今週の読書は人気作家の小説を中心に!
先週の読書はなぜかノンフィクションの学術書や教養書ばっかりでしたが、今週はフィクションの小説ばっかりです。人気作家を中心に取り上げています。
まず、東野圭吾『祈りの幕が下りる時』(講談社) です。加賀恭一郎シリーズ最新刊です。加賀の母親の秘密が明らかにされます。加賀恭一郎シリーズらしく、とってもハートウォーミングです。ミステリの謎解きとしてはイマイチと感じる読者もいるかもしれませんが、東野圭吾ファンであれば読んでおくべき1冊でしょう。
次に、万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』(文藝春秋) です。この作者の作品は私はほぼすべて読んでいると思うんですが、初の時代小説です。この作者のバックグラウンドをなす関西、と言うか、大阪の物語で、江戸時代初期の大坂の役をめぐる忍びの物語です。最後を単純なハッピーエンドで終わらせなかった点に作者の力量を感じます。この作者の最高傑作である『プリンセス・トヨトミ』と何らかのつながりがあるかどうか、とても気になります。
次に、森博嗣『赤目姫の潮解』(講談社) です。100年シリーズ3部作の最終巻です。しかし、前2作、すなわち、『女王の100年密室』と『迷宮100年の睡魔』の主人公だったサエバ・ミチルは登場しません。ロイディは犬で登場します。とてもシュールで難解です。赤目姫と緑目王子をいかに読み解くかがポイントでしょう。哲学的幻想小説とも称されますが、典型的な speculative fiction です。
それから、角川ホラー文庫から何冊か読みました。上の画像は貴志祐介『雀蜂』と吉村達也『幻影城の奇術師』ですが、ほかにも、櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 死者の花嫁』と『20の悪夢 角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー』も読んでいます。我が家の中学生の下の倅が中間試験を終えたので、連休の暇潰しに角川ホラー文庫を何冊か買い与えて、一応、ホラー小説ですので親としての義務とチェックを兼ねて事前に読んでいます。なお、吉村達也『幻影城の奇術師』の最後の解説でQAZの正体が明らかにされています。
万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』を読んで、大坂の役に関する小説を読みたくなった向きには、司馬遼太郎『城塞』(新潮文庫) を強くオススメしておきます。
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