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2013年11月28日 (木)

堅調な商業販売統計は消費税率引上げ前の駆込み需要の始まりか?

本日、経済産業省から10月の商業販売統計が発表されました。消費の動向を占う小売業販売は季節調整していない原系列の統計で見て11兆2030億円、前年同月比+2.3%増となった一方で、季節調整済みの系列では台風上陸などの天候の影響もあって前月比▲1.0%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の小売販売額2.3%増 自動車14.8%増でけん引
経済産業省が28日発表した10月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆2030億円で、前年同月に比べ2.3%増えた。プラスは3カ月連続。平均気温が高く秋冬物衣料が低調だったが、自動車販売が引き続き伸びたことが寄与した。
小売業の内訳をみると、自動車が14.8%増と2カ月連続のプラス。新車の投入効果で軽自動車を中心に好調に推移し、伸び率はエコカー補助金終了前の駆け込み需要が発生した12年8月(18.5%増)以来1年2カ月ぶりの高水準だった。機械器具も旺盛な住宅需要を背景にエアコンや冷蔵庫が販売を伸ばし5.3%増だった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は0.4%増の1兆5860億円で、3カ月連続で増加した。スーパーで新店効果が出た。一方、既存店ベースは0.4%減。百貨店、スーパーとも平均気温が高かった影響で秋冬物衣料が落ち込んだ。
コンビニエンスストアは新店効果で4.6%増の8426億円。既存店ベースは台風など天候不順が響き0.9%減だった。

続いて、商業販売統計のうちの小売業販売のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の販売額の前年同月比伸び率、下は季節調整指数そのものを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、このブログだけのローカル・ルールにより、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

photo

個人消費の指標となる小売業販売額は前年同月比で+2.3%増ですが、この数字はいわゆる名目値であり、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、明日発表の10月の消費者物価指数が同じく前年同月比で+0.9%の上昇と見込まれていますから、物価変動を除いた実質では+1.4-1.5%くらいになると考えるべきです。+2.3%増よりもかなり小さくなるんですが、それでも、消費としては十分に堅調な数字と私は受け止めています。ただし、中身としては、来年4月の消費税率引上げ前の自動車に対する駆込み需要が中心のようですから、ある程度の反動は覚悟すべきかもしれません。季節調整済みの前月比でマイナスを記録したのは、10月には遅れてやって来た台風などの天候要因と説明されています。気温が高かったのも季節衣類の売上げに影響した可能性があります。季節調整済みの前月比でも、自動車小売業と電機などの機械器具小売業はそれぞれ+2.4%増と+6.4%増となり、前月比マイナスとなった飲食小売業などと比べても、耐久消費財に対する消費税率引上げ前の駆込み需要が始まっている可能性を示唆していると私は受け止めています。なお、自動車や電機製品などの駆込み需要に関しては、二重の意味での駆込みであり、すなわち、単純にその商品自体への消費税率引上げ前の駆込み需要とともに、単価の著しく高い住宅の駆込み需要に伴う耐久消費財の需要増も含まれていると考えるべきです。

消費税率引上げが2段階であることから、来年4月前の駆込み需要とその後の反動の大きさは1997年ほどは大きくないと見込むエコノミストもいますが、1997年の2%ポイントの引上げ幅よりも今回の3%ポイントの方が大きいわけですから、流動性制約の小さい消費者が合理的であれば、かなり大きな駆込み需要とその後の反動が出ると私は予想しています。

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