気ウォッチャーのいつものグラフ、現状判断DIと先行き判断DIは以下の通りです。影をつけた部分は景気後退期であり、いつものお断りですが、直近の景気の谷は昨年2012年11月だったと仮置きしています。

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今年2013年3月をピークに先月統計まで下がり続けて来たんですが、9月の統計は6か月振りに現状判断DI、先行き判断DIとも改善を示しました。上のグラフの通りです。まず、現状判断DIについては、家計動向ではコンビニや飲食で客足の鈍化が見られたものの、新型車をはじめとする高額商品の販売が増加したことに加え、消費税引上げ前の駆込み需要もあって住宅関連が好調であったことなどから現状判断DIが上昇しています。雇用についても、建設業などでの求人増がDIの改善につながり、雇用関連DIだけは7月を底に2か月連続の改善です。また、先行き判断DIについても政策効果に加え、オリンピックや消費税引上げ前の駆込み需要への期待感などから上昇を示しています。久し振りのDIの上昇ですが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「緩やかに持ち直している」から「着実に持ち直している」に上方修正しています。微妙な違いで、霞が関文学の範囲内かもしれませんが、まずまず雰囲気は伝わるんではないでしょうか。

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経常収支について上のグラフは季節調整済みの統計をプロットしています。経常収支を青い折れ線で示し、その内訳が積上げ棒グラフに分解されています。色分けは凡例の通りです。経常収支の黒字幅は今年2013年4-6月は5000億円を超えて1兆円近くに上ったんですが、先月7月の収支から従来の震災以降のトレンドに戻ったように見えます。しかし、GDPの外需のベースで考えると経常収支のうち所得収支はGDPに含まれませんので、現状の7-8月だけで見ると4-6月期よりも、外需はややマイナス寄与が大きくなる可能性があると見ています。また、アベノミクスによる円高修正のJカーブ効果が続いていますが、来年春くらいには本格的に貿易収支の改善効果が始まると考えられますので、その際に、黒色の棒グラフの貿易収支がどこまで改善するかを見極める必要があると考えています。

この週末から開催されるIMF世銀総会に合わせて、IMFから「世界経済見通し」 World Economic Outlook のうちに見通し編が公表されています。国際機関のリポートに着目するのはこのブログの特徴のひとつです。日を改めて取り上げたいと思います。

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2013年10月 7日 (月)

景気動向指数から見た我が国景気の現状やいかに?

本日、内閣府から8月の景気動向指数が発表されました。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は107.6と前月から▲0.1ポイントの下降を記録しています。また、CI先行指数も106.5と▲1.4ポイントの下降を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致指数、2カ月ぶり低下 先行指数も
内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が0.1ポイント低下の107.6と2カ月ぶりに低下した。医療・福祉の分野で所定外労働時間が減少したことに加え、化学プラント向けの反応用機器や電力会社向けボイラーの生産が前月に大きく伸びていた反動で減少したことが響いた。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を前月までの「改善を示している」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.4ポイント低下の106.5だった。輸入物価の上昇などで消費者マインドが悪化傾向にあるほか、東証株価指数(TOPIX)が低下したことを反映し2カ月ぶりに低下した。内閣府は先行きについて「全体の動きがどうなるか注意深く見ていきたい」としている。
景気に数カ月遅れる遅行指数は横ばいの112.8だった。完全失業率が悪化する一方、企業の収益環境の改善を背景に法人税収入が増加した。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が50.0、先行指数が22.2だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数とCI先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は2012年11月だったと仮置きしています。

