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2013年11月21日 (木)

国際エネルギー機関 (IEA)「世界エネルギー見通し」World Energy Outlook 2013 にみる再生可能エネルギーの動向やいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、先週の11月12日に国際エネルギー機関 (IEA) から「世界エネルギー見通し」 World Energy Outlook 2013 が公表されています。国際機関のリポートに着目するのはこのブログの特徴のひとつながら、全文リポートのフリー・ダウンロードが2-3年後になるなど、ほかの諸事情もあって、遅れて取り上げることになりました。今夜のエントリーでは再生可能エネルギーの動向をはじめとして、二酸化炭素排出などの地球環境問題を中心に、プレス発表資料から、いくつか図表を引用して簡単に紹介しておきたいと思います。

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まず、2035年における1次エネルギーの需要予想は上の通りです。プレス発表資料から p.3 Primary energy demand, 2035 を引用しています。20年以上も先のお話ですが、中国が圧倒的なシェアを示し、インドも米国や欧州に匹敵するエネルギー需要国となると見込まれています。日本は南米ブラジルよりもエネルギー需要が小さくなります。従って、2012年から2035年に向けて、1次エネルギー需要の増加に対する寄与は中国やインドをはじめとする非OECDアジアが世界の需要増加分の65パーセントを占めると予想されています。現時点でアジアからOECDに加盟しているのは日本と韓国だけなんですが、逆に、先進国を構成国とするOECD諸国のエネルギー需要の増加分に対するシェアは4パーセントに過ぎません。

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続いて、上のグラフはプレス発表資料から p.4 Growth in total primary energy demand を引用しています。見れば分かると思いますが、1987年を起点として、直近のデータが利用可能な2011年までと、さらに先行き2035年までを視野に入れて、1次エネルギー需要の増加分について分解しています。天然ガスや石炭、石油などの化石燃料が引き続き高い需要なんですが、再生可能エネルギーもそれなりに伸びを示します。しかしながら、再生可能エネルギーのシェアは2035年になってもまだ低く、"Today's share of fossil fuels in the global mix, at 82%, is the same as it was 25 years ago; the strong rise of renewables only reduces this to around 75% in 2035." と見込まれています。

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続いて、上のグラフはプレス発表資料から p.5 Cumulative energy-related CO2 emissions を引用しています。新興国や途上国の1次エネルギー需要が先進国を上回って増加する一方で、再生可能エネルギーは増加を示すものの化石燃料の比率がまだまだ高く、二酸化炭素排出は増加し続けます。各年の温室効果ガス排出は言うに及ばず、1900年から2035年までの累積で推計して、非OECD諸国のシェアは51パーセントと過半に達します。従って、地球温暖化防止のためには新興国や途上国におけるCO2排出の抑制が重要な課題となっていることを理解すべきです。

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最後に、上のグラフはプレス発表資料から p.11 Growth in electricity generation from renewable sources, 2011-2035 を引用しています。化石燃料を使わず、再生可能エネルギーを用いた発電量を示しています。日米欧の先進国では緑色の風力発電のシェアが高い一方で、中国では水力発電と風力発電がほぼ拮抗しています。インド、中南米、ASEAN、アフリカといった中国以外の新興国・途上国では水力発電のシェアが高くなっています。ただし、これは、補助金や電力市場の設計などの政策的な要因に基づくものであり、"The expansion of non-hydro renewables depends on subsidies that more than double to 2035; additions of wind & solar have implications for power market design & costs." と指摘されています。

グラフは引用しませんが、日本のエネルギー価格、特に天然ガスと電力の価格は2035年時点において米国の2倍を超えるとの試算結果も示されています。エネルギー価格が相対的に高ければエネルギー消費が減って地球環境保護には資するんですが、他方で、国内産業の競争力にはダメージを及ぼす可能性が残ります。専門外の私が考えるほど単純ではないのかもしれませんが、地球環境保護と産業の競争力の間にはトレードオフが横たわっているのかもしれません。

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