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2014年1月20日 (月)

ESPフォーキャストに見る貿易収支の黒字転換と賃金上昇の見通しやいかに?

とても旧聞に属する話題ですが、先週1月15日に日経センターからESPフォーキャストの調査結果が発表されています。いつも通りの成長率と消費者物価上昇率の予想とともに、特別調査として貿易収支と賃金上昇についても公表されています。5日遅れで取り上げていますので、ごく簡単にグラフとともに紹介しておきたいと思います。

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まず、前期比年率で表示した実質成長率の予測は上のグラフの通りです。4月からの消費税率の引上げ直前の1-3月期に駆込み需要で+4%台半ばの高成長を記録した後、4-6月期には逆に▲4%台半ばのマイナス成長となる、要するに、ならしてみれば今年上半期1-6月期はゼロ成長、という予測です。その後は、+1%台半ばから後半のほぼ潜在成長率に見合った成長を続けた後、来年2015年10月の消費税率引上げ第2段の前後にも同じような駆込み需要と反動減が生じるとの予測です。

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興味あるのは貿易収支の予測です。2-3年くらいで黒字に復帰するとの予想と数年内は赤字のままという予想がほぼ拮抗しています。私は前者の予想を持っており、2015-16年には貿易収支は黒字転換すると見込んでいますが、実は、貿易収支については為替などの価格要因と景気などの需要要因という経済的な要因もさることながら、原発再稼働要因も決して無視できません。すなわち、原発をバンバン再稼働させれば貿易収支の黒字転換が進みますが、逆は逆で、脱原発を進めれば貿易収支の赤字解消は遠のきます。当然のことながら、私は原発政策を貿易収支に割り当てるのは反対します。すなわち、貿易収支を黒字にするために原発の再稼働を進めるのは本末転倒です。他方、日本は25年前に米国について「双子の赤字」と批判していて、多くのエコノミストは弾力せペシミズム、すなわち、為替レートは貿易収支や経常収支には大きな影響を及ぼさない、という経験もしています。ESPフォーキャストでも意見が分かれるのは理解できるところです。

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最後に、上のグラフは厚生労働省の毎月勤労統計ベースの所定内給与上昇率の予測です。景気に敏感な所定外給与を含めた現金給与総額はこれよりもさらに伸びる可能性がありますが、消費への影響が大きく、いわゆる「恒常所得」に近い概念として考えると所定内給与、ということになりそうです。経団連のように一部上場などの大企業だけを取れば、私は+1%近い伸びを見込めると考えていますが、中小企業も含めれば+0.5%には達せず、上のグラフの予測はいいセンではないかと思います。いずれにせよ、消費税率引上げに伴って価格に転嫁されれば実質所得はマイナスになる、ということです。増収増益で史上最高益に近い企業活動なんですが、我が国の企業家精神やアニマルスピリットの貧弱さが限界を露呈して縮小均衡に陥る危険がありそうな気もします。

今日の経済財政諮問会議で議論されたように、対日投資の促進を口実にして法人税率を下げるよう財界が要求するのであれば、その見合いで賃金を上昇させるべきです。思い切って賃金を引き上げたフォードのような経営者は日本にはいないんでしょうか?

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