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CI一致指数は2か月振りの下降となったものの、3か月後方移動平均は+0.23ポイント上昇し9か月連続の上昇、7か月後方移動平均は+0.65ポイント上昇し7か月連続の上昇を記録しており、さらに、CI先行指数も3か月後方移動平均は+0.23ポイント上昇し9か月連続の上昇、7か月後方移動平均は+0.65ポイント上昇し7か月連続の上昇です。従って、機械的に決められる内閣府の基調判断は「改善を示している」で据え置かれています。大きな景気判断の変更を生じさせるような統計結果ではないと私も受け止めています。このため、今日発表された10月の日銀の「金融経済月報」でも、景気判断は「緩やかに回復」で据え置かれています。
CI一致指数への寄与度を見ると、耐久消費財出荷指数と商業販売額(小売業)(前年同月比)と中小企業出荷指数(製造業)がプラスの寄与を、所定外労働時間指数(調査産業計)と投資財出荷指数(除輸送機械)がマイナスの寄与を、それぞれ示しています。所定外労働時間については、9月統計はやや怪しいんですが、今日発表の景気動向指数に組み込まれている8月統計は生産統計とも整合的ですし、ヘンな動きは示していません。ただし、気にかかるのは、引用した記事にもある通り、DI先行指数が前月の70.0から22.2と一気に低下したことです。DIですからウェイトがなく寄与度の概念は成立しませんが、長短金利差や東証株価指数(TOPIX)といった金融指標とともに新設住宅着工床面積といった実物指標も8月からマイナスに転じています。特に大きな根拠があるわけではありませんが、何か気持ち悪く感じてしまいます。

我が国の景気動向について、もしも現時点から近い将来で突発的に何かが生じるとすれば、景気動向指数をはじめとする統計に示された自律的な我が国経済からではなく、むしろ、シャットダウンに続く米国連邦政府の債務不履行が引き金になる可能性が高いと私は考えています。米国の議会動向は私なんぞにはどうしようもない外生変数なんですが、取りあえず、その意味で注視はしています。

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2013年10月 6日 (日)

先週読んだ小説の新刊書

この週末は広く報じられている米国連邦政府のシャットダウンの影響で米国雇用統計が出ず、何となく気が抜けた雰囲気が漂っています。実は、国際通貨基金 (IMF) の「世界経済見通し」 World Economic Outlook の分析編、第3章 Chapter 3: Dancing Together? Spillovers, Common Shocks, and the Role of Financial and Trade Linkages と第4章 Chapter 4: The Yin and Yang of Capital Flow Management: Balancing Capital Inflows with Capital Outflows がすでに先週初めに公表されていて、チラチラと目を通し始めているんですが、週末なのでこのブログには取り上げる気になりません。ということで、今日のエントリーは軽く先週読んだ小説の新刊、以下の2冊です。

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まず、綾辻行人『Another エピソードS』(角川書店) です。もちろん、私は本編というか、前作の『Another』も読んでいますが、続編が出版されるとは予想もしていませんでした。主人公ではないかもしれませんが、主要な登場人物は前編と同じで見崎鳴です。ミステリと言うか、ホラーと言うか、独特の小説です。出版社の特設サイトでは、本作を楽しむ3つのポイントとして、「孤高の異能少女・見崎鳴ふたたび!」、「今回のパートナーは、記憶を失った幽霊!?」、「エピソードSの『S』とは?」の3つが上げられていました。たぶん、前編を読んでおく方がいいと思います。前編の方が出来がいいです。

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次に、市川拓司『こんなにも優しい、世界の終わりかた』(小学館) です。私はこの作者の作品は『いま、会いにゆきます』しか読んだことがありませんが、基本的に同じジャンルと考えてよさそうです。すなわち、ファンタジー恋愛小説です。『いま、会いにゆきます』はタイム・トラベルのファンタジーでしたが、この『こんなにも優しい、世界の終わりかた』では世界が終末を迎えます。今までに例がないわけではなく、例えば、伊坂幸太郎『終末のフール』なんかがそうです。ともに旅を続け、自らを「チンピラ」と称する瑞木のキャラにも共感を呼びそうです。

ジェフリー・アーチャーによるクリフトン年代記『時のみぞ知る』『死もまた我等なり』や万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』も積読状態なので、なるべく早めに読みたいと考えています。

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2013年10月 5日 (土)

桧山選手の引退試合を勝利で飾る!

  HE
読  売000300000 383
阪  神00000004x 441

今季甲子園最終戦、もちろん、巨人とも最終戦で、藤浪投手の先発、そして何よりも、桧山選手の引退試合に勝利です。来週に横浜での最終戦を残していますが、ほぼレギュラー・シーズンは終わったような雰囲気です。あとはポストシーズンの試合試合を残すのみです。

桧山選手の挨拶にあったように、日本一目指して、
がんばれタイガース!

