リクルート・グループの調査に見る雇用の逼迫やいかに?
師走も半ばを過ぎて下旬に入ろうとしており、今週になって雇用の逼迫を報じる記事をいくつか日経新聞で見かけました。一例として、アルバイトなどの非正規雇用と新卒採用などの正規雇用に関して、以下の通り2本ほど上げておきます。
最初の方の記事が外食産業などで非正規のアルバイトの時給の上昇を報じており、後の方の記事では大卒や高卒の新卒採用、もちろん、正規雇用の増加が見込まれると報じています。政府の雇用統計、すなわち、失業率などの労働力調査、有効求人倍率などの一般職業紹介状況、給与や所定外労働時間などの毎月勤労統計は来週金曜日の年内最終の閣議日にいっせいに公表されますが、先に上げた記事などでも報じられているところで、今夜のエントリーでは、民間企業であるリクルート・グループの調査結果、雇用の逼迫に関するリポートを簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、派遣スタッフ募集時平均時給調査とアルバイト・パート募集時平均時給調査から、上のグラフでは、それぞれの募集時平均時給の額そのものと前年同月比伸び率をプロットしています。最新データは派遣スタッフ/アルバイト・パートともに11月です。一見して明らかですが、特に派遣スタッフの時給が急上昇を見せており、アルバイト・パートも派遣スタッフほどの高い伸び率ではありませんが、最近ではコンスタントに前年同月を上回っています。フード系の職種が調査開始以来の最高水準の時給でアルバイト全体をリードしているようです。トピック的に報じた記事を統計的にも支持していると私は受け止めています。
まず、「ワークス採用見通し調査」では、2015年卒業の新卒と2014年の中途採用について、いずれも正規職員の採用を増やす企業が増加していることを指摘しています。上のグラフはリポートの p.9 採用見通しの経年比較 を引用しています。新卒と中途のそれぞれの採用に関して DI になっていて、「増える」から「減る」を減じたパーセントで示されています。見れば分かりますが、プロットされているのは大学生・大学院生、高校生の新卒採用見通しと正規社員の中途採用見通しです。いずれの DI も震災後の2012年度から高校生を除いてプラスに転じているんですが、直近の2015年新卒と2014年度中途採用はいずれも大きくジャンプしているのが見て取れます。高校生の2015年新卒もようやくプラスに転じています。大学生・大学院生の新卒採用の DI のプラスが大きいのは、建設業、製造業の中ではコンピュータ・通信機器・OA機器関連、小売業、銀行や証券、情報通信業や飲食サービス業などとなっています。
何度もこのブログで主張して来た通り、株価や業績・利益に反映された企業部門へのアベノミクスの恩恵に比べて、家計部門の特に雇用の質、すなわち、賃金の上昇や正規雇用の増加などが極めて遅れていて見劣りしています。現政権ではかなり強権的に市場を介することなく企業に対して直接行動でもって賃上げを要求ないし指導しているようですが、企業部門に溜め込まれた購買力を政府財政に吸い上げるとともに、家計部門に還元すべき時期が来ていることは明らかです。
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