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2014年1月16日 (木)

大きく増加した機械受注と上昇続く企業物価

本日、内閣府から11月の機械受注統計が、また、日銀から12月の企業物価指数 (CGPI) が、それぞれ発表されています。それぞれの統計のヘッドラインを見ると、コア機械受注、すなわち、船舶と電力を除く民需で定義される機械受注は季節調整済みの系列で8826億円、前月比+9.3%増と大きく増加し、国内の企業物価上昇率は前年同月比で+2.5%と2%超の上昇が続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の機械受注、5年4カ月ぶり高水準 基調判断を上方修正
内閣府が16日発表した2013年11月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比9.3%増の8826億円だった。製造業、非製造業からの受注がともに伸び、リーマン・ショック前の08年7月(8875億円)以来、5年4カ月ぶりの高水準となった。プラスは2カ月連続で、内閣府は機械受注の判断を前月の「緩やかな増加傾向がみられる」から「増加傾向にある」に、2カ月連続で上方修正した。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は6.0%増の3537億円と2カ月ぶりに増加した。パルプ・紙・紙加工品業界や石油製品・石炭製品業界向けに、ボイラーやタービンといった火水力原動機、化学機械の受注が増えた。
船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額は8.1%増の5506億円と2カ月連続のプラス。卸売業・小売業からコンピューターの受注が増加したほか、運輸業・郵便業から鉄道車両の受注が増えた。
11月に発表した船舶・電力除く民需の10-12月期の受注額見通しは前期比2.1%減。12月が前月比25.4%減までにとどまれば達成でき、19.6%減なら横ばいになる。これまで単月で最も大きかった落ち込みは09年1月の11.9%減のため、13年10-12月期は3期連続でプラスになる可能性が高い。
13年の国内企業物価、2年ぶりプラス 円安で輸入品価格が上昇
日銀が16日発表した2013年の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は101.9と、前年比で1.3%上昇した。為替相場の円安進行に伴う輸入品価格の上昇で2年ぶりにプラス転換した。
円安進行を映し、円ベースでの輸出物価は前年比で11.6%上昇。プラス幅は1974年(33.9%上昇)以来の大きさだった。輸入物価も1980年(44.8%上昇)以来となるプラス14.5%だった。
企業物価指数は出荷や卸売り段階など企業間で取引する製品の価格水準を示す。企業物価指数を項目別にみると「石油・石炭製品」や「非鉄金属」、「電力・都市ガス・水道」などが上昇した。円安で調達コストが影響した。飼料価格の高騰や夏場の猛暑で、牛肉や豚肉、鶏卵など「農林水産物」も上昇した。一方、販売競争による値下がりで「情報通信機器」などは下落した。
13年12月の指数は102.8と、前年同月比で2.5%上昇した。プラスは9カ月連続。前月比では0.3%上昇した。円安でガソリンなどが値上がりし、石油・石炭製品が上昇した。全820品目のうち前年同月比で上昇した品目は396品目、下落した品目は296品目だった。4カ月連続で上昇品目が下落品目を上回った。
円ベースの輸出物価は前年同月比で12.4%上がり、輸入物価も17.6%上昇した。

いつもの通り、いろんなことをとても適確に取りまとめた記事だという気がします。それにしても、先月もそうだったんですが、主要な統計が2つ発表されると記事の引用だけでかなり長くなってしまいました。企業物価は2013年平均の統計にも紙幅が割かれ、おなかいっぱいかもしれません。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、直近の景気の谷は2012年11月であると仮置きしています。

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上のグラフの通り、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は11月にかなり大きく増加しました。日経QUICKによる市場の事前コンセンサスは中央値が前月比で+1.2%増と緩やかな予想でしたし、レンジでも▲1.2%から+6.0%でしたから、予想のレンジを突き抜けた大幅増といえます。もちろん、月ごとの振れ幅の大きい統計ですから、12月統計ではそれなりの反動減は覚悟する必要がありますが、引用した記事にもある通り、受注水準もリーマン・ショック前の2008年7月以来、5年4か月振りの高い額に上っています。もっとも、前月比で増加したのは15業種のうちの4業種に過ぎず、特に、石油製品・石炭製品の前月比+390.5%増とパルプ・紙・紙加工品の+344.1%増が突出しています。統計作成官庁である内閣府は、基調判断を前月の「緩やかな増加傾向がみられる」から「増加傾向にある」に上方修正していますが、幅広い業種に支えられた受注増といえるかどうかは疑問が残ります。いずれにせよ、ならして10-12月期は前期比でプラスとなるのは確実ですし、あるいは1-3月期も消費税率引上げ前の駆込み需要による押上げ効果も一定程度はあると考えられますが、今年年央から先の動向が気にかかります。消費税率引上げにより景気が腰折れすると私は決して考えていませんが、それなりの駆込み需要とその反動減のスウィングを企業がどのように受け止めて設備投資に対応するかは不透明です。

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企業物価の国内・輸出入別の前年同月比上昇率と需要段階別の上昇率はそれぞれ上のグラフの通りです。国内物価の前年同月比上昇率は+2%台半ばまで拡大しています。円高是正による為替の効果が大きいと報じられていますが、少しずつ需給ギャップの縮小も物価の上昇に寄与していると感じ始めているエコノミストも少なくなく、私もそのうちの1人だったりします。アベノミクスに始まった円高是正に起因する素原材料や輸入品中心の物価上昇が、最終財の川下に波及しつつある姿が上のグラフからも読み取れます。しかし、企業物価はこのように順調に上昇率を高めていますが、どのくらい消費者物価まで波及するかというと、やや疑問に感じるエコノミストも少なくないと思います。消費者物価で測った日銀のインフレ目標2%の達成は、今年4月の消費税率引上げのショックを見極める必要がありますが、少なくとも2年後の時点での目標達成は微妙なところと考えているエコノミストが多そうな気もします。

いうまでもなく、機械受注の増加やインフレ目標に沿ってデフレ脱却を目指す物価の上昇は歓迎すべき動向なんですが、忘れるべきでないのは、この動きの背景に来年2014年4月からの消費税率引上げ前の駆込み需要やそれに伴う需給ギャップの縮小が部分的ながらも含まれている可能性が強く、耐久消費財ほどではないせよ、投資財の駆込み需要と4月以降の反動も決して無視できない点です。ある程度の覚悟をしておくべきです。

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