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アセモグル & ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』とジンガレス『人びとのための資本主義』ほか

今週読んだ学術書や専門書はアセモグル & ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』上下 (早川書房) とルイジ・ジンガレス『人びとのための資本主義』(NTT出版) と倉重篤郎『小泉政権 1980日』上下 (行研) です。延べで数えると5冊だったりします。

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まず、アセモグル & ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』上下 (早川書房) です。著者のアセモグル教授は新進気鋭のMITのエコノミスト、ノーベル経済学賞よりも難しいと言われるジョン・ベイツ・クラーク・メダルの受賞者であり、ロビンソン教授はハーバードの政治学教授です。本書の論旨は極めて明快です。すなわち、包括的 inclusive な政治的・経済的制度の下では経済成長が実現されて国民は豊かになる一方で、収奪的 extractive な制度の下では経済成長は実現されない、という制度決定論です。ただし、制度と経済的な成果の間には何らかのインタラクティブな作用を認め、マルクス主義的な単純な唯物論ではありません。そして、まったく敷衍されていないので私の直感的な理解ながら、包括的とは制度の決定をはじめとする政治・経済への参加が多くのステークホルダーによってなされることであり、収奪的な制度はその逆です。ですから、政治的な民主主義と経済的な市場による資源配分の重要性がインプリシットに強調されています。ただし、悲しいかな、この制度をどのように政策的に創り上げるか、という点についてはまだ研究は進んでいません。すなわち、本書の表現を借りれば、産業革命はイングランドで始まったのであり、なぜペルーではなかったのか、ということについては完全な解明が出来ているわけではありません。私がいつも疑問に思っている点、すなわち、政治的な民主主義は自然人単位で、すなわち、1人1票で評価されますが、経済的には自然人単位ではなく経済効率単位で、すなわち、市場における購買力の大きさで評価されますが、この点は少なくとも同一ではないと私は理解しているところ、本書では必ずしも私の疑問には答えてくれていません。また、最後の明治学院大学稲葉教授による解説では、本書は経済史というよりも開発経済学の書として扱われていて、このブログでも紹介した最近の開発経済学の優れた成果、コリアーの一連の著書、バナジー/デュフロ『貧乏人の経済学』、イースタリーの一連の著書、サックスの本などと並べて評されていますが、やや疑問が残ります。本書は狭い範囲で限定を付すことなく、より総合的な経済書として評価すべきです。いずれにせよ、極めて水準の高い労作です。多くのメディアで書評が取り上げられており、今年の経済書のベストテンに入ることは間違いなく、読書人としては読んでおくべきと考えます。

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次に、ルイジ・ジンガレス『人びとのための資本主義』(NTT出版) です。この著者は私は知りませんでしたが、イタリア出身の米国シカゴ大学教授だそうです。そして、これも『国家はなぜ衰退するのか』に勝るとも劣らないとても優れた秀作です。リーマン・ショック後の米国をはじめとする資本主義の弱点について書かれた書物としては、私自身はクリントン政権で労働長官を勤めたライシュ教授の『暴走する資本主義』にとても共感したんですが、本書はそれ以上です。クローニー資本主義の弊害、政府をキャプチャして補助金や有利な制度変更を得たり、probusiness でありながら antimarket というか、promarket ではないシステムが作り上げられていくことに対して本書は危機感を表明しています。それに対しては、競争条件の整備や場合によってはロビー活動の制限などの規制の導入も視野に入れて、さまざまな市場論、経済学を展開しています。規制については直感的ながらシンプルな規制を推奨しています。もちろん、こういった promarket な政策に決め手があるハズもなく、著者もやや分裂気味の議論を展開している場合もあります。第2部の9章から10章にかけては、大学生に対する奨学金に競争を取り入れるという右派的な見方を示したり、所得の再分配には反対する姿勢を明らかにする一方で、倫理面を重視するリベラル的な方向性を打ち出したりしています。教育の公共財的な側面を見逃しているというか、市場の失敗の原因となる情報の非対称性や外部効果については認識されているものの、議論の展開の中で公共財という概念が極めて希薄な気がします。従って、あらゆる政府の補助制度を排除するような勢いで論旨が展開されます。また、米国の制度や考え方を中心に議論を進めているので、やや日本人には分かりにくい点もあるかと思いますが、これらを差し引いても、今年の経済書ベストテンに入る可能性も十分あります。先の『国家はなぜ衰退するのか』とともに読んでおくべき本といえます。

