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2013年10月25日 (金)

消費者物価と企業向けサービス価格はともに上昇率がプラスを続ける!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス価格指数 (CSPI) が、それぞれ発表されています。いずれも9月の統計です。消費者物価は生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率が+0.7%と4か月連続でプラスを記録し、食料とエネルギーを除くコアコアCPIも久し振りにマイナスを脱しました。また、企業向けサービス物価の上昇率も+0.7%となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月全国CPI、4カ月連続上昇 除く食料・エネルギーもマイナス脱却
総務省が25日朝発表した9月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合(コア指数)が前年同月比0.7%上昇の100.5となり、4カ月連続で上昇した。4カ月連続でのプラスは07年10月から08年12月にかけて15カ月連続で上昇して以来、4年9カ月ぶり。ガソリンや電気代といったエネルギーが引き続き指数を押し上げたほか、パソコンなどの教養娯楽用耐久財がプラスとなった。
教養娯楽用耐久財は前年同月比0.4%上昇と2カ月連続のプラスだった。8月に0.1%上昇と11年7カ月ぶりに上昇に転じていたが、プラス幅が拡大した。新製品効果のあったプリンターが83.5%上がったほか、パソコンもデスクトップ型が24.7%、ノート型が12.4%上がった。消費者の購買意欲が回復しているとみられる。
物価上昇がエネルギー以外にも波及してきたことから、食料とエネルギーを除く総合(コアコア指数)は前年同月比横ばいとなり、08年12月以来4年9カ月ぶりにマイナス圏から脱却した。
総務省は10月の全国のコアコア指数について「先行指標とされる東京都区部で低下幅が縮小していることから、9月の横ばいからそれほど変わらない」とみている。
同時に発表した10月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が0.3%上昇の99.7、食料・エネルギーを除く総合は0.2%下落の98.1だった。
9月の企業向けサービス価格、5カ月連続上昇 運輸が寄与
日銀が25日発表した9月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.2と、前年同月比で0.7%上昇した。プラスは5カ月連続。5カ月連続での上昇は07年1月から08年9月まで21カ月連続以来となる。外国為替相場がやや円安方向で推移したことで、外貨建てで取引される外航貨物輸送や貨物用船料など運輸が押し上げに影響した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。
業種別にみると、運輸は前年同月比3.0%上昇した。為替相場が円安傾向に振れたほか、中国向けの鉄鉱石や穀物の荷動きが活発となり、スポット市況が大きく上昇した。リース・レンタルは1.4%上昇。前年に落ち込んだ反動が出た。
一方、広告は下落した。テレビ広告がプラス幅を縮小したほか、電気機械などの出稿が減り新聞広告はマイナス幅を拡大した。
137品目のうち、前年比で上昇した品目は53、下落した品目は47と上昇品目が下落品目を上回る傾向が続く。日銀は「企業のサービス関連支出に明るさが出ている」と指摘。10月の価格改定の影響に注目している。

いつもの通り、いずれもよくまとまった記事でした。続いて、下のグラフは生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの全国と東京都区部の前年同月比上昇率と食料とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI全国の上昇率を折れ線グラフでプロットし、全国コアCPIの上昇率に対する寄与度をエネルギーと食料とその他に分けて積上げ棒グラフで示してあります。ただし、いつものお断りですが、上昇率や寄与度は公表されている端数を持たない指数から当方で算出しており。端数を持った指数から計算される統計局公表値と異なる場合があります。端数を持った指数は統計局外の私にはアベイラブルではありませんのでご容赦下さい。

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コアCPIの前年同月比はすっかりプラスが定着した感があり、コアコアCPIもようやく水面下からゼロまで上昇率を引き上げて来ました。もっとも、従来より、今年年央から来年早々までは消費者物価はプラスを確保するとの見通しに沿う動きであり、特にサプライズはありません。その後、来年2014年4月の消費税率引上げに伴って、それなりの経済対策は実施されるものの、一時的にせよ需給ギャップのマイナス幅が拡大する可能性があり、そうだと仮定すれば、消費税率の影響を除いたCPI上昇率は低下する可能性が残されています。現在の日銀のインフレ目標は2年後のさ来年春のCPI+2%であり、これに達する可能性も十分ある一方で、達しない可能性ももちろんあります。ただし、インフレ目標の+2%とはそれなりの幅を持って考えるべきであり、±1%ポイントくらいの上下の許容範囲があるとすれば、CPI上昇率がその下限である+1%に達する可能性は大いにあると私は見込んでいます。引用した記事にもあるとおり、価格低下が大きいテレビを含む教養娯楽耐久財がプラスに転じていますので、単なる為替とエネルギーに起因するだけの相対価格の変化から一般物価水準の上昇に転じつつある段階かもしれないと受け止めています。

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企業向けサービス価格指数 (CSPI) の前年同月比も今年2013年5月にプラスに転じてから5か月連続でプラス、変動の大きい国際運輸を除く総合で定義されるコアCSPIも2か月連続でプラスですから、需給ギャップに敏感なCSPIもプラスが定着しつつある可能性を示唆しています。9月統計では広告がマイナスとなりましたが、幅広い品目でプラスを記録しており、10月の年度半ばでの価格改定が注目されているのは引用した記事の通りです。

今年年央くらいからの物価上昇は、為替とエネルギーの影響による相対価格の変化から、徐々に日銀のリフレ政策に起因する一般物価水準の上昇に変わって来ている可能性があります。さ来年2015年春のCPI上昇率+2%のインフレ目標の達成は必ずしも楽観できませんが、少なくとも従来のカギカッコ付きの「日銀理論」に基づく金融政策を脱して、経済活動や国民生活にプラスの方向に変わったことは事実であろうと私は考えています。

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