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2013年10月30日 (水)

鉱工業生産統計は景気の拡大を示しているか?

本日、経済産業省から9月の鉱工業生産指数が発表されました。季節調整済みの前月比で+1.5%の増産となりました。日経QUICKによれば市場の事前コンセンサスは+1.8%増でしたので、この中央値をやや下回ったものの、ほぼ予想レンジの範囲内でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産指数、9月1.5%上昇 基調判断を上方修正
経済産業省が30日発表した9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は98.5だった。12年5月(98.8)以来の高水準で、前月比では1.5%上昇した。プラスは2カ月ぶり。自動車販売の好調に加え、14年1月に始まる少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)を背景に金融機関のシステム改修の活発化したのが寄与した。
経産省は生産の回復傾向が続いていることから基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きで推移している」へと6カ月ぶりに上方修正した。
業種別でみると15業種のうち9業種が上昇した。軽自動車を含む自動車の国内販売が伸びたことを受けて、輸送機械工業が前月比3.9%上昇。情報通信機械工業はNISA導入を前に金融機関のシステム改修が活発化したため4.9%増、電子部品・デバイス工業もスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)向け部品が好調で4.7%増となった。
出荷指数は1.6%上昇の97.0。生産と同じく輸送機械工業や情報通信機械工業が伸びた。出荷増を受けて在庫指数は0.2%低下の108.3、在庫率指数は2.0%低下の110.2だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは10月が4.7%上昇。火力発電用部品を含む「はん用・生産用・業務用機械工業」と情報通信機械工業で、9月の生産分の一部が10月にずれ込む見通しという。11月は、はん用・生産用・業務用機械工業と情報通信機械工業の反動減で1.2%低下する見込みだ。
7-9月期の四半期ベースは前期比1.8%上昇の97.8で、3四半期連続でプラスとなった。

いつもの通り、よくまとまった記事でした。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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市場の事前コンセンサスをやや下回り、また、ここ数か月の動きもジグザグを繰り返していますが、基本的に生産は上向き基調であり、統計作成官庁である経済産業省が基調判断を半ノッチほど上方修正した気持ちも理解できます。また、製造工業生産予測調査においても10月+4.7%増の後、11月▲1.2%減と、引き続きジグザグした動きをまじえつつ回復ないし拡大の方向にあると考えてよさそうです。ただし、上のグラフを見ても明らかな通り、付加価値ベースの生産はリーマン・ショック前はおろか、昨年のミニ・リセッション前の水準すら回復していません。輸送機械を除く資本財出荷も同様です。昨日取り上げた雇用や商業販売統計のうちの小売販売などとの大きな違いのひとつです。ただし、先行きの製造工業生産予測調査の10月で高い伸びを示しているのが、情報通信機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業など、我が国の比較優位のある産業ですから、今後の期待はさらに大きく持てそうな気もします。

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次に、四半期をひとつ終えましたので、在庫循環図を書いてみました。日銀方式と異なり、政府方式ですので、縦軸が出荷で横軸が在庫となっており、景気局面によって時計回りで進みます。どうでもいいことですが、日銀方式では縦軸と横軸が逆で、反時計回りに進みます。それはさて起き、緑色の矢印で示された2008年1-3月期から始まって、山吹色の矢印の2013年7-9月期に至り、第3象限の45度線あたりでクネクネしていた在庫-出荷ラインも、第2象限に進みました。内閣府のサイトにある「鉱工業の在庫循環図と概念図」なんかからすれば、意図せざる在庫減の段階を終えて、いわゆる在庫積増し局面に入ったということになります。単純に解釈すれば、景気循環の後半の成熟期に入った可能性が示唆されています。

昨日の雇用統計といい、今日の生産統計も、現在の順調な景気の回復ないし拡大を示していると私は受け止めています。しかし、生産のさらなる拡大のためには輸出の本格的な増加を待たねばならない可能性が高いと考えるべきですし、もちろん、来年2014年4月からの消費税率引上げ魔の駆込み需要の影響も注視する必要があります。

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