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最後に、倉重篤郎『小泉政権 1980日』上下 (行研) です。著者は毎日新聞のジャーナリストです。最近何年かの政権を見ていると、現在の安倍内閣が長期政権の可能性を示しているものの、それを別にすれば小泉政権は最後の長期政権であり、それだけに独自の政策を強力に推し進めた内閣と言えます。エコノミストの目から見て、経済財政諮問会議をツールとして使いこなし、郵政民営化という極めて反対意見の多かった改革を成し遂げました。私も割合と近くからこの内閣にお仕えして、とても印象に残った政策運営でした。やや懐かしく感じられるのは、私が年を取ったせいかもしれません。

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2013年10月 4日 (金)

海外情報からアジア開発銀行の経済見通しと米国財務省の連邦政府債務不履行のマクロ経済への影響のリポート

今夜も遅くなりましたので、ごく簡単に、このブログの特徴のひとつである海外情報を紹介したいと思います。

まず第1に、やや旧聞に属する話題ですが、一昨日、2013年10月2日にアジア開発銀行 (ADB) から「アジア開発見通し2013改定」 Asian Development Outlook 2013 Update が公表されています。pdf ファイルの全文リポートもアップロードされています。副題は Governance and Public Service Delivery となっています。アジア新興国・途上国の成長率見通しは、4月時点から2013年、2014年ともにやや下方修正されています。下の画像はアジア開発銀行のサイトから引用しています。クリックすると別タブで詳細な成長率見通しの pdf ファイルが開きます。

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アジアの新興国・途上国の全体では、2012年の成長率の実績+6.1%に対して、4月時点の見通しでは2013年度は+6.6%と2012年実績を+0.5%ポイント上回ると見込まれていましたが、今回の改定で2013年は+6.0%にとどまると下方修正されています。2014年についても4月時点の+6.7%から今回は+6.2%に下方修正されています。特に、中国とインドについては過去10年のような高成長よりかなり低い成長率となる "Such growth is much more tepid than the enviable rates both countries enjoyed over the past decade" と指摘しています。中国については、低成長は長期的な構造改革を優先したコストである "Slower growth in the PRC is the price of structural reform for the long term" と分析しています。しかし、これら中国とインドの2大新興国の低成長はアジアの経済成長を鈍化させるものの大きな障害にはならない "Slower growth in the giants hampers but does not hobble growth across Asia" として、アジア経済のいっそうの悪化は避けられると結論しています。

次に第2に、昨日10月3日、米国財務省から債務上限の瀬戸際政策に関するマクロ経済への影響に関するリポート The Potential Macroeconomic Effect of Debt Ceiling Brinkmanship が発表されています。タイトルはほぼ直訳したんですが、意味としては米国の連邦政府が債務不履行に陥った影響をいくつか並べ立てています。6ページほどの簡潔なリポートですが、米国財務省のサイトからサマリーを引用すると以下の通りです。

Report on Macroeconomic Effect of Debt Ceiling Brinkmanship
Today, the U.S. Department of the Treasury released a report on the potential macroeconomic effects of debt ceiling brinksmanship. The report states that a default would be unprecedented and has the potential to be catastrophic: credit markets could freeze, the value of the dollar could plummet, and U.S. interest rates could skyrocket, potentially resulting in a financial crisis and recession that could echo the events of 2008 or worse. By looking at the disruptions to financial markets that ensued in 2011, the report examines a variety of economic indicators – including consumer and small business confidence, stock price volatility, credit risk spreads, and mortgage spreads - through which a similar episode might harm the economic expansion. The report also notes that if the current government shutdown is protracted, it could make the U.S. economy even more susceptible to the adverse effects from a debt ceiling impasse than it was prior to the shutdown.

太字にして下線を付した部分が肝なんだと思いますが、その部分の最後の"the events of 2008" というのは、9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻から始まった一連の大ショックを指していることは言うまでもありません。また、2011年年央の債務上限引上げの議論が紛糾した際には、2011年の4-6月期と7-9月期の間で家計の資産が2.4兆ドル失われた "Between the second and third quarter of 2011, household wealth fell $2.4 trillion." と指摘していたりします。連邦政府のシャットダウンのため、本日発表予定だった米国の雇用統計は出ませんでした。いつまで続くんでしょうか?

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2013年10月 3日 (木)

楽天リサーチのアンケートに見るハロウィンの楽しみ方やいかに?

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10月に入って月末のハロウィンが気になり始めたところ、一昨日の10月2日、楽天リサーチから「コスプレとハロウィンに関する調査」が発表されています。我が家の子供達が幼稚園から小学校の低学年くらいまでは、いろいろとハロウィンのイベントに参加したりしましたので、懐かしく感じつつ簡単に紹介したいと思います。まず、楽天リサーチのサイトから調査結果概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果概要
  • 子どもがいる方の40.5%が、コスプレや仮装の経験あり
  • 子どもがいる方の約半数が、コスプレや仮装に興味あり
  • これから親子で挑戦したい季節の行事は、「十五夜」、「ハロウィン」、「七夕」
  • ハロウィンの楽しみ方は、1位「グルメ」、2位「テーマパーク」、3位「パーティー」

次に、アンケートの調査結果の紹介に入る前に、我が家のハロウィンについては、10年余り前、子供達が幼稚園くらいだったジャカルタ在住のころはアパートのイベントに参加していました。アパートといっても、A棟とB棟合わせて200世帯くらいが入っていて、日本人学校やインターナショナル・スクールに近いというのが売り物のアパートでしたから、そのうちの過半の120-30世帯くらいは日本人家族だったりしました。ハロウィンのイベントに参加する家はかぼちゃのワッペンが配布されるのでドアに貼り付け、子供達は仮装してアパート内のワッペンを貼った家を回って、"Trick or Treat?" と言いながらお菓子をせしめるという標準的なイベントでした。参加する家は子供達がお菓子をもらいに行く一方で、やってくる子供達に渡すお菓子を用意しますので、give and take のイベントでした。アパート内だけですから親も安心で、仲良しの子供達が集団でアパート内を駆け巡っていました。それにしても、イスラム教徒が80パーセントを占めるジャカルタで、かなり仏教徒が多いと見込まれる日本人が、キリスト教とは関係ないながら欧米系の年中行事であるハロウィンのイベントをやっていたんですから、かなり不思議な気がします。日本に戻って少しして青山に引っ越してからは、青山通り商店街のイベントに参加していました。AVEX ビルの前に仮装した子供達が集合して参加店舗の地図をもらい、"Trick or Treat?" と言いながらお菓子をせしめるのは同じなんですが、お店からお菓子をもらうだけのイベントでした。私は下の子に付いて回って、リーマン・ショックを経て、もらえるお菓子の量と質が大きく落ちたのを見て愕然とした記憶があります。

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ということで、前置きが長くなりましたが、ようやく本題のアンケート結果に入って、まず、図表は引用しませんが、今までにコスプレや仮装をしたことがあるかとの問に対しては、過去に一度でも仮装をしたことがあるとの回答は、子供がいる方で40.5%、子供がいない方で29.2%と、11.3%ポイントの差が出ています。我が家も私自身は仮装したことはないものの、ジャカルタでも青山でも仮装はイベント参加条件のひとつでしたので、仮装の経験はあります。続いて、親子でいっしょに楽しんできた季節の行事とこれから親子で挑戦したい季節の行事に関する問の回答が上の表の通りです。ハロウィンはクリスマスやお正月あるいは節分などにはかなわないものの、こどもの日や七夕にかなり近い認知度を有していると言えます。

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では、どのようにハロウィンを楽しむか、というハロウィンの楽しみ方に関する回答が上のグラフの通りです。見れば分かりますが、1位「グルメ」、2位「テーマパーク」、3位「パーティー」となっています。我が家がジャカルタや青山で楽しんでいたようなイベント、すなわち、子供達が "Trick or Treat?" と叫んで駆け回るようなイベントが、選択肢にすらないのは日本独特のアンケートだという気がします。

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2013年10月 2日 (水)

クライマックス・シリーズ前哨戦は広島にボロ負け!

  HE
阪  神000002000 2100
広  島02104000x 7110

スタンリッジ投手と松田投手が打ち込まれた一方で、阪神打線は広島の11安打とほぼ互角の10安打を放ちながら、ボロ負けでした。クライマックス・シリーズの前哨戦にもなぞらえることも可能な広島最終戦だったんですが、これがポストシーズンで再現されないことを願っています。昨夜の打棒はまぐれだったようです。

ポストシーズンでの勝利目指して、
がんばれタイガース!

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今年のノーベル経済学賞の栄冠や誰に?

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広く報じられている通り、10月7日の医学・生理学賞から始まって、来週はノーベル賞の発表ウィークとなります。もっとも、やや格落ちと見なされることのある経済学賞の発表はさ来週になります。発表予定は以下の通りです。ただし、ノーベル財団のサイトではまだ文学賞の発表日が明らかにされていません。通例に従って、空いている10月10日と想定しておきます。

10月7日
医学・生理学賞
10月8日
物理学賞
10月9日
化学賞
10月10日
文学賞 (仮置き)
10月11日
平和賞
10月14日
経済学賞

なお、例年通り、9月下旬の25日にトムソン・ロイターから「引用栄誉賞」が科学分野に限って発表されています。すなわち、平和賞と文学賞は除かれています。この「引用栄誉賞」はノーベル賞受賞者との相関も高いとされており、今年は医学生理学賞で東京工業大学の細野秀雄教授と東京大学の水島昇教授、物理学賞で東京工業大学の大隅良典教授がそれぞれ受賞しています。おのおのの先生方の専門分野は私には理解できませんのでパスします。なお、当然ながら、社会科学という科学分野の代表たる経済学賞については、以下の3分野の8氏が「引用栄誉賞」を受賞しています。

功績氏名所属
or their advancement of empirical microeconomics

実証的ミクロ経済学への貢献
Joshua D. AngristFord Professor of Economics, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA, USA
David E. CardClass of 1950 Professor of Economics, University of California, Berkeley, Berkeley, CA, USA
Alan B. KruegerBendheim Professor of Economics, Princeton University, Princeton, NJ, USA
for their contributions to economic time-series, including modeling, testing and forecasting

経済学におけるモデリング・計測・予測などに関する貢献
Sir David F. HendryProfessor of Economics, University of Oxford, Oxford, England, UK
M. Hashem PesaranJohn Elliot Distinguished Chair in Economics & Professor of Economics, and Emeritus Professor of Economics & Fellow of Trinity College, Cambridge, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA and University of Cambridge, Cambridge, England, UK
Peter C.B. PhillipsSterling Professor of Economics and Professor of Statistics, Yale University, New Haven, CT, USA
for extending economic theories of regulation

規制に関する経済理論の拡張
Sam PeltzmanRalph and Dorothy Keller Distinguished Service Professor of Economics Emeritus, University of Chicago Booth School of Business, Chicago, IL, USA
Richard A. PosnerJudge, United States Seventh Circuit Court of Appeals, and Senior Lecturer, University of Chicago Law School, Chicago, IL, USA

私も地方大学から帰京して学術論文を読んだり書いたりしないサラリーマンに戻って3年余りが経過して、かなり知らない分野が増えました。上のテーブルにある3つの分野の中では真ん中の「経済学におけるモデリング・計測・予測などに関する貢献」がもっとも私の専門分野に近い気がしますが、この分野の中でも真ん中の Pesaran 教授のパネル単位根に関する論文を読んだだけで、後はすべて知らない先生方だったりします。私の予想する今年のノーベル経済学賞としては、リーマン・ショックから5年を経て金融論の分野から John B. Taylor 教授を上げておきたいと思います。

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2013年10月 1日 (火)

久々に打線がつながって中日最終戦は快勝!

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中  日003000001 4111
阪  神01220210x 890

私がよく認識していない間にクライマックス・シリーズの出場が決まっていて、しばらく野球観戦から遠ざかっていたところ、今夜は久し振りにテレビ観戦しました。中日との最終戦は打線がつながって快勝でした。私が7時ころに帰宅した際には、すでに甲子園のマウンド上に先発の能見投手の姿はなく、乱戦模様となっていましたが、打線は先月とは打って変わって力強く打ち勝つことが出来ました。よく「ツキが変わる」といいますが、このままの調子でポストシーズンの試合になだれ込んで行っていただきたいものです。

ポストシーズンでの勝利目指して、
がんばれタイガース!

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順調な企業マインドの改善を示す日銀短観、ほかに雇用統計も!

本日、日銀から9月調査の日銀短観が発表されました。統計のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは前回調査から+8ポイント上昇して+12を記録しました。3四半期連続の改善で、2008年9月のリーマン・ショック前の水準を回復しています。ただし、2013年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比+5.1%増と、前回調査の+5.5%増から下方修正されました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

日銀短観、大企業・製造業DIプラス12 金融危機前回復
日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の収益動向を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス12となり6月の前回調査に比べ8ポイント上昇した。改善は3四半期連続で、リーマン・ショック前の2007年12月調査以来の高水準になった。景気が回復経路をたどっている現状を示す結果で、来春の消費税引き上げに向けた環境が整いつつある。
日銀の金融緩和で円高修正が続いたことで、製造業を中心に輸出増への期待が広がっている。消費増税前の駆け込み需要で個人消費や卸売り・小売りも好調。東日本大震災からの復興需要などに伴う公共投資の拡大から建設関連の経営マインドも改善している。
大企業製造業の業況判断DIはQUICKが集計した事前の市場予想(平均値でプラス7)を大幅に上回った。判断DIそのものがプラスになるのは2四半期連続で、業況が「良い」と回答する企業が「悪い」と答える企業を上回る状態が続いている。中堅・中小企業も含めた全規模・全産業の業況判断も前期比4ポイント上昇のプラス2となり、07年12月以来のプラスに浮上した。
市場が注目する大企業製造業の13年度の想定為替レートは1ドル=94円45銭で、前回調査(91円20銭)に比べて円安・ドル高方向に修正した。足元の円相場の実勢より4円程度の円高水準を見込んでおり、今の為替水準が続けば、今年度の業績はさらに上方修正となる余地がある。
業況判断DIを大企業で業種別にみると、28業種中19業種が改善した。自動車が前期比11ポイント上昇のプラス27と3四半期連続で伸びたほか、電気機械も13ポイント上昇のプラス9となった。木材・木製品が9ポイント上昇のプラス48と1990年以来の高さになったほか、窯業・土石製品も14ポイント上昇のプラス29と1991年以来の水準になった。公共事業の拡大や復興需要などから、関連産業の好調さが目立つ。
非製造業は大企業のDIが前期比2ポイント上昇のプラス14となり、3四半期連続で改善した。水準は07年12月以来の高さだった。好調な個人消費を背景に、小売りが2ポイント上昇のプラス8と2四半期ぶりに改善に転じたほか、卸売りも5ポイント上昇のプラス11に伸びた。建設が6ポイント上昇のプラス20と1992年以来の高さとなった。ただ、不動産は前期比1ポイント低下のプラス24と改善が足踏みした。
設備投資は小幅の下方修正となった。大企業全産業の13年度の設備投資計画は前年度比5.1%増となり、前回調査に比べて0.3ポイントの下方修正となった。市場予想の平均値(6.0%増)を下回った。うち大企業製造業の設備投資計画は前年度比6.6%増と0.1ポイントの下方修正になった。ただ、全規模全産業ベースの設備投資は3.3%増と1.2ポイントの上方修正になった。

ということで、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。このブログのローカル・ルールで、昨年10-12月期を直近の景気の谷と仮置きしており、ほかのグラフについても以下同文です。

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3四半期連続で企業の業況感はかなり大幅な改善を示しました。中小企業こそまだ製造業・非製造業ともに水面下でマイナスのままですが、少なくとも変化の方向であるモメンタムとしては、業種や企業規模をくわしく見てもかなり幅広い改善が観察されます。背景を見ると、円相場は円高是正が進んで1ドル100円近い水準で推移し、海外経済も、現在進行形の米国政府の暫定予算問題を別にすれば、米国経済は堅調であり、欧州のソブリン問題も落ち着いており、中国経済もようやく低迷を脱しつつあり、海外要因で我が国経済が大きく悪化する兆しはありません。国内でも、消費が底堅く推移し、設備投資も底入れに向かう中で、公共事業や住宅投資の増加も見られることから、業種別・規模別に見ても幅広い企業マインドの改善に結びついています。グラフなどはお示ししませんが、売上や収益の計画についても、前回調査からおおむね上方修正されています。安倍総理が来年4月からの消費税率引上げを表明したのも当然と考えるべきです。ただし、先行きの景況感のモメンタムとしては今年の年央がピークだった可能性はあると受け止めています。もちろん、消費税率引上げ直後を別にすれば、先行き4-5四半期、すなわち、来年いっぱいくらいで大きく企業マインドが後退する可能性は低く、業況感は引き続き高い水準を維持することと予想していますが、昨年12月調査の日銀短観の大企業製造業の業況判断DIが▲12でしたから、3四半期で+4ポイント、+12ポイント、+8ポイントと大きな改善が続いて来ましたが、改善幅という意味でモメンタムは停滞すると覚悟すべきです。いつまでも大幅改善が続くハズもありません。

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上のグラフは、生産要素需要、すなわち、設備と雇用に対する判断DIをプロットしています。設備判断DIは製造業のみを対象としていますが、雇用判断DIは非製造業も含む全産業です。いずれも、プラスが過剰感を、マイナスが不足感をそれぞれ示しています。設備については順調に過剰感が払拭され、雇用については不足感が広がりつつあります。ただし、製造業で設備も雇用も過剰感がまだ根強く残っており、設備投資の本格的な増加や雇用の増加から賃金の上昇については、まだ今しばらく時間がかかる可能性があると受け止めています。これらの要素需要に基づく設備投資や賃金上昇は、いわば景気拡大に少し遅れるラグのある2段目の推進力ですから、今後とも注視する必要があります。

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今年度2013年度の設備投資計画については、ヘッドラインとなる大企業全産業のグラフが上の通りです。6月調査の+5.5%増から、9月調査では+5.1%増に下方修正されました。ただし、全規模全産業では前回調査の+2.0%増から+3.3%増に上方修正されています。新しい年度に入って、年央に達すれば売上や収益などの実績が月単位や四半期単位でいくつか明らかとなり、年度計画も修正される時期なんですが、少なくとも、大企業の設備投資計画については上のグラフにも示された通り、9月調査時点では下方修正される統計としてのクセがありますから、懸念するには及ばないと私は受け止めています。リーマン・ショック前の2007年度には達しない可能性が高いものの、昨年度に近い伸びが実現される可能性はあるものと予想しています。

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デフレ脱却との関係で私が注目した販売と仕入の価格判断DIは上のグラフの通りです。ですが、何とも微妙なところです。従来から、仕入れ価格の上昇は販売価格の上昇よりも受容されており、価格判断DIが大きく乖離するのは仕方ないんですが、足元から目先の先行きに対して、それほど価格判断DIが変化していません。販売価格DIがゼロに近づいているので、自社製品の販売価格の値上げを受け入れてもらえる余地がより大きくなって、デフレ脱却が近づいたと見ることが出来ますし、他方、グラフそのままに先行きの販売価格予想が足踏みしていると考えることも出来ます。私はどちらかといえば前者のデフレ脱却が近づいたという見方をしています。

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最後に、上の画像は雇用統計のグラフを並べています。上から順に、総務省統計局の労働力調査から失業率、厚生労働省の一般職業紹介状況から有効求人倍率と新規求人数、同じく厚生労働省の毎月勤労統計から製造業の所定外労働時間指数と給与指数の前年同月比上昇率となっています。最後の給与指数以外はすべて季節調整済みの系列です。失業率の上昇は景気回復の初期に見られる現象で、新たな職探しや転職に向けて一時的に離職したケースが増えたためと考えられます。有効求人倍率は順調に改善しており、8月には0.95に達しました。新規求人数はやや減少しましたが、こういったジグザグした動きを伴うクセのある統計です。他方、私が理解できないのが製造業の所定外労働時間で、7-8月と2か月続けて鉱工業生産指数と逆の動きを示しました。増産しているのに残業が減ったり、逆に、減産しているのに残業が増えたり、ということです。理由は不明です。季節調整の要因かもしれません。最後に、賃金は一向に上がる気配を見せません。もう少しラグが長いのかもしれません。

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