ジェフリー・アーチャー「クリフトン年代記」(新潮文庫)、ほか
「クリフトン年代記」という括りですが、上の画像に見る通り、現時点では『時のみぞ知る』上下と『死もまた我等なり』上下の4冊の文庫本で出版されています。もちろん、まだ続きがあるようです。アーチャーの年代記としては『ケインとアベル』とその続編の『ロスノフスキ家の娘』が有名ですが、後者は絶版になっています。また、『大統領に知らせますか?』も実は続編で、この作品の大統領とは旧姓でフロレンティナ・ロスノフスキです。それから、ややクリフトン年代記に近いサクセス・ストーリーの作品としては『チェルシー・テラスへの道』も上げることが出来ます。
ということで、戦間期の英国ブリストルを舞台に『時のみぞ知る』の物語が始まり、『死もまた我等なり』では第2次世界大戦が終了します。港湾労働者の倅ハリー・クリフトンがグラマー・スクールを経てオックスフォード大学に入学し、第2次世界大戦で米軍に従軍した後、戦後、英国に戻り作家になるまでを綿密にたどります。『チェルシー・テラスへの道』のトレンザムに当たる敵役のヒューゴー・バリントンが早くも死んで、この先の展開が読めないんですが、第3巻の Best Kept Secret がすでに発売されており、ヒューゴーがオルガ・ペトロフスカに産ませた女の子を探したり、ハリーとエマの子セバスティアンがケンブリッジ大学に進んだりといった展開になるらしいです。
早くもジェフリー・アーチャーの最高傑作との呼び声も高く、私もそれに近い評価を下せるんではないかと期待しています。文庫本は図書館で借りることが多いんですが、この4冊はすべて買い求めました。オススメです。
誠についでながら、曽野綾子『人間にとって成熟とは何か』(幻冬舎新書) も図書館の予約の順番が回って来たので読みました。著者は80歳を超えており、この年代の人ですから仕方ないんですが、他人に対する批判と自分の自慢話でいっぱいのエッセイです。もっとも、評価できるのはカトリック信者らしく「神の目」から見た視点による論評を試みていることです。必ずしも成功しているとは言い難く、「神の目」と信じ込んだ自分の目からの批判に終始しているように見えなくもありませんが、かなり売れている本ですので読んでおくのも一案です。もちろん、読まなくても一向に人生の損失にはなりません。ラジオで誰かが言ってましたが、この本は読んだ結果で自分の行動を律するのではなく、他人の考え方や行動を批判する基準になり、他人に読ませたい本であるとの評価も成り立つかもしれません。この年代の女性作家らしく、AKB48に対する評価は厳しいものがあります。当然でしょうね。一昨日金曜日の朝日新聞の夕刊で見かけたフジモリ元ペルー大統領に対する何らかの評価を知りたかった気がします。まあ、その他の扱いですから悪しからず。
油井正一『ジャズ昭和史』(ディスクユニオン) というページ数ばかりが巨大な本を読んだ後で、今週は文庫本や新書のお手軽な本に偏った読書でした。
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