12月に大きなマイナスを記録した機械受注の今後の動向やいかに?
本日、内閣府から12月の機械受注統計の結果が発表されています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済の系列で7441億円、前月比▲15.7%減となりました。大きく増加した11月受注からの反動ながら、それにしても大きなマイナスと受け止められています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
機械受注、12月15.7%減 1-3月見通し2.9%減
内閣府が12日発表した2013年10-12月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は2兆4339億円となり、08年7-9月期(2兆6117億円)以来の高水準だった。前期と比べると1.5%増え、3四半期連続のプラスとなった。
主な機械メーカー280社が非製造業から受注した金額は7.5%増えて1兆5158億円となり、2四半期ぶりに増加した。金融・保険業や卸売・小売業からコンピューターの受注が増えたほか、建設業から建設機械や運搬機械の需要が旺盛だった。
製造業からの受注は0.6%増の9802億円と3四半期連続のプラスだった。一般機械業から工作機械や運搬機械、化学工業からボイラーやタービンといった火水力原動機の受注が活発だった。
新たに公表した14年1-3月期の「船舶・電力を除く民需」の受注見通しは2.9%減の2兆3622億円。4四半期ぶりのマイナスだが前年同期の実績は1割上回る。内閣府は「受注額の水準としてはそう低くない」とみている。製造業は1.8%減、非製造業は5.9%減を見込む。
併せて発表した13年12月の機械受注統計は「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)が前月比15.7%減の7441億円だった。マイナスは3カ月ぶりで、統計が遡れる2005年4月以降で最大の減少率だった。
船舶・電力を除いた非製造業からの受注は17.2%減の4557億円と3カ月ぶりのマイナス。製造業からの受注も17.3%減の2926億円と2カ月ぶりに減少した。
ただ鉄道車両や火力原動機など、11月に好調だった機械の反動減の要因が大きいといい、内閣府は前月の「増加傾向にある」との基調判断を据え置いた。そのうえで「12月の実績は大きく減少した」との表現を追加した。
いつもの通り、いろんなことをとても適確に取りまとめた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、直近の景気の谷は2012年11月であると仮置きしています。
毎月の変動の大きな統計ですから評価は難しいところではあるものの、11月の前月比+9.3%増の後の12月が▲15.7%減ですから、最近2か月をならしてもマイナスですし、しかも、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスの▲4.1%減を大きく割り込んでいますので、やや大きなマイナスとネガな雰囲気を持って私は受け止めました。ですから、引用した記事の最後のパラにある通り、統計作成官庁の内閣府でも基調判断を「増加傾向にあるものの、12月の実績は大きく減少した」と表現しました。もちろん、引用した記事にもある通り、10-12月期の四半期で見れば3四半期連続の前期比プラスですし、受注水準もかなり高くなっており、決して悪い結果でもないことも事実です。従って、最初に書いた結論に戻りますが、12月統計の評価は難しいところです。ならして10-12月期は+1.5%増のプラスとはいうものの、足元1-3月期の受注見通しは▲2.9%減ですから、消費税率の引上げの後の4-6月期以降も含めて、もっと長い目で観察したいと思います。いうまでもなく、GDPベースの設備投資も注目です。
12月統計が発表され、四半期のデータが利用可能になりましたので、私がいつも注目している達成率のグラフを書きました。上の通りです。経験則から90%ラインを超えると景気転換点といわれていますが、7-9月期の99.1%から少し落ちたものの、10-12月期でも97.6%を記録していますので、これまた、決して悪い結果ではないと受け止めています。コア機械受注そのものは12月統計はややネガな受止めでしたが、コチラの達成率はややポジな印象です。いずれにせよ、評価は難しいところです。
最後に繰返しになるものの、機械受注は毎月の振れの大きな統計ですので、12月単月で大きく落ちたとはいえ、すぐに評価を下すのは難しいと私は考えています。従って、4月の消費税率引上げ以降も含めて、今後の設備投資の動向を長い目で見て占いたいと思います。タイトルの「今後の動向」は、分からないということなのかもしれません。
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