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2013年12月 3日 (火)

毎月勤労統計では残業は増加するも賃金上昇の兆しは読み取れず!

本日、厚生労働省から10月の毎月勤労統計が発表されています。賃金と景気に敏感な残業がこの統計のヘッドラインなんですが、製造業の所定外労働時間が増産により季節調整済みの系列で前月比+1.0%増加し、残業が増加した影響で賃金給与総額は前年同月比で+0.1%増の26万7167円と4か月振りにプラスに転じたものの、所定内給与は長らく前年同月比マイナスを続けています。まず、統計について報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

10月現金給与0.1%増、4カ月ぶりプラス 製造業の活発な生産で
厚生労働省が3日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比0.1%増の26万7167円で、4カ月ぶりにプラスに転じた。需要回復に伴い、製造業の生産活動が活発になり、所定外労働時間と所定外給与が増えた。基本給や家族手当などの所定内給与は17カ月連続で減少した。
所定外労働時間は4.9%増の10.8時間で、5カ月連続で増えた。このうち製造業は9.8%増の15.8時間で、4カ月連続のプラス。伸び率は月ごとに拡大している。いずれも東日本大震災による落ち込みの反動で大きく伸びた2012年5月以来の大きさだった。残業代など所定外給与は5.4%増の1万9511円で、12年5月以来の高い伸びだった。
所定内給与は0.4%減の24万2153円だった。賃金水準の低いパートタイム労働者の割合が増えていることが響いた。総労働時間は0.4%減の148時間。労働時間の短いパートタイム労働者が増えたことで3カ月連続で減少した。
正規雇用を中心にした一般労働者とパートタイム労働者を合計した常用雇用は1.0%増の4635万人。特に一般労働者は景気回復で0.6%増の3278万9000人と2カ月連続で増加し、雇用情勢の緩やかな改善を示す結果になった。パートタイム労働者は2006年1月以降、増加し続けている。10月は1.9%増の1356万1000人だった。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。影をつけた期間は景気後退期であり、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。

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毎月勤労統計の10月統計で、一般労働者の所定内給与が月額304,483円、パートタイム労働者が90,977円ですから3倍を超える格差があり、パートタイム労働者の比率が上昇すれば現金給与総額は下がって行きます。このため、所定内給与は昨年のミニ・リセッションの直後から1年半に渡って前年同月比で下がり続けています。労働者1人当たりの月額賃金が上昇しても、非正規雇用の比率の増加により一種のシンプソン効果で雇用者全体としては賃金が下がり続けるという形に陥っています。ですから、賃上げはもとより必要ですが、正規雇用やより条件のいい decent な雇用が増えないことには統計の上で賃金が増加することは確認できない可能性が残されています。逆から見て、統計の上で賃金上昇が確認できれば、賃金上昇がデフレ脱却の十分条件と私は主張しているわけですから、ほぼデフレは終了している可能性すらあります。

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しかし、さすがに昨年来のアベノミクス効果により、非正規雇用であっても今年の年央から賃金上昇の兆しが見えます。上のグラフはリクルートジョブズによる派遣スタッフ募集時平均時給調査アルバイト・パート募集時平均時給調査の結果を取りまとめてあります。見れば分かると思いますが、募集時の時給と前年同月比です。昨年のミニ・リセッションから少しタイムラグを経て、今年年央あたりから派遣スタッフやパート・アルバイトの時給が急激に高まっているのが見て取れます。雇用や設備投資等の要素需要に関しては、余りに冷え切った企業の長期的な展望に対するマインドの改善が急務であり、投資を促進し、また、雇用であれば、非正規雇用だけでなく正規雇用増加のインセンティブをより高める経済政策が必要なのかもしれません。もっとも、それを成長戦略と呼ぶかどうかは別の問題です。

最後に、私はまだ詳しく見ていませんが、経済開発協力機構 (OECD) から2012年の学習到達度調査 (Programme for International Student Assessment, PISA) の結果が発表されています。我が国の労働力の水準は先進国の間で見ても高賃金を受け取るにふさわしいレベルに達していると私は受け止めています。

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