企業向けサービス価格指数は上昇を続けデフレ脱却の兆しを見せる!
本日、日銀から11月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されています。総平均指数は96.6で前年同月比上昇率が+1.0%、変動の大きい国際運輸を除く総平均で定義されるコアCSPIも96.0の+0.6%となりました。それぞれ、前月よりも上昇幅を拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
11月の企業向けサービス価格、5年3カ月ぶり高い伸び
7カ月連続上昇
日銀が25日発表した11月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.6と、前年同月比1.0%上昇した。7カ月連続で前年を上回り、伸び率は08年8月(1.7%上昇)以来5年3カ月ぶりの高さだった。収益改善を背景に、企業がサービス関連の支出を拡大する動きが広がっている。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。全137品目のうち、前年比で上昇した品目は60、下落した品目は40だった。上昇が下落を上回るのは4カ月連続。
業種別にみると、最も押し上げに寄与したのが広告で、1.3%上昇した。テレビ広告で金融や保険、化粧品業など幅広い業種から需要が増えたほか、新聞広告も好調だった。12月は前年の衆院選に絡み政党からの出稿が増えた反動が出るとみられている。
情報通信は0.3%下落と、前月(0.8%下落)からマイナス幅を縮小した。金融機関のシステムやスマートフォン向けアプリ(応用ソフト)といったソフトウエア開発の需要が旺盛だったことに加え、前年に落ち込んだ反動も出た。内外の好調な観光需要を背景に宿泊サービスも上昇した。
為替相場や海外景気の影響を受けやすい国際運輸を除くベースでは前年同月比0.6%上昇。4カ月連続で前年を上回り、伸び率は1998年3月(1.1%上昇)以来15年8カ月ぶりの高さとなった。日銀は幅広い品目で値上げの動きが続いていることから「企業のサービス関連支出に明るさが広がっている」(調査統計局)と分析している。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価 (CSPI) とコア CSPI の上昇率とともに、企業物価 (CGPI) 上昇率もプロットしています。なお、影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は昨年2013年11月だったと仮置きしています。

昨年2012年11月を谷と仮置きしているミニリセッションの終了とアベノミクスの開始の時期に重なって、企業向け物価である CGPI も CSPI も順調に上昇に転じ、さらに上昇幅を拡大しています。特に、国際運輸を除くコア CSPI が+0.6%の上昇を示し、この上昇幅は1998年3月以来、実に15年8か月振りと報じられています。1990年代創のバブル崩壊から始まって、何とも不可解な最近までの日銀の金融政策を主因に、我が国に広く定着してしまったデフレもそろそろ終わりに近づいているのかもしれません。ただし、引用した記事にもある通り、12月統計では昨年の衆議院選挙による広告の押上げなどの反動が出る可能性が高いと指摘されていますが、いうまでもなく、デフレ脱却や物価上昇は一直線に進むものではありません。来年2014年4月からの消費税率引上げでは、一時的にせよ、需給ギャップのマイナス幅が拡大するでしょうから、数ある物価指標の中でも需給ギャップに最も敏感な CSPI にも無視できない影響を及ぼすことは覚悟すべきです。
明後日には、例年よりも1日早いご用納めの日に、政府統計がいっせいに発表される予定です。生産統計や雇用統計などとともに、安倍政権が日銀とともに最重要の政策目標のひとつに掲げるデフレ脱却との関係で、消費者物価も大いに注目でしょう。
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