今年のノーベル経済学賞の栄冠や誰に?
広く報じられている通り、10月7日の医学・生理学賞から始まって、来週はノーベル賞の発表ウィークとなります。もっとも、やや格落ちと見なされることのある経済学賞の発表はさ来週になります。発表予定は以下の通りです。ただし、ノーベル財団のサイトではまだ文学賞の発表日が明らかにされていません。通例に従って、空いている10月10日と想定しておきます。
- 10月7日
- 医学・生理学賞
- 10月8日
- 物理学賞
- 10月9日
- 化学賞
- 10月10日
- 文学賞 (仮置き)
- 10月11日
- 平和賞
- 10月14日
- 経済学賞
なお、例年通り、9月下旬の25日にトムソン・ロイターから「引用栄誉賞」が科学分野に限って発表されています。すなわち、平和賞と文学賞は除かれています。この「引用栄誉賞」はノーベル賞受賞者との相関も高いとされており、今年は医学生理学賞で東京工業大学の細野秀雄教授と東京大学の水島昇教授、物理学賞で東京工業大学の大隅良典教授がそれぞれ受賞しています。おのおのの先生方の専門分野は私には理解できませんのでパスします。なお、当然ながら、社会科学という科学分野の代表たる経済学賞については、以下の3分野の8氏が「引用栄誉賞」を受賞しています。
功績 | 氏名 | 所属 |
or their advancement of empirical microeconomics 実証的ミクロ経済学への貢献 | Joshua D. Angrist | Ford Professor of Economics, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA, USA |
David E. Card | Class of 1950 Professor of Economics, University of California, Berkeley, Berkeley, CA, USA | |
Alan B. Krueger | Bendheim Professor of Economics, Princeton University, Princeton, NJ, USA | |
for their contributions to economic time-series, including modeling, testing and forecasting 経済学におけるモデリング・計測・予測などに関する貢献 | Sir David F. Hendry | Professor of Economics, University of Oxford, Oxford, England, UK |
M. Hashem Pesaran | John Elliot Distinguished Chair in Economics & Professor of Economics, and Emeritus Professor of Economics & Fellow of Trinity College, Cambridge, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA and University of Cambridge, Cambridge, England, UK | |
Peter C.B. Phillips | Sterling Professor of Economics and Professor of Statistics, Yale University, New Haven, CT, USA | |
for extending economic theories of regulation 規制に関する経済理論の拡張 | Sam Peltzman | Ralph and Dorothy Keller Distinguished Service Professor of Economics Emeritus, University of Chicago Booth School of Business, Chicago, IL, USA |
Richard A. Posner | Judge, United States Seventh Circuit Court of Appeals, and Senior Lecturer, University of Chicago Law School, Chicago, IL, USA |
私も地方大学から帰京して学術論文を読んだり書いたりしないサラリーマンに戻って3年余りが経過して、かなり知らない分野が増えました。上のテーブルにある3つの分野の中では真ん中の「経済学におけるモデリング・計測・予測などに関する貢献」がもっとも私の専門分野に近い気がしますが、この分野の中でも真ん中の Pesaran 教授のパネル単位根に関する論文を読んだだけで、後はすべて知らない先生方だったりします。私の予想する今年のノーベル経済学賞としては、リーマン・ショックから5年を経て金融論の分野から John B. Taylor 教授を上げておきたいと思います。
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