景気動向指数から見た我が国景気の現状やいかに?
本日、内閣府から8月の景気動向指数が発表されました。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は107.6と前月から▲0.1ポイントの下降を記録しています。また、CI先行指数も106.5と▲1.4ポイントの下降を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
8月の景気一致指数、2カ月ぶり低下 先行指数も
内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が0.1ポイント低下の107.6と2カ月ぶりに低下した。医療・福祉の分野で所定外労働時間が減少したことに加え、化学プラント向けの反応用機器や電力会社向けボイラーの生産が前月に大きく伸びていた反動で減少したことが響いた。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を前月までの「改善を示している」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.4ポイント低下の106.5だった。輸入物価の上昇などで消費者マインドが悪化傾向にあるほか、東証株価指数(TOPIX)が低下したことを反映し2カ月ぶりに低下した。内閣府は先行きについて「全体の動きがどうなるか注意深く見ていきたい」としている。
景気に数カ月遅れる遅行指数は横ばいの112.8だった。完全失業率が悪化する一方、企業の収益環境の改善を背景に法人税収入が増加した。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数が50.0、先行指数が22.2だった。
いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数とCI先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は2012年11月だったと仮置きしています。
CI一致指数は2か月振りの下降となったものの、3か月後方移動平均は+0.23ポイント上昇し9か月連続の上昇、7か月後方移動平均は+0.65ポイント上昇し7か月連続の上昇を記録しており、さらに、CI先行指数も3か月後方移動平均は+0.23ポイント上昇し9か月連続の上昇、7か月後方移動平均は+0.65ポイント上昇し7か月連続の上昇です。従って、機械的に決められる内閣府の基調判断は「改善を示している」で据え置かれています。大きな景気判断の変更を生じさせるような統計結果ではないと私も受け止めています。このため、今日発表された10月の日銀の「金融経済月報」でも、景気判断は「緩やかに回復」で据え置かれています。
CI一致指数への寄与度を見ると、耐久消費財出荷指数と商業販売額(小売業)(前年同月比)と中小企業出荷指数(製造業)がプラスの寄与を、所定外労働時間指数(調査産業計)と投資財出荷指数(除輸送機械)がマイナスの寄与を、それぞれ示しています。所定外労働時間については、9月統計はやや怪しいんですが、今日発表の景気動向指数に組み込まれている8月統計は生産統計とも整合的ですし、ヘンな動きは示していません。ただし、気にかかるのは、引用した記事にもある通り、DI先行指数が前月の70.0から22.2と一気に低下したことです。DIですからウェイトがなく寄与度の概念は成立しませんが、長短金利差や東証株価指数(TOPIX)といった金融指標とともに新設住宅着工床面積といった実物指標も8月からマイナスに転じています。特に大きな根拠があるわけではありませんが、何か気持ち悪く感じてしまいます。
我が国の景気動向について、もしも現時点から近い将来で突発的に何かが生じるとすれば、景気動向指数をはじめとする統計に示された自律的な我が国経済からではなく、むしろ、シャットダウンに続く米国連邦政府の債務不履行が引き金になる可能性が高いと私は考えています。米国の議会動向は私なんぞにはどうしようもない外生変数なんですが、取りあえず、その意味で注視はしています。
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