消費者態度指数と法人企業景気予測調査ともに消費者と企業のマインド改善を示す!
本日、内閣府から11月の消費者態度指数と財務省から10-12月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ発表されました。前者は消費者マインドを需要サイドから統計的に把握する代表的な指標であり、後者は日銀短観ほどではないものの企業マインドの把握に役立つ指標です。消費者も企業もいずれもマインドが改善していることが示されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
11月消費者態度指数、2カ月ぶり改善 冬の賞与への期待などで
内閣府が10日発表した11月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は42.5と前月から1.3ポイント上昇した。改善は2カ月ぶり。有効求人倍率の上昇など雇用環境が改善しつつあることや、冬のボーナスの増額への期待感が高まったことが指数を押し上げた。
内閣府は基調判断を10月の「改善基調にあるが、10月は大きく低下した」から「改善基調にある」に表現を変更した。判断の水準としては3カ月連続の据え置き。10月は台風の直撃など天候の特殊要因で指数が悪化していた。
指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」の3項目で前月比プラスだった。冬のボーナスへの期待に加え、中間決算の多くが増収増益となるなど企業収益の改善も寄与した。「収入の増え方」は前月比1.9ポイント上昇で、リーマン・ショック前の2007年1月以来の高い伸びだった。
1年後の物価の見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)が0.3ポイント低下の89.2%と11カ月ぶりに減った。足元ではガソリン価格や電気、ガス料金が下がったほか「生活日用品の値上げがやや一服した」(内閣府)ことが影響した。ただ04年4月以降で最も高かった先月(89.5%)に続き高水準で推移した。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は11月15日で、有効回答数は5780世帯(回答率68.8%)だった。
10-12月期大企業景況感4期連続プラス 投資計画の伸び最高に
内閣府と財務省が10日発表した10-12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業の景況感を表す景況判断指数はプラス8.3だった。4期連続のプラスだったが、2004年4-6月期の調査開始以降で最高だった今年7-9月期(12.0)よりはプラス幅が縮小した。自動車やスマートフォン(スマホ)などに関連する産業の景況感が上向いた一方、石油製品や鉱業、電気・ガスなど円安による調達コスト増が響く業種は悪化した。
指数は自社の景況が前の期と比べて「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を差し引いて算出した。
大企業製造業の10-12月期の景況感はプラス9.7と、3期連続でプラスだった。医薬品や自動車、住宅向けが好調だった化学工業や、自動車向け工作機械受注が拡大した生産用機械器具製造業などの寄与度が高かった。一方、石油・石炭製品製造業や、好調だった前の期の反動減などがあった自動車・同付属品製造業はマイナスだった。
非製造業はプラス7.5で、4期連続のプラス。スマホや自動車、建築資材を扱う卸売業などが上向いた。一方で鉱業、採石業や電気・ガスなどは景況感が悪化した。
中小企業全産業の景況判断はマイナス0.1だった。7-9月期のマイナス8.7と比べ大きく改善。中小企業全産業の景況判断は04年の調査開始以来マイナスが続いているが、10-12月期のマイナス幅はもっとも小さかった。製造業はマイナス5.3だったが、非製造業はプラス0.9と初めてプラスに浮上した。財務省は「企業マインドの改善が続いていることが確認できた」(財務総合政策研究所)と見ている。
大企業全産業は14年1-3月期はプラス11.8を見込んでいる。10-12月期と比べプラス幅は拡大。製造業はプラス11.4、非製造業はプラス12.1を見込む。今回初めて公表する14年4-6月期の大企業全産業はマイナス4.1の見通し。消費増税の影響とみられる。
13年度の設備投資計画(ソフトウエア含む)は、全産業では前年度比11.5%増を見込む。前回9月時点の見通し(9.1%増)が上方修正され、04年以降では最高の伸び率だった。
調査は資本金1000万円以上の1万5769社を対象に実施し、回答率は80.4%。調査基準日は11月15日だった。同調査は日銀が16日に発表する全国企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測する材料として注目される。
いつもの通り、いろんなことをとてもよく取りまとめた記事だという気がします。次に、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。今年2013年4月から新系列に移行しています。また、影をつけた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、直近の景気の谷は2012年11月であると仮置きしています。
消費者態度指数は10月の41.2から1.3ポイント上昇して42.5となり、2か月振りに前月を上回っています。消費者態度指数を構成する4項目の意識指標のうち、「耐久消費財の買い時判断」は低下したものの、「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」の3項目は上昇しています。「耐久消費財の買い時判断」は消費税率引上げを控えて、消費者がタイミングを測っているような気もします。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「回復基調」で据え置いています。10月の台風の影響で大きく低下した分をすべて取り戻したわけではありませんが、12月に支給されるボーナスが増加する期待が高まってマインドも改善していると解説されています。どうでもいいことながら、今日は我々公務員にもボーナスが支給されています。もちろん、雇用は量的にはかなりイイセンまで来たんですが、ボーナスのような一時金はともかく、本格的に消費者マインドを向上させ消費の拡大につなげるためには、経済学でいうところの恒常所得の増加は不可欠です。年末のボーナスの季節を過ぎて、消費税率が引き上げられた後、もう「春闘」という言葉も死語になった感もありますが、春以降の賃上げがどうなっているかが、消費者マインドを占う上でひとつのポイントになるかもしれません。
続いて、法人企業景気予測調査の大企業の景況判断DIのグラフは上の通りです。この調査のひとつのクセとして、「貴社の景況判断」よりも「国内の景況判断」の方が常に振幅が大きく、自社よりも他社の方が、景気のいい時は自社よりも他社の方がさらに景気よく、景気の悪い時は他社の方がさらに景気悪く見える、という「隣の芝生は青い」現象となっています。引用した記事にもある通り、大企業全産業で10-12月期の「貴社の業況判断DI」は+8.3、来年1-3月期には+11.8まで上がった後、消費税率引上げにより4-6月期はドカンと低下し、▲4.1を記録すると見込まれています。この数字は、上のグラフでいずれも赤い折れ線で示してあるものです。2011年3月の震災を参考までに見ておくと、2011年1-3月期の大企業景況判断DI▲1.1から、震災後の4-6月期には▲22.0まで▲20ポイント超の低下でしたので、そこまでの大きなインパクトではありませんが、前もって予定されているイベントとはいえ、いくぶんなりとも、消費税率引上げは震災に近いショックを企業マインドに対して及ぼす可能性が示唆されていると考えるべきです。なお、グラフはありませんが、今年度2013年度の設備投資計画は大企業が前年度比+11.8%増、中堅企業が+0.4%増、中小企業が+20.0%増で、全規模・全産業で+11.5%増となっています。GDPベースの設備投資はまったく増加を示していませんので、この先爆発するとは考えにくく、どこまで実現性があるかどうか疑わしいと受け止めています。最終の仕上がりは増加幅が縮小されるものと覚悟すべきです。
消費者も企業もかなりマインドは改善していますが、消費者と企業で大きな違いがあるのは収入や所得のサポートです。企業が次々と優遇策を打ち出されて、企業業績や株価が過去最高に近い水準に達している一方で、国民の所得や賃金はサッパリ上がりません。企業からのトリクルダウンを期待するだけではなく、消費者の懐を暖める必要があります。
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コメント
ん~・・・難しい(笑)
投稿: CrazyBoy | 2013年12月11日 (水) 15時30分
そうですね。
投稿: 官庁エコノミスト | 2013年12月11日 (水) 19時50分