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2014年1月 7日 (火)

「ドリーム効果」で大きく膨らんだ森記念財団の試算による東京オリンピックの経済効果やいかに?

本日、森記念財団の都市戦略研究所から「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う我が国への経済波及効果」と題するリポートが公表されています。このブログの昨年2013年9月10日付けのエントリーでも紹介した東京都発表の経済効果は、生産誘発額が3兆円と控えめな内容だったんですが、森記念財団の試算では数倍に大きく膨らんでいます。

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ということで、文字が小さくてやや見づらいんですが、上の画像はリポートの p.6 試算結果 を引用しています。左上の東京都発表の経済効果では粗付加価値額1.4兆円、生産誘発額3.0兆円とされていたところ、森記念財団の試算では粗付加価値額8.3兆円、生産誘発額16.4兆円を積み増して、合計で粗付加価値額9.7兆円、生産誘発額19.4兆円に上ると結論しています。我が国全体で約20兆円、GDPの0.3%に相当する経済波及効果があり、延べ121万人の新たな雇用を創出すると、東京都の試算から大きく膨らんでいます。
森記念財団の独自試算で膨らませた部分を詳しく見ると、画像の右上の緑色の部分では東京オリンピック開催に伴う直接的な需要の増加として、訪日外国人の増加による消費拡大と宿泊施設の建設増加を見込み、また、青い背景の部分では都市づくり事業の前倒し効果として公的な基盤整備事業と民間都市開発事業のそれぞれの前倒しを見込み、さらに、黄色い部分では新規産業の創出効果として、新規雇用の増加と外国企業の誘致を見込んでいます。最後に、ピンクの背景の部分は「ドリーム効果」として、リポートの p.5 にある試算の前提条件の表現を借りると、「社会全体で華やかな喜ばしい出来事が起きたとき、だれもが気分が高揚して、つい財布のヒモが緩み、様々な消費行動が拡大する」効果を見込んでいて、実は、粗付加価値額でも生産誘発効果でもこの「ドリーム効果」がもっとも大きかったりします。すなわち、森記念財団が東京都の試算に積み増した粗付加価値額8.3兆円のうちの3.7兆円、生産誘発額16.7兆円のうちの7.5兆円が、それぞれ「ドリーム効果」によるものです。森記念財団の積増し額の半分近くが「ドリーム効果」によるものだったりするわけです。
最後に、リポートの最終ページでは、オリンピック開催による経済効果を雇用創出につなげるため、高齢者や女性の労働参加を促進するとともに、雇用の流動化などを促す労働市場政策を推進し、また、オリンピック後の反動による経済落ち込みを軽減するため、新たな需要創出につながるイノベーションを生み出すための規制改革を実行する必要性を指摘しています。オリンピックの有無にかかわらず、我が国経済に必要とされている政策でしょうが、改めて東京オリンピックを景気としてリポートの最後に付け加えた、といったところでしょうか。

私は「ドリーム効果」がゼロだと主張するつもりは毛頭ありません。というよりも、「ドリーム効果」がかなりの額に上り、森記念財団の試算を上回る可能性すらあると考えています。というのも、東京都の試算より膨らんだとはいえ、オリンピックの経済効果がGDPの0.3%というのはやや小さい気がするからです。ともあれ、このブログの従来からの主張の通り、消費をサポートするのはマインドと所得です。マインドに支えられた「ドリーム効果」は無視できません。でも、今年こそデフレ脱却に向けた動きを進め、安部総理も主張する通り、賃金が上がり所得が増えることを切に願っています